著者の今までの著作から比べると「ヌルイ本」である。しかし、そのヌルサは心地よく、また「知」というシンが一本しっかりと通っているだけに一切の「ブレ」がない。
著者はまた、前作「愛国の作法」で示した「自身の立つ位置」を本書では、手法を変えて語っている。「東大教授の語り」を捨てているのだ。前作でも垣間見られた、「熊本生まれの姜尚中」の語りが中心で、それは「東大教授の姜尚中」を超えて読者に響いてくる筈だ。
どうして著者はそういう手法を取ったのか。それは著者が何よりも「人間」として読者に伝えたいという気持ちを最重要としたからであろう。
「人間」とは「人」の「間」と書く。他者とのコミュニケーションこそが人間そのもの。
本書での著者の言葉である。本書の通低に流れる言葉である。
姜尚中ファンだけでなく、不安を抱えるこの国の幅広い人にお勧めの本である。
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ニッポン・サバイバル ―不確かな時代を生き抜く10のヒント (集英社新書) 新書 – 2007/2/16
姜 尚中
(著)
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自由なのに息苦しいこの国で、「まとも」に生き残る道を考えました。
いじめに苦しむ子どもたちや、悩みを抱えた大人たちなど、毎年、三万人以上が、自殺に追い込まれている。そして本当に怖いのは、この社会で共に生きる他者への無関心と、無慈悲さの蔓延だ。「悪人」だけが跋扈しているわけでもないのに、一体なぜなのか。また、相談機能を失ったこの社会で、どこにも逃げられず、頑なにもなりきれないフツーの人たちは、どうしたら漠然とした息苦しさから解放されるのか? 注目の政治学者が、幅広い世代から寄せられた声に誠実に向き合い、この国でしたたかに、しなやかに生き抜くための方法論を提示した、現代日本の必読書!
[著者情報]
姜尚中(カン サンジュン)
一九五〇年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。東京大学大学院情報学環教授。専攻は政治学・政治思想史。著書に『マックス・ウェーバーと近代』『オリエンタリズムの彼方へ』『ナショナリズム』『東北アジア共同の家をめざして』『日朝関係の克服』『在日』『姜尚中の政治学入門』『愛国の作法』ほか。共著に『ナショナリズムの克服』『デモクラシーの冒険』ほか。
いじめに苦しむ子どもたちや、悩みを抱えた大人たちなど、毎年、三万人以上が、自殺に追い込まれている。そして本当に怖いのは、この社会で共に生きる他者への無関心と、無慈悲さの蔓延だ。「悪人」だけが跋扈しているわけでもないのに、一体なぜなのか。また、相談機能を失ったこの社会で、どこにも逃げられず、頑なにもなりきれないフツーの人たちは、どうしたら漠然とした息苦しさから解放されるのか? 注目の政治学者が、幅広い世代から寄せられた声に誠実に向き合い、この国でしたたかに、しなやかに生き抜くための方法論を提示した、現代日本の必読書!
[著者情報]
姜尚中(カン サンジュン)
一九五〇年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。東京大学大学院情報学環教授。専攻は政治学・政治思想史。著書に『マックス・ウェーバーと近代』『オリエンタリズムの彼方へ』『ナショナリズム』『東北アジア共同の家をめざして』『日朝関係の克服』『在日』『姜尚中の政治学入門』『愛国の作法』ほか。共著に『ナショナリズムの克服』『デモクラシーの冒険』ほか。
- ISBN-104087203794
- ISBN-13978-4087203790
- 出版社集英社
- 発売日2007/2/16
- 言語日本語
- 本の長さ240ページ
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2007/2/16)
- 発売日 : 2007/2/16
- 言語 : 日本語
- 新書 : 240ページ
- ISBN-10 : 4087203794
- ISBN-13 : 978-4087203790
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,296,461位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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姜尚中(カン サンジュン)
1950年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。
東京大学大学院情報学環教授。専攻は政治学・政治思想史。
著書に『マックス・ウェーバーと近代』、『オリエンタリズムの彼方へ』、『ナショナリズム』、『東北アジア共同の家をめざして』、『日朝関係の克服』、『姜尚中の政治学入門』、『ニッポン・サバイバル』『悩む力』ほか。
共著回編者に『ナショナリズムの克服』、『デモクラシーの冒険』、『在日一世の記憶』ほか。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2007年4月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2007年3月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「今、私たちの不幸は何かというと、純粋に私的な領域においてしか、人間が幸福を見出せないと思っていることです」(第4章)という視点に立つ著者は、小さな声に答えながら、結局はその問題が社会につながっていることを教えてくれる。
「公の価値に気づいたとき、初めて何が大切で何が大切じゃないか考えようとする。知性とはその能力であり、そのことに気づく感受性みたいなものだと思います」と語る言葉に説得力があるのは、彼自身がそうして生きてきたという実体験の裏打ちがあるからだろう。
やさしい文体で書かれてるが、とても示唆に富んだ内容になっていると思う。
本書は一般の人たちから集めた<みんなの声>に答える形で、以下の10章によって構成されている。
1.『お金』を持っている人が勝ちですか? 6.どうしたら『知性』を磨けますか?
