読むきっかけになったのはスタンリィ・エリン氏の小説『特別料理』を読んだこと。本書に収められた短編「特別料理」がスタンリィ・エリン氏へのオマージュとして書かれたものと知って読みたくなったのである。
ひと言でいえば「悪夢」です。私の心の中にある悪魔が見させた悪夢。読みたくないのに読みたい。やめよう、もうやめようと思いながら続きを読んでしまう。そうした類いの小説集。ただ単にホラーであるというだけでなく、読者に謎を提示しておいて意外性のある結末で終わるというミステリの手法を用いている。そのあたりは流石と唸らされる。
7編の中で秀逸なものはやはり「特別料理」と「眼球綺譚」。とりわけ表題作「眼球綺譚」は良くできている。おそらくこれら2作の持つ強烈なイメージは私の中で消えることはない。スタンリィ・エリン氏の『特別料理』や梶山季之氏の『せどり男爵数奇譚』にならんで決して忘れることのない作品となるだろう。本当はこんな気持ち悪い話は忘れたいのだけれど。
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眼球綺譚 (集英社文庫) 文庫 – 1999/9/17
綾辻 行人
(著)
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「読んでください。夜中に、一人で」編集者のもとに届いた奇怪な原稿。そこに描かれていたのは、目玉をえぐられる猟奇殺人事件だった…。表題作他、妖しくも美しいホラー小説集。(解説・日下三蔵)
- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日1999/9/17
- ISBN-104087470970
- ISBN-13978-4087470970
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (1999/9/17)
- 発売日 : 1999/9/17
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 336ページ
- ISBN-10 : 4087470970
- ISBN-13 : 978-4087470970
- Amazon 売れ筋ランキング: - 810,788位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1960年京都府生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院修了。’87年に『十角館の殺人』で作家デビュー。“新本格ムーヴメント”の嚆矢となる。’92 年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。“館シリーズ”と呼ばれる一連の長編は現代本格ミステリを牽引する人気シリーズとなった。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 迷路館の殺人 新装改訂版 (講談社文庫) (ISBN-13: 978-4062763974 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年9月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2021年7月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
"それより問題は、これだ。わたしはデスクの上に視線を落とす。『読んでください。夜中に一人で。』縦書きの便箋に、黒いインクでそう書かれている。"1995年初刊の本書は、著者初めての短編集にしてコミック化もされている『由伊』という同じ名前の女性が登場する美しい7つの怪奇譚。
個人的には、寝苦しくなってきた夏を迎えて。ホラー風味の作品が読みたくなったのと、バタイユの『眼球譚』を彷彿とさせるタイトルに惹かれて手にとりました。
さて、そんな本書は最後の表題作にたどり着くまでに、不可解な体質を持つ女性を描く『再生』釣り上げた奇妙な魚を育てる『呼子池の怪魚』珍しい"食材"を提供してくれる料理店の話『特別料理』儀式的、不可解な誕生日『バースデー・プレゼント』夜行列車で大学生たちが怪談話をしていると『鉄橋』小説家の飼っている犬がのっぺらぼうの人形を拾ってくる『人形』といった計7作品、それぞれの作中で様々な役割が与えられている『由伊』という女性の物語が収録されているわけですが。
まず、いわゆる著者と言えばやはり『新本格ミステリ』という印象が強く、十角館の殺人から始まる『館シリーズ』を何冊か手にとってきましたが。様々なテイストの作品が収録されている本書全体については【怪奇・幻想小説も読み応えあるな】と自分の限りなく低い文才を棚に上げて(笑)強く感心させられました。
また、そんな収録作の中では個人的には幻想的なテキストから【インパクトのある映像が自然に浮かんできた】『再生』や『特別料理』そして表題作の『眼球譚』。そして【懐かしの育成シミュレーションゲーム、シーマンを想起させられた】『呼子池の怪魚』が印象に残りました。(『特別料理』は昆虫食に興味ある私には"普通に"美味しそうで。。)
著者ファンはもちろん、どこか懐かしい怪奇・幻想短編小説を探す人にもオススメ。
個人的には、寝苦しくなってきた夏を迎えて。ホラー風味の作品が読みたくなったのと、バタイユの『眼球譚』を彷彿とさせるタイトルに惹かれて手にとりました。
