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僕の叔父さん 網野善彦 (集英社新書) 新書 – 2004/11/17
中沢 新一
(著)
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偉大な歴史学者の網野さんは、僕の素敵な叔父さんだった。
日本の歴史学に新たな視点を取り入れ、中世の意味を大きく転換させた偉大な歴史学者・網野善彦が逝った。数多くの追悼文が書かれたが、本書の著者ほどその任にふさわしい者はいない。なぜなら網野が中沢の叔父(父の妹の夫)であり、このふたりは著者の幼い頃から濃密な時間を共有してきたからだ。それは学問であり人生であり、ついには友情でもあった。切ないほどの愛を込めて綴る「僕と叔父さん」の物語。
[著者情報]
中沢 新一 (なかざわ しんいち)
一九五〇年、山梨県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。宗教学者・哲学者。中央大学教授。『チベットのモーツァルト』(せりか書房)でサントリー学芸賞、『森のバロック』(せりか書房)で読売文学賞、『哲学の東北』(青土社)で斎藤緑雨賞、『フィロソフィア・ヤポニカ』(集英社)で伊藤整文学賞、『カイエ・ソバージュ 対称性人類学』(講談社)で小林秀雄賞を受賞。他に『緑の資本論』(集英社)『精霊の王』(講談社)など著書多数。
日本の歴史学に新たな視点を取り入れ、中世の意味を大きく転換させた偉大な歴史学者・網野善彦が逝った。数多くの追悼文が書かれたが、本書の著者ほどその任にふさわしい者はいない。なぜなら網野が中沢の叔父(父の妹の夫)であり、このふたりは著者の幼い頃から濃密な時間を共有してきたからだ。それは学問であり人生であり、ついには友情でもあった。切ないほどの愛を込めて綴る「僕と叔父さん」の物語。
[著者情報]
中沢 新一 (なかざわ しんいち)
一九五〇年、山梨県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。宗教学者・哲学者。中央大学教授。『チベットのモーツァルト』(せりか書房)でサントリー学芸賞、『森のバロック』(せりか書房)で読売文学賞、『哲学の東北』(青土社)で斎藤緑雨賞、『フィロソフィア・ヤポニカ』(集英社)で伊藤整文学賞、『カイエ・ソバージュ 対称性人類学』(講談社)で小林秀雄賞を受賞。他に『緑の資本論』(集英社)『精霊の王』(講談社)など著書多数。
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2004/11/17
- ISBN-104087202690
- ISBN-13978-4087202694
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2004/11/17)
- 発売日 : 2004/11/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 192ページ
- ISBN-10 : 4087202690
- ISBN-13 : 978-4087202694
- Amazon 売れ筋ランキング: - 137,114位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1950年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、多摩美術大学芸術人類学研究所所長。思想家。著書に『チベットのモーツァルト』(サ ントリー学芸賞)、『森のバロック』(読売文学賞)、『哲学の東北』(斎藤緑雨賞)、『フィロソフィア・ヤポニカ』(伊藤整文学賞)など多数ある(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『カイエ・ソバージュ』(ISBN-10:4062159104)が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年10月15日に日本でレビュー済み
網野史学は常識にとらわれない、反権力という点に魅力を感じます。中沢家の人々との縁でその研究が加速していく様子がおもしろい。
「人間の心のもっとも奥深いところで活動しているのが、この根源的自由であり、それは国家を立ち上げようとする意志よりも深い。」(P95)
「人間の心のもっとも奥深いところで活動しているのが、この根源的自由であり、それは国家を立ち上げようとする意志よりも深い。」(P95)
2018年7月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
涙なしには読めません。天皇を考えるための重要なヒントがあります。
2019年11月8日に日本でレビュー済み
2006年 再掲
図書館本
「知られざる日本」の感想で作者白水さんの恩師に網野さんがいると書いたところ師匠様に網野さんは山梨出身なんだよ、と教えられた。さらに、中沢新一氏の叔父にあたると。中沢新一と言えばは高校の先輩にあたる人で有名な宗教学者(現在は芸術人類学?)である。
またも自分の無教養をさらけ出してしまった。
そんな訳で早速図書館に予約、事前予約者は無く直ぐに借りる事が出来た。
いや~凄い家系です。中沢さんから見て、お爺さんは生物学者、お父さんは民俗学者で元共産党員、その父の弟は製鉄技術史の研究者、そして妹(叔母さん)に当たる方が歴史学者の網野さんと結婚。
中沢さんが幼少の頃から家庭内では政治や宗教に関する議論が普通に行われ、そこに網野さんも加わって歴史理解の話の花が咲いたそうだ。
後に網野史学と呼ばれる孤高にして綿密な歴史学が展開されていく。叔父さんとしての網野さんとの対話、議論の中で中沢氏の宗教への興味も増していったようだ。まさに網野さんは中沢新一の戦友でもあるのであろう。
