19世紀末イギリスの詩人・アーネスト・ダウスンの、生涯と作品について論じた好著。
ダウスンの「伝説」、実際の生涯、作品の紹介、日本での受容と手際よく書かれている。あまり知られていない詩人だが、著者の思い入れと愛が伝わってきて、なかなか読ませる一冊であった。
こうして読んで見ると、実に綺麗な詩を書いた人だというのが分かる。恋の美しさと失礼の哀愁に満ちていて、「悲恋の詩人」というタイトルも伊達ではない。
日本での受容について、詳しく論じられているのも面白い。
ほかに日本語ではまとまった研究書がないだけに貴重な著作と言える。
同じく南條氏の編纂した『アーネスト・ダウスン作品集』(岩波文庫、2007年)と合わせて読むと良いだろう。
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悲恋の詩人ダウスン (集英社新書 445F) 新書 – 2008/5/16
南條 竹則
(著)
貧困と悲恋と不治の病と酒と、四拍子そろった“不幸なる詩人"の典型のようなダウスン。倦怠と絶望を歌うその詩は、彼の人生と見事な諧調を奏でている。ダウスンは“究極の詩人"だった!
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2008/5/16
- ISBN-104087204456
- ISBN-13978-4087204452
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商品の説明
著者について
南條 竹則(なんじょう たけのり)
一九五八年東京生まれ。作家。東京大学大学院英語英文学修士課程修了。学習院大学講師。比較文学を講ずる。『酒仙』(新潮社)で第五回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞。他の著書に『恐怖の黄金時代』『中華文人食物語』(以上集英社新書)、『満漢全席』(集英社文庫)、『魔法探偵』(集英社)、訳書に『アーネスト・ダウスン作品集』(岩波文庫)、『地獄―英国怪談中篇傑作集』(メディアファクトリー)など多数。
一九五八年東京生まれ。作家。東京大学大学院英語英文学修士課程修了。学習院大学講師。比較文学を講ずる。『酒仙』(新潮社)で第五回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞。他の著書に『恐怖の黄金時代』『中華文人食物語』(以上集英社新書)、『満漢全席』(集英社文庫)、『魔法探偵』(集英社)、訳書に『アーネスト・ダウスン作品集』(岩波文庫)、『地獄―英国怪談中篇傑作集』(メディアファクトリー)など多数。
登録情報
- 出版社 : 集英社 (2008/5/16)
- 発売日 : 2008/5/16
- 言語 : 日本語
- 新書 : 224ページ
- ISBN-10 : 4087204456
- ISBN-13 : 978-4087204452
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,029,305位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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2008年6月24日に日本でレビュー済み
アーネスト・ダウスンの名前は知っていたが、実際に作品を読んだのは初めてだった。
マーガレット・ミッチェルの「風とともに去りぬ」は、ダウスンの詩からの引用なのだとか。
われは多くをうち忘れ、シナラよ、風とさすらひて
世の人には群にまじはり狂ほしく薔薇を投げぬ、薔薇をば。
色香も失せし白百合の君が面影忘れんと舞ひつ踊りつ。
さはれ、かのむかしの恋に胸いたみ、こころはさびぬ、
そのをどりつねにながきに過ぎたれば。
われはわれとてひとすぢに恋ひわたりたる君なれば、
あはれシナラよ。(矢野峰人 訳)
まさに究極の「詩」である。デカダン? いや違う。もちろんシュールレアリスムでもない。
やるせないほどの慕情と叙情性、過去への悔恨……。
暗いのだが、気持ちが落ち込んでいかない。
いい詩を読んだときは、そういうものかもしれない。
マーガレット・ミッチェルの「風とともに去りぬ」は、ダウスンの詩からの引用なのだとか。
われは多くをうち忘れ、シナラよ、風とさすらひて
世の人には群にまじはり狂ほしく薔薇を投げぬ、薔薇をば。
色香も失せし白百合の君が面影忘れんと舞ひつ踊りつ。
さはれ、かのむかしの恋に胸いたみ、こころはさびぬ、
そのをどりつねにながきに過ぎたれば。
われはわれとてひとすぢに恋ひわたりたる君なれば、
あはれシナラよ。(矢野峰人 訳)
まさに究極の「詩」である。デカダン? いや違う。もちろんシュールレアリスムでもない。
やるせないほどの慕情と叙情性、過去への悔恨……。
暗いのだが、気持ちが落ち込んでいかない。
いい詩を読んだときは、そういうものかもしれない。
2009年11月3日に日本でレビュー済み
破綻する家族、不治の病、酒への耽溺、そしてむくわれない恋。薄幸の人生ではありますが、しかし、不幸でない詩人というものに我々は関心を懐くでしょうか。
アーネスト・ダウスン、“究極の詩人”。その名は世に広く知られているとは決して言えないでしょう。そんな詩人の儚い人生と美しい作品が紹介されています。
もしこの本を読んで興味をもたれたならば、ぜひ アーネスト・ダウスン作品集 (岩波文庫) も手に取ってください。そしておぼえていてあげてください、かつてこのような詩人がいたことと、その魂の輝きとでもいうべき美しい詩を。
アーネスト・ダウスン、“究極の詩人”。その名は世に広く知られているとは決して言えないでしょう。そんな詩人の儚い人生と美しい作品が紹介されています。
もしこの本を読んで興味をもたれたならば、ぜひ アーネスト・ダウスン作品集 (岩波文庫) も手に取ってください。そしておぼえていてあげてください、かつてこのような詩人がいたことと、その魂の輝きとでもいうべき美しい詩を。