へうげもの13服はすでに関ヶ原序盤戦、東西陣営が人脈作りに躍起になる。
朝鮮の役集結から大谷吉継登場・七将襲撃事件・大坂城西の丸普請・直江状と歴史イベント目白押し。
その脇で今に伝わる織部焼大盛況、そして新たなるグリーンとの出会いに織部の野望も急膨張。
表紙はまるで最終巻のようなホワイト&シルバー、巻末にはアラ嬉しや登場人物紹介復活。
序盤から熱い13服であるが徳川家康に対峙するのは三成でなくむしろ織部。
局面と人を動かす家康&織部の術が、その描き方も含めて実に上手い。
特に家康・織部がお互いに動かされる際の苦々しい表情に、
相互の事情や力量を知り抜いた大器同士のぶつかり合いが見て取れる。
(こういうのをNHK大河ドラマ枠で見たいんだよなぁ)
最後、家康による直江状改変により自称”風見鶏”織部が東軍に付かざるを得なくなったことで
この単行本では家康側に軍配に挙がったとみていいだろう。
だが最も魅力的に見えるのは、己が器の小ささを認め数寄を理解出来ない事に悩む石田三成。
その人間臭さが反徳川の中心として堂々と成長する面と相まって胸にしみる。
しかし吉継との有名な茶席は美談のはずが、実に三成が可哀想で破壊的に笑えるアホ話に。
脇を固める島左近、石田正澄も応援したくなるいい味したキャラだ。
キャラといえば徳川陣営では珍しく数寄を語れる結城秀康再登場、秀忠との軋轢が楽しみ。
そして最後まで性格がブレなかった名脇役前田利家さようなら。
淀君を中心に蠢く旧織田陣営も描かれて、どう絡んでいくか先が全く読めない。
漫画タイトルの由来である宗湛日記の「ヘウケモノ也」エピソードも再現。
華・侘び・楽とならぶ美意識ワード”へうげ”獲得、オメデトウゴゼマス。
しかし「織部菊紋は菊じゃなかった」とか「酔っ払った勢いで三成を襲った」とか、
上記の茶席も含めて、既存のエピソードを必ず一捻りさせてくる。
相変わらず後で調べて2度おいしい漫画です。
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へうげもの(13) (モーニング KC) コミック – 2011/7/22
山田 芳裕
(著)
あるときは信長、秀吉、家康に仕えた武士。またあるときは千利休に師事する茶人。そしてまたあるときは物欲の権化。戦国~慶長年間を生き抜いた異才・古田織部。甲冑、服飾、茶、陶芸、グルメetc. お洒落でオタクなこの男こそ、日本人のライフスタイルを決めちゃった大先輩だ!!
秀吉の死により、泥沼の朝鮮侵略がようやく終結。死にものぐるいで戦った武将たちの不満は官僚派の筆頭・石田三成に集中。世に言う「七将」襲撃事件をまあまあまあと丸く収めたのが家康。三成を政権から追放するナイフエッヂな政略で、次の天下は徳川さんとの声しきり。とにかく時代はゴーゴー「関ヶ原」。「ヘウケモノ」な茶碗を世に放つ織部。東西分かれてのくんずほぐれつに、危ない橋を平気で渡ります!
秀吉の死により、泥沼の朝鮮侵略がようやく終結。死にものぐるいで戦った武将たちの不満は官僚派の筆頭・石田三成に集中。世に言う「七将」襲撃事件をまあまあまあと丸く収めたのが家康。三成を政権から追放するナイフエッヂな政略で、次の天下は徳川さんとの声しきり。とにかく時代はゴーゴー「関ヶ原」。「ヘウケモノ」な茶碗を世に放つ織部。東西分かれてのくんずほぐれつに、危ない橋を平気で渡ります!
