文章は文句なしにうまく、ぐいぐい引き込まれます。個人的に一番好きなのは、貧困や汚さの表現。
あまりに巧みで、文章をそのまま想像してしまうと不潔さで気持ち悪くなってしまうので、
途中から背景描写を読むときは意識的に連想をやめていたほどでした。
ラストがやや王道すぎはしますが、ああしないと終わらなかった話なのはわかります。
ただ、後半収録の対談…ほとんど瀬戸内寂聴が自分の経験についてしゃべっているだけでした。
田中慎弥が瀬戸内さんの接待をしてあげているようにも思えるくらい、田中慎弥の話が少ない笑。
せっかく『共喰い』についてる対談なのだから、もうちょっと作品内容について話してくれればよかったな。
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共喰い (集英社文庫) 文庫 – 2013/1/18
田中 慎弥
(著)
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話題の芥川賞受賞作、文庫化!
セックスのときに女を殴る父と右手が義手の母。自分は父とは違うと思えば思うほど、遠馬は血のしがらみに翻弄されて──。映画化が決定した、第146回芥川賞受賞作。瀬戸内寂聴氏との対談を新たに収録。
セックスのときに女を殴る父と右手が義手の母。自分は父とは違うと思えば思うほど、遠馬は血のしがらみに翻弄されて──。映画化が決定した、第146回芥川賞受賞作。瀬戸内寂聴氏との対談を新たに収録。
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2013/1/18
- 寸法10.8 x 1.1 x 15.2 cm
- ISBN-104087450236
- ISBN-13978-4087450231
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2013/1/18)
- 発売日 : 2013/1/18
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 208ページ
- ISBN-10 : 4087450236
- ISBN-13 : 978-4087450231
- 寸法 : 10.8 x 1.1 x 15.2 cm
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2019年11月17日に日本でレビュー済み
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2023年10月11日に日本でレビュー済み
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着想種とでも言ったらいいのか、この小説で小説を書こうとする人の何らかのヒントになるという確率は、他の人の小説よりも高いのではないかと、ふと妙な事を思った。尚評価ポイントは3.6といった所で、四捨五入して4とさせてもらいました。
2023年6月18日に日本でレビュー済み
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本自体が思っていたものと少し違っていましたが、不満ではありません。機会がありましたらまた宜しくお願いします。
2021年4月11日に日本でレビュー済み
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芥川賞受賞作会見の印象が残っており、期待して読みました。始めから最後まで「性と暴力」について書かれており、ときおり不快な気分になりました。しかし、最後のシーンだけ共感でき、やはしこうした物語はこういう終わり方が一番良いのかと感じました。
2020年8月29日に日本でレビュー済み
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人の内面にあるどす黒いものを、美しい文体にのせて浮かび上がらせていると感じました。読んでて楽しくなるようなことはないのですが、読むのが病みつきになり止まらない。
主人公の母親の振る舞いは、最初から最後まで切ないものがあった。
主人公の母親の振る舞いは、最初から最後まで切ないものがあった。
2021年11月14日に日本でレビュー済み
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中上健次を思わせる展開であるが、全く違う。
設定や展開が安易、表現がぎこちなく迫って来ない。
