”若さ”を強調するタイトルとは裏腹に、年齢を感じさせない、著者の冷静な観察眼と洞察とによって書き進められた本書であったが、
年齢を感じさせないが故の”違和感”が、一読して強く印象に残った。
その”違和感”とは、「著者の拠って立つところが見えにくい」ということである。
確かに、俯瞰してみれば、「日米の違い」を探る視点からは「日本」が何らかの”立ち位置”になっていることは間違いなく感じられるのだが、
”戦争”はとどのつまり、人と人とがきっかけとなっておこすもの、すなわち「人」というところに注目した場合、彼女の”立ち位置”が途端に見えにくくなる。
つまり、「国」や「社会」という1つの”組織体”に焦点を当てた観察眼/洞察には理解し、時には同意できるところもあるのだが、「人」というミクロに焦点をあてて読もうとすると、著者自身の人となりも見えにくく、また名前が紹介される(著者を取り巻く)アメリカ市民1人1人の人となりも見えにくいことに気付く。
全般を通じて、非常に「概念」「理想形」を軸とした観察眼/洞察になっているようにみえるところが、”戦争”の本質に迫りきれていない(むしろ本質から目がそらされてしまうような)感を受けることになり残念。
社会の裏表、人間の裏表を理解する試みを継続しつつ、それを超えるような著述活動を今後著者が目指されんことを祈念したい。
特にその「裏表」の間にこそ、戦争/暴力といった争いの根源、そして苦悩が潜んでいるはずだから・・・。
その過程で、自ずと著者の”立ち位置”が行間から現れてくるに違いない。(もしかしたら著者は”立ち位置が見えない”書き手を志向しているのかもしれないが、”立ち位置が見える”というプロセスを経た後にはじめて、"立ち位置の見えない”書き手としての大成の道が見えると考える)
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9・11ジェネレーション ―米国留学中の女子高生が学んだ「戦争」 (集英社新書) 新書 – 2004/3/17
岡崎 玲子
(著)
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「君たちは9.11世代だ!」ーー元米国国連大使ビル・リチャードソンあの日から、米国はイラク戦争へー。9.11世代と名づけられた女子高生が体験した、揺れる超大国の実態とは?
9.11-それは世界を震撼させ、戦争やさらなるテロへのきっかけとなっていく。ニューヨークの隣、コネチカット州のプレップスクールで学んでいた著者は、超大国アメリカの激震を身をもって体験した。街にはためく星条旗、混乱する教師や生徒、パールハーバーの再来という声、底なしの恐怖を利用する政府……。なぜアメリカは、アフガニスタン空爆からイラク攻撃へと続く、途切れることのない憎しみの連鎖へと突き進んだのか。元アメリカ国連大使によって「9・11世代」と名づけられた女子高生が、自らの体験をもとに鮮烈な筆致で描いた現代アメリカ社会入門。黒田清・JCJ(日本ジャーナリスト会議)新人賞受賞作。
[著者情報]
岡崎 玲子 (おかざき れいこ)
一九八五年兵庫県生まれ。小学六年生で当時史上最年少で英検一級を取得。中学二年生時にTOEIC975点を記録。全米トップ3ともいわれるプレップスクール(寄宿制私立高等学校)、チョート・ローズマリー・ホール校に奨学金付きで合格し、十五歳で同校二年生として入学。二〇〇三年六月に優秀な成績で卒業。著書に『レイコ@チョート校』(集英社新書)。
9.11-それは世界を震撼させ、戦争やさらなるテロへのきっかけとなっていく。ニューヨークの隣、コネチカット州のプレップスクールで学んでいた著者は、超大国アメリカの激震を身をもって体験した。街にはためく星条旗、混乱する教師や生徒、パールハーバーの再来という声、底なしの恐怖を利用する政府……。なぜアメリカは、アフガニスタン空爆からイラク攻撃へと続く、途切れることのない憎しみの連鎖へと突き進んだのか。元アメリカ国連大使によって「9・11世代」と名づけられた女子高生が、自らの体験をもとに鮮烈な筆致で描いた現代アメリカ社会入門。黒田清・JCJ(日本ジャーナリスト会議)新人賞受賞作。
[著者情報]
岡崎 玲子 (おかざき れいこ)
