修学旅行である。したがって、ほとんどの場面は2年生だけである。お姉さまや妹はほんのちょっとしか顔を出さない。団体での海外旅行だから、わずか1冊の中に大きなアクシデントを登場させるわけにもいかない。
というわけでこの巻は、普段は姉妹制度や組織の論理(山百合会vs新聞部など)の陰に隠れて見えない、2年生どうしの人間関係を深く掘り下げた話になっている。由乃が体調不良を先生には言うなとせがむ場面は特に見ものだ。イタリアの観光名所は確かにごまんとでてくるのだが、それはあくまでも、人間関係を描き出すための舞台装置でしかない。
それだけでなく、出発前夜の由乃や志摩子の感情描写も超一級と言ってよい。
そして、旅の本編は、ヴェネツィアでゴンドラにゆったりと揺られるシーンで幕を閉じる。トレヴィの泉で終わるのもロマンチックだね、などというなかれ、このゆったりとした時の流れこそが、班別行動を共にした4人の、無言の信頼関係の証なのだ。そしてこの信頼関係は、作者が粗製濫造したものではなく、これまでの16冊の物語の中で自然にうまれてきたものである。だからこそ、深い味わいがそこにはあるのだ。
だから、『マリア様がみてる』シリーズがまだ未読で、この巻から入ろうとしている人は、これは後々の楽しみにとっておいて、
『黄薔薇革命』
や
『真夏の一ページ』
あたりから入ったほうがいいだろう。
PS.
本作の副題「チャオ ソレッラ」とは「Hello, Sister!」の直訳、すなわち、「ごきげんよう、お姉さま」の意味である。
…が、文法がおかしい。私の理解が正しければ、「チャオ ミーア ソレッラ」つまり「Hello, My Sister!」のはずである。「つぼみの妹」のフランス語表記といい、今回のイタリア語といい、語学ができる人は集英社の中に必ずいるはずなので、校閲しないのは編集の怠慢である。
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マリア様がみてる 17 チャオ ソレッラ! (コバルト文庫) 文庫 – 2004/3/31
ファン待望の修学旅行編!
体育祭が終わり、リリアン女学園高等部二年生の次のイベントは、修学旅行! 行き先はなんとイタリア! ふたてに分かれてイタリア国内をまわるのだが、祐巳、由乃、志摩子は同じグループになって!?
体育祭が終わり、リリアン女学園高等部二年生の次のイベントは、修学旅行! 行き先はなんとイタリア! ふたてに分かれてイタリア国内をまわるのだが、祐巳、由乃、志摩子は同じグループになって!?
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2004/3/31
- ISBN-104086003996
- ISBN-13978-4086003995
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2004/3/31)
- 発売日 : 2004/3/31
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 208ページ
- ISBN-10 : 4086003996
- ISBN-13 : 978-4086003995
- Amazon 売れ筋ランキング: - 632,581位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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1965年6月2日、東京生まれ。『夢の宮 竜のみた夢』で1993年上期コバルト・ノベル大賞、コバルト読者大賞受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『お釈迦様もみてる S-キンシップ』(ISBN-10:4086014513)が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2006年6月20日に日本でレビュー済み
2004年4月7日に日本でレビュー済み
まりみてファンの方々、そうでない方、チャオ!(イタリア語でこんにちは、ごきげんようの意)今回の新刊、「チャオ・ソレッラ」は今まで読んだことのある方、読んだことがない方でも楽しめる話になってます。
舞台は修学旅行先のイタリア!!純真培養のお嬢様達が初☆の海外旅行へと旅たつお話です。いままでまりみてシリーズを読んだことのある人は、ビックリドッキリのゲストや白薔薇・黄薔薇の蕾・紅薔薇の蕾の豪華出演者とともに楽しめます。また、今回はいつもと違って、読み切りタイプなので、初めてで、登場人物、ストーリーが分からない方でも気軽に楽しめる本となってます。
イタリア旅行を楽しむつもりで読んでみてはいかがでしょうか?
舞台は修学旅行先のイタリア!!純真培養のお嬢様達が初☆の海外旅行へと旅たつお話です。いままでまりみてシリーズを読んだことのある人は、ビックリドッキリのゲストや白薔薇・黄薔薇の蕾・紅薔薇の蕾の豪華出演者とともに楽しめます。また、今回はいつもと違って、読み切りタイプなので、初めてで、登場人物、ストーリーが分からない方でも気軽に楽しめる本となってます。
イタリア旅行を楽しむつもりで読んでみてはいかがでしょうか?