2.『自由』なのに息苦しいのはなぜですか? 7.なぜ今『反日』感情が高まっているの?
3.『仕事』は私たちを幸せにしてくれますか? 8.今なぜ世界中で『紛争』が起こっているのか?
4.どうしたらいい『友人関係』を作れますか? 9.どうしたら『平和』を守れますか?
5.激変する『メディア』にどう対処したらいい? 10.どうしたら『幸せ』になれますか?
「公の価値に気づいたとき、初めて何が大切で何が大切じゃないか考えようとする。知性とはその能力であり、そのことに気づく感受性みたいなものだと思います」と語る言葉に説得力があるのは、彼自身がそうして生きてきたという実体験の裏打ちがあるからだろう。
やさしい文体で書かれてるが、とても示唆に富んだ内容になっていると思う。
本書は一般の人たちから集めた<みんなの声>に答える形で、以下の10章によって構成されている。
1.『お金』を持っている人が勝ちですか? 6.どうしたら『知性』を磨けますか?
2.『自由』なのに息苦しいのはなぜですか? 7.なぜ今『反日』感情が高まっているの?
3.『仕事』は私たちを幸せにしてくれますか? 8.今なぜ世界中で『紛争』が起こっているのか?
4.どうしたらいい『友人関係』を作れますか? 9.どうしたら『平和』を守れますか?
5.激変する『メディア』にどう対処したらいい? 10.どうしたら『幸せ』になれますか?
2007年4月15日に日本でレビュー済み
前半は日本人の好きそうな言葉が散りばめられていて
納得するところも少なくない。
しかし、後半はカン先生お得意の
中国賛美、平和賛美の影が見え隠れする。
先生のご意見の通りにすると日本は
「不確かな時代を生き抜」けないことは
もはや明確です。
納得するところも少なくない。
しかし、後半はカン先生お得意の
中国賛美、平和賛美の影が見え隠れする。
先生のご意見の通りにすると日本は
「不確かな時代を生き抜」けないことは
もはや明確です。
2011年7月8日に日本でレビュー済み
著者が政治学者であるからには政治と無関係という事はないが、といってそれに限定されない多分に人生論を含んだような本だ。例えば友人関係や知性の磨き方、幸福になる方法などが語られている。政治的なものとしてはメディアや反日感情、紛争、平和などといったものが扱われている。目次を見れば分かるように「お金を持っている人が勝ちですか?」「自由なのに息苦しいのは何故ですか?」「仕事は私達を幸せにしてくれますか?「どうしたらいい友人関係が作れますか?」「激変するメディアにどう対応したらいいの?」「どうしたら知性を磨けますか?」「なぜ今反日感情が高まっているの?」「今なぜ世界中で紛争が起こっているの?」「どうしたら平和を守れますか?」「どうしたら幸せになれますか?」といった10の質問に答えていく本で、それぞれ文体も長さも読みやすいものになっている。ただそのため、極めて濃厚だったり重厚だったりするわけではない。あくまでそれぞれの話題についての著者の軽い見解に興味があるという場合に読むべき本だろう。
私は自由、友人、メディア、知性に関心があるのでそれらについて「簡単に」思った事を述べておこうと思う。
友人に関して著者は以下のように言う。
友達を見ればその人がどんな人か手にとるように分かる。自分と人間的価値において同等の人物しか友達にはできない。人間的価値とはその人の価値観や感受性、志といったものである。対して男女関係は意外な組み合わせも多々ある。親子には血縁関係があり、恋愛には肉体関係があるが友情では何もない。しがらみが存在しない事由な人間関係が友人との関係なのである。自由である分、それだけ人間的側面が表れる。人は友達を私的なものと考えがちで話題も恋愛や家庭、仕事の愚痴など私的なものばかりになる。だが友達は本来公的な意味を持っている。昔は公的関心を共有したり議論する事に友達の意味を見出した時期があった。だが現代では人々は私的領域でしか幸福を見出せないと考えている点で「不幸」である。だがお金があるとか美味しい物が食べられるとか旅行できるとか贅沢できる、美女と会う等といった事にはすぐに飽きる。深い話ができなければ数日で飽きる。長続きしない。友達を私的領域でだけ考えると、好き嫌いか、楽しいか楽しくないかで終わってしまう。より深く進んだ友人関係を築き、それを一過性のものではなく永続的なものにするには、映画や子育ての話を政治に繋げるなどして公的なものを共有すべきである。