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2011/7/22
- ISBN-104063870243
- ISBN-13978-4063870244
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商品の説明
著者からのコメント
古織公とよく間違われるのが、
伊勢松坂城主・古田兵部少輔重勝公です
御子孫がお持ちの史料によると、
古織公は関ヶ原の頃、名を「重勝」としており、
「古田重勝」が二人居ることになって、
混同されるようです
ちなみに古織公の家紋が丸に地紙(扇)、
兵部少輔公が丸に三つ引きです
伊勢松坂城主・古田兵部少輔重勝公です
御子孫がお持ちの史料によると、
古織公は関ヶ原の頃、名を「重勝」としており、
「古田重勝」が二人居ることになって、
混同されるようです
ちなみに古織公の家紋が丸に地紙(扇)、
兵部少輔公が丸に三つ引きです
山田芳裕
出版社からのコメント
家康にせよ三成にせよ、こんなふうに描いた作品はあまりないと思います
「関ヶ原」前夜の出来事を、こんなにみっちり描いた作品も少ないと思います
歴史のダークホース「七将」事件は、東映やくざ映画をしのぐ面白さ
武将派、武闘派の方々にもオススメしたい展開です
主人公・古田織部はついに「ヘウケモノ」開眼
タイトルに込めた作者・山田芳裕のキモチがおわかりいただける最新巻です
「関ヶ原」前夜の出来事を、こんなにみっちり描いた作品も少ないと思います
歴史のダークホース「七将」事件は、東映やくざ映画をしのぐ面白さ
武将派、武闘派の方々にもオススメしたい展開です
主人公・古田織部はついに「ヘウケモノ」開眼
タイトルに込めた作者・山田芳裕のキモチがおわかりいただける最新巻です
著者について
山田 芳裕
1968年、新潟市生まれ。大学在学中にモーニング主催、ちばてつや賞一般部門で入賞。受賞作『大正野郎』で同誌よりデビュー。以来一環してモーニング、ヤングサンデーなど青年誌で活躍。漫画家、編集者に加え、各分野のアーチストからも絶大な支持を受ける。作家性を高く評価されながら、一般読者に支持されないジレンマを抱えていたが、最新作『へうげもの』が名実ともに絶好調。主な作品は他に『考える侍』『しわあせ』『デカスロン』『度胸星』『いよっおみっちゃん』『ジャイアント』などがある。ちなみに物欲の激しさは『へうげもの』の主人公・古田織部級との噂。やきもの、のりもの、文房具、音楽、映画など、多方面に深い造詣を持つ。
刊行中の単行本(09年4月1日現在):
『へうげもの』1~8巻(以下続刊・講談社)、『ジャイアント』全9巻(同)、『デカスロン』全13巻(小学館文庫)、『山田芳裕傑作集』全2巻(同)、『ザ・プライザー』(双葉文庫)、『泣く男』(同)
1968年、新潟市生まれ。大学在学中にモーニング主催、ちばてつや賞一般部門で入賞。受賞作『大正野郎』で同誌よりデビュー。以来一環してモーニング、ヤングサンデーなど青年誌で活躍。漫画家、編集者に加え、各分野のアーチストからも絶大な支持を受ける。作家性を高く評価されながら、一般読者に支持されないジレンマを抱えていたが、最新作『へうげもの』が名実ともに絶好調。主な作品は他に『考える侍』『しわあせ』『デカスロン』『度胸星』『いよっおみっちゃん』『ジャイアント』などがある。ちなみに物欲の激しさは『へうげもの』の主人公・古田織部級との噂。やきもの、のりもの、文房具、音楽、映画など、多方面に深い造詣を持つ。
刊行中の単行本(09年4月1日現在):
『へうげもの』1~8巻(以下続刊・講談社)、『ジャイアント』全9巻(同)、『デカスロン』全13巻(小学館文庫)、『山田芳裕傑作集』全2巻(同)、『ザ・プライザー』(双葉文庫)、『泣く男』(同)
About this Title
不滅の武人・李舜臣が壮絶な戦死を遂げる
亡き秀吉の無謀な野望もあえなく
戦後処理を巡り、武将派と官僚派の対立激化
ワタシに任せなさいと一気に権力を掌握する家康
豊臣政権を護らんと立ちはだかる石田三成
両雄の狭間で己が去就を秤にかける古田織部であった
亡き秀吉の無謀な野望もあえなく
戦後処理を巡り、武将派と官僚派の対立激化
ワタシに任せなさいと一気に権力を掌握する家康
豊臣政権を護らんと立ちはだかる石田三成
両雄の狭間で己が去就を秤にかける古田織部であった
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2011/7/22)
- 発売日 : 2011/7/22
- 言語 : 日本語
- コミック : 224ページ
- ISBN-10 : 4063870243
- ISBN-13 : 978-4063870244
- Amazon 売れ筋ランキング: - 186,966位コミック
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
