三部作の完結編。
前の巻が権謀術数うずまく大奥の修羅を描いたものとすれば、最終巻のこの作は、ふたたび芸道の修羅を描いています。
大奥と、もうひとつ濃密な閉じた世界が交わるところに足を踏み込んでしまった役者、四代目沢之丞の誕生を描いて幕を閉じます。
ミステリとしては三代目沢之丞の舞台上での事故死の謎を解き明かすものですが、舞台裏や三階さんや大工の生活を追いつつも、それを中心に物語が運ばれるよりは、若い宇源次の迷いと彷徨の人生、そしてやはり若い同心、理市郎の家庭をもってからの成長、信心の世界のはらむどす黒い闇――さまざまなパーツが曼荼羅のごとくつなぎあわされてゆきます。
ラストでは二巻のヒロインが、理市郎と縁があり、大奥の重責を生き抜いたことが明かされ、父の死後、急成長した市之助は、なおかつ芸の道の困難さを宇源次に語り、宇源次が憧れた美僧の驚くべき真相など、さまざまな人生の結末が明かされるなど、パズルの醍醐味も。
大奥や寺院の背後の闇を深くつかみあげての最終巻。
泥の中からこそ見事な蓮の花が咲くように、それがこれから主人公の咲かせる本物の花なのでしょう。
芸の道を描くのに、歌舞伎内だけの芸道小説にせず、同じようにタブーに閉ざされた2つの世界、大奥と寺社を並べて結びつけたところに、このシリーズの凄さを感じます。
1巻では僥倖にのみ支えられてきたと見えた主人公の転落とそこからの脱出を、なまなましく描ききった名作です。
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道絶えずば、また (集英社文庫) 文庫 – 2012/7/20
松井 今朝子
(著)
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中村座炎上から五年、新たな火種が座を覆う
江戸の芝居小屋中村座の立女形荻野沢之丞が舞台上で不審な死を遂げた。跡目争いの兄弟間の軋轢か、はたまた大道具方の手抜きか。芸の道の理を説きつつ描く長編時代ミステリー。(解説/中江有里)
江戸の芝居小屋中村座の立女形荻野沢之丞が舞台上で不審な死を遂げた。跡目争いの兄弟間の軋轢か、はたまた大道具方の手抜きか。芸の道の理を説きつつ描く長編時代ミステリー。(解説/中江有里)
- 本の長さ408ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2012/7/20
- 寸法10.8 x 1.7 x 15.2 cm
- ISBN-104087468542
- ISBN-13978-4087468540
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2012/7/20)
- 発売日 : 2012/7/20
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 408ページ
- ISBN-10 : 4087468542
- ISBN-13 : 978-4087468540
- 寸法 : 10.8 x 1.7 x 15.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 672,415位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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1953年、京都祇園生まれ。歌舞伎の企画・制作に携わった後、故武智鉄二に師事して、歌舞伎の脚色・演出を手がける。97年『東洲しゃらくさし』で小説家としてデビュー。『吉原手引草』で第137回直木賞受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 今朝子の晩ごはん―仕事も遊びもテンコ盛り篇 (ISBN-13: 978-4591117569)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年12月24日に日本でレビュー済み
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2010年12月7日に日本でレビュー済み
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三部作の前作二編をそれぞれ面白く読みましたが「非道」はともかく「家」とはなかなかつながらない、
ということなどすっかり忘れてこちらも面白く読んでいました。
すると終盤になってあの人が登場、ああ、そういうことか!
じゃあ亀の太夫はあの!
と、びっくりするやら嬉しいやら、ちょっぴり切ないやら。
人の名前をすらすら覚えられる人なら早い段階で人物同士のつながりに気付いてもっとわくわく読み進められるかもしれません。
だから、これ一編だけでも十分に楽しめると思いますが、前の二編を読んでからのほうがよりお薦めです。
個人的には「非道」で地味に登場した人物になぜか心惹かれていたら最後の最後に素晴らしい見せ場があって感激、思わず涙が。
ところで、謎で引っ張る小説ではありますが、ミステリー小説だとは思わないほうがいいです。
直木賞を受賞した「吉原手引草」もミステリー小説だと思って読んだ人は物足りなかったようですが、
どちらも「おはなし」を楽しむための仕掛けとして謎を用意してあるのにすぎません。
しかし「吉原」と比べるとかなりこってりした味わいに感じます。
「吉原」がそれ以前に直木賞候補作になった作品への批評を受けてか、かなり軽く口当たり良く洗練された仕上がりになっているのに対し、
こちらが本来の姿、好きにやらせていただきました、ということかと思います。
高い知性と教養を惜しげもなく趣味に注ぎ込んで夢幻の花を咲かせる姿勢に、
70年代後半から80年代初めにかけての最盛期の少女マンガのテイストを感じます。
「東洲」や「仲蔵」の濃い世界が気に入った方は、ぜひこの三部作にどっぷりつかってください、気持ちいいですよ。
ということなどすっかり忘れてこちらも面白く読んでいました。
すると終盤になってあの人が登場、ああ、そういうことか!
