第1章では日本の財政の仕組みに触れている。これは経済学部の学生や、特に興味ある人向け。
第2章では幕末・明治・戦後の日本と借金の関係に触れている。歴史の授業でもこのようにお金の問題に触れるべきであろう。負債無くして当時の政治情勢を語る事はできないはずなので。
第3章では中央銀行システムに触れている。これが本書で最も重要な部分であり、全ての人が読むべきだ。
決定的なのはp.131「通常の債券は、債券を発行する側(債務者、社債の場合はその会社)が利子を負担する。これに対して、中央銀行券は債券を発行する側(中央銀行)が利子を得ることができるのだ。」
この章では銀行券のルーツにも触れている。当該箇所を読むためだけに、この本を買う価値があるだろう。
第4章では代替エネルギーに触れており、またp.208ではシルビオ・ベゼルの「劣化する通貨」のアイデアを取り上げている。
このジャンルの関連書籍としては「金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った」「円の支配者」「不景気が終わらない本当の理由」などが参考になる。
目次
第1章 空洞化する貯蓄
第2章 なぜ公の債務は増え続けるのか?
第3章 お金の本質
第4章 お金を<冗談>にしないために
引用文献が全て記されている点も好感が持てる
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「お金」崩壊 (集英社新書 437A) 新書 – 2008/4/17
青木 秀和
(著)
私たちのお金はどこへ行ってしまうのか?
私たちが貯蓄する「お金」は公の借金返済に投入されている。しかし、それは返せる当てのない借金だ。もはや、「お金」には実体も価値もない。こんな社会からの脱却を呼びかける、新しい経済論。
私たちが貯蓄する「お金」は公の借金返済に投入されている。しかし、それは返せる当てのない借金だ。もはや、「お金」には実体も価値もない。こんな社会からの脱却を呼びかける、新しい経済論。
- 本の長さ240ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2008/4/17
- ISBN-104087204375
- ISBN-13978-4087204377
商品の説明
著者について
青木 秀和(あおき ひでかず)
一九五五年長野県生まれ。緑の共生社会研究所共同代表。常に平場(庶民の立場)に身を置きつつ、高い分析能力と政策立案能力を兼ね備えた知識人(=ポリシー・インテレクチュアル)を目指す市民研究者。主著は、河宮信郎と共著の『公共政策の倫理学』(丸善)。エントロピー学会、ゲゼル研究会に参加。中村敦夫、川田龍平両参議院議員の政策ブレーンも務める。
一九五五年長野県生まれ。緑の共生社会研究所共同代表。常に平場(庶民の立場)に身を置きつつ、高い分析能力と政策立案能力を兼ね備えた知識人(=ポリシー・インテレクチュアル)を目指す市民研究者。主著は、河宮信郎と共著の『公共政策の倫理学』(丸善)。エントロピー学会、ゲゼル研究会に参加。中村敦夫、川田龍平両参議院議員の政策ブレーンも務める。
登録情報
- 出版社 : 集英社 (2008/4/17)
- 発売日 : 2008/4/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 240ページ
- ISBN-10 : 4087204375
- ISBN-13 : 978-4087204377
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,017,351位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,605位集英社新書
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
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2017年8月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容は首肯できる部分もあるが、私の総論としては本書に否定的な立場をとりたい。
確かに資本主義に問題点は数多くあるが、それに変わるシステムは存在しないし、私たちはその中で知恵を出し合って生きていかなければならないのだ。
確かに資本主義に問題点は数多くあるが、それに変わるシステムは存在しないし、私たちはその中で知恵を出し合って生きていかなければならないのだ。
2015年2月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
良品きれいです。
本の内容がいいです、勉強になることがたくさんかいてあります。
なんどでも読み返そうと思っています。
本の内容がいいです、勉強になることがたくさんかいてあります。
なんどでも読み返そうと思っています。
2008年9月11日に日本でレビュー済み
「日本は貿易黒字額をドルに投資している。馬鹿だ」というでたらめが、本当のことのように、話される。
2008年4月27日に日本でレビュー済み
