「国がダメになっていくのはどういう時かといえば、
それは優先順位を間違えた時です」
大戦時日本は「相手を研究するどころか、相手側をどんどん遮断していく。
敵のことを知っている奴はスパイじゃないか、とまで言い出す。
敵の事を十分に知り己の力を知っていれば、百戦戦っても危なくない。
しかし、実際に日本の指導者や政府のやったことは
とにかく敵を憎むことであり、相手を知ることをまったく許さない」
と筑紫さんはこの本で述べています。
国家の存亡に関わる「原発」問題を後回し、近隣諸国との摩擦…
まさしく、今の日本のことです。
2008年に亡くなった筑紫さん。
2009年、出版されたこの本。
政権交代、東日本大震災、原発事故…いろんな事があったはずなのに
今の日本はこの本のラストで筑紫さんが生前危惧した通りの
「近隣諸国との関係が悪くなり、ナショナリズムが特に
若い世代にどんどん強まっていくという状況」になっています。
筑紫さんは「松岡洋右氏」についても言及しています。
「1932年満州国建設を日本の侵略だとする国際連盟の報告書を
「受け入れがたい」と国連脱退演説。日本人は拍手喝采。
デマコーグ的政治家の人気とり」
その後、日本は破滅的な戦争へと突き進む。
「この松岡氏の甥が岸信介と佐藤栄作、
その岸を尊敬し、岸が成し遂げれなかった憲法改正をやりたと思ったのが
岸の孫である安倍晋三です。
歴史はどこかでいろんなことがつながっております」
今、まさにそれを実感します。
筑紫さんを批判する人はいる、だが
果たして、今のメディアに筑紫さんのような存在がいるだろうか。
3.11以降、そして自民党が政権を取ってから益々にじみ出る
報道番組のTVのキャスターの後ろめたそうな表情
無理矢理作り笑いを浮かべるバラエティー番組の出演者、
どうでもいいような事が
トップニュースで延々と流れ
見ても見なくてもいいような番組で益々埋め尽くされ、
肝心な事を殆ど伝えないTV
何が伝えられているか、ということより
何が伝えられないか、と考えたほうが
今のこの国に起こっていることが
理解できるという悲しい状況。
2011年3月11日の直後
私は、この国がこの震災で傷ついた人々に寄り添い、
その人たちがいつか心の底から笑える国になってほしいと願った。
こんな被害を引き起こした原発を廃止、
新しい方向へ向かう国へと…
でも、あれから2年余り、どうしてこの国は、
それとは真逆な方向へと向かう
気味の悪い国へなってしまったのだろう。
あの時、皆は、この国がどういう国になってほしいと願ったのか。
今、この国は、その通りになっているのか、
この筑紫さんのラスト・メッセージを読んで
どうかもう一度考えてほしい。
そして、そうするにはどうすればよいか、行動してほしい。
政治家や政府は、投票にも行かず、何の意思表示もしない自分の事を
確実に投票に行く人たちの利益より、優先して一番に考えてくれる。
やっても無駄だと諦めたところで、そんなにひどいことにはならない。
大丈夫。
私はこんなありえない幻想を抱くことができない。
結局、「他人が、自分以上に自分の事を考えてくれるはず」などないのだから。
そして、この国は「自分の祖国」であり、
「国家」という、一部の人々がおいしい思いをし、
国民を不幸のどん底に陥れても、何の責任もとらなくてもよい、というシステムを
「愛する」のではなく
自分の周りの大切な「人々」、そして離れてはいても苦しみ、傷ついた
同じ国に生まれた「人々」を「愛する」のなら
一人一人が「この国をどうにかしていく」しかないと思います。
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若き友人たちへ ―筑紫哲也ラスト・メッセージ (集英社新書) 新書 – 2009/10/16
筑紫 哲也
(著)
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考えましょう。もっと幸せになっていいのです。
愛国主義は悪党の最後の隠れ家である。本書の中で筑紫さんが語る言葉の一つである。誰もが反対しづらい美辞麗句、思わず振り向いてしまう大きな声には注意が必要だ、という意味である。二〇〇三年から二〇〇八年にかけて、筑紫さんは早稲田大学と立命館大学で主に大学院生に向けた講座をもっていた。その中で再三伝えようとしたのは、情報や情緒に流されることなく自分の頭で考えることの素晴らしさであった。この一連の講義録をもとに、本書は構成された。「若き友人」を「日本人」と置き換えてもいい。筑紫哲也さんからの最後のメッセージである。
[著者情報]
筑紫 哲也(ちくし てつや)
一九三五年生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、朝日新聞社入社。政治部記者、ワシントン支局を経て「朝日ジャーナル」編集長。八九年に退社し、その後、ニュースキャスターに転じる。長らく「筑紫哲也 NEWS23」で親しまれる。著書に『ニュースキャスター』(集英社新書)『このくにの姿』『このくにの行方』等。二〇〇八年、逝去。
