以前から戦場のジャーナリストという生き方に対して、強烈な関心があるので読んでみました。
著者が世間で有名になったのは、アルカイダかISISといったテロリストに誘拐されてからだと記憶しており、その当時はその誘拐体験を利用した安直な売名行為がジャーナリストは好きになれなかったのですが、タイトルと概要紹介を見て関心を持ち、読んでみました。
前半は、イラクに入るまでのどうでもいい詳細な旅行記(危険を冒しながら戦地に向かうワクワク感や自己陶酔感的な記載)がチープでバカらしく思いましたが、段々イラクに入るころ~入ってからの記載が非常に重みを増してきて文章に引き込まれます。
読み終えるころには、著者の文章の重さ・ジャーナリストとしてのプロフェッショナルの矜持・本物の信念といったものが感じられ、尊敬の念を抱くまでになりました。
平和ボケでゆでガエルのように惰性に生きたまま「豊かに生きるすべがない」と勝手に自身の機会のなさに絶望するより、夢の一戸建てを建てるためにネパール人などと同様に貧しい国から命かけてイラクにやってきて自らの人生を切り拓く勇気ある生き方を提唱しているのは、私も個人的には非常に共感を覚えました。
著者の別の本も読んでみたくなりました。
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ルポ 戦場出稼ぎ労働者 (集英社新書) 新書 – 2010/3/17
安田 純平
(著)
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世界中から集められる、貧しい派遣労働者たち!
自ら出稼ぎ労働者となり、単独潜入取材した記録!
民営化の果て、その現場とは?
現代の民営化が進む戦争では、世界中の貧しい人々が集められ、基地や建設現場などの危険地帯に派遣され、労働者として働いている。こうした出稼ぎ労働者なしでは、もはや軍事的なオペレーションは、成立し得ないのだ。
著者は自ら出稼ぎ労働者となり、イラク軍基地訓練施設に単独で潜入した。グローバル化世界における、世界の貧困を前提にした戦争ビジネス、その実態に迫った貴重なルポルタージュ。
[著者情報]
安田 純平(やすだ じゅんぺい)
一九七四年埼玉県出身。ジャーナリスト。一橋大学社会学部卒業。一九九七年より信濃毎日新聞記者として、北アルプスし尿処理問題や脳死肝移植などを担当。二〇〇三年よりフリー。二〇〇二年よりイラクを取材し、二〇〇四年の取材中に地元武装自警団に拘束される。著書に『囚われのイラク』『誰が私を「人質」にしたのか』など。
自ら出稼ぎ労働者となり、単独潜入取材した記録!
民営化の果て、その現場とは?
現代の民営化が進む戦争では、世界中の貧しい人々が集められ、基地や建設現場などの危険地帯に派遣され、労働者として働いている。こうした出稼ぎ労働者なしでは、もはや軍事的なオペレーションは、成立し得ないのだ。
著者は自ら出稼ぎ労働者となり、イラク軍基地訓練施設に単独で潜入した。グローバル化世界における、世界の貧困を前提にした戦争ビジネス、その実態に迫った貴重なルポルタージュ。
[著者情報]
安田 純平(やすだ じゅんぺい)
一九七四年埼玉県出身。ジャーナリスト。一橋大学社会学部卒業。一九九七年より信濃毎日新聞記者として、北アルプスし尿処理問題や脳死肝移植などを担当。二〇〇三年よりフリー。二〇〇二年よりイラクを取材し、二〇〇四年の取材中に地元武装自警団に拘束される。著書に『囚われのイラク』『誰が私を「人質」にしたのか』など。
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2010/3/17
- 寸法10.6 x 1.2 x 17.3 cm
- ISBN-104087205363
- ISBN-13978-4087205367
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2010/3/17)
- 発売日 : 2010/3/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 256ページ
- ISBN-10 : 4087205363
- ISBN-13 : 978-4087205367
- 寸法 : 10.6 x 1.2 x 17.3 cm
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- カスタマーレビュー:
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2021年8月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2010年5月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者自らが単独でイラクの基地訓練施設に労働に従事するコックとして潜入し、民営化が進む軍事オペレーションをウォッチングしてきた顛末記です。