1971年のニクソンショックを覚えている私はこの金融のフィクション性と石油・ドル体制にどっぷり使ってきた世代です。そして集英社新書のこの種の本は普段は敬遠してきました。予想通り、「アジア太平洋戦争」などという不可思議な言葉の無神経な使い方はそれだけで作品の価値を減退させてしまうものです。最後の方(230ページ)での日本国憲法の擁護や軍事力批判などの部分は著者のナイーヴな非政治性を如実に示している部分でもあります。しかし、そのような部分は横においておいても、一読する価値のある本です。というのはこの作品は金融と自然環境の両方を取り囲む全体像の非持続性を提示しているからです。そういう意味では一連のjohn grayの作品との共通の部分が多数満載です。もっともjohn grayはこの流れに18世紀啓蒙主義とキリスト教に連なる根源を探し当てていますが。1−3章の金融経済の分析の部分は必読です。また182ページからの部分はわかり易いまとめになっています。著者は、あくまでも民主主義なるものの正当性を前提として、相変わらず、「私たち」に選択があるかのような、ナイーヴな議論を進めています。しかし、大衆の多数決による決定を前提とするこの制度の下では、おそらく著者の提言が短期的に射程の中で政策へと進化することはありません。また世界ならびに日本の没落のプロセスで、資源をめぐって繰り広げられるであろう国際政治の中での日本の短期的な対応策とそこでの国家の必要性について著者の思考が現実性を帯びることはないようです。そういう意味では、日本ならず世界の長期的な没落の必然性とその受容こそが本音なのかもしれません。
2009年1月13日に日本でレビュー済み
世の中には目を背けたいことがいくつもあると思います。いま一番目を背けたい
「お金」が本書のテーマです。どこを切っても分かりやすく、読んでいるうちに
暗くなってしまうので、お正月に読むのは止めた方がいいでしょう。
私は経済学部ではありませんでしたので、むしろ予断なく読むことができました。
というのは第三章以降では、サブプライムローンを機に破綻した金融システムの
崩壊と、近い将来の資本主義経済が終焉することを高らかに宣言しているものですから、
従来の金融システムにどっぷりつかって生きてきた方たちには到底受け入れられ
ないシナリオだろうと思いました。解決策のない深刻な問題は本当に気分が沈む
のですが、その打開策はご存知のとおりまだ見つかっていません。
著者は「江戸時代モデル」を提案していますがいまひとつ現実的ではないように
思います。これだけ世の中が複雑になってしまうと、どこかに舵を切ると利害の
衝突が起こって話が完全にストップしてしまうことはよく見かけます。
今までのような大量生産、大量消費はそう長くは続けられないことは理解でき
ましたが、中国人やインド人は納得せんだろうなぁ。
「お金」が本書のテーマです。どこを切っても分かりやすく、読んでいるうちに
暗くなってしまうので、お正月に読むのは止めた方がいいでしょう。
私は経済学部ではありませんでしたので、むしろ予断なく読むことができました。
というのは第三章以降では、サブプライムローンを機に破綻した金融システムの
崩壊と、近い将来の資本主義経済が終焉することを高らかに宣言しているものですから、
従来の金融システムにどっぷりつかって生きてきた方たちには到底受け入れられ
ないシナリオだろうと思いました。解決策のない深刻な問題は本当に気分が沈む
のですが、その打開策はご存知のとおりまだ見つかっていません。
著者は「江戸時代モデル」を提案していますがいまひとつ現実的ではないように
思います。これだけ世の中が複雑になってしまうと、どこかに舵を切ると利害の
衝突が起こって話が完全にストップしてしまうことはよく見かけます。
今までのような大量生産、大量消費はそう長くは続けられないことは理解でき
ましたが、中国人やインド人は納得せんだろうなぁ。
2011年7月9日に日本でレビュー済み
ここで言う「お金」は「貨幣」ではなく、「経済」を意味している。しかも、マクロ経済の話であり、一般人が実感するミクロではない。ここで使われている経済用語も正直言ってゆらぎが多数あり、経済書と言うよりもアジ演説として読むべきである。
それはそれとして、ありとあらゆる思いつきを詰め込んだので、なにが主題なのかよく分からない本であり、電車の中の暇つぶし本の位置づけだろうか。
それはそれとして、ありとあらゆる思いつきを詰め込んだので、なにが主題なのかよく分からない本であり、電車の中の暇つぶし本の位置づけだろうか。
2008年7月5日に日本でレビュー済み
軽い気持ちで読み始めた。でも、重い本だった。
私たちの貯蓄が金融経済と公的債務によって危険にさらされていることが、まず重いテーマであった。国債を「借金証文」とする、本質を突いた記述に目から鱗が落ちた。でも、さらにその議論は進む。
通貨の兌換制の放棄と負債の増大、化石燃料への依存と枯渇、資金循環と資源循環との矛盾。
様々な問題に飛びながら、「貨幣」の意味がどのように変わりそれがどのような問題を生んできたかを記述する。
かなりマクロな話の展開の中で、今日的な話題と普遍的な話題が論じられている。
最後には、エンデやゴアまで登場している。 一見複雑そうに見えて、漠然とした「貨幣不振」を抱いている人にとっては興味を持って読めるのではないだろうか。
ただ、基本がマクロ的な話が多いので、「じゃあ私はどうするの?」と思ったときに、何か結局残っている不安がある。そこが引っかかる。 まあそう思わせるところがこの著者の筆力なのだろう。
私たちの貯蓄が金融経済と公的債務によって危険にさらされていることが、まず重いテーマであった。国債を「借金証文」とする、本質を突いた記述に目から鱗が落ちた。でも、さらにその議論は進む。
通貨の兌換制の放棄と負債の増大、化石燃料への依存と枯渇、資金循環と資源循環との矛盾。
様々な問題に飛びながら、「貨幣」の意味がどのように変わりそれがどのような問題を生んできたかを記述する。
かなりマクロな話の展開の中で、今日的な話題と普遍的な話題が論じられている。
最後には、エンデやゴアまで登場している。 一見複雑そうに見えて、漠然とした「貨幣不振」を抱いている人にとっては興味を持って読めるのではないだろうか。
ただ、基本がマクロ的な話が多いので、「じゃあ私はどうするの?」と思ったときに、何か結局残っている不安がある。そこが引っかかる。 まあそう思わせるところがこの著者の筆力なのだろう。