愛国主義は悪党の最後の隠れ家である。本書の中で筑紫さんが語る言葉の一つである。誰もが反対しづらい美辞麗句、思わず振り向いてしまう大きな声には注意が必要だ、という意味である。二〇〇三年から二〇〇八年にかけて、筑紫さんは早稲田大学と立命館大学で主に大学院生に向けた講座をもっていた。その中で再三伝えようとしたのは、情報や情緒に流されることなく自分の頭で考えることの素晴らしさであった。この一連の講義録をもとに、本書は構成された。「若き友人」を「日本人」と置き換えてもいい。筑紫哲也さんからの最後のメッセージである。
[著者情報]
筑紫 哲也(ちくし てつや)
一九三五年生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、朝日新聞社入社。政治部記者、ワシントン支局を経て「朝日ジャーナル」編集長。八九年に退社し、その後、ニュースキャスターに転じる。長らく「筑紫哲也 NEWS23」で親しまれる。著書に『ニュースキャスター』(集英社新書)『このくにの姿』『このくにの行方』等。二〇〇八年、逝去。
- ISBN-104087205150
- ISBN-13978-4087205152
- 出版社集英社
- 発売日2009/10/16
- 言語日本語
- 寸法10.6 x 1.4 x 17.3 cm
- 本の長さ256ページ
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商品の説明
著者について
筑紫 哲也(ちくし てつや)
一九三五年生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、朝日新聞社入社。政治部記者、ワシントン支局を経て「朝日ジャーナル」編集長。八九年に退社し、その後、ニュースキャスターに転じる。長らく「筑紫哲也 NEWS23」で親しまれる。著書に『ニュースキャスター』(集英社新書)『このくにの姿』『このくにの行方』等。
二〇〇八年、逝去。
一九三五年生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、朝日新聞社入社。政治部記者、ワシントン支局を経て「朝日ジャーナル」編集長。八九年に退社し、その後、ニュースキャスターに転じる。長らく「筑紫哲也 NEWS23」で親しまれる。著書に『ニュースキャスター』(集英社新書)『このくにの姿』『このくにの行方』等。
二〇〇八年、逝去。
登録情報
- 出版社 : 集英社 (2009/10/16)
- 発売日 : 2009/10/16
- 言語 : 日本語
- 新書 : 256ページ
- ISBN-10 : 4087205150
- ISBN-13 : 978-4087205152
- 寸法 : 10.6 x 1.4 x 17.3 cm
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年6月20日に日本でレビュー済み
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筑紫哲也さんこの本を完全に完成させていただきたかった!
特に教育に携わる若き教育者には読んでもらいたいものです。
特に教育に携わる若き教育者には読んでもらいたいものです。
2010年2月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
亡くなる直前。雑誌に掲載された2回分の原稿と、2つの大学で行った
講演。稀代のニュースキャスター、最後のメッセージである。
..そして、この10年ほどは場所を変えながらも、大学で教え
てきました。長崎、東京、京都というのが、私の教えてきた場所
です。もちろん、「本職」の教授たちとはちがって、キャスター
をやりながら、週末や昼間を使っての''素人教授'≠ナすが、素人
だからやれる乱暴もあります。
そういうさまざまな出会いのなかで、私が時々試みてきたこと
が二つあります。
ひとつは「夢」について、作文またはレポートを書いてもらう
ことです。
(中略)
では、もうひとつの試みとは何か。
それは手紙です。
たいてい学期末のしめくくりなどですが、普段のレポート、小
論文の代わりに、手紙を書いて提出するよう求めます。
手紙の相手はだれでもよい−。
(中略)
そういうことを若者たちに課しておいて、自分はどうなのか。
同じように、私も手紙を書け、と言われたら、だれに書くか−。
私は「あなた」に書こうと思う。
キャンパスでも、職場でも顔を合わせたことはないが、これか
ら「夢」を見たり、この社会を担っていくことになる、若い未知
の友人であるあなたへ。(P11)
手紙。個人から個人へ。私的な思い,感情..。
あとがきには、著者の高校生の頃の文章が収録されている。最後のメッ