ルポルタージュとしては、まだまだ中途半端に未熟な感じであり、本書は底辺から実体験してきた現地事情に関して、肌で感じたことを綴ったものです。
大よそはイラクに派遣された出稼ぎ労働者を中心として、軍事民営化が進んでいる実態を捉えようとしたんだと思いますが、あまりにも現場に入り込んでしまって、社会問題として提起すべくコンテンツまで入り込めていないようです。
ただ、かなりのリスクを冒してまで潜入したことは、その若さゆえの勇気があることと言えるのかもしれませんが、諸手を挙げて賛成できる行為ではないかもしれません。
それと、著者はやはり2004年の拘束事件のことを引きずっており、言葉の端々に弁解するような言い訳が残存していますが、一刻も早く脱皮するのが好ましいと思います。
単に、爆撃される模様を実体験したかったかのように思われるところが散見し、軍事民営化に関して、どのような仕組みでオペレーションされているのかといった根幹部分を捉えれば、それこそ貴重なルポとなったことと思われます。
著者のルポといった著作意図に反していることとは思いますが、基地訓練施設でコックとして創意工夫の元、勤勉に働いて、そのうちにシェフになってしまったことや、従業員等との葛藤や交渉などの交流模様を描いているところは、現地事情がリアルに読み取れ、興味深いところとなっています。
ルポルタージュとしては、まだまだ中途半端に未熟な感じであり、本書は底辺から実体験してきた現地事情に関して、肌で感じたことを綴ったものです。
大よそはイラクに派遣された出稼ぎ労働者を中心として、軍事民営化が進んでいる実態を捉えようとしたんだと思いますが、あまりにも現場に入り込んでしまって、社会問題として提起すべくコンテンツまで入り込めていないようです。
ただ、かなりのリスクを冒してまで潜入したことは、その若さゆえの勇気があることと言えるのかもしれませんが、諸手を挙げて賛成できる行為ではないかもしれません。
それと、著者はやはり2004年の拘束事件のことを引きずっており、言葉の端々に弁解するような言い訳が残存していますが、一刻も早く脱皮するのが好ましいと思います。
単に、爆撃される模様を実体験したかったかのように思われるところが散見し、軍事民営化に関して、どのような仕組みでオペレーションされているのかといった根幹部分を捉えれば、それこそ貴重なルポとなったことと思われます。
著者のルポといった著作意図に反していることとは思いますが、基地訓練施設でコックとして創意工夫の元、勤勉に働いて、そのうちにシェフになってしまったことや、従業員等との葛藤や交渉などの交流模様を描いているところは、現地事情がリアルに読み取れ、興味深いところとなっています。
2016年1月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
筆者の名前に聞き覚えがあるのは、2004年4月、イラクを取材中に現地の武装勢力に拘束されて、
国内で自己責任論を引き起こした人物であるからであった。
この自己責任論の欺瞞については、本書や「誰がを『人質』にしたのか」(PHP研究所、2004年)の中で
筆者が詳述しているので、そちらを参考にしてもらいたい。
筆者はイラク戦争の激戦地であるイラクのディワニヤで基地建設現場や民間軍事会社事務所などイラク軍関連施設で
コックとして働きながら、戦時下の戦況やイラク人などの現地の戦場労働者の実情や、彼らのイラク戦争に対する戦争観など
生の声を多く取り上げた。本書は戦争の一面をリアルに克写した迫真のルポルタージュである。
日本国内の大手新聞社は危険な現地に自社の記者を派遣しない。
だから、大手紙の紙面を読んでいても、自分の目で見て、肌で感じる、空気が伝わらず、戦争に反対する論調でも
安全な場所から発信される、「べき」論の理想論が多く、違和感をぬぐえない。
したがって戦争記者や戦争カメラマンの視点で見た戦争の現場を知るには、
安田氏のようなフリージャーナリストの取材に頼らざるを得ない。
彼らは、自らの生の体体を危険に晒して、命を賭けてより戦場の現場になるべく近いところに身を置く。
したがって、拘束される危険性も増す。その献身的な情熱に敬意を表したい。
本書については、安全なところでぬくぬくとしている私の論評よりも、
こうしたレビューではご法度になることを承知で
本書で一番グッときた部分を直接引用することで、魅力を伝えたい。
2004年に安田氏をイラクで拘束したのは、
地元の町民や農民などの一般人と彼らを指揮する元軍人や元警察官などで、
拘束中に近所から子どもなどが見物に来ていたという。こうした経験を踏まえて書かれたテロリスト論を以下紹介したい。
