落語、漫才、ピン芸人、古典落語と創作落語などを、リズム、コンビネーション、客層、客席とのつながりなどの面で分析して、描き分けています。聴く側についても「そういえば、そういうつもりで聞いてるよな」って気づかされます。ジャズが登場する場面はわずかなのですが、それ以外の部分も、デュオ、弾き語り、オーソドックスジャズと前衛ジャズ という風に置き換えて読んでいくと理解しやすいです。
それぞれの単元が古典落語の名作を下敷きに書かれていて、月亭八天さんが冒頭で簡潔に解説してくれています。元の落語の世界と、この小説の世界の重なりが不思議な空間を生み出しています。
「事件」「謎解き」のある推理小説ではあるのですが、やっぱりこの本も基本は人情ばなしです。
落語とジャズが裏表として同居し,人情味あふれる魅力的な登場人物に会える「田中啓文の世界」の落語側の本書を読んでいると、著者のジャズ側の「永見緋太郎――」がまた読みたくなりました。
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笑酔亭梅寿謎解噺 1 ハナシがちがう! (集英社文庫) 文庫 – 2006/8/18
田中 啓文
(著)
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不良少年と老噺家、笑いと涙の落語ミステリー!
無理矢理落語家に弟子入りさせられた不良少年の竜二。師匠にどつかれ、兄弟子にいびられ、逃げる機会をうかがっていたが、そんな中、事件が…。落語の魅力あふれる本格ミステリー。(解説/桂 文珍)
無理矢理落語家に弟子入りさせられた不良少年の竜二。師匠にどつかれ、兄弟子にいびられ、逃げる機会をうかがっていたが、そんな中、事件が…。落語の魅力あふれる本格ミステリー。(解説/桂 文珍)
- 本の長さ352ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2006/8/18
- ISBN-104087460746
- ISBN-13978-4087460742
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2006/8/18)
- 発売日 : 2006/8/18
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 352ページ
- ISBN-10 : 4087460746
- ISBN-13 : 978-4087460742
- Amazon 売れ筋ランキング: - 499,317位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
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2019年6月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2010年5月22日に日本でレビュー済み
不良少年がひょんなことから噺家の所に弟子入りする。
その周辺で巻き起こる事件をその不良少年が解決するという短編集。
と書いてしまえば、なんのこともない駄作のようになってしまうのは、ぼくの分が生き生きとしていないからで、実際の所は、面白いわ感心するわ古典落語の知識身につくわ、でいいことづくめなのだ。
不良少年の名は竜二。竜二の推理能力は抜群で神がかり的。というかミステリ小説にしてはご都合主義。
師匠の梅寿も乱暴すぎるというか、70歳を超えて竜二をどつき倒すのは現実性に欠ける。
とまあ、お作法的には失格のはずなのに、面白いのは不思議というか、作者の力量か!
その周辺で巻き起こる事件をその不良少年が解決するという短編集。
と書いてしまえば、なんのこともない駄作のようになってしまうのは、ぼくの分が生き生きとしていないからで、実際の所は、面白いわ感心するわ古典落語の知識身につくわ、でいいことづくめなのだ。
不良少年の名は竜二。竜二の推理能力は抜群で神がかり的。というかミステリ小説にしてはご都合主義。
師匠の梅寿も乱暴すぎるというか、70歳を超えて竜二をどつき倒すのは現実性に欠ける。
とまあ、お作法的には失格のはずなのに、面白いのは不思議というか、作者の力量か!