さて以上は当然私の友人論ではなく著者の主張をまとめたものだ。どうだろうか。多分少なくない人はある程度この主張には突っ込み所があるように感じるだろう。個人の語る友情論が万人の同意を得られるものでなければならないというルールがないので私はそれをもって著者を糾弾するような気はない。以上のような著者の主張から何かを学ぶ事のできる人、良い刺激を得られる人もいるに違いない。ただ事実問題として指摘しておけば、やはりここには著者の個人的な好みがかなり入り込んでいるように思う。著者はあまりきつい言い方はしていないが、「公的関心を共有できる単に私的でない友人だけが真の友人である」(著者がそこまで強く断言しているかは定かではない)という主張が仮にあるとすれば、これは硬いものであるし、押し付けがましく感じられもするだろう。こういった主張をする場合、その主張者は公的なものの反対物=私的なものをある程度低く評価するものである。勿論著者は両方必要だとは言うのだが、それは言わなければ不味いからではないか。そうは言いつつも私的な楽しみなんてすぐに飽きるものだ、そんなものは一過性だから、永続的なものにしたいなら公的なものに関心を持ち、公的な友人関係を築くべきだ、と言う辺りには著者の本音ないしは価値判断が見える。もっと言えばこの言い方はやはり公的なものに他人を誘導しようとしているし、柔らかい言い方はしていても、単に私的な事にしか関心を持たない人々の存在を嘆き、またやはり批判しているし、望ましくないという思いを持っているのだ。こういった価値観は政治思想の領域でもよく見られるもので、私は著者には共和主義に近しい面があるように感じる。いずれにせよ友人論でも政治に繋げる辺りは著者らしいと言うべきだろうか。
メディアの章でSNS、特にミクシーに言及した際にもこの著者の硬さ、公志向は見れる。次のような具合である。「今の段階では、ただの仲良しクラブ、仲良しサークルがぼこぼことできて、タコつぼ化しているにすぎません。問題は、ここからどうやって公的空間を作り出し、社会的な連帯を生み出していけるのかということです」(114)。それに続いて著者は友人の章と同じように出産の話から少子化を食い止める方法などの政治的議論、公的議論へ持っていくべしと提唱している。「インターネットは密閉化されたメディアですし…これほど個別化されたツールもない。自分の興味のあるニュースだけを各々が見ているうちに、ほかの人との共通の認識や問題意識がなくなってくる」(115)というのも典型的だと言える。やはり著者は多くの章で一貫して、人々の私化を憂慮し、公的振る舞いを要求している。
私は自由、友人、メディア、知性に関心があるのでそれらについて「簡単に」思った事を述べておこうと思う。
友人に関して著者は以下のように言う。
友達を見ればその人がどんな人か手にとるように分かる。自分と人間的価値において同等の人物しか友達にはできない。人間的価値とはその人の価値観や感受性、志といったものである。対して男女関係は意外な組み合わせも多々ある。親子には血縁関係があり、恋愛には肉体関係があるが友情では何もない。しがらみが存在しない事由な人間関係が友人との関係なのである。自由である分、それだけ人間的側面が表れる。人は友達を私的なものと考えがちで話題も恋愛や家庭、仕事の愚痴など私的なものばかりになる。だが友達は本来公的な意味を持っている。昔は公的関心を共有したり議論する事に友達の意味を見出した時期があった。だが現代では人々は私的領域でしか幸福を見出せないと考えている点で「不幸」である。だがお金があるとか美味しい物が食べられるとか旅行できるとか贅沢できる、美女と会う等といった事にはすぐに飽きる。深い話ができなければ数日で飽きる。長続きしない。友達を私的領域でだけ考えると、好き嫌いか、楽しいか楽しくないかで終わってしまう。より深く進んだ友人関係を築き、それを一過性のものではなく永続的なものにするには、映画や子育ての話を政治に繋げるなどして公的なものを共有すべきである。
