これは凄い本である。
地球の気候の変動の歴史を、最新学説や学説の変遷を追いながら、しかも学者たちの協力や対立すらも描き込みながら、分かりやすく解説している。
ぼくは、現在の気候変動について、次のような見解を持っている。
すなわち現在の気候変動が一本道での温暖化に進むのか、あるいは逆に一部の学者の唱えるように氷河期に向かうのかは、なんとも言えないが、現在の70億人を超える地球人口が発生したのは、19世紀以降のたまたまの温暖な気候と産業革命が重なったためであり、今後温暖化するにせよ寒冷化するにせよ、19世紀~20世紀の温暖な条件が喪失されれば、たちまち立ち行かなくなる危険性の上に立っていると。
本書は、こうした見解に深い根拠を与えてくれている。
しかも、おそらく、今後地球温暖化などについてまともに論じようとするならば、本書にあるような学説については最低限触れておく必要が生じるのではないだろうか。
上手くまとめられるか自信はないが、一応、自分なりの理解で以下に要約しておく。
1、地球には過去に2度の大酸化イベントがあった。1度目は20億~25億年前、2度目は5億~7億年前である。酸化イベントが起こる前の地球の酸素濃度は現在の10万分の1レベルであった。
2、1度目の大酸化イベントを引き起こすのはシアノバクテリアの活動である。これはナショジオなどの番組でもよく紹介され、その証拠としてオーストラリアにあるその残骸であるストロマトライトが知られている。しかし、シアノバクテリアはそれよりも早い27億~30億年ほど前から光合成活動を活発に行っており、1回目の大酸化イベントと時期がずれている。
3、大酸化イベントにはもう1つの原因があり、それがプレートテクトニクスだ。マントルの上の地殻が移動し、沈み込む現象だが、これは地球が誕生した46億年前の1億年後くらいから始まっているらしい。そして、地球は鉄の惑星と呼ばれるらしいのだが、ずっと表面は鉄分に覆われていた。要するにシアノバクテリアがせっせと酸素をつくっても、それはすぐに鉄の酸化により吸収されてしまっていたのである。
その鉄分を多く含む地表が、プレートテクトニクスによりマントルにもぐりこみ、現在のような珪酸が多く含まれる地表になったことで、大酸化イベントが進んだ。
4、2回目の大酸化イベントも、プレートテクトニクスが関係しており、大陸と大陸棚が形成されることで、炭素を含む有機物が地表や浅い海底に蓄積され、そこから発生する二酸化炭素が光合成の材料となって供給されることで、大気中の酸素が大きく増えた。
5、こうして酸素濃度が上昇した直後にカンブリア爆発と呼ばれる多様な生物の爆発的な発生がおこった。
6、地球にはこれまでサーモスタット機能が働いてきた。二酸化炭素濃度が上昇して温暖化が進むと海水が蒸発して雨が増える。雨が増えると地表の岩石が風化しケイ酸塩風化によって炭酸塩が沈殿する。この過程で大気中の二酸化炭素が減少して負のサーモスタットが機能する。
7、このまま二酸化炭素が除去され寒冷化が進むとスノーボールアース(全球凍結)にいたる。実際に地球は過去何度かの全球凍結時代を経ている。が、最後の全球凍結以降は正のサーモスタットが機能している。それは、地球の気温が0℃あたりまで下がると、上記した風化がほとんど起こらなくなり、他方で火山爆発などによる二酸化炭素供給は続くために、今度は二酸化炭素濃度が上昇して、気温は上昇する。
この正と負のサーモスタットが機能しているおかげで、地球上のマイルドな気候が保たれてきた。
8、とはいえ、恐竜の時代は二酸化炭素濃度は現在の400ppmに対して1000~2400ppmもあり、平均気温は現在よりも7℃も高く22℃あり、極地にも氷は存在しない「グリーンハウス・アース」状態であった。(人類誕生以降、産業革命までの酸素濃度は一貫して280ppm程度であり、すでに120ppmも増加している)
この時の陸上の氷床が全く存在しないがゆえに海水面は現在よりもはるかに高かった。
9、恐竜絶滅後には地球は寒冷化する。極地に氷が常に存在する「アイスハウス・アース」状態が現在まで続くが、その原因もプレートテクトニクスである。インド大陸がアジア大陸に衝突して、ヒマラヤ-チベット山脈が形成され、それが上記した風化をもたらして二酸化炭素濃度を大きく下げたためである。