じゃあ亀の太夫はあの!
と、びっくりするやら嬉しいやら、ちょっぴり切ないやら。
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だから、これ一編だけでも十分に楽しめると思いますが、前の二編を読んでからのほうがよりお薦めです。
個人的には「非道」で地味に登場した人物になぜか心惹かれていたら最後の最後に素晴らしい見せ場があって感激、思わず涙が。
ところで、謎で引っ張る小説ではありますが、ミステリー小説だとは思わないほうがいいです。
直木賞を受賞した「吉原手引草」もミステリー小説だと思って読んだ人は物足りなかったようですが、
どちらも「おはなし」を楽しむための仕掛けとして謎を用意してあるのにすぎません。
しかし「吉原」と比べるとかなりこってりした味わいに感じます。
「吉原」がそれ以前に直木賞候補作になった作品への批評を受けてか、かなり軽く口当たり良く洗練された仕上がりになっているのに対し、
こちらが本来の姿、好きにやらせていただきました、ということかと思います。
高い知性と教養を惜しげもなく趣味に注ぎ込んで夢幻の花を咲かせる姿勢に、
70年代後半から80年代初めにかけての最盛期の少女マンガのテイストを感じます。
「東洲」や「仲蔵」の濃い世界が気に入った方は、ぜひこの三部作にどっぷりつかってください、気持ちいいですよ。
2014年2月28日に日本でレビュー済み
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この芝居三部作?というシリーズは、今まであまり題材にならなかった江戸の芝居小屋の生活、また二作目ではこれまた知らなかった城の奥向きの仕組みなど、時代小説ファンなら興味津々ではないでしょうか、
それでいて一級のミステリーにもなっている、しかも三部作を通して登場人物の時を越えた絡み合い、見事ですね、
鬼平シリーズなんかが好きな方はハマるんじゃないでしょうか、
それでいて一級のミステリーにもなっている、しかも三部作を通して登場人物の時を越えた絡み合い、見事ですね、
鬼平シリーズなんかが好きな方はハマるんじゃないでしょうか、
2012年8月17日に日本でレビュー済み
「風姿花伝」三部作の完結編です。
このシリーズの魅力は、ミステリー的な「謎」で全体を引っ張りながら、「風姿花伝」の名の如くある種の「芸術論」的な部分もあります。もちろん、江戸時代の歌舞伎界が舞台なだけに、非常に日本的な人情と言うか、心の繋がりが楽しめます。
ちょっと盛り沢山な感じがしなくもありませんが、楽しめる一冊になっています。
出来れば、シリーズを最初から読んで欲しいのですが、これ一冊でも十分楽しめます。
このシリーズの魅力は、ミステリー的な「謎」で全体を引っ張りながら、「風姿花伝」の名の如くある種の「芸術論」的な部分もあります。もちろん、江戸時代の歌舞伎界が舞台なだけに、非常に日本的な人情と言うか、心の繋がりが楽しめます。
ちょっと盛り沢山な感じがしなくもありませんが、楽しめる一冊になっています。
出来れば、シリーズを最初から読んで欲しいのですが、これ一冊でも十分楽しめます。
2021年9月17日に日本でレビュー済み
サンプルだけ読みましたが、LGBTQへの差別表現があったので、購入はしませんでした。
この作者は別の作品にも女性蔑視表現があったので、要注意かと思います。
いくら時代小説といっても、倫理観は現代水準にアップデートしていかないと、読者層が狭まる一方だと思います。
この作者は別の作品にも女性蔑視表現があったので、要注意かと思います。
いくら時代小説といっても、倫理観は現代水準にアップデートしていかないと、読者層が狭まる一方だと思います。
2022年4月15日に日本でレビュー済み
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松井今朝子の「芝居三部作」の最終作。第一部のしばらくあと。
のっけから三代目荻野沢之上の死からはじまり、息子の市之介・宇源次の対話に終わる。この対話が圧巻。
第二作までの人たちの関係性がすべて絡んできて、収斂していますから、このシリーズは全作順に読む必要があります。
巻頭に「道絶えずば、また、天下の時に会う事あるべし」が世阿弥の『風姿花伝』から引用されていますが、たしかにこれがすべてを語っていると思います。
のっけから三代目荻野沢之上の死からはじまり、息子の市之介・宇源次の対話に終わる。この対話が圧巻。
第二作までの人たちの関係性がすべて絡んできて、収斂していますから、このシリーズは全作順に読む必要があります。
巻頭に「道絶えずば、また、天下の時に会う事あるべし」が世阿弥の『風姿花伝』から引用されていますが、たしかにこれがすべてを語っていると思います。