「テロリスト」ならば、周囲も含めて無条件に殺してよいのが「対テロ戦争」だ。その「テロリスト」とは誰なのか、という問題は「対テロ戦争」取材の最重要テーマである。
「テロリズム」とは、『大辞泉』によれば「政治的目的を達成するために、暗殺・暴行・粛清・破壊活動など直接的な暴力やその脅威に訴える主義」とされているが、具体的な定義はされていない。「対テロ戦争」を推進している日本の外務省ですら、ホームページに「国際的なテロの定義というものはない」と明記している。
本来、いかなる凶悪犯であれ、裁判を行い、証拠を示し、反論の機会を与え、日本ならば二度まで異議を唱えることも認めた上で、本当にその人に対して必要であると判断されなければ軽微な刑罰すら与えることはできない。罰を与えて人権を制限するためにはそれだけの手続きが必要なのだ。しかし、「テロリスト」にはそれを必要とされておらず、政府側が疑いを抱けばそれで殺してよいことになっている。その定義すらされていないということは、事実上、政府が誰に対してでも当てはめて自由に処刑できるということだ。逆らう者は「テロリスト」として殺せばよい。「対テロ戦争」の最大の意義はこれである。
米軍に家族を殺され、何の証拠も示されずに突然拘束されて拷問・虐待されたイラク人と、彼らを支える地元住民が「テロリスト」とされていることを、拘束という自らの体験で確認したとき、「テロ」という曖昧で不気味な言葉を使うことによって人を人でなくしていく「対テロ戦争」の本質を見ることができた。「テロリスト」という言葉を使うということは、無条件に殺されてしかるべきだ、と判定を下すに等しい。人として、報道に携わる者として、私は「テロ」「テロリスト」という言葉を使うべきではないと拘束経験を通して改めて確認した。
安田氏の定義に反するが、
イラクとシリアのISIS(イスラム国)は「テロリスト」集団とみなしてもさしつかえがないと私個人は判断している。
ただ、もし今後アメリカなどの有志連合がイラク・シリアに地上軍を派遣した場合、
多くの住民が巻き添えを食って、または「テロリスト」とみなされて殺されるだろう。
いや、すでに有志連合は空爆によって多数の無辜の住民を殺している。
「テロリスト」という言葉は戦時において人権を守る多くの国際法が適用されない人々を意味する。
なぜなら、国際法は国家と国家との間で交わされたものであり、西欧諸国がISISを国家と認めない以上、
この戦争を通して発生する犠牲者の人権は無きに等しいからだ。
こうした議論をすると、必ず起こる反論が以下のようなものだ。
「お前はISISを擁護している」「お前はテロリストの味方か」
そうではない。私が言いたいのは次の一点だけだ。
「対テロ戦争」の大義名分の影に隠された多くの一般人の犠牲者の存在から私たちは目を背けてはならない。
本書はイラク戦争当時のものであるが、現在のイラクやシリアで何が起こっているかを知る上で、
参考になる重要資料であることは疑いない。
国内で自己責任論を引き起こした人物であるからであった。
この自己責任論の欺瞞については、本書や「誰がを『人質』にしたのか」(PHP研究所、2004年)の中で
筆者が詳述しているので、そちらを参考にしてもらいたい。
筆者はイラク戦争の激戦地であるイラクのディワニヤで基地建設現場や民間軍事会社事務所などイラク軍関連施設で
コックとして働きながら、戦時下の戦況やイラク人などの現地の戦場労働者の実情や、彼らのイラク戦争に対する戦争観など
生の声を多く取り上げた。本書は戦争の一面をリアルに克写した迫真のルポルタージュである。
日本国内の大手新聞社は危険な現地に自社の記者を派遣しない。
だから、大手紙の紙面を読んでいても、自分の目で見て、肌で感じる、空気が伝わらず、戦争に反対する論調でも
安全な場所から発信される、「べき」論の理想論が多く、違和感をぬぐえない。
したがって戦争記者や戦争カメラマンの視点で見た戦争の現場を知るには、
安田氏のようなフリージャーナリストの取材に頼らざるを得ない。
彼らは、自らの生の体体を危険に晒して、命を賭けてより戦場の現場になるべく近いところに身を置く。
したがって、拘束される危険性も増す。その献身的な情熱に敬意を表したい。
本書については、安全なところでぬくぬくとしている私の論評よりも、
こうしたレビューではご法度になることを承知で
本書で一番グッときた部分を直接引用することで、魅力を伝えたい。
2004年に安田氏をイラクで拘束したのは、
地元の町民や農民などの一般人と彼らを指揮する元軍人や元警察官などで、
拘束中に近所から子どもなどが見物に来ていたという。こうした経験を踏まえて書かれたテロリスト論を以下紹介したい。
「テロリスト」ならば、周囲も含めて無条件に殺してよいのが「対テロ戦争」だ。その「テロリスト」とは誰なのか、という問題は「対テロ戦争」取材の最重要テーマである。