さて、そんな本書は最後の表題作にたどり着くまでに、不可解な体質を持つ女性を描く『再生』釣り上げた奇妙な魚を育てる『呼子池の怪魚』珍しい"食材"を提供してくれる料理店の話『特別料理』儀式的、不可解な誕生日『バースデー・プレゼント』夜行列車で大学生たちが怪談話をしていると『鉄橋』小説家の飼っている犬がのっぺらぼうの人形を拾ってくる『人形』といった計7作品、それぞれの作中で様々な役割が与えられている『由伊』という女性の物語が収録されているわけですが。
まず、いわゆる著者と言えばやはり『新本格ミステリ』という印象が強く、十角館の殺人から始まる『館シリーズ』を何冊か手にとってきましたが。様々なテイストの作品が収録されている本書全体については【怪奇・幻想小説も読み応えあるな】と自分の限りなく低い文才を棚に上げて(笑)強く感心させられました。
また、そんな収録作の中では個人的には幻想的なテキストから【インパクトのある映像が自然に浮かんできた】『再生』や『特別料理』そして表題作の『眼球譚』。そして【懐かしの育成シミュレーションゲーム、シーマンを想起させられた】『呼子池の怪魚』が印象に残りました。(『特別料理』は昆虫食に興味ある私には"普通に"美味しそうで。。)
著者ファンはもちろん、どこか懐かしい怪奇・幻想短編小説を探す人にもオススメ。
2022年10月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
面白いか?面白くないか?と言われたどちらとも言えないと回答する。
一つ一つの物語が淡々と読み進める感じで特に感想はない。
読み終わってからしばらくすると内容が思い出せないほど印象に残らなかった。
作者が好きなだけに残念だった。
一つ一つの物語が淡々と読み進める感じで特に感想はない。
読み終わってからしばらくすると内容が思い出せないほど印象に残らなかった。
作者が好きなだけに残念だった。
2007年5月28日に日本でレビュー済み
恩田陸さんの書評を見て、読みました。
ジョルジョ・バタイユの書いた『眼球譚』という小説と雰囲気が似ています。
僕がおもしろかった話は、「再生」と「特別料理」です。
ふたつとも、不気味な描写であふれていますが、オチがしっかりしているので、後味がいいです。
どの話にも「由伊」という女性が登場しますが、別に関連性はない。
とあとがきで言っていますが、
読んでいて、混乱しました。
紛らわしいし、同じ名前なのだから、シナプスはつながってしまう。
・・・・・・なるほど、そこが不気味さの演出で効果的な役割を示している。
フォントを変えたり、空白をつくったり、アイディアを駆使していますが、そこが一番いいアイディアかもしれません。
ジョルジョ・バタイユの書いた『眼球譚』という小説と雰囲気が似ています。
僕がおもしろかった話は、「再生」と「特別料理」です。
ふたつとも、不気味な描写であふれていますが、オチがしっかりしているので、後味がいいです。
どの話にも「由伊」という女性が登場しますが、別に関連性はない。
とあとがきで言っていますが、
読んでいて、混乱しました。
紛らわしいし、同じ名前なのだから、シナプスはつながってしまう。
・・・・・・なるほど、そこが不気味さの演出で効果的な役割を示している。
フォントを変えたり、空白をつくったり、アイディアを駆使していますが、そこが一番いいアイディアかもしれません。
2003年4月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
綾辻さんのホラー作品には、嘆きシリーズ辺りが有名ですが、
やや半端にミステリー要素が混じった嘆きシリーズに比べると、
この本には、純粋に、怖いお話が揃えられています。
作品の出来も、粒揃いなので、怖くて、奇妙な味のするお話が
好きな方には、オススメです。ただ、「特別料理」など、
一部、グロいものもあるので、その辺で読む人を選ぶかもしれません。
ほんと、「特別料理」は、くれぐれも、食事中には、
読まないよう、気をつけてくださいね。かなり、きてますから。
やや半端にミステリー要素が混じった嘆きシリーズに比べると、
この本には、純粋に、怖いお話が揃えられています。
作品の出来も、粒揃いなので、怖くて、奇妙な味のするお話が
好きな方には、オススメです。ただ、「特別料理」など、
一部、グロいものもあるので、その辺で読む人を選ぶかもしれません。
ほんと、「特別料理」は、くれぐれも、食事中には、
読まないよう、気をつけてくださいね。かなり、きてますから。
2012年1月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
どこまでが現実で、どこからが幻想なのか。
その境界線が分からなくなってくるホラーテイストの短編集でした。
全ての短編に由伊という女性が登場するため、読者はどうしても各作品を関連させて読んでしまうのですが、真相はどうなんでしょうね?
他のレビュアーさんの文章にもあるように、「再生」と「特別料理」は薄気味悪さとラストの衝撃など、特にオススメです。
他にも5作品が所収されていますが、どれも妙にあっけない内容だったり、最終的に理解出来なかったりする作品が多いです。
「すっきりとした読後感」というよりは、「読者を煙に巻くホラー」の要素が強いので、「綾辻流、怪奇幻想小説」として楽しむべきなのかな?と感じました。
その境界線が分からなくなってくるホラーテイストの短編集でした。
全ての短編に由伊という女性が登場するため、読者はどうしても各作品を関連させて読んでしまうのですが、真相はどうなんでしょうね?