10、その後、地球は過去数百万年にわたって、2万年・4万年・10万年のサイクルで氷河期と間氷期を繰り返してきた。そのサイクルの原因とされるのが、太陽と地球との位置変化のサイクルである「ミランコビッチサイクル」である。
11、氷河期には、北アメリカは厚さ3000mもの氷河におおわれ、その結果海水面は今よりも125mほども低かった。
また、最後の氷河期の「寒の戻り」とも言える、1万2800年前のヤンガードライアス期には、北米の氷河に膨大な溶けた水がたまり、それが氷の壁の崩壊で一気に流れ出す大洪水が起こっており、これによって北米の生物種の大絶滅が起こっている(グラハム・ハンコックなどは、これの記憶がノアの洪水の原型だとしている)。
12、しかし、いずれにせよ、氷河期と間氷期の交代は長い年月をかけて行われる。それは、上記のサーモスタットが機能しているからだが、歴史上はわずか10年ほどで平均気温が10℃もの大変動を起こした記録もある。
13、その原因が、熱塩循環の異常である。地球の上の海水を約1000年にわたり、上層と深層の水をまきこみながら周回するのが熱塩循環であるが、巨大氷河や南極の氷床が大崩壊すると、真水である氷が解けそこで熱塩循環の沈み込みが起こる。これが、大変動の引き金になることもあるし、また氷河期を招く作用になることもある。
すでに、南極やグリーンランドの氷床の崩壊は確実視されている。ただし、地球の温暖化が現在では南極の氷床を減らすのではなく増大させている。湿気を持つ空気が南極に今まで以上の雪を降らしているからである。ただし、こうしてより巨大化した氷床は今まで以上に早く海に向かって移動し、大崩壊を起こすものとみなされている。
14、こうして地球の平均気温が産業革命前よりも1.5℃~2.0℃上昇すると、ホットハウスアース(極地にも氷床がない状態)のステージにいたり、海水面は現在よりも70mほど上昇する。そして、2017年の時点で、すでに平均気温は1.0℃上昇している。その後、気温は4.0℃~5.0℃上昇した段階で安定すると考えられている。
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地球46億年 気候大変動 炭素循環で読み解く、地球気候の過去・現在・未来 (ブルーバックス) 新書 – 2018/10/17
横山 祐典
(著)
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地球46億年気候大変動の謎に迫る・地球を「生命の星」に変えた大酸化イベントはなぜ起きたのか? ・温室効果ガスは現在のなんと6倍! 白亜紀の超温暖化を引き起こした犯人は? ・1000年以上大気から二酸化炭素を隔離する驚異の熱塩循環とは? ・最短で数年で10℃以上の寒冷化が起きた「意外な理由」 ・「温暖化が進めば、海面が10~60m上昇」最新シミュレーションの中身
最先端研究でわかった気候変動を支配する「地球のからくり」
隕石が絶え間なく降り注ぐマグマオーシャンの時代から
全球凍結したスノボールアース、恐竜が繁栄した超温暖化時代、
そして氷期、間氷期を繰り返す、直近の260万年にいたるまで
地球の気候は激しく変動してきた。
一見すると無秩序に激しく変動しているように見えるが、
その変化には一定のリズムや規則性があることがわかってきた。
鍵を握るのが、地球の公転軌道の変化がもたらす「ペースメーカー」と
地球の表層における「炭素循環」だった!
最先端研究でわかった気候変動を支配する「地球のからくり」
隕石が絶え間なく降り注ぐマグマオーシャンの時代から
全球凍結したスノボールアース、恐竜が繁栄した超温暖化時代、
そして氷期、間氷期を繰り返す、直近の260万年にいたるまで
地球の気候は激しく変動してきた。
一見すると無秩序に激しく変動しているように見えるが、
その変化には一定のリズムや規則性があることがわかってきた。
鍵を握るのが、地球の公転軌道の変化がもたらす「ペースメーカー」と
地球の表層における「炭素循環」だった!
- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2018/10/17
- 寸法11.3 x 1.7 x 17.4 cm
- ISBN-10406513515X
- ISBN-13978-4065135150
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著者について
横山 祐典
熊本市生まれ。東京大学大気海洋研究所教授。東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻、海洋研究開発機構招聘上席研究員を兼任。オーストラリア国立大地球科学研究所にて博士取得(PhD)後、アメリカに渡り、カリフォルニア大学バークレー校宇宙科学研究所、アメリカエネルギー省ローレンスリバモア国立研究所研究員を歴任し、2002年より東京大学にて教鞭をとる。American Geological Societyフェロー、文部科学大臣表彰若手科学者賞、アメリカテネシー州名誉市民など受賞。おもな研究分野は、古気候学・同位体地球化学、地球表層システム科学。趣味は、読書、スポーツ(ハンドボールは日本および豪州で国体出場)。
熊本市生まれ。東京大学大気海洋研究所教授。東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻、海洋研究開発機構招聘上席研究員を兼任。オーストラリア国立大地球科学研究所にて博士取得(PhD)後、アメリカに渡り、カリフォルニア大学バークレー校宇宙科学研究所、アメリカエネルギー省ローレンスリバモア国立研究所研究員を歴任し、2002年より東京大学にて教鞭をとる。American Geological Societyフェロー、文部科学大臣表彰若手科学者賞、アメリカテネシー州名誉市民など受賞。おもな研究分野は、古気候学・同位体地球化学、地球表層システム科学。趣味は、読書、スポーツ(ハンドボールは日本および豪州で国体出場)。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2018/10/17)
- 発売日 : 2018/10/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 336ページ
- ISBN-10 : 406513515X
- ISBN-13 : 978-4065135150
- 寸法 : 11.3 x 1.7 x 17.4 cm
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2020年5月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
地球46億年の気候変動の歴史を様々な科学者の努力によって切り開いてきたことがよくわかる本。
物語調ゆえに冗長的ではあるが、どうやってその研究が生まれたのか、研究の繋がりまで見えるのは面白い。
著者は基本的にIPCCサイドで近年の温暖化の影響は甚大、その原因は二酸化炭素によるところが大きいというスタンスではあり、最後にこれについて述べると本の中でも記載が出てくるが、結局二酸化炭素が主因であることの説得力のある説明はなく、影響が大きいというのも25cm/年(2.5m/100年)の海面上昇に終止していて今の人為的な排出を何が何でも止めようという気にはさせられない。
2018年と新しい本のため最近の研究まで網羅されているが、太陽や宇宙線の影響については言及がない。
気候変動は、1000万年、10万年、数十年とスパンによって異なるメカニズムが働いていて、それぞれについても確固たる解明はされていないが、多様な因果関係があり非常に興味深い。
特にプレートテクトニクスにより表出する岩石層の種類が変わり、酸素、二酸化炭素の収支バランスが変わることで長期で温暖と寒冷な気候が繰り返されるという指摘は面白い。
地球の気候変動の全体像をつかむのに良い本だと思います。これに加え、スベンスマルクの理論も学ぶと全体像が見えてくると感じます。
物語調ゆえに冗長的ではあるが、どうやってその研究が生まれたのか、研究の繋がりまで見えるのは面白い。
著者は基本的にIPCCサイドで近年の温暖化の影響は甚大、その原因は二酸化炭素によるところが大きいというスタンスではあり、最後にこれについて述べると本の中でも記載が出てくるが、結局二酸化炭素が主因であることの説得力のある説明はなく、影響が大きいというのも25cm/年(2.5m/100年)の海面上昇に終止していて今の人為的な排出を何が何でも止めようという気にはさせられない。
2018年と新しい本のため最近の研究まで網羅されているが、太陽や宇宙線の影響については言及がない。
気候変動は、1000万年、10万年、数十年とスパンによって異なるメカニズムが働いていて、それぞれについても確固たる解明はされていないが、多様な因果関係があり非常に興味深い。
特にプレートテクトニクスにより表出する岩石層の種類が変わり、酸素、二酸化炭素の収支バランスが変わることで長期で温暖と寒冷な気候が繰り返されるという指摘は面白い。