図書館本
「知られざる日本」の感想で作者白水さんの恩師に網野さんがいると書いたところ師匠様に網野さんは山梨出身なんだよ、と教えられた。さらに、中沢新一氏の叔父にあたると。中沢新一と言えばは高校の先輩にあたる人で有名な宗教学者(現在は芸術人類学?)である。
またも自分の無教養をさらけ出してしまった。
そんな訳で早速図書館に予約、事前予約者は無く直ぐに借りる事が出来た。
いや~凄い家系です。中沢さんから見て、お爺さんは生物学者、お父さんは民俗学者で元共産党員、その父の弟は製鉄技術史の研究者、そして妹(叔母さん)に当たる方が歴史学者の網野さんと結婚。
中沢さんが幼少の頃から家庭内では政治や宗教に関する議論が普通に行われ、そこに網野さんも加わって歴史理解の話の花が咲いたそうだ。
後に網野史学と呼ばれる孤高にして綿密な歴史学が展開されていく。叔父さんとしての網野さんとの対話、議論の中で中沢氏の宗教への興味も増していったようだ。まさに網野さんは中沢新一の戦友でもあるのであろう。
2017年8月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
網野善彦の思想と、その形成の過程がよくわかる。中沢さんの本は、難しい印象があったが、今回は自分史の延長線上にある「叔父さん語り」だったので、とても平明だった。網野史観の入門書としてもおすすめできる。
2005年1月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
昨年も『対称性人類学』や『精霊の王』で注目される成果を挙げた中沢新一さん(宗教学者)が山梨の「新ちゃん」の時代に遡って、昨年惜しくも他界された中世歴史学者の網野善彦さんの長大な追悼文を書いた。
お二人ともに業界の批判を受けつつも、分野を超えて、多くの読者の共感を呼んでいる点に共通項がある。なぜ多くの人に読まれるかというと、われわれが嵌められている二重三重の枠組み・時間と空間を超えて展開する自由な知的精神が横溢している本を書くからである。この本の中でも「ずら」言葉で主義主張をぶつけ合いながらも、一族の心のつながりの中で「コミュニストのこども」たる筆者や歴史学者の網野氏をはじめとした人々が躍動しており、また一つの時代の雰囲気が面白い話の連続の中に立ち上がってくる。終章の別れの言葉には思わず涙が出た。中沢ぎらいの読者にもぜひ、お奨めします。
お二人ともに業界の批判を受けつつも、分野を超えて、多くの読者の共感を呼んでいる点に共通項がある。なぜ多くの人に読まれるかというと、われわれが嵌められている二重三重の枠組み・時間と空間を超えて展開する自由な知的精神が横溢している本を書くからである。この本の中でも「ずら」言葉で主義主張をぶつけ合いながらも、一族の心のつながりの中で「コミュニストのこども」たる筆者や歴史学者の網野氏をはじめとした人々が躍動しており、また一つの時代の雰囲気が面白い話の連続の中に立ち上がってくる。終章の別れの言葉には思わず涙が出た。中沢ぎらいの読者にもぜひ、お奨めします。
2016年1月30日に日本でレビュー済み
中世日本史を大きく転換させ、その学説は“網野史観(史学)”とも呼ばれた歴史学者・網野善彦(1928~2004年)の追悼の意を込めて、宗教・人類学者の中沢新一が綴った評伝である。雑誌「すばる」の2004年の連載に、大幅に加筆・訂正したもの。
網野氏は中沢氏にとって叔父(実父の妹の夫)にあたり、本書では、網野史学のエッセンスとそれが如何なる経緯で確立されていったのかという流れの中に、中沢氏が子供の頃の網野氏との出会いや、その後の密度の濃い交流の様子が散りばめられて描かれており、他の学者・評論家には書き得ないものとなっている。
また、大学時代の中沢氏が、網野氏との会話の中で、「非農業民の思想を追求することの中から生まれた網野史学と、芸能史を根拠地にする折口学とは、深いレベルで通底し合っているのだ。まれびとの神と自由都市を生み出す無縁の思想とは、根柢においてひとつのものである。そうか、折口信夫のまれびと論は、こっちの方向に発展させていかなきゃいけないんだ」とひらめいたという場面などは、学問・研究の場での叔父と甥の繋がりのエピソードとして、印象的なものである。
新たな歴史のアプローチを切り開いた歴史学者の叔父と、分野横断的な新しいアカデミズムのスタイルを持つ学者の甥の、交流の軌跡として、興味深い作品である。
(2005年9月了)
網野氏は中沢氏にとって叔父(実父の妹の夫)にあたり、本書では、網野史学のエッセンスとそれが如何なる経緯で確立されていったのかという流れの中に、中沢氏が子供の頃の網野氏との出会いや、その後の密度の濃い交流の様子が散りばめられて描かれており、他の学者・評論家には書き得ないものとなっている。
また、大学時代の中沢氏が、網野氏との会話の中で、「非農業民の思想を追求することの中から生まれた網野史学と、芸能史を根拠地にする折口学とは、深いレベルで通底し合っているのだ。まれびとの神と自由都市を生み出す無縁の思想とは、根柢においてひとつのものである。そうか、折口信夫のまれびと論は、こっちの方向に発展させていかなきゃいけないんだ」とひらめいたという場面などは、学問・研究の場での叔父と甥の繋がりのエピソードとして、印象的なものである。
新たな歴史のアプローチを切り開いた歴史学者の叔父と、分野横断的な新しいアカデミズムのスタイルを持つ学者の甥の、交流の軌跡として、興味深い作品である。
(2005年9月了)
2016年2月24日に日本でレビュー済み
礫と博打と道祖神の共通性、天皇制と非人、人非人の棲み分け、藍染めの歴史、次から次へと興味深い題材が出てきて、なお知りたいと思うものばかり、いやはやまだまだ知るべきことが沢山ありそうである。