一九八五年兵庫県生まれ。小学六年生で当時史上最年少で英検一級を取得。中学二年生時にTOEIC975点を記録。全米トップ3ともいわれるプレップスクール(寄宿制私立高等学校)、チョート・ローズマリー・ホール校に奨学金付きで合格し、十五歳で同校二年生として入学。二〇〇三年六月に優秀な成績で卒業。著書に『レイコ@チョート校』(集英社新書)。
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2004/3/17
- ISBN-10408720233X
- ISBN-13978-4087202335
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2004/3/17)
- 発売日 : 2004/3/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 208ページ
- ISBN-10 : 408720233X
- ISBN-13 : 978-4087202335
- Amazon 売れ筋ランキング: - 988,295位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 425位アメリカのエリアスタディ
- - 1,582位集英社新書
- - 6,379位政治入門
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2004年10月12日に日本でレビュー済み
2006年6月26日に日本でレビュー済み
2001年のあの日から、多くの月日がたち、
改めて再認識をすると言う目的でこの本を読んだ。
本の中には、
その時、その場所で起こっていた痛々しいほどの現実と、
それに向き合うひたむきな若さが在り在りと表現されている。
この本を通じ、
「僕らが知っているのは、たった一部の報道である」
ということを再認識させられた。
そしてそれは事実ではないこともあるのだろう。
世の中には様々な価値観がある。
ただし、それを認め、フラットに見られる社会は少ない。
まして、それが自分の身が危険にさらされている場合にはことさら。
人種のるつぼ、と呼ばれているニューヨークでさえ
そのような現実がおきていたと知れば、
人間の限界というか、本能の忠実さを感じずにはいられなかった。
だが、
それでも、作者である岡崎さんは懸命にそれと向かい合い、
正しい視点でそれを見つめようと努力をし続けていることが、
本を通してハッキリと伝わってくる。
また、
この作者が非常に優秀な人物であること、
そしてそれが類まれなる教育と環境によって育まれてきた事がひしひしと感じられた。
僕はこの本を1人の秀才が書いた本としてではなく、
日本の未来に活かす為に、残していければと思う。
例えば教育の現場でこの本を使ってみてはいかがだろう?
1人1人が感じること、そして判断することの大切さ。
それを行えるだけの責任と知識を得ることの大切さ。
もの凄くたくさんのことをこの本は気づかせてくれる。
そしてそれが平和へとつながっていく第一歩になる。
改めて再認識をすると言う目的でこの本を読んだ。
本の中には、
その時、その場所で起こっていた痛々しいほどの現実と、
それに向き合うひたむきな若さが在り在りと表現されている。
この本を通じ、
「僕らが知っているのは、たった一部の報道である」
ということを再認識させられた。
そしてそれは事実ではないこともあるのだろう。
世の中には様々な価値観がある。
ただし、それを認め、フラットに見られる社会は少ない。
まして、それが自分の身が危険にさらされている場合にはことさら。
人種のるつぼ、と呼ばれているニューヨークでさえ
そのような現実がおきていたと知れば、
人間の限界というか、本能の忠実さを感じずにはいられなかった。
だが、
それでも、作者である岡崎さんは懸命にそれと向かい合い、
正しい視点でそれを見つめようと努力をし続けていることが、
本を通してハッキリと伝わってくる。
また、
この作者が非常に優秀な人物であること、
そしてそれが類まれなる教育と環境によって育まれてきた事がひしひしと感じられた。
僕はこの本を1人の秀才が書いた本としてではなく、
日本の未来に活かす為に、残していければと思う。
例えば教育の現場でこの本を使ってみてはいかがだろう?