セージのあとがきが、若かりし頃の最初のメッセージ。粋な計らいだ。
講演。稀代のニュースキャスター、最後のメッセージである。
..そして、この10年ほどは場所を変えながらも、大学で教え
てきました。長崎、東京、京都というのが、私の教えてきた場所
です。もちろん、「本職」の教授たちとはちがって、キャスター
をやりながら、週末や昼間を使っての''素人教授'≠ナすが、素人
だからやれる乱暴もあります。
そういうさまざまな出会いのなかで、私が時々試みてきたこと
が二つあります。
ひとつは「夢」について、作文またはレポートを書いてもらう
ことです。
(中略)
では、もうひとつの試みとは何か。
それは手紙です。
たいてい学期末のしめくくりなどですが、普段のレポート、小
論文の代わりに、手紙を書いて提出するよう求めます。
手紙の相手はだれでもよい−。
(中略)
そういうことを若者たちに課しておいて、自分はどうなのか。
同じように、私も手紙を書け、と言われたら、だれに書くか−。
私は「あなた」に書こうと思う。
キャンパスでも、職場でも顔を合わせたことはないが、これか
ら「夢」を見たり、この社会を担っていくことになる、若い未知
の友人であるあなたへ。(P11)
手紙。個人から個人へ。私的な思い,感情..。
あとがきには、著者の高校生の頃の文章が収録されている。最後のメッ
セージのあとがきが、若かりし頃の最初のメッセージ。粋な計らいだ。
2010年3月2日に日本でレビュー済み
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今の日本に対する筑紫哲也さんの熱い思いが、搾りだされています。しかし、ジャーナリストとして、伝えたいことを伝えきれず、旅立たざるをえなかった筑紫さんにとっては、歯噛みするような心情だったのではないでしょうか。もっともっと日本に発信し続けて欲しかった。これから筑紫さんの著書を読破します。
2019年12月5日に日本でレビュー済み
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心待ちにしていましたが、表紙に血の跡?カビ?のような汚れが付いていてがっかりしました。
交換手続きをしましたが、そういった手間を考えると、書店で購入した方がロスが少ないのかもしれません。今後は、購入を考えます。
交換手続きをしましたが、そういった手間を考えると、書店で購入した方がロスが少ないのかもしれません。今後は、購入を考えます。
2010年1月25日に日本でレビュー済み
基本的に筑紫が大学とかで講義したことを受けて買いた本、って感じですかね。だから、筑紫の思想に沿った文章がずーっと続いてる感じです。
この点については賛否いろいろあると思うし、私も論評を差し控えたいなと思います。
おそらくこの本は、これを読んで筑紫の言説を盲目的に信じるのではなく、どちらかというとこれを読んだ上で考えて、信じるなら信じる、批判するなら批判するって感じで読むものなのかな、って思います。そう考えないとあえて「メッセージ」として託すようなスタンスで書く必要がないんですよね。
そう考えると、託された私たちが、この本の内容をどう考えるか、が重要なのかな、って気がします。
そういう意味では筑紫哲也のゴールラインってよりも、筑紫を受けて私たちがいろいろと考えるスタートラインのようなものなのかな、って思います。
そういう意味では筑紫は最後の最後になかなかなテキストブックを残してくれた、って感じです。
この点については賛否いろいろあると思うし、私も論評を差し控えたいなと思います。
おそらくこの本は、これを読んで筑紫の言説を盲目的に信じるのではなく、どちらかというとこれを読んだ上で考えて、信じるなら信じる、批判するなら批判するって感じで読むものなのかな、って思います。そう考えないとあえて「メッセージ」として託すようなスタンスで書く必要がないんですよね。
そう考えると、託された私たちが、この本の内容をどう考えるか、が重要なのかな、って気がします。
そういう意味では筑紫哲也のゴールラインってよりも、筑紫を受けて私たちがいろいろと考えるスタートラインのようなものなのかな、って思います。
そういう意味では筑紫は最後の最後になかなかなテキストブックを残してくれた、って感じです。
2009年11月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
筑紫哲也が死んだとき、惜しい人を亡くしたと思ったが、1年が経ち、この本を読み、日本は本当に大切な人を失ったのだと、あらためて思いました。
2015年11月12日に日本でレビュー済み
この本はもう何度も読み返しています。なぜか私へ向けてのメッセージのように思ってしまって…。たくさんの勇気をもらいました。行動を躊躇している自分の背中を押してもらいました。今更ですが感謝申し上げます。ありがとうございました。