さて以上は当然私の友人論ではなく著者の主張をまとめたものだ。どうだろうか。多分少なくない人はある程度この主張には突っ込み所があるように感じるだろう。個人の語る友情論が万人の同意を得られるものでなければならないというルールがないので私はそれをもって著者を糾弾するような気はない。以上のような著者の主張から何かを学ぶ事のできる人、良い刺激を得られる人もいるに違いない。ただ事実問題として指摘しておけば、やはりここには著者の個人的な好みがかなり入り込んでいるように思う。著者はあまりきつい言い方はしていないが、「公的関心を共有できる単に私的でない友人だけが真の友人である」(著者がそこまで強く断言しているかは定かではない)という主張が仮にあるとすれば、これは硬いものであるし、押し付けがましく感じられもするだろう。こういった主張をする場合、その主張者は公的なものの反対物=私的なものをある程度低く評価するものである。勿論著者は両方必要だとは言うのだが、それは言わなければ不味いからではないか。そうは言いつつも私的な楽しみなんてすぐに飽きるものだ、そんなものは一過性だから、永続的なものにしたいなら公的なものに関心を持ち、公的な友人関係を築くべきだ、と言う辺りには著者の本音ないしは価値判断が見える。もっと言えばこの言い方はやはり公的なものに他人を誘導しようとしているし、柔らかい言い方はしていても、単に私的な事にしか関心を持たない人々の存在を嘆き、またやはり批判しているし、望ましくないという思いを持っているのだ。こういった価値観は政治思想の領域でもよく見られるもので、私は著者には共和主義に近しい面があるように感じる。いずれにせよ友人論でも政治に繋げる辺りは著者らしいと言うべきだろうか。
メディアの章でSNS、特にミクシーに言及した際にもこの著者の硬さ、公志向は見れる。次のような具合である。「今の段階では、ただの仲良しクラブ、仲良しサークルがぼこぼことできて、タコつぼ化しているにすぎません。問題は、ここからどうやって公的空間を作り出し、社会的な連帯を生み出していけるのかということです」(114)。それに続いて著者は友人の章と同じように出産の話から少子化を食い止める方法などの政治的議論、公的議論へ持っていくべしと提唱している。「インターネットは密閉化されたメディアですし…これほど個別化されたツールもない。自分の興味のあるニュースだけを各々が見ているうちに、ほかの人との共通の認識や問題意識がなくなってくる」(115)というのも典型的だと言える。やはり著者は多くの章で一貫して、人々の私化を憂慮し、公的振る舞いを要求している。
2012年5月6日に日本でレビュー済み
政治学者である著者が、現代社会が抱える問題点を
10のテーマについて、自問する形で語っています。
この著書は、何よりも判りやすい語り口で、身近な例を
あげながら、文章が進められているのが、共感できる点かと
思います。
個人的には、第八章「紛争」でのフランス国内の移民問題に
対する事情背景と第九章「平和」での憲法第9条の意味合いに
ついて、感銘させられました。
また、第十章「幸せ」での「相対評価」でなく「絶対評価」に
価値を見出して、人格を高めることに焦点を当てている点にも
強い共感しました。
日常を送る中で、自分自身の価値観と向き合うことが、
少なくなる状況で改めて見直す機会をこの著書との
出会いで得ることができました。良書だと思います。
10のテーマについて、自問する形で語っています。
この著書は、何よりも判りやすい語り口で、身近な例を
あげながら、文章が進められているのが、共感できる点かと
思います。
個人的には、第八章「紛争」でのフランス国内の移民問題に
対する事情背景と第九章「平和」での憲法第9条の意味合いに
ついて、感銘させられました。
また、第十章「幸せ」での「相対評価」でなく「絶対評価」に
価値を見出して、人格を高めることに焦点を当てている点にも
強い共感しました。
日常を送る中で、自分自身の価値観と向き合うことが、
少なくなる状況で改めて見直す機会をこの著書との
出会いで得ることができました。良書だと思います。
2008年1月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書には、「この国でしなやかに、したたかに、そして「まとも」に生き残っていく」手掛かりとして、自由、幸せ、紛争、平和、等に対する著者の考えが示されている。平易な語り口で、読みやすい。比較的硬派と言われるテーマが取り上げられているが、これらを考えるヒントになると思う。
著者は、「したたか」に対応する例として、日本の核武装に対する意見を求められた場合を挙げる。だが、著者の問題意識は、むしろ、日本人の硬派な話題を避けたがる体質にあるように感じた。硬派な会話に不慣れであるが故に、物事の本質を見極めず、受けの良い結論に飛び付くことへの、懸念である。あるいは、公(社会・世界)から浮遊し、プライベートな関心空間内でのみ価値基準が形成されることへの、懸念である。そこで、著者は、硬派な会話への誘い水役を買って出た。さらに、公と繋がりながら、他者に依存しない価値基準を形成することを強調する。
