年間1,500席以上の高座に出向き、実際に落語を聞いて、優れた噺家を推薦している著者の眼力には敬服してしまう。観客の立場に立って、芸が優れ、工夫を織り込み、噺が面白い、今が旬の噺家を判り易い説明で紹介してくれている本著作は、落語ファンなら是非手元に置いておきたい一冊だと思う。
著者は「今こそ落語の黄金時代」と主張するが、実際そうだろうと思う。約30年前には三遊亭円生、柳家小さん、金原亭馬生、古今亭志ん朝、立川談志、三遊亭円楽、柳家小三治、春風亭柳朝、桂小南、桂文朝などがいて、確かに名人上手は多かった。この中で現在でも活躍されているのは、立川談志、柳家小三治だけで、大御所と称される噺家は少ないが、今は圧倒的に噺家の層が厚くなり、中堅・働き盛りと言える噺家の数が多く、お互いに切磋琢磨して噺に工夫を加えているので、以前と比べて今の方が落語が面白い。
古典落語に新たな解釈を加え、大筋を変えないながら、様々な工夫を入れて完成度を高めている。新作落語も観客の支持を得て、クオリティーの高い多くの作品が生まれている。落語が伝統文化の枠から飛び出して、観客を若い層に広げたエンタテイメントになっている。今こそ、落語をナマで見ておく時期だと思う。
本著作は、その様な時代にあって、「誰を聴きに行けば良いのか」を伝授する最適なガイドブック。いささか立川談志に比重が置かれ過ぎている感はあるが、落語界に及ぼした大きな貢献を考慮すると納得感はあり、立川志の輔、立川談春、立川志らく、柳亭市馬、柳家喬太郎、古今亭志ん輔、三遊亭白鳥、桃月庵白酒、柳家三三、入船亭扇辰、春風亭昇太、林家たい平、柳家さん喬、柳家権太楼など、「良くもここまで」と思えてしまうほど旬の噺家の特徴を捉えている。数多く高座に接しただけに、著者の見る目は正確だと思う。
2008年7月に刊行されたものを2010年10月に文庫化に際し加筆、再編集した著作で、最近の若手二つ目の注目株である春風亭一之輔、三遊亭天どん、柳亭こみち等も含まれているのも嬉しい。
落語界は一時も止まっていない。新作落語もどんどん面白くなっている。著者の活躍は、落語界の動きに呼応して、きっと更に深く楽しくなって行くのではと期待したい。そして、わがままを言わせて頂ければ、見ているだけで楽しい林家正蔵も次作には入れて欲しい。なんとなく舌足らずな口調を聴いているだけで、疲れた心が和んでしまう。
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この落語家を聴け! (集英社文庫) 文庫 – 2010/10/20
広瀬 和生
(著)
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いま落語で起きている革命を見逃すな!
