このシリーズの1冊目が好きです。☆５つあげてもいいくらい。
それぞれの理由で故郷を離れ（または持たず）、東京の埋立地のタワーマンションという人工的な土地に集った男女3人の高校生が互いに繋がりながらアイデンティティを獲得していく気持ち良い青春恋愛小説でした。
最後の引きも強気な少女×２＋主人公男１の三角関係が確立し、これからどんな修羅場の花が咲くのかな？！と続刊に期待させる終わり方でした。
で、待望の2冊目が本書です。
期待はずれを通り越し「惨い」といいたくなる出来上がりでした。・・・・・どうしてこうなったのでしょう。
三角関係の修羅場は始めの一章でさらっと流され、以後は1冊目で登場していた主人公たちの通う高校の風紀委員長（女性）が、メインの少女の片方に百合風味の強引アタック（自分の家の養女になれ、妹になれ）をかける展開が本筋になります。まあ、これは1巻から予想できた展開なんですが。
ただ、この風紀委員長が主人公たちのマンションの部屋に押しかけて強引に住みついたり、家はは白金の大邸宅住まいで江戸開闢からの名家で、父親は家の中で警官の制服を着て腰に拳銃をぶら下げて登場し、口を開けば風水による帝都防衛とか「帝都物語」的な妄想を垂れ流す異常者だったりと、金持ちなら法も常識も無視して何でもやっていいという「ラノベ」ジャンルの悪癖が顔を出し、1巻のぎりぎり地に足のついていた恋愛劇がどっかにいってしまい、ただの荒唐無稽なドタバタ劇に堕してしまいました。
この変な人たちが、話を引っ掻き回し主人公たち３人は受身に回るばかりで存在感なく、３人の関係は深まることも展開することもありません。
終盤は更にギャグのような金持ちが出てきて、ドタバタに拍車をかけた上、落ちもなく途中で放り出したようにぶつ切りでこの２巻は終わります。まあ、言葉を失いましたね。
この惨状でも１巻が好きなことに変わりは無いので、続刊での立て直しを作者と編集部には期待します。ですから、これからこのシリーズの１巻をお読みになり気に入られた方は、支援の意味をこめて２巻目も我慢して購入していただければ幸いです。
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