1人1人が感じること、そして判断することの大切さ。
それを行えるだけの責任と知識を得ることの大切さ。
もの凄くたくさんのことをこの本は気づかせてくれる。
そしてそれが平和へとつながっていく第一歩になる。
2004年9月8日に日本でレビュー済み
私は911を同世代がどう感じたか知りたかった。
書店ですぐさま手に取ったのは著者の年齢が最も重要だったからで、事件前、事件中、事件後を米国内で体験していることからも興味を持った。
彼女の事件に対する観察態度や事実に対する冷静さはアメリカの教育も深く原因していると感じるが、中でも事件当時の記述は生々しい。アメリカの状況が事件以後急変していくと、アメリカの生徒も政府の強硬論を後押ししていき、彼女の疎外感は私が日本にいて感じたものに近くなっていく。彼女は日本とアメリカを両方生きているのだと感じさせられた。日本にもアメリカにも開かれた態度が貫かれている。読み勧めていくうちに読者はそのことに納得していくだろう。
その意味でも、日本語で書かれ、日本人が読むことができる本書は見逃せない。
書店ですぐさま手に取ったのは著者の年齢が最も重要だったからで、事件前、事件中、事件後を米国内で体験していることからも興味を持った。
彼女の事件に対する観察態度や事実に対する冷静さはアメリカの教育も深く原因していると感じるが、中でも事件当時の記述は生々しい。アメリカの状況が事件以後急変していくと、アメリカの生徒も政府の強硬論を後押ししていき、彼女の疎外感は私が日本にいて感じたものに近くなっていく。彼女は日本とアメリカを両方生きているのだと感じさせられた。日本にもアメリカにも開かれた態度が貫かれている。読み勧めていくうちに読者はそのことに納得していくだろう。
その意味でも、日本語で書かれ、日本人が読むことができる本書は見逃せない。
2010年2月3日に日本でレビュー済み
9.11や最近の武力行使についての研究課題を調べている時にこの本に出会いました。
9.11が起こった時の、日本にいては感じられないような
アメリカ国内の生の雰囲気が伝わってきます。
また、著者の通っている高校での生徒たちの学ぶ姿勢にとても刺激を受けました。
ただ受け身で知識を吸収するのではなく、その知識を使って徹底的に議論していく姿勢は
日本の高校ではあまり見られません。
自分の学に対する意識を見直すきっかけになった本です。
9.11が起こった時の、日本にいては感じられないような
アメリカ国内の生の雰囲気が伝わってきます。
また、著者の通っている高校での生徒たちの学ぶ姿勢にとても刺激を受けました。
ただ受け身で知識を吸収するのではなく、その知識を使って徹底的に議論していく姿勢は
日本の高校ではあまり見られません。
自分の学に対する意識を見直すきっかけになった本です。
2004年5月28日に日本でレビュー済み
アメリカのプレップスクールへ留学していた高校生からみた9.11後のアメリカ。実際に現地にいたこと、そして政治的でない高校という立場にいた仲間がいたこと、高校としてかなり優れた教育を行われていた場所であったことなど恵まれた環境から生まれた素直な本だと思う。
アメリカ政府に対する対応、そして反応の変化など実体験にもとづいた言葉は、アメリカも決して団結していたわけではなく、その中に当然葛藤や反発があったことを意識させる。高校生の体験が元にはなっているが政治的打算のない一人の人の言葉として読む価値があると思う。
だが欲を言うならば、彼女の中の目指すべき世界をもう少し語ってもらいたかった。現行の情勢に対する懐疑的視線は納得できる点が多くあったが、よい本だと感じたからこそその先を期待したい。
アメリカ政府に対する対応、そして反応の変化など実体験にもとづいた言葉は、アメリカも決して団結していたわけではなく、その中に当然葛藤や反発があったことを意識させる。高校生の体験が元にはなっているが政治的打算のない一人の人の言葉として読む価値があると思う。