「テロリズム」とは、『大辞泉』によれば「政治的目的を達成するために、暗殺・暴行・粛清・破壊活動など直接的な暴力やその脅威に訴える主義」とされているが、具体的な定義はされていない。「対テロ戦争」を推進している日本の外務省ですら、ホームページに「国際的なテロの定義というものはない」と明記している。
本来、いかなる凶悪犯であれ、裁判を行い、証拠を示し、反論の機会を与え、日本ならば二度まで異議を唱えることも認めた上で、本当にその人に対して必要であると判断されなければ軽微な刑罰すら与えることはできない。罰を与えて人権を制限するためにはそれだけの手続きが必要なのだ。しかし、「テロリスト」にはそれを必要とされておらず、政府側が疑いを抱けばそれで殺してよいことになっている。その定義すらされていないということは、事実上、政府が誰に対してでも当てはめて自由に処刑できるということだ。逆らう者は「テロリスト」として殺せばよい。「対テロ戦争」の最大の意義はこれである。
米軍に家族を殺され、何の証拠も示されずに突然拘束されて拷問・虐待されたイラク人と、彼らを支える地元住民が「テロリスト」とされていることを、拘束という自らの体験で確認したとき、「テロ」という曖昧で不気味な言葉を使うことによって人を人でなくしていく「対テロ戦争」の本質を見ることができた。「テロリスト」という言葉を使うということは、無条件に殺されてしかるべきだ、と判定を下すに等しい。人として、報道に携わる者として、私は「テロ」「テロリスト」という言葉を使うべきではないと拘束経験を通して改めて確認した。
安田氏の定義に反するが、
イラクとシリアのISIS(イスラム国)は「テロリスト」集団とみなしてもさしつかえがないと私個人は判断している。
ただ、もし今後アメリカなどの有志連合がイラク・シリアに地上軍を派遣した場合、
多くの住民が巻き添えを食って、または「テロリスト」とみなされて殺されるだろう。
いや、すでに有志連合は空爆によって多数の無辜の住民を殺している。
「テロリスト」という言葉は戦時において人権を守る多くの国際法が適用されない人々を意味する。
なぜなら、国際法は国家と国家との間で交わされたものであり、西欧諸国がISISを国家と認めない以上、
この戦争を通して発生する犠牲者の人権は無きに等しいからだ。
こうした議論をすると、必ず起こる反論が以下のようなものだ。
「お前はISISを擁護している」「お前はテロリストの味方か」
そうではない。私が言いたいのは次の一点だけだ。
「対テロ戦争」の大義名分の影に隠された多くの一般人の犠牲者の存在から私たちは目を背けてはならない。
本書はイラク戦争当時のものであるが、現在のイラクやシリアで何が起こっているかを知る上で、
参考になる重要資料であることは疑いない。
2019年3月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「出稼ぎ労働者」というワードに魅かれて購入したところ、たまたま安田氏の本だった。「戦場」とタイトルにあるが、グローバルな求職や労働の一要素としての戦場、という印象を受けた。本書の初版は2010年。ここ2~3年で、日本に引きこもっていても「押しかけグローバル」化でどんどんひらけていった現在、ようやくこの本に、日本の時代が追いついた感じがする。人はどういう動機で世界のどんなところに仕事を求め、どういうふうに仕事につくのか、ということについて、いわゆる研究書ではなく、普通の働く人の目線から知ることができる本。激しくおすすめ。
2016年3月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1人の戦闘員を、100人で後方支援するのが軍隊というもの。後方支援業務の多くは民間企業に外注され、外国からの出稼ぎ労働者が担っている。そんな労働者のひとりとして、実際に戦場で働いた著者の体験記。
経済格差を燃料として遂行される戦争の一断面。。。掃除、洗濯、料理など、一般社会と大差ない労働に、戦争への参加意識もなく、あくまでも「出稼ぎ」として従事する労働者の姿がリアルに語られています。
著者の安田氏がシリアで拘束されたという情報が流れています。過去にイラクで拘束された経験もあるのに、またシリアに行くんだから、自己責任と言いたくなる人の気持も分からなくはありません。ただ、個人的には、安田さんのシリア取材記をぜひ読みたいと思っています。
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経済格差を燃料として遂行される戦争の一断面。。。掃除、洗濯、料理など、一般社会と大差ない労働に、戦争への参加意識もなく、あくまでも「出稼ぎ」として従事する労働者の姿がリアルに語られています。