タイトルは、「ニッポンでサバイバルする」と解されるが、著者の意図は、文字通り「ニッポンがサバイバルする」へと通じているのであろう。
著者は、「したたか」に対応する例として、日本の核武装に対する意見を求められた場合を挙げる。だが、著者の問題意識は、むしろ、日本人の硬派な話題を避けたがる体質にあるように感じた。硬派な会話に不慣れであるが故に、物事の本質を見極めず、受けの良い結論に飛び付くことへの、懸念である。あるいは、公(社会・世界)から浮遊し、プライベートな関心空間内でのみ価値基準が形成されることへの、懸念である。そこで、著者は、硬派な会話への誘い水役を買って出た。さらに、公と繋がりながら、他者に依存しない価値基準を形成することを強調する。
タイトルは、「ニッポンでサバイバルする」と解されるが、著者の意図は、文字通り「ニッポンがサバイバルする」へと通じているのであろう。
2007年3月25日に日本でレビュー済み
姜 尚中(かん・さんじゅん)教授のニッポン・サバイバルを読了。
ー不確かな時代を生き抜く10のヒントーが副題。他者への思いやり、理解、優しさが足りない攻撃的で過剰反応しがちな日本人。
8年で30万人の人が自殺している日本。
何だかやり切れない閉塞感に支配されているのは私だけではないようだ。
未来に希望が持てずしあわせが何かも今一つ確信が持てない。
私も他者志向型のしあわせを求めることはやめたつもりだが、日々の生活の中でどうしても自分の境遇と他者を比較して愚痴をこぼしてしまう。
「我唯足るを知る」は禅の精神で知足の蹲踞(つくばい)(龍安寺が本家)を造園史の授業でよく教えることだが、まだまだ修業が足りませんわ。他者と社会とのつながりの中で人格を形成していき、その中にしあわせを求める。
姜尚中、恐るべし!参った!!
ー不確かな時代を生き抜く10のヒントーが副題。他者への思いやり、理解、優しさが足りない攻撃的で過剰反応しがちな日本人。
8年で30万人の人が自殺している日本。
何だかやり切れない閉塞感に支配されているのは私だけではないようだ。
未来に希望が持てずしあわせが何かも今一つ確信が持てない。
私も他者志向型のしあわせを求めることはやめたつもりだが、日々の生活の中でどうしても自分の境遇と他者を比較して愚痴をこぼしてしまう。
「我唯足るを知る」は禅の精神で知足の蹲踞(つくばい)(龍安寺が本家)を造園史の授業でよく教えることだが、まだまだ修業が足りませんわ。他者と社会とのつながりの中で人格を形成していき、その中にしあわせを求める。
姜尚中、恐るべし!参った!!
2019年5月21日に日本でレビュー済み
再掲
図書館本
姜さんの本を始めてちゃんと読んだ。
かなり平易な文章ですらすら読めるように書かれていると思う。
お金、自由、仕事、友人関係、メディア、知性、反日、紛争、平和そして幸せをテーマにした10章からなる。
姜さんの生きて来た道を自ら辿りながら、今の日本人、いやヒトとして求められていることを冷静に考えるヒントを与えてくれている。
備忘録的メモ
筑紫哲也さんの本から I am a part of all that I have met. 「自分はこれまで出会ってきたもの全ての(一)部分」p68
なぜ勉強する動機がないのかといえば、結局、今の若い人たちは、身体的な記憶が乏しいからではないかと思います。中略 勉強するということは、考えることですから、非常に抽象的な作業です。ところが、この抽象性を伴う作業は、実はリアルな体験に裏付けらていないと、とてももろいものになってしまうのです。 p126
図書館本
姜さんの本を始めてちゃんと読んだ。
かなり平易な文章ですらすら読めるように書かれていると思う。
お金、自由、仕事、友人関係、メディア、知性、反日、紛争、平和そして幸せをテーマにした10章からなる。
姜さんの生きて来た道を自ら辿りながら、今の日本人、いやヒトとして求められていることを冷静に考えるヒントを与えてくれている。
備忘録的メモ
筑紫哲也さんの本から I am a part of all that I have met. 「自分はこれまで出会ってきたもの全ての(一)部分」p68
なぜ勉強する動機がないのかといえば、結局、今の若い人たちは、身体的な記憶が乏しいからではないかと思います。中略 勉強するということは、考えることですから、非常に抽象的な作業です。ところが、この抽象性を伴う作業は、実はリアルな体験に裏付けらていないと、とてももろいものになってしまうのです。 p126