武士ではない利休が何故秀吉に切腹させられたのかに興味があってこの本を読みました。
物語は信長亡き後の派遣を巡って秀吉と戦って敗れた柴田勝家の城から茶々たち三人の姫たちが救出される
ところから始まる。
もちろん最後は豊臣家の滅亡(大阪城の落城、淀君、秀頼の死)まで話が進んでいく。(1583~1615年)
その間、この本においては織田有楽斎(織田信長の弟、織田長益)の目を通して時が流れていく。
織田信長が明智光秀の謀反によって亡くなり、その明智光秀を破った秀吉がその後柴田勝家も破り天下人となる。短期間でのし上がった秀吉のために身分の釣り合いをとるために関白という冠位が与えられる。
信長の茶堂であった宗久に師事していた秀吉は織田信長のやり方をまめて茶堂によっても各大名を操ることを続けていく。短期間で頂点まで上り詰めてしまった秀吉は当初、物事の進め方もよくわからなかったに違いない。
しかし、強大な権力そのものが周囲の者を沈黙させ、秀吉の権力を更に大きくしていく。
茶道の世界も世代応対で宗久から宋易(利休)へとトップが交代していく。
秀吉が開く茶会に大名たちが呼ばれ、利休が茶を淹れるので当然秀吉の行う政治の世界に利休も参加していくこととなり、意見を求められれば答えることとなる。
自然と利休の意見が政治を動かしていくことになっていくのである。
頂点を極め、権力が大きくなればなるほど人の心の中に鬼が棲みつくようになる。疑心暗鬼という鬼が。
政治の世界の頂点には一人の人間しか君臨できないのは世界中の人間の歴史を見れば明らかである。
利休自身の知らないところで物事は動き始め、何ら問題の無かったことまで秀吉への反逆という風になっていく。
二人のよき理解者であり、仲裁役であった豊臣秀長が死去することにより二人の関係は一気に悪化し、利休は死を賜るのであった。
このあたりから豊臣家の没落が始まり誰にも止められなくなっていく。
茶々が産んだ最初の子供(秀吉の実子?)の死、二度にわたる朝鮮半島への出兵(いずれも失敗に終わる)、秀頼(秀吉の子供ではありえない?)が生まれたことに起因する関白秀次一族の皆殺しなどどう考えても豊臣の天下を維持できない所に進んで行ってしまうのである。
もうこの後は関ヶ原の戦いから大阪冬の陣、夏の陣と豊臣家の天下は終わりを迎える。
あまりにも早く天下人となってしまった秀吉は国全体を収めるシステムを作り上げることが出来なかったのではないかと思われる。
信長は天下布武という思想を掲げていたが力のみで天下を治めようとしたかどうか。
徳川家康は豊臣の失敗をみてどうやれば日本全国を治められるか考えていたのではないか。
そして作り上げたのが徳川幕府体制ではなかったではないだろうか。
この本における時代の目撃者である織田有楽斎は秀吉に仕えている間はかなり冷遇されていた。
何度も織田家の血統を残すために今は我慢をするという所が出てくるが、彼の望みはお市の方の三女である江姫が徳川二代将軍秀忠の妻となり、家光を産み、徳川幕府の体制が家光により確率され、その後260年も続くことにより叶えられることになるのである。
勿論、この本の主人公は秀吉と利休であるが、その周りを取り囲む非常に多くの人々が登場する。
あまりにも多く出てくるのでそれぞれの人々のドラマはあまり描かれない。ドラマチックな小説というよりも歴史の流れに沿って進む記録という感じが強い本である。
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利休と秀吉 (集英社文庫) 文庫 – 2010/12/16
邦光 史郎
(著)
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天下人・秀吉と茶頭・利休を軸に描く戦国物語
天下人・豊臣秀吉の茶頭として重きをなし、安土桃山時代の有力な政治家だった千利休。侘び茶の創始者である男の半生を、秀吉という鏡に映して描いた渾身の時代長編。
天下人・豊臣秀吉の茶頭として重きをなし、安土桃山時代の有力な政治家だった千利休。侘び茶の創始者である男の半生を、秀吉という鏡に映して描いた渾身の時代長編。
- 本の長さ488ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2010/12/16
- ISBN-104087466434
- ISBN-13978-4087466430
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2010/12/16)
- 発売日 : 2010/12/16
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 488ページ
- ISBN-10 : 4087466434
- ISBN-13 : 978-4087466430
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,011,792位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 4,003位歴史・時代小説 (本)
- - 7,620位集英社文庫
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上位レビュー、対象国: 日本
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2022年4月13日に日本でレビュー済み
本書は、1991年11月に淡交社より刊行された「小説 戦国数寄者伝 利久と秀吉」を改題し、
1996年7月に集英社文庫から文庫化されたものです。
内容は、利休、織田有楽斎、茶々、石田三成ら秀吉の近くにいる者らが、
どのような思惑で秀吉に接し、秀吉はどういった対応をしたかを描いています。
各人の思惑を広く描いているため、やや深みが足りない気がしました。
1996年7月に集英社文庫から文庫化されたものです。
内容は、利休、織田有楽斎、茶々、石田三成ら秀吉の近くにいる者らが、
どのような思惑で秀吉に接し、秀吉はどういった対応をしたかを描いています。
各人の思惑を広く描いているため、やや深みが足りない気がしました。
2015年6月29日に日本でレビュー済み
この何年か、利休を通しての秀吉の時代を描いた図書が増えました。
どれも興味深く面白く読めます。
この「利休と秀吉」は、もう20年以上前の刊行で、
タイトルの順番が利休が先です。
利休が宗易から茶事を重ね、利休に上がっていく過程が、
秀吉の周囲の武将、茶々、その時代に見事に符合する様子が
丹念に美しく紡がれます。
淡交社で連載された小説とあって、
茶道のしきたり…というほどではないのですが、
当時の茶道の様子や、利休七哲の大名の動きもよくわかります。
この時代の書籍を何冊か読むたびに
またこの本で人間関係をおさらいしています。
どれも興味深く面白く読めます。
この「利休と秀吉」は、もう20年以上前の刊行で、
タイトルの順番が利休が先です。
利休が宗易から茶事を重ね、利休に上がっていく過程が、
秀吉の周囲の武将、茶々、その時代に見事に符合する様子が
丹念に美しく紡がれます。
淡交社で連載された小説とあって、
茶道のしきたり…というほどではないのですが、
当時の茶道の様子や、利休七哲の大名の動きもよくわかります。
この時代の書籍を何冊か読むたびに
またこの本で人間関係をおさらいしています。