著者の安田氏がシリアで拘束されたという情報が流れています。過去にイラクで拘束された経験もあるのに、またシリアに行くんだから、自己責任と言いたくなる人の気持も分からなくはありません。ただ、個人的には、安田さんのシリア取材記をぜひ読みたいと思っています。
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2010年3月29日に日本でレビュー済み
月給10万円でイラクの激戦地の工事現場の料理人を半年務め上げた記録である本書は2つの意味ですごい。まず、平和主義の我が国で、機密の多い戦争の内部に入り込むのは困難を極める。内部の視点から「戦争の民営化」が書かれた、という意味で貴重である。そして、厳格な入国管理で公用以外の入国がほぼ不可能で、ニュース価値が減じた上に危険極まりない中で、日本人ジャーナリストもいないイラクとイラク人を3年前、移動の自由が一切なかったとはいえ1年継続的に見続けた点である。
イラク戦争の末端を担う出稼ぎ労働者の実情を知りたい著者は、和食の料理人経験を偽り、アシスタントシェフとして取材の意図を隠しながら働く。料理人としての日々の仕事内容記述と、ジャーナリストとして、同僚のイラク人やネパール人たちへのインタビューや、50メートル四方の居住区周辺から見える状況の取材という二つの柱からなっている。周りは一面砂漠の居住区からは危険なので、ほとんど出られないし、爆弾が数百メートル先に着弾するし、夏は気温50度。砂上の牢獄といってもいい精神的に参ってしまいそうな空間で著者は毎日12時間働く。後半は給料の遅配、ボスに昇進してからの運営状況の記述、撤収時のイラク人の略奪など、読むほどにイラクの希望のかけらもない現実をいやというほど思い知らされる。「反米民兵をしているイラク人スタッフもいるから、基地内のイラク人も一切信用するな」というコマンダーの注意は象徴的だろう。
元人質の汚名を着せられた著者がイラク報道への関心を持ち続けていたことに感心した。数十四方メートルの空間から、イラク人と外国人の埋めようのない相互不信、無法地帯ぶり、過酷すぎる生活環境など、様々なイラクの現実が浮き彫りにされていて、優れたイラク戦争のジャーナリズムとして読める。「約1年をかけた非常に濃い内容で新書」、というCPも勘案して☆5。
イラク戦争の末端を担う出稼ぎ労働者の実情を知りたい著者は、和食の料理人経験を偽り、アシスタントシェフとして取材の意図を隠しながら働く。料理人としての日々の仕事内容記述と、ジャーナリストとして、同僚のイラク人やネパール人たちへのインタビューや、50メートル四方の居住区周辺から見える状況の取材という二つの柱からなっている。周りは一面砂漠の居住区からは危険なので、ほとんど出られないし、爆弾が数百メートル先に着弾するし、夏は気温50度。砂上の牢獄といってもいい精神的に参ってしまいそうな空間で著者は毎日12時間働く。後半は給料の遅配、ボスに昇進してからの運営状況の記述、撤収時のイラク人の略奪など、読むほどにイラクの希望のかけらもない現実をいやというほど思い知らされる。「反米民兵をしているイラク人スタッフもいるから、基地内のイラク人も一切信用するな」というコマンダーの注意は象徴的だろう。
元人質の汚名を着せられた著者がイラク報道への関心を持ち続けていたことに感心した。数十四方メートルの空間から、イラク人と外国人の埋めようのない相互不信、無法地帯ぶり、過酷すぎる生活環境など、様々なイラクの現実が浮き彫りにされていて、優れたイラク戦争のジャーナリズムとして読める。「約1年をかけた非常に濃い内容で新書」、というCPも勘案して☆5。
2016年3月17日に日本でレビュー済み
散々日本に迷惑をかけて死ねて安田さんも思い残すことはないと思います
是が非でも日本を貶めたいという強い反日精神を持ち続けた意志のとても強い人でした
日本を「チキン国家」と表現するなどアナキストとしての活動もしておられました
自分をシリアから退避させようとすることだけでなく、シリアで過激派組織に拘束された自分を助けられなかったということで日本がチキン国家であることを表現しようとする体を張ったギャグには感心しました
改めてご冥福をお祈りいたします
当書は反日に殉じた素晴らしい左翼の遺作です
ぜひご一読を
是が非でも日本を貶めたいという強い反日精神を持ち続けた意志のとても強い人でした
日本を「チキン国家」と表現するなどアナキストとしての活動もしておられました
自分をシリアから退避させようとすることだけでなく、シリアで過激派組織に拘束された自分を助けられなかったということで日本がチキン国家であることを表現しようとする体を張ったギャグには感心しました
改めてご冥福をお祈りいたします
当書は反日に殉じた素晴らしい左翼の遺作です
ぜひご一読を