他のレビュアーさんの文章にもあるように、「再生」と「特別料理」は薄気味悪さとラストの衝撃など、特にオススメです。
他にも5作品が所収されていますが、どれも妙にあっけない内容だったり、最終的に理解出来なかったりする作品が多いです。
「すっきりとした読後感」というよりは、「読者を煙に巻くホラー」の要素が強いので、「綾辻流、怪奇幻想小説」として楽しむべきなのかな?と感じました。
2018年1月3日に日本でレビュー済み
正直推理作家としての綾辻行人しかしらなかったので、一話目の「再生」の完成度に驚かされ、「この人はモダンホラーも書けるのか!これは期待できそうだ!☆五つ!」とワクワクしながら続きを読んだが、読み進めていく毎にテンションが下がって最終的には☆2つになった。正直モダンホラーは「再生」と、まあ「特別料理」くらいだったか。
後はまあ怪談なのかなあ。しかし話の進め方自体はミステリ的な「謎があって解決に向かう」と言う手法なのに、最後が曖昧だったり抽象的な終わり方だったので、何だかモヤモヤ。
正直オチの弱さを抽象的な表現で誤魔化してるのではないか、などと邪推したくなった。
風間賢二がメタファーだ何だと煩い解説をしていたが、もっと分かり易く強烈なオチがホラーには欲しい。
怪談ならちょっと理屈っぽすぎるし、何だかどっちにも振り切れてない中途半端な話ばかりだった。
一話目だけだったら☆五つ。
後はまあ怪談なのかなあ。しかし話の進め方自体はミステリ的な「謎があって解決に向かう」と言う手法なのに、最後が曖昧だったり抽象的な終わり方だったので、何だかモヤモヤ。
正直オチの弱さを抽象的な表現で誤魔化してるのではないか、などと邪推したくなった。
風間賢二がメタファーだ何だと煩い解説をしていたが、もっと分かり易く強烈なオチがホラーには欲しい。
怪談ならちょっと理屈っぽすぎるし、何だかどっちにも振り切れてない中途半端な話ばかりだった。
一話目だけだったら☆五つ。
2015年8月24日に日本でレビュー済み
綾辻のミステリ小説はサスペンス、ホラー、ミステリの要素が入り混じってはいるが、作品の面白さは論理性にある。本作のような純粋なホラーは現実的な論理性とは無関係だが、現実離れした出来事のなかの論理性が著されている。表題作『眼球奇譚』はその筆頭だろう。
「わたし」の元へ送られてきた奇妙なホラー小説のようなもの。その筆者は「わたし」の大学時代の後輩の祖父のようである。小説の内容が「わたし」自身と無縁でないことに気付き出す…以上が『眼球奇譚』の大筋である。
「わたし」と送られてきた小説、小説の中での事件の紐解き、『眼球奇譚』では謎解きが二重に行われる。現実離れした出来事のなかの論理性がこの作品のおもしろいところである。無論、その他収録作品も綾辻のホラーにおける論理性で構成されている。綾辻の論理性は、読者に『次はなにが起こるのか?』よりも『次はなにが明らかになるのか?』と期待させるものである。
児嶋都によるコミカライズ版『眼球奇譚』(角川文庫)も併せて読みたい一冊である。児嶋都といえば、楳津かずおのオマージュと言うべき、劇画調の作風の漫画家だ。コミカライズにあたって、話を縮約・改変した部分もある。コミカライズ版では、論理性よりもホラー要素を重視した内容となっている。しかし、其れで原作の面白い部分が失われたということはない。児嶋のおどろおどろしい作画によって、逆に綾辻の描くホラーの魅力に改めて気付かされる。
原作・コミカライズ版、どちらも併せて読むことで綾辻行人の論理性がエンボスのように浮き出ることだろう。
「わたし」の元へ送られてきた奇妙なホラー小説のようなもの。その筆者は「わたし」の大学時代の後輩の祖父のようである。小説の内容が「わたし」自身と無縁でないことに気付き出す…以上が『眼球奇譚』の大筋である。
「わたし」と送られてきた小説、小説の中での事件の紐解き、『眼球奇譚』では謎解きが二重に行われる。現実離れした出来事のなかの論理性がこの作品のおもしろいところである。無論、その他収録作品も綾辻のホラーにおける論理性で構成されている。綾辻の論理性は、読者に『次はなにが起こるのか?』よりも『次はなにが明らかになるのか?』と期待させるものである。
児嶋都によるコミカライズ版『眼球奇譚』(角川文庫)も併せて読みたい一冊である。児嶋都といえば、楳津かずおのオマージュと言うべき、劇画調の作風の漫画家だ。コミカライズにあたって、話を縮約・改変した部分もある。コミカライズ版では、論理性よりもホラー要素を重視した内容となっている。しかし、其れで原作の面白い部分が失われたということはない。児嶋のおどろおどろしい作画によって、逆に綾辻の描くホラーの魅力に改めて気付かされる。
原作・コミカライズ版、どちらも併せて読むことで綾辻行人の論理性がエンボスのように浮き出ることだろう。