だが欲を言うならば、彼女の中の目指すべき世界をもう少し語ってもらいたかった。現行の情勢に対する懐疑的視線は納得できる点が多くあったが、よい本だと感じたからこそその先を期待したい。
2007年11月26日に日本でレビュー済み
岡崎玲子。すごい子だなあ。日本ジャーナリスト会議の「黒田清JCJ新人賞」をぶっちぎりでもらうわけだ。
アメリカで3本の指に入るエリート中高校(チョート校)在学中に起きた 9.11 事件から昨年の卒業までに、彼女の身の回りで起きたことや考えたことを綴った本だ。かなりリベラルな彼女の友人や先生はが戦争の雰囲気に巻き込まれて行くのを、彼女がもどかしく見続けた思いが伝わって来て、読者にもアメリカという国や戦争のプロパガンダなど、いろいろ考えさせてくれる。
文句をつければ、9.11 からイラク戦争までの周りの反応を冷静に描写する部分がもっとほしかった。特に後半は彼女の考えを述べている部分が多い。彼女の考え自身は、高校生としてはものすごく深く考えていて、同感する部分がほとんどなんだけど、それだからこそ、私にとっては新しい情報とはなり得なかった。これは、あくまで「文句をつければ」の話で、文章もスラスラ読めるし、論理も明快だし、大変な才能には間違いない。
私としては職業柄チョート校の教育には大変興味を持った。徹底したエリート教育で、学生の知的レベルが極めて高いことを前提に、自分で調べて授業時間では徹底して議論する教育なんて、やってみたいなあ。歴史の授業では授業時間に事実の羅列を教えたりしないのね。数学をこの調子ではちょっとできないでしょうけど。わが国でこういう教育をする高校(大学でもいい)は出てこないのだろうか。出て来ても、大衆/メディアは受け入れてくれるだろうか。高額の学費を払う父兄(お客さんね)はどれくらいいるのだろうか。そもそも、そんな授業をできる人材を集めることができるのだろうか。と、沢山の疑問が浮かんで来た。次は、彼女の処女作「 レイコ@チョート校?アメリカ東部名門プレップスクールの16歳」を読もう。
アメリカで3本の指に入るエリート中高校(チョート校)在学中に起きた 9.11 事件から昨年の卒業までに、彼女の身の回りで起きたことや考えたことを綴った本だ。かなりリベラルな彼女の友人や先生はが戦争の雰囲気に巻き込まれて行くのを、彼女がもどかしく見続けた思いが伝わって来て、読者にもアメリカという国や戦争のプロパガンダなど、いろいろ考えさせてくれる。
文句をつければ、9.11 からイラク戦争までの周りの反応を冷静に描写する部分がもっとほしかった。特に後半は彼女の考えを述べている部分が多い。彼女の考え自身は、高校生としてはものすごく深く考えていて、同感する部分がほとんどなんだけど、それだからこそ、私にとっては新しい情報とはなり得なかった。これは、あくまで「文句をつければ」の話で、文章もスラスラ読めるし、論理も明快だし、大変な才能には間違いない。
私としては職業柄チョート校の教育には大変興味を持った。徹底したエリート教育で、学生の知的レベルが極めて高いことを前提に、自分で調べて授業時間では徹底して議論する教育なんて、やってみたいなあ。歴史の授業では授業時間に事実の羅列を教えたりしないのね。数学をこの調子ではちょっとできないでしょうけど。わが国でこういう教育をする高校(大学でもいい)は出てこないのだろうか。出て来ても、大衆/メディアは受け入れてくれるだろうか。高額の学費を払う父兄(お客さんね)はどれくらいいるのだろうか。そもそも、そんな授業をできる人材を集めることができるのだろうか。と、沢山の疑問が浮かんで来た。次は、彼女の処女作「 レイコ@チョート校?アメリカ東部名門プレップスクールの16歳」を読もう。