地球の気候変動の全体像をつかむのに良い本だと思います。これに加え、スベンスマルクの理論も学ぶと全体像が見えてくると感じます。
2020年12月9日に日本でレビュー済み
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若い時分(高校~大学教養)に手にしていたら人生を変えたかも知れない全くの好著である。少なくとも10年ピッチで増補改訂して欲しいものである。気候変動の地球科学的な奥行きと人為のなした恐ろしさがよく分かる。難しい内容を分かりやすくするため、結果だけを記載せず研究者の取り組みをダイナミックに描き、プロセス・因果関係をしっかり説明して貰っているので、現在得られている知見のレベルが素人ながら包括的に理解できる。
その分、結論を急ぐ人からの評価が辛いようである。自身、読了までかなり時間を要したが、後ろから読み始めたらあっという間だった。
その分、結論を急ぐ人からの評価が辛いようである。自身、読了までかなり時間を要したが、後ろから読み始めたらあっという間だった。
2018年12月11日に日本でレビュー済み
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酸素や炭素の循環が、大気中のみならず、プレートテクトニクスや生物、海流、マグマ、等の影響を通じて行われている事を、最新の成果を分かりやすく説明している。読み応えのある本である。ただ、関係研究者の個人的な経歴や生い立ちなど、その研究者と関わりのある者なら面白いかも知れないが、そうでなければ殆どが余計な記述である。
さて、最近の関心は、二酸化炭素(温室効果ガス)と気温との関係であるが、この問題は肩透かしと言える程、雑な説明しか為されていない。例えば氷期における二酸化炭素の大気中の濃度の説明が付いていないと述べられている。本書で複雑な機構の説明をしてあり、致し方無いかと思われる。現在の大気中二酸化炭素濃度の増加も単純ではないと考えられるが、なぜか理由は述べずに地球温暖化と関係があるように述べられている。
例えば、図9-1 を見ると、南極内陸部の気温と、大気二酸化炭素濃度との関係は、気温の上昇後に、濃度が上がっている場合もあるように見える。もし気温の上昇が先に起こったのであれば、その因果関係をはっきりさせるのが重要ではないだろうか? つまり世に言われる、濃度が上がったから温暖化するのとは逆に、温暖化したから濃度が上がるのであれば、いくら二酸化炭素を削減しても、温暖化とは殆ど無関係となる。すると世界中の騒ぎは何なのであろうか? 是非この点を科学的にしっかり説明して欲しい。
世の中の関心を引く点をあえて説明していないように見える事から、評価を低くした。
さて、最近の関心は、二酸化炭素(温室効果ガス)と気温との関係であるが、この問題は肩透かしと言える程、雑な説明しか為されていない。例えば氷期における二酸化炭素の大気中の濃度の説明が付いていないと述べられている。本書で複雑な機構の説明をしてあり、致し方無いかと思われる。現在の大気中二酸化炭素濃度の増加も単純ではないと考えられるが、なぜか理由は述べずに地球温暖化と関係があるように述べられている。
例えば、図9-1 を見ると、南極内陸部の気温と、大気二酸化炭素濃度との関係は、気温の上昇後に、濃度が上がっている場合もあるように見える。もし気温の上昇が先に起こったのであれば、その因果関係をはっきりさせるのが重要ではないだろうか? つまり世に言われる、濃度が上がったから温暖化するのとは逆に、温暖化したから濃度が上がるのであれば、いくら二酸化炭素を削減しても、温暖化とは殆ど無関係となる。すると世界中の騒ぎは何なのであろうか? 是非この点を科学的にしっかり説明して欲しい。
世の中の関心を引く点をあえて説明していないように見える事から、評価を低くした。
2018年10月24日に日本でレビュー済み
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日常会話の中で「異常気象」だとか「温暖化」だとかいう言葉を耳にする機会が増えてきた。
果たして本当に異常なのか?
46億年にわたる地球の歴史の中で見た場合、現在の状況は?
この本はそんな気候変動研究における過去と現在の事実と、未来の予測を教えてくれる。
多くの人々の関心は、未来よりもっと近い将来の気候にあるかもしれない。
しかしそれを知る為にも、地球46億年を視野に入れたこれらの研究は今後も長期にわたって根気強く続けられるべきである。
諦めなかった過去の研究者たちのおかげで、今、わかってきたことがある。
この本はそんな研究者たちを知ることが出来る偉人伝としても楽しめる。
比較的読みやすく、文系の方にもおすすめである。
なお、気候変動に関する書籍はこれまでも数多く出版されているが、本書は2018年に発表された論文まで網羅しているという点において、気候変動研究の最新のレポートであることは間違いない。
また、参考文献とされているものには日本語以外の文献が驚くほど多い。
これだけの海外の文献の概要に触れることができるという意味でも良書である。
果たして本当に異常なのか?