2012年6月10日に日本でレビュー済み
祐巳たち二年生が修学旅行にイタリアへ。
初めての海外、修学旅行と共感できる部分が多く懐かしい気持ちになりました。
ただ、祐巳たちが海外旅行してるだけで特に問題も起きないので話の展開が単調です。
終盤の方では少し飽きてしまいましたし、聖たちも不要だった気がします。
それでもラストの祥子と祐巳の絡みは相変わらず良かった。
また、「紅薔薇のつぼみの不在」での祥子と可南子のやり取りは興味深かった。
初めての海外、修学旅行と共感できる部分が多く懐かしい気持ちになりました。
ただ、祐巳たちが海外旅行してるだけで特に問題も起きないので話の展開が単調です。
終盤の方では少し飽きてしまいましたし、聖たちも不要だった気がします。
それでもラストの祥子と祐巳の絡みは相変わらず良かった。
また、「紅薔薇のつぼみの不在」での祥子と可南子のやり取りは興味深かった。
2004年5月22日に日本でレビュー済み
待望の新刊でした。そして修学旅行編!ゆっくり流れていく時間にはとても癒されました。買ってよかったと思う作品です。みんなで「ごきげんよう」を広めましょー!
2010年9月7日に日本でレビュー済み
第17巻・「チャオ ソレッラ!」。
やってきました、二年生の修学旅行!しかも行き先はイタリア。タイトルは「ごきげんよう、お姉さま」をイタリア語にしたものらしいです。
何気にこの巻から、主要登場人物紹介のページに、とってつけたように細川可南子がいます。
祐巳の妹候補として認められたかのような印象。瞳子ちゃんファンの私としては、複雑な気分です(笑)。
この巻はどうも、これまでの「マリみて」とは異なる感覚ですね。修学旅行ということで、イタリアの観光案内みたいな内容になっています。トイレのことが何度も話題に登るのも、作品イメージ的にどうなのかと。
唯一の読みどころは、由乃さんがホテルで微熱を出してしまって、祐巳に弱みを見せるところ。自分の一番弱い姿を見せられる相手こそが親友ですよね。この場面はちょっとジーンとしました。
しかしそれ以外は、どうなのでしょうね。絵葉書を書いたり、お土産を買ったり、テレビドラマの予約の心配をしたり。……何だか普通。ありきたり過ぎて、印象に残らない内容だった気がします。
長いシリーズをやっていると、たまにこういう巻もありますよね。
やってきました、二年生の修学旅行!しかも行き先はイタリア。タイトルは「ごきげんよう、お姉さま」をイタリア語にしたものらしいです。
何気にこの巻から、主要登場人物紹介のページに、とってつけたように細川可南子がいます。
祐巳の妹候補として認められたかのような印象。瞳子ちゃんファンの私としては、複雑な気分です(笑)。
この巻はどうも、これまでの「マリみて」とは異なる感覚ですね。修学旅行ということで、イタリアの観光案内みたいな内容になっています。トイレのことが何度も話題に登るのも、作品イメージ的にどうなのかと。
唯一の読みどころは、由乃さんがホテルで微熱を出してしまって、祐巳に弱みを見せるところ。自分の一番弱い姿を見せられる相手こそが親友ですよね。この場面はちょっとジーンとしました。
しかしそれ以外は、どうなのでしょうね。絵葉書を書いたり、お土産を買ったり、テレビドラマの予約の心配をしたり。……何だか普通。ありきたり過ぎて、印象に残らない内容だった気がします。
長いシリーズをやっていると、たまにこういう巻もありますよね。
2004年4月5日に日本でレビュー済み
~私立リリアン女学園2年生最大の行事修学旅行。しかもイタリア旅行とはうらやましい。
今回は、2年生が中心なので、お姉様方の出番は少なめ。しかし、出がけに祥子様からとんでもないお土産をお願いされた祐巳ちゃんが、いい感じでボケてくれます。
~~
ちょっとしたパプニングがあり、旅先で意外な人との出会いありと、一息つくとまたひとつ事件が起こり、読んでいて飽きない展開で一気に読めてしまいました。
~~
途中、ちょっぴりしんみりするシーンもありますが、最後は祐巳ちゃんのドジっぷりが発揮されて、見事オチを付けてくれます。次の話への伏線もちょっとずつ張られておりますので、忘れずにチェックしましょう。
~~
イタリアの観光名所の紹介が各所にあり、結構細かく描写されておりますので、これからイタリアへ旅行に行こうと思っている人には、結構参考になるかと思います。また、海外旅行に行ったことがある人なら、あ~~あるある!と思わずうなずいてしまう失敗談や出来事がちりばめられており、満足できる一冊です。読み終わると、イタリアへ旅行に行きたくなる?か~~も?