2013年3月19日に日本でレビュー済み
自分は、ここ一年ぐらいで落語に興味を持ち、CDを聴き、TVの演芸番組をチェックし、
ときどきは寄席にも行った。
その一環として、本書も読んだ。
本書を読んで一番よかったと思うのは、落語家さんの師匠と弟子といった制度のことや
普段の生活、生計の立て方などが、小説とはいえ、良く描かれていて勉強になったことだ。
不良の青年(梅駆)が、破天荒な師匠(梅寿)のもとに弟子入りし、繰り広げられる物語。
そんな二人(と兄弟子さんたち)だけあって、乱闘シーンがとにかく多い。
が、血気盛んな若者が東奔西走する姿は、胸躍らせるものがある。
そして、このシリーズの肝は、笑酔亭”梅寿”謎解噺 だということだ、と個人的におもう。
どう考えても、梅駆の目線で語られた文章であるし、だいぶ歳いったおっさんの噺家を
副題とはいえ、主人公にするのは、おかしい。
ドラえもんにおけるのび太目線で語られるけど、あくまでタイトルは、ドラえもんみたいなもんかな、
とおもっている。
ときどきは寄席にも行った。
その一環として、本書も読んだ。
本書を読んで一番よかったと思うのは、落語家さんの師匠と弟子といった制度のことや
普段の生活、生計の立て方などが、小説とはいえ、良く描かれていて勉強になったことだ。
不良の青年(梅駆)が、破天荒な師匠(梅寿)のもとに弟子入りし、繰り広げられる物語。
そんな二人(と兄弟子さんたち)だけあって、乱闘シーンがとにかく多い。
が、血気盛んな若者が東奔西走する姿は、胸躍らせるものがある。
そして、このシリーズの肝は、笑酔亭”梅寿”謎解噺 だということだ、と個人的におもう。
どう考えても、梅駆の目線で語られた文章であるし、だいぶ歳いったおっさんの噺家を
副題とはいえ、主人公にするのは、おかしい。
ドラえもんにおけるのび太目線で語られるけど、あくまでタイトルは、ドラえもんみたいなもんかな、
とおもっている。
2010年9月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本屋さんにおいてあった集英社の広告チラシを見てこの本を買ったのだが、古典落語の噺を題材にミステリーの味付けあり、笑いあり人情ありで、このシリーズに嵌ってしまった。
弟子が謎を解いたのに師匠が解いたフリをするところは、名探偵コナンに似ている。
弟子が謎を解いたのに師匠が解いたフリをするところは、名探偵コナンに似ている。
2014年1月17日に日本でレビュー済み
いつもの田中さんの作品と同じくアレなタイトルと表紙ですが、中身はいつものグロや駄洒落を抑えた(といっても無くなったわけではありませんが)正統派のエンターテインメント小説です。
不良少年が突然落語界に投げ込まれ人々の人情に触れ成長する、という所謂お仕事小説の王道的な話です。しかしこのテの本にありがちな説教臭さが著者の軽妙な(そしてくだらない)ギャグセンスと落語やジャズの深い理解に基づく文章によって打ち消されていて、抵抗なく読めます。また各話にはミステリー要素が必ず含まれており、正に落語のようなテンポの良さで極めて高いリーダビリティを発揮しています。
不良少年が突然落語界に投げ込まれ人々の人情に触れ成長する、という所謂お仕事小説の王道的な話です。しかしこのテの本にありがちな説教臭さが著者の軽妙な(そしてくだらない)ギャグセンスと落語やジャズの深い理解に基づく文章によって打ち消されていて、抵抗なく読めます。また各話にはミステリー要素が必ず含まれており、正に落語のようなテンポの良さで極めて高いリーダビリティを発揮しています。
2008年1月15日に日本でレビュー済み
2004年に出た単行本『笑酔亭梅寿謎解噺』の解題・文庫化。
シリーズの第1作で、主人公・竜二の落語家への入門から語りはじめ、一応の成功を収めるまでの過程が描かれている。
田中啓文氏の著作の特徴は、色々な要素を詰め込んで話をつくっていく点にあると思う。本書でも、ビルドゥングス・ロマン(成長物語)を軸に、ミステリ、人情噺、落語が混ぜられている。一番の面白みは、竜二の落語家としての成長物語だろう。自分では才能に気付いていない「天才」が成功の道を歩んでいく物語は、それだけで魅力がある。さらに周囲の登場人物も癖がありながらも温かく、読んでいてホッとさせられる。
ミステリとしては、たいしたことがない。
ちょっと人情味が強すぎる点がうっとうしいが、並外れた魅力のある一冊と思う。
シリーズの第1作で、主人公・竜二の落語家への入門から語りはじめ、一応の成功を収めるまでの過程が描かれている。
田中啓文氏の著作の特徴は、色々な要素を詰め込んで話をつくっていく点にあると思う。本書でも、ビルドゥングス・ロマン(成長物語)を軸に、ミステリ、人情噺、落語が混ぜられている。一番の面白みは、竜二の落語家としての成長物語だろう。自分では才能に気付いていない「天才」が成功の道を歩んでいく物語は、それだけで魅力がある。さらに周囲の登場人物も癖がありながらも温かく、読んでいてホッとさせられる。
ミステリとしては、たいしたことがない。
ちょっと人情味が強すぎる点がうっとうしいが、並外れた魅力のある一冊と思う。
2022年3月3日に日本でレビュー済み
ミステリとしては他愛のない話ばかりですが、極端な性格付けのキャラクターたちが繰り広げるドタバタ劇は、落語のように楽しく読めて、ときには人情の機微にほろりとさせてくれます。
シリアスに考えさせられる作品も良いですが、理屈抜きで楽しく読める、このような小説も世の中には必要ではないでしょうか。
落語を聞くように楽しめる小説を探しているなら、読んでみてはいかがでしょうか。
シリアスに考えさせられる作品も良いですが、理屈抜きで楽しく読める、このような小説も世の中には必要ではないでしょうか。
落語を聞くように楽しめる小説を探しているなら、読んでみてはいかがでしょうか。