『キングダム』や横山先生の漫画を読んだ方、あるいは始皇帝の映画やドラマを見て、始皇帝に興味を持った方が、さらに調べるために、まず、オススメできる一冊です。
40年前の書籍ですが、歴史上の始皇帝を調べたい方はまずこの書籍をお読みください。
(これが難しいと感じられた方は、先に陳舜臣『小説・十八史略』、『中国の歴史』あるいは、鶴間和幸『始皇帝全史』、『始皇帝大全ビジュアルブック』などをお勧めします)
吉川忠夫先生の書籍への引き込み方や構成力は本当に素晴らしく、飽きさせず、かつ、学術的なことを含めながら、巧みに読ませています。
素晴らしいところ
①きちんと主題である始皇帝の出生からはじめています。周や秦の過去から入ったら、読者が飽きることを知っています。
②事件説明のたびに背景となる事件を簡潔に、できるだけ面白い部分を抜き出して説明しています。これにより、構造的に理解できます。
③学説の説明も、始皇帝の出生などゴシップ的な部分について行うようにして、学説についても興味を湧かせるようにしています。
④李斯の上奏文の説明にみせかけ、実は、秦の時代の主要な君主を説明して、秦国についておおざっぱに理解できるようにしています。
⑤それでいて、時系列に事件は進むようにしています。
⑥だいぶ、読者がついていけるようになったところで、天下統一の時の五行や制度、文化などの話に入り、多様な文献を駆使しています。
⑦その後にやっと考古学の発見の話に入り、話題を多様化させ、飽きないようにさせています。
⑧終わりのところで、やっと「雲夢秦簡」という発掘文献の話に入り、難しい話に読者が入れるようになったところで正式に説明しています。
⑨無理に時系列にこだわらず、話題ごとにした方がいいときはまとめて説明する手段も時には駆使しています。
さらに、歴史上の始皇帝について調べたい方は、A・コットレル『秦始皇帝』をおすすめします。吉川忠夫先生は、補完関係になることを意識されて書かれておられるようです。
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中国の英傑 1 単行本 – 1986/7/1
吉川 忠夫
(著)
秦の始皇帝-焚書坑儒を好しとして-
- 本の長さ278ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日1986/7/1
- ISBN-104081890013
- ISBN-13978-4081890019
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (1986/7/1)
- 発売日 : 1986/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 278ページ
- ISBN-10 : 4081890013
- ISBN-13 : 978-4081890019
- Amazon 売れ筋ランキング: - 339,263位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 20,993位歴史・地理 (本)
- - 63,087位ノンフィクション (本)
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2021年8月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2020年5月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
実は始皇帝にはあまり興味はない。「焚書坑儒」で本の題名を検索したときに、もっとズラズラッと書名が並ぶかと思いきや、まともな学術書としては本書しか出てこなかったのである。「十二国記シリーズ」の感想を書くに当たって参考にするべく取り寄せて紐解いた。
因みに、「紐解く」という言い方を私は多様するが、その謂いは古(いにしえ)の書物が竹簡であって、紐を解いて読み始めたことに由来する。始皇帝34年(BC213年)、丞相李斯は「太古の五帝の理想政治が、新しい始皇帝の政治を妨害している」として「『詩経』『書経』ならびに諸子百家の著述を全て提出させて一括焼却するべきだ」と献策した。かくて陝西省渭南県カイタイハに於いて焚書を断行する。翌年には始皇帝を批判する方士や儒学者460余名を坑儒(殺し)てしまった。そのときに焼かれたのも竹簡であって、おそらく何日も火は消えず、生涯をかけて守り究めてきたはずの学者にとっては、身を焼く想いであったろうと想像する。
この本には、そのときに焼却処分になった書物の題名や、免れた書物のこと、またはその前後のエピソードを一巻かけて書いているのかと思いきや、ほとんどは始皇帝の一代記であって、小説やマンガではなくて学術的に正しいことを書いてはいるのだろうが、私の期待するものとは違った。
但し、少しだけは明らかにしている。例えば儒教の基本書物である書経の運命。泰山の麓の90歳にもなろうとする儒学者が、土壁の中に書経を塗り込め、後に取り出したときに数十巻が不明になっていたので、儒学者が暗唱していた文言を娘に伝えて後世の学者に遺したと言う。そういう訳で、現代の我々は書経の中身を知ることができる。書経は、それで良かったかもしれない。他の書物はどうだったのか?一切わからない。
わからないことは、想像出来るということでもある。
あまりダラダラ書いても仕方ない。とりあえず、参考になったと言っておこう。
因みに、「紐解く」という言い方を私は多様するが、その謂いは古(いにしえ)の書物が竹簡であって、紐を解いて読み始めたことに由来する。始皇帝34年(BC213年)、丞相李斯は「太古の五帝の理想政治が、新しい始皇帝の政治を妨害している」として「『詩経』『書経』ならびに諸子百家の著述を全て提出させて一括焼却するべきだ」と献策した。かくて陝西省渭南県カイタイハに於いて焚書を断行する。翌年には始皇帝を批判する方士や儒学者460余名を坑儒(殺し)てしまった。そのときに焼かれたのも竹簡であって、おそらく何日も火は消えず、生涯をかけて守り究めてきたはずの学者にとっては、身を焼く想いであったろうと想像する。
この本には、そのときに焼却処分になった書物の題名や、免れた書物のこと、またはその前後のエピソードを一巻かけて書いているのかと思いきや、ほとんどは始皇帝の一代記であって、小説やマンガではなくて学術的に正しいことを書いてはいるのだろうが、私の期待するものとは違った。
但し、少しだけは明らかにしている。例えば儒教の基本書物である書経の運命。泰山の麓の90歳にもなろうとする儒学者が、土壁の中に書経を塗り込め、後に取り出したときに数十巻が不明になっていたので、儒学者が暗唱していた文言を娘に伝えて後世の学者に遺したと言う。そういう訳で、現代の我々は書経の中身を知ることができる。書経は、それで良かったかもしれない。他の書物はどうだったのか?一切わからない。
わからないことは、想像出来るということでもある。
あまりダラダラ書いても仕方ない。とりあえず、参考になったと言っておこう。