46億年にわたる地球の歴史の中で見た場合、現在の状況は?
この本はそんな気候変動研究における過去と現在の事実と、未来の予測を教えてくれる。
多くの人々の関心は、未来よりもっと近い将来の気候にあるかもしれない。
しかしそれを知る為にも、地球46億年を視野に入れたこれらの研究は今後も長期にわたって根気強く続けられるべきである。
諦めなかった過去の研究者たちのおかげで、今、わかってきたことがある。
この本はそんな研究者たちを知ることが出来る偉人伝としても楽しめる。
比較的読みやすく、文系の方にもおすすめである。
なお、気候変動に関する書籍はこれまでも数多く出版されているが、本書は2018年に発表された論文まで網羅しているという点において、気候変動研究の最新のレポートであることは間違いない。
また、参考文献とされているものには日本語以外の文献が驚くほど多い。
これだけの海外の文献の概要に触れることができるという意味でも良書である。
2020年7月23日に日本でレビュー済み
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地球の誕生から現在までの科学者の意見が詳細に書かれています。年代特定方法や、地球の気温の変動を化石などを通じて推定していました。大変興味深く読ませていただきました。
2018年12月19日に日本でレビュー済み
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著者・横山祐典氏 地球46億年 気候大変動は、地球の気候変動を引き起こす
要因を、さまざまな科学者や研究者の観測記録などを図と数式をふんだんに用い
て、詳説する構成が特徴である。
第2章 太古の気温を復元する では、天才科学者 ハロルド・ユーリーが発明
した同位体温度計の誕生が、すこし難解な化学式とともに紹介される。
引き続き、サムエル・エプスタインとニック・シャルトンなどの後継者によって、
有効性が立証される。脈々と地道な研究者の営みが続けられてきたことを実感する。
第6章 大陸漂流が生み出した地球寒冷化 第7章 気候変動のペースメーカー
「ミランコビッチサイクル」を証明せよ が、とても印象に残った。
天文学的要素原因説を唱えた、ジェームス・クロール と、セルビアの天才
科学者ミルティン・ミランコビッチは、戦火が拡大する祖国を追われながらも、
壮大な気候変動説の研究成果を完成させる。ジョン・インブリーは、ミランコ
ビッチサイクルが正しいことにするに至った。気候変動モデルの核心部に近づ
くことは、科学者の不断の努力によるものである。
炭素循環をキーワードとした気候変動も詳説しつつ、気候変動の正確な予測
モデルはいまだに解明されたとは言い難いという、著者の説明は重みがあり、
説得力十分である。
ひとつしか存在しない大切な地球と環境問題の重要性を再認識する充実の一冊
である。
要因を、さまざまな科学者や研究者の観測記録などを図と数式をふんだんに用い
て、詳説する構成が特徴である。
第2章 太古の気温を復元する では、天才科学者 ハロルド・ユーリーが発明
した同位体温度計の誕生が、すこし難解な化学式とともに紹介される。
引き続き、サムエル・エプスタインとニック・シャルトンなどの後継者によって、
有効性が立証される。脈々と地道な研究者の営みが続けられてきたことを実感する。
第6章 大陸漂流が生み出した地球寒冷化 第7章 気候変動のペースメーカー
「ミランコビッチサイクル」を証明せよ が、とても印象に残った。
天文学的要素原因説を唱えた、ジェームス・クロール と、セルビアの天才
科学者ミルティン・ミランコビッチは、戦火が拡大する祖国を追われながらも、
壮大な気候変動説の研究成果を完成させる。ジョン・インブリーは、ミランコ
ビッチサイクルが正しいことにするに至った。気候変動モデルの核心部に近づ
くことは、科学者の不断の努力によるものである。
炭素循環をキーワードとした気候変動も詳説しつつ、気候変動の正確な予測
モデルはいまだに解明されたとは言い難いという、著者の説明は重みがあり、
説得力十分である。
ひとつしか存在しない大切な地球と環境問題の重要性を再認識する充実の一冊
である。
2019年9月13日に日本でレビュー済み
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太古からの二酸化炭素循環による、気候変動に関して、大変興味深く読ませて頂きました。