錯綜する情報に振り回されて自殺したいのかしたくないのか自分でも分からなくなった徳永を追う<捜索隊>は
ファブリの暗躍や関東に覇をなそうとする自警団の暴走もあって再び浪漫亭に集結。全員がバラバラの認識を抱えたまま
一堂に会した彼らはどこへ向かうのか?
いやー、この作品はもはやライトノベルの域を完全に超えているわ。ライトノベルにありがちな「身体性」の欠如した
空疎な観念に浸っているガキどもをこういう形で否応もない「現実」に突き落とすとは…。ここまで目まぐるしく視点を
入れ替え、錯綜する情報の中で互いの認識を振り回し合い、特に「死」を観念上の遊びとしてしか認識せず徳永を自殺に
導こうとしてきた伊隅と歩乃果には一番きつい形でその思い上がった鼻っ柱をへし折るとは実に心地よい!
特に嫌な現実を否定し続けてきた歩乃果を「現実」に回帰させる場面は女性読者には少々きついかもしれないが、レイプという
最悪の形で自らの「女性」を暴力的に思い知らされていく描写が圧倒的。ちと可哀想かもしれないが、観念のみで「身体性」を
否定するオタクはこうやるしかないのだろうな、と思わされる一幕でした
ただ、そういった暴力的な現実への回帰の描写がなされる一方で、ジャズバーに集まった<捜索隊>の女性陣に「親の許し乞うべき存在」という
自分自身の立場を教え諭す「家族への電話」の場面は敢えて敢えてヒロインたちの言葉だけを連ねることで彼女たちが
地に足の着いた立場へ、頼るべきものがいるという立場へと回帰していく姿がこれ以上なく優しい筆致で描かれています
そして<捜索隊>に加われない立場から彼女たちに届けたマナの歌はしみじみと心を癒すものがありました
今回メインであった女性陣に対し男性陣は少々足踏み気味。笹浦は終始追われっぱなしで最後はとんでもないピンチに、
伊隅と三橋は完全に心が折れて蹲ってしまい、ノブは山中をひたすら彷徨、マーチは…もうどうしようもないね
錯綜する情報の中、スピード感に任せて突っ走ってきた各キャラクターも自分の立つべき立場を見つけた本作。いよいよ
次は正念場の最終巻、「17」がやっと登場してきたけど、いったいどう決着を付けるんだろう?
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15×24 link five ロジカルなソウル/ソウルフルなロジック (15×24 シリーズ) (スーパーダッシュ文庫) 文庫 – 2009/12/25
夜明けにもっとも近い刻こそ、闇はいっそう深くなる――〈捜索隊〉に与えられたタイムリミットまで残り数時間。殺人鬼・ファブリの魔の手は、ついに一行を捉える。そして、徳永準の前に現れた少女の目的とは…?
- 本の長さ276ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2009/12/25
- ISBN-104086305216
- ISBN-13978-4086305211
登録情報
- 出版社 : 集英社 (2009/12/25)
- 発売日 : 2009/12/25
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 276ページ
- ISBN-10 : 4086305216
- ISBN-13 : 978-4086305211
- Amazon 売れ筋ランキング: - 2,065,263位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 509位スーパーダッシュ文庫
- - 327,047位文庫
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年12月27日に日本でレビュー済み
いよいよ残すところあとわずかに至った『15×24』。
linkfiveの口絵は、女子5人が楽器を演奏する楽しげなシーンですが、それとは裏腹に物語はよりダークな方向へ走っていき、暴力のかけらが噴出してきます。
ある者は絶対的な武器を手に入れ、ある者は東京の奥底に眠る神話を垣間見、またある者は暴力に遭遇します。そして、殺人鬼・ファブリが本格的にその姿を表し、全面対決へと向かいます。
linkfiveではレイプによる心的外傷や不倫関係などライトノベルではあまり扱われていなかった内容が多く含まれています。もうそこまで行っちゃうとライトノベルじゃないのではないかと思いますが、特に過激なわけでもなし、『15×24』は最初から片足を一般文芸に突っ込んでいるようなものなので全然問題ありません。
そんな絶望的な状況の中で、登場人物達はそれぞれの希望を掴み「明日」=2006年の1月1日に向かっていきます。果たして本当に全員が未来に到着することができるのか? それの解決は完結編であるlinksixに持ち越されます。なので、同時発売のlinksixも買って、一気読みすることを本当にオススメします。
linkfiveの口絵は、女子5人が楽器を演奏する楽しげなシーンですが、それとは裏腹に物語はよりダークな方向へ走っていき、暴力のかけらが噴出してきます。
ある者は絶対的な武器を手に入れ、ある者は東京の奥底に眠る神話を垣間見、またある者は暴力に遭遇します。そして、殺人鬼・ファブリが本格的にその姿を表し、全面対決へと向かいます。
linkfiveではレイプによる心的外傷や不倫関係などライトノベルではあまり扱われていなかった内容が多く含まれています。もうそこまで行っちゃうとライトノベルじゃないのではないかと思いますが、特に過激なわけでもなし、『15×24』は最初から片足を一般文芸に突っ込んでいるようなものなので全然問題ありません。
そんな絶望的な状況の中で、登場人物達はそれぞれの希望を掴み「明日」=2006年の1月1日に向かっていきます。果たして本当に全員が未来に到着することができるのか? それの解決は完結編であるlinksixに持ち越されます。なので、同時発売のlinksixも買って、一気読みすることを本当にオススメします。