ここのところ、閑話休題的なストーリーが続いているので、次回作で盛り上がってくれることを期待しつつ☆4つです。単独なら5つあげます。~
今回は、2年生が中心なので、お姉様方の出番は少なめ。しかし、出がけに祥子様からとんでもないお土産をお願いされた祐巳ちゃんが、いい感じでボケてくれます。
~~
ちょっとしたパプニングがあり、旅先で意外な人との出会いありと、一息つくとまたひとつ事件が起こり、読んでいて飽きない展開で一気に読めてしまいました。
~~
途中、ちょっぴりしんみりするシーンもありますが、最後は祐巳ちゃんのドジっぷりが発揮されて、見事オチを付けてくれます。次の話への伏線もちょっとずつ張られておりますので、忘れずにチェックしましょう。
~~
イタリアの観光名所の紹介が各所にあり、結構細かく描写されておりますので、これからイタリアへ旅行に行こうと思っている人には、結構参考になるかと思います。また、海外旅行に行ったことがある人なら、あ~~あるある!と思わずうなずいてしまう失敗談や出来事がちりばめられており、満足できる一冊です。読み終わると、イタリアへ旅行に行きたくなる?か~~も?
ここのところ、閑話休題的なストーリーが続いているので、次回作で盛り上がってくれることを期待しつつ☆4つです。単独なら5つあげます。~
2007年1月15日に日本でレビュー済み
冒頭と、ラストの「紅薔薇のつぼみ・・・」にしか、1・3年生が出てこない。ほとんど2年生しか出てこない(当たり前か)紀行文の様なノベル、由乃のなきどころ、卒業生の影、由乃と志摩子の対比、意外な人(ゲスト)との再会を織り交ぜながらのリリアン学園珍道中的イタリアガイドブック。
唯一、物語(本線)につながるのが、ラストの「紅薔薇のつぼみ・・・」の祥子さまと可南子のからみ・・・次巻へのヒントになるのでは。
初心者はもっと以前、「黄薔薇革命」から読んだほうが、[由乃〜ゲストとの再会]の背景が分かると思います。
余談ですが、ゲスト(名前を言っちゃえ静様)、彼女が主役の第4巻の最後で今年(2年生)で学園を去りますと言っていたんで、旧3年生の卒業までのキャラかと思ったらその後あちこちに出てきます。
祐巳たちと縁が切れている人なのに
唯一、物語(本線)につながるのが、ラストの「紅薔薇のつぼみ・・・」の祥子さまと可南子のからみ・・・次巻へのヒントになるのでは。
初心者はもっと以前、「黄薔薇革命」から読んだほうが、[由乃〜ゲストとの再会]の背景が分かると思います。
余談ですが、ゲスト(名前を言っちゃえ静様)、彼女が主役の第4巻の最後で今年(2年生)で学園を去りますと言っていたんで、旧3年生の卒業までのキャラかと思ったらその後あちこちに出てきます。
祐巳たちと縁が切れている人なのに
2006年11月21日に日本でレビュー済み
本作では特に登場人物の関係に展開が有るという事も無く、イタリアの観光ガイドと言った内容に終止しております。
(細かいところで言うとミネラルウォーターは炭酸水である、トイレは呼び名が多数有る、料金制の物が有る等)。
そんな訳で作中で展開されるお話自体には特筆すべき点は有りません。ラストに収録されている作品(10ページ少々ですが)に、
今後の展開を伺えるやりとりが有り、このために有った1冊と言えなくも無いような。
(細かいところで言うとミネラルウォーターは炭酸水である、トイレは呼び名が多数有る、料金制の物が有る等)。
そんな訳で作中で展開されるお話自体には特筆すべき点は有りません。ラストに収録されている作品(10ページ少々ですが)に、
今後の展開を伺えるやりとりが有り、このために有った1冊と言えなくも無いような。