先端科学＝魔法 のアナロジーはアーサー=C=クラーク以来使い古されたネタである．本書ではコード＝魔法というあまりに直球勝負なネタを扱っているうえ，登場キャラもドジっ娘や無愛想な男性等類型的であまり魅力は感じられない．にもかかわらず，なぜかアイディアを絶賛したくなる不思議なテイスト．
冷静に分析してみると，コード＝魔法のアナロジを一段深いところで対応させているところに由来する気がする．章のタイトルが code / assembler / wizard / layer / deamon / virus / bug / programming language / dump list / Christmas shoppers / Deus In Machina / tub となっているが，それぞれのキーワードを非常に上手に扱っている．最終章のタイトルには唸らされた．一箇所スペルが間違っているのはご愛敬ということで．
ライトノベルを久々に読んだので，キャラ立てのところは少し採点が辛くなってしまったかもしれない．もっとも，繰り返しになるがコンピュータ関連の材料の料理の仕方は秀逸だ．デビュー作ということなので，次作でのストーリーテリングの上達に期待したい．
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