落語にはまり、年間1500もの高座を見るロック雑誌の編集長が、今革新的な変革が進みつつある現代落語の世界を紹介。読めば高座に行きたくなる、ユニークな落語ライブレポート。
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- 本の長さ368ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2010/10/20
- 寸法10.7 x 1.4 x 15.2 cm
- ISBN-104087466256
- ISBN-13978-4087466256
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2010/10/20)
- 発売日 : 2010/10/20
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 368ページ
- ISBN-10 : 4087466256
- ISBN-13 : 978-4087466256
- 寸法 : 10.7 x 1.4 x 15.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 539,572位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2011年5月22日に日本でレビュー済み
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2013年10月25日に日本でレビュー済み
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落語参考書としては最適。落語の凄さを文字にする難しさも感じました。
2015年2月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
落語などまるで興味なく無縁だと思っていた3年前に間違えて購入したことで読み、
それ以来落語を観に行くようになり月一で通うファンになり本も今では数十冊購入もっと前から知っていればと思うが、落語を観に行きたくなる本です。
それ以来落語を観に行くようになり月一で通うファンになり本も今では数十冊購入もっと前から知っていればと思うが、落語を観に行きたくなる本です。
2016年2月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者が思い入れのある噺家や流派については、繰り返し、過剰と言ってもよいほどの装飾の言葉で賛美される。
寄席の客や噺家については、いささか汚い言葉で表現している。
広瀬氏個人に関心のある人又は広瀬氏の視点に賛同する人が読むと面白いかもしれない。あまりに感情が強く伝わってくるため、一般的なガイドブックとしては適さないのではないか。
過剰な装飾言葉を削ぎ落として、必要な言葉のみで淡々と語られれば、面白いものになったかもしれない。
「こうした本の内容にはとらわれず、まず自分の目と耳で、寄席でもよい、独演会でもよい、行って見て聴いて感じ、ただ楽しめばよい」
そのことに改めて気づかせてくれる一冊。
寄席の客や噺家については、いささか汚い言葉で表現している。
広瀬氏個人に関心のある人又は広瀬氏の視点に賛同する人が読むと面白いかもしれない。あまりに感情が強く伝わってくるため、一般的なガイドブックとしては適さないのではないか。
過剰な装飾言葉を削ぎ落として、必要な言葉のみで淡々と語られれば、面白いものになったかもしれない。
「こうした本の内容にはとらわれず、まず自分の目と耳で、寄席でもよい、独演会でもよい、行って見て聴いて感じ、ただ楽しめばよい」
そのことに改めて気づかせてくれる一冊。
2013年6月12日に日本でレビュー済み
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実際に寄席に行ったとのメモを見て
面白いなあと思った落語家さんはこれで紹介されてました。
面白いなあと思った落語家さんはこれで紹介されてました。
2011年6月20日に日本でレビュー済み
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まだまだ落語初心者ではありますが、まさに寄席に行ってみようかというタイミングだったこともあり大変楽しく読めました。まんべんなく少なくない数の噺家さんを紹介して下さったおかげで世界(視界?)が広がりました。
例えば気になった噺家さんの何人かはCD・DVDなどを探してみても、なかなかないのです。つまりそれだけフレッシュな人材がいるということなのではないでしょうか。私はそのように理解しました。そのように考えた方が楽しそうですから。
もちろん、中堅どころまたはそれ以上の方々、つまり独演会などのチケットはなかなか取れないような噺家さんも紹介されていますし、それはそれで安心感につながりますし、一人ひとりの芸風(?)もしっかり分類・分析されていて今までに自分の買ったCDを咀嚼しなおす助けともなりました。
そしてやはり、生で聴きたい、と思いました。
例えば気になった噺家さんの何人かはCD・DVDなどを探してみても、なかなかないのです。つまりそれだけフレッシュな人材がいるということなのではないでしょうか。私はそのように理解しました。そのように考えた方が楽しそうですから。
もちろん、中堅どころまたはそれ以上の方々、つまり独演会などのチケットはなかなか取れないような噺家さんも紹介されていますし、それはそれで安心感につながりますし、一人ひとりの芸風(?)もしっかり分類・分析されていて今までに自分の買ったCDを咀嚼しなおす助けともなりました。
そしてやはり、生で聴きたい、と思いました。
2010年10月21日に日本でレビュー済み
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現代落語評論として優れていることはもちろん、高座のライブ記録としても読み応えがある。臨場感たっぷり。それに、本書の中ではあまり寄席を推奨していないが、たとえばふらりと上野鈴本に行くような時に本書を持って行けば、誰が聴くべき落語家なのかがすぐわかる。その落語家の聴き所もじっくり解説している。つまり、とても使える落語本だ。単行本ではなく文庫サイズになったことで、落語ファンにもビギナーにも利便性が増した。1冊、鞄に入れておけば、きっとどこかで役に立つ。本書を参考に独演会やホール落語をセレクトすれば、間違いなく現代最良の落語に触れることができる。