2004年3月26日に日本でレビュー済み
著者はアメリカにて、私は日本にて、ともに同じ瞬間を共有していたとは思えない…。あの忘れてはならない9・11、あの時私はCNNをたまたま観ていた。そして彼女は学校で…。そして何を考えたか…私はここまで考えられなかった、彼女が想いをめぐらせたようには。本当に同い年なのであろうか?またしても彼女にやられたり…。現代の若者よ、彼女の本を読みなさい。そして何かしら感銘を受けるはずです。
2004年5月16日に日本でレビュー済み
著者の前著をタイトルだけ知っていた。英語堪能なお嬢さんの米国異文化体験記なのだろう、と勝手に思っていたが、本書を読んでその先入観を大きく覆された。
911に始まる今の国際情勢について、マスコミや政府が出す情報に矛盾やいかがわしさを感じて多くの類書を読んできた。この本は、巷にあふれる911本の中でも最高レベルのものである。なんと言っても、911事件のそのとき、米国市民はどういう感覚に襲われたか、彼岸にいてはわからないことを教えてくれた。米国政府の狂気のような行動に市民が異議を唱えない理由がなんとなくわかる気がした。本書の魅力はまた、本書の舞台であるチョート校で鍛えられた筆者の論考の確かさである。論拠をしっかり示して、誰にでもわかるように説く。データ主導でやる、というこのあたりまえの方法を巷の識者・評論家・マスコミ・はては総理大臣ですらまともにできていない。世の先生方・マスコミ・総理大臣には猛省をお願いしたい。
驚いたことは、これほどのチョート校ですら、テロ報復戦争を推進する意見が多いことである。深く検討しないといけないのであろうが、今の私の理解は、どちらか一方だけが悪いのではなく、どちらにも言い分があり、絶対悪はない、である。私自身、ネオコンの方々を「悪魔だ」と決め付けて考えてしまいがちであるが、それではイスラム世界を絶対悪と決め付ける彼らの主張と変わらない。ここは一歩引いて、多様な観点から冷静に考えなければならない。非常に大切なことを本書から学んだ。
才能に恵まれた著者にはぜひ日本を背負う人物になってもらいたい。くれぐれも無事でいられることを望む。チョート校にいる感覚で米国の街中で論争してしまうと生命を危険にさらしかねません。ご自愛を。
911に始まる今の国際情勢について、マスコミや政府が出す情報に矛盾やいかがわしさを感じて多くの類書を読んできた。この本は、巷にあふれる911本の中でも最高レベルのものである。なんと言っても、911事件のそのとき、米国市民はどういう感覚に襲われたか、彼岸にいてはわからないことを教えてくれた。米国政府の狂気のような行動に市民が異議を唱えない理由がなんとなくわかる気がした。本書の魅力はまた、本書の舞台であるチョート校で鍛えられた筆者の論考の確かさである。論拠をしっかり示して、誰にでもわかるように説く。データ主導でやる、というこのあたりまえの方法を巷の識者・評論家・マスコミ・はては総理大臣ですらまともにできていない。世の先生方・マスコミ・総理大臣には猛省をお願いしたい。
驚いたことは、これほどのチョート校ですら、テロ報復戦争を推進する意見が多いことである。深く検討しないといけないのであろうが、今の私の理解は、どちらか一方だけが悪いのではなく、どちらにも言い分があり、絶対悪はない、である。私自身、ネオコンの方々を「悪魔だ」と決め付けて考えてしまいがちであるが、それではイスラム世界を絶対悪と決め付ける彼らの主張と変わらない。ここは一歩引いて、多様な観点から冷静に考えなければならない。非常に大切なことを本書から学んだ。
才能に恵まれた著者にはぜひ日本を背負う人物になってもらいたい。くれぐれも無事でいられることを望む。チョート校にいる感覚で米国の街中で論争してしまうと生命を危険にさらしかねません。ご自愛を。