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2013年12月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
品質良かったです。迅速な出荷にも満足しています。
また機会があったら宜しくお願いいたします。
また機会があったら宜しくお願いいたします。
2011年8月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
堅物で無機質な態度を貫く三成が豊臣家を守るために
苦悩し、努力するさまが笑いを誘う。
まさに作者が言う処の必死すぎるがゆえの笑いが体験できる。
苦悩し、努力するさまが笑いを誘う。
まさに作者が言う処の必死すぎるがゆえの笑いが体験できる。
2014年4月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今まで仮説でしかない本能寺の変が秀吉黒幕説を採用、古田織部の目をとうして描かれる新鮮な歴史漫画、絵はわかりやすいとしときましょ。
2011年7月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
石田三成と大谷吉継の有名な美談を
あそこまで酷くできるとは恐れいったでござる
あそこまで酷くできるとは恐れいったでござる
2011年8月19日に日本でレビュー済み
天下分け目の戦いはわずか半日で終わったそうですが、司馬遼太郎によれば戦いの勝敗はその準備段階で7割方確定してしまうとのこと。
この13服ではその7割の部分、徳川派と石田派による諸将取り込みの政治的談合が中心に描かれています。派手な槍さばきはなくとも、これはこれで立派に戦国の世の姿といえるかも。
しかし、同じ数寄を解さない無粋者でも、家康には感じる愛嬌や度量といったものを石田三成に感じにくいのは、やっぱり三成ってのは、清廉な官僚ではあっても清濁をその内に飲み込んだ、政治家や思想家、哲学者、もしくはアーティストではないからだなぁと今巻を読んで納得しました。あの明智光秀ですら、泰平をつくるためには鬼になる、なんていって主君殺しに走ったのに、三成にはそういった類の矛盾や明暗がないんですよね。
とはいえ、同時にその三成が愚直とさえいっていいような清廉さによって輝くのも今巻の魅力です。
織部助同様に僕もどうにもこの男が憎めなくなってきました。
この13服ではその7割の部分、徳川派と石田派による諸将取り込みの政治的談合が中心に描かれています。派手な槍さばきはなくとも、これはこれで立派に戦国の世の姿といえるかも。
しかし、同じ数寄を解さない無粋者でも、家康には感じる愛嬌や度量といったものを石田三成に感じにくいのは、やっぱり三成ってのは、清廉な官僚ではあっても清濁をその内に飲み込んだ、政治家や思想家、哲学者、もしくはアーティストではないからだなぁと今巻を読んで納得しました。あの明智光秀ですら、泰平をつくるためには鬼になる、なんていって主君殺しに走ったのに、三成にはそういった類の矛盾や明暗がないんですよね。
とはいえ、同時にその三成が愚直とさえいっていいような清廉さによって輝くのも今巻の魅力です。
織部助同様に僕もどうにもこの男が憎めなくなってきました。
2011年7月30日に日本でレビュー済み
ページを捲って「アレッ?」っと思ったのは絵の書き込みが更に濃くなってる部分です。
今までだって決して絵が下手では無かったですが、さらに良くなっている印象です。
誰か上手いアシスタントが入ったのかな?
作中で紹介される器の造形から作者のモノ狂いが伝わってきて、思わずニヤリとしてしまいます。
どのように織部の最期を描くのか、今から期待が膨らみます。
それにしても舞台が戦国時代だと中だるみが生じないのが利点ですね。
今までだって決して絵が下手では無かったですが、さらに良くなっている印象です。
誰か上手いアシスタントが入ったのかな?
作中で紹介される器の造形から作者のモノ狂いが伝わってきて、思わずニヤリとしてしまいます。
どのように織部の最期を描くのか、今から期待が膨らみます。
それにしても舞台が戦国時代だと中だるみが生じないのが利点ですね。
2011年7月22日に日本でレビュー済み
先ず衝撃を受けたのが真白きカバーにシルバーのタイトルと広い余白、奇抜ながら美的なデザインに目を奪われて候。決戦の直前と言う事もあってキナ臭い事件が次々と起こり、石田殿の苦悩も深く伝わってきます。クールな石田が必死にもがく姿に噴出してしまいますが、この第13巻で最も輝いているキャラクターもおそらく石田でしょう。作品タイトルに関わる古田織部のエピソードにも清々しい感動を覚えましたが、個人的に注目したのが結城秀康の存在です。不遇の武将ながら評価の高い秀康が、少ないページ数にも拘らずその片鱗を見せる『石田正宗』の逸話を収録、おもわず結城秀康の歴史をネットで調べてファンになってしまいました。