平安ロマンティック・ミステリーの第６巻。
前巻まで、公には立場を取り替えている乳姉妹の馨子（ご主人）と宮子（女房）が事件に巻き込まれる形でしたが、この巻ではついに主従取替え劇の発端となった一条の大姫が物語に大きく絡んできます。
大姫の失踪事件の顛末が明らかになり、宮中へ参内することとなります。薔薇のごとき九条家の一の姫。九条家からのふたりめの東宮妃候補、ということで宮子は身代わりではあっても「九条家」の一員としての心構え、自分の次郎君への想いに向き合わざるを得なくなりました。
本編は次巻とあわせた「大姫編」の、飴＆鞭の「飴」にあたるそうですが同時収録の短編「東宮様の甘い生活」ともどもあいかわらず次郎君は宮子への恋心炸裂、ほんとにコレ初恋体験ですか？、ある意味とてもまっすぐだけど。某他レーベルの天然系王子リ○ャルトの押せ押せにニヤついた身としては、たいへん美味しくご馳走様でした（笑）。
心の奥で自分の一部となっている幼馴染の真幸へとは違う何か。いずれは離れるのだから受け取ってはいけない、と思っているのに心乱される想い。宮子の心はどこへ向かうのでしょう。
あとがきで、モデルとしている「史実と取っ組みあいつつ」とあったのですが、そうなると「宮子には次郎君」派としてはあまり喜ばしくない予想をしてしまって暗いです…。
ともあれ、そんなシリアスな部分と、馨子さまのブッとんだ恋愛観（おかげで気が楽になります）やとんだ暗示をかけられてしまった有子姫、忍の一字・真幸など、バランスよく楽しめるシリーズなので次の展開が怖くもあり、待ち遠しくもあり。
個人的には蛍の宮様ファンなので、彼の元服が非常に気になります。
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