リタイア寸前の某女流賞選考委員の「都会で浮遊する若者に較べて、地方の若者は質量が大きい。・・」には寒々として苦笑してしまった。この程度にしか読んでいないのか。
設定や展開が安易、表現がぎこちなく迫って来ない。
リタイア寸前の某女流賞選考委員の「都会で浮遊する若者に較べて、地方の若者は質量が大きい。・・」には寒々として苦笑してしまった。この程度にしか読んでいないのか。
2018年2月10日に日本でレビュー済み
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第146回(2011年下半期)芥川賞受賞作。受賞会見時の「もらっといてやる」発言で一躍有名になった作品かと思う(候補4回、5回目で受賞)。だが読み始めると、作者のパフォーマンスはどこかへ消えてしまっていた。
人間の情念を根こそぎ絡めとるような文体と、作品の随所にあふれる詩的なイメージ等、そこには正統な文学世界が広がっていた。テーマは「性と暴力」、そして逃れようのない「血」の問題である。中上健次や村上龍を引合いに出すまでもなく、それ自体は今までさんざん純文学で取り上げられてきたテーマだ。とりわけ新しさが求められる芥川賞においては十分マイナスになり得る主題だが、田中氏は見事にそのハードルを越えてみせた。
作品の舞台は、昭和63年の山口県下関市。昭和の終わりそうなこの時期、地方の田舎町はまだまだ寂れていたことがよく分かる。下水処理もままならない川辺での庶民の暮らしが、執拗なほど粘り気のある文体で描かれている。
主人公の遠馬は17歳の高校生。父母はもう離婚しており、現在は父と、その後妻である琴子と3人で暮らしている。遠馬の実の母親である仁子は、実家近くで魚屋を営んでいる。どちらも、わずかばかりの稼ぎで糊口を凌ぐような、つましい暮らしだ。
父親には、ある性癖があった。セックスのときになると、女を殴り、首を絞めるのだ。遠馬はそんな父親が嫌いだった。ある時、遠馬が琴子に、なぜ別れないのか訊ねたことがある。「うちの体がすごいええんて、殴ったら、もっとようなるんて」。女は笑って答えた。頭の悪そうな女。男の歪んだ愛情がなければ、生きられないような女。
遠馬には同い年の恋人、千種がいる。会うたびにセックスをする間柄だが、次第に遠馬の欲望がエスカレートしてゆく。気がつけば、愛する千種に父親と同じことをしている自分がいた。
嫌いな人に、だんだん似てきてしまう。
それが実の父親で、人が人を愛するという根源的な営みの中に、図らずも父親の影を見てしまう。残酷である。少年の無垢な心が映し出す世界の惨たらしさに、読後感はあまり良くないが、作者の書かざるを得ない切迫感はひしひしと感じられた。名作だと思う。
人間の情念を根こそぎ絡めとるような文体と、作品の随所にあふれる詩的なイメージ等、そこには正統な文学世界が広がっていた。テーマは「性と暴力」、そして逃れようのない「血」の問題である。中上健次や村上龍を引合いに出すまでもなく、それ自体は今までさんざん純文学で取り上げられてきたテーマだ。とりわけ新しさが求められる芥川賞においては十分マイナスになり得る主題だが、田中氏は見事にそのハードルを越えてみせた。
作品の舞台は、昭和63年の山口県下関市。昭和の終わりそうなこの時期、地方の田舎町はまだまだ寂れていたことがよく分かる。下水処理もままならない川辺での庶民の暮らしが、執拗なほど粘り気のある文体で描かれている。
主人公の遠馬は17歳の高校生。父母はもう離婚しており、現在は父と、その後妻である琴子と3人で暮らしている。遠馬の実の母親である仁子は、実家近くで魚屋を営んでいる。どちらも、わずかばかりの稼ぎで糊口を凌ぐような、つましい暮らしだ。
父親には、ある性癖があった。セックスのときになると、女を殴り、首を絞めるのだ。遠馬はそんな父親が嫌いだった。ある時、遠馬が琴子に、なぜ別れないのか訊ねたことがある。「うちの体がすごいええんて、殴ったら、もっとようなるんて」。女は笑って答えた。頭の悪そうな女。男の歪んだ愛情がなければ、生きられないような女。
遠馬には同い年の恋人、千種がいる。会うたびにセックスをする間柄だが、次第に遠馬の欲望がエスカレートしてゆく。気がつけば、愛する千種に父親と同じことをしている自分がいた。
嫌いな人に、だんだん似てきてしまう。
それが実の父親で、人が人を愛するという根源的な営みの中に、図らずも父親の影を見てしまう。残酷である。少年の無垢な心が映し出す世界の惨たらしさに、読後感はあまり良くないが、作者の書かざるを得ない切迫感はひしひしと感じられた。名作だと思う。
2020年4月15日に日本でレビュー済み
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