酒見賢一氏の本は、どれも外れがありません。
なかでも、この短編集は傑作でした。
私がとくに気に入ったのは、ストア派の哲学者を描いた「エピクテトス」。
彼は、自らの哲学を生きています。
つまり、哲学を頭の遊びにしていません。その点で、人生哲学になっていました。
その点では、表題のピュタゴラスも同様でした。
良く描かれていて、心に残る一冊でした。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ピュタゴラスの旅 (集英社文庫) 文庫 – 2001/6/20
酒見 賢一
(著)
愛猫を虐待された飼い主の怒りと復讐(「虐待者たち」)から、犯人を掲示するアンチミステリ、ギリシャ哲学に材を取り、人間に迫った表題作まで。新時代の旗手の傑作作品集! (解説・山田正紀)
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2001/6/20
- ISBN-104087473376
- ISBN-13978-4087473377
この著者の人気タイトル
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 集英社 (2001/6/20)
- 発売日 : 2001/6/20
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 224ページ
- ISBN-10 : 4087473376
- ISBN-13 : 978-4087473377
- Amazon 売れ筋ランキング: - 458,895位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2006年10月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
酒見賢一さんの本は、物語の中に「入りこめない率」が低い。
物語だけを味わう前提が、読み始める前にクリアされている感じ。
『聖母の部隊』(ハルキ文庫)の恩田陸解説はこれを
「神に恵まれた才能」「軽やかさ」と表現してました。
文の品質でもあるのか
(自分の文に対する厳しさなのか)とも思います。
かなり何度もチェックがされるのでは。
超人気作家の漫画のネームやト書きって、
文として完成されているでしょう。
これに近いものを媒介に読んでいる感覚があります。
物語だけを味わう前提が、読み始める前にクリアされている感じ。
『聖母の部隊』(ハルキ文庫)の恩田陸解説はこれを
「神に恵まれた才能」「軽やかさ」と表現してました。
文の品質でもあるのか
(自分の文に対する厳しさなのか)とも思います。
かなり何度もチェックがされるのでは。
超人気作家の漫画のネームやト書きって、
文として完成されているでしょう。
これに近いものを媒介に読んでいる感覚があります。
2017年9月3日に日本でレビュー済み
収録されているのは5編。全て90~91年の間に「小説現代」に発表された短編作品だ。
筒井康隆も彷彿とさせるメタミステリー「そしてすべての目に見えないもの」、実在した古代ギリシア賢人の物語「ピュタゴラスの旅」「エピクテトス」、飼い猫を半殺しにされたサラリーマンが復讐を遂げるため、異界に身を投じていく「虐待者たち」そして「籤引き」である。
「籤引き」
村で起こした犯罪は籤引きで犯人と刑罰を決めるという掟のあるイチクナ村。領事として妻メイベルと村に赴任したメイクハムは、村の掟は未開のものであり野蛮だと申し入れるが、当然村人たちには聞き入れられず、一方メイベルはどんどん村に馴染んでいき……。
シャーリイ・ジャクスンの「くじ」がふと思い起こされるが、あちらはナンセンス度数が高く「なぜ籤を引くのか?」がはっきり語られないのに対して、本作ではそれがはっきりと語られた上で物語が進行していく。
「くじ」は恐い話として有名だが、こちらも負けず劣らず結末は悲痛だ。
文明人を自覚しているメイクハムへの最後の仕打ちはこの上なく辛い。
進歩的(西洋文明的)であるということは素晴らしいことだ、という思い込みを剥ぎ取られる恐い話である。
「虐待者たち」を読んで面白いと思った方には同作者の『語り手の事情』もおすすめ。
こちらはエロティック度がかなり高めですが。
「そしてすべての目に見えないもの」の結末に面白さを感じられた方は、鯨 統一郎『パラドックス学園―開かれた密室』も面白く思ってもらえるんじゃないでしょうか。
筒井康隆も彷彿とさせるメタミステリー「そしてすべての目に見えないもの」、実在した古代ギリシア賢人の物語「ピュタゴラスの旅」「エピクテトス」、飼い猫を半殺しにされたサラリーマンが復讐を遂げるため、異界に身を投じていく「虐待者たち」そして「籤引き」である。
「籤引き」
村で起こした犯罪は籤引きで犯人と刑罰を決めるという掟のあるイチクナ村。領事として妻メイベルと村に赴任したメイクハムは、村の掟は未開のものであり野蛮だと申し入れるが、当然村人たちには聞き入れられず、一方メイベルはどんどん村に馴染んでいき……。
シャーリイ・ジャクスンの「くじ」がふと思い起こされるが、あちらはナンセンス度数が高く「なぜ籤を引くのか?」がはっきり語られないのに対して、本作ではそれがはっきりと語られた上で物語が進行していく。
「くじ」は恐い話として有名だが、こちらも負けず劣らず結末は悲痛だ。
文明人を自覚しているメイクハムへの最後の仕打ちはこの上なく辛い。
進歩的(西洋文明的)であるということは素晴らしいことだ、という思い込みを剥ぎ取られる恐い話である。
「虐待者たち」を読んで面白いと思った方には同作者の『語り手の事情』もおすすめ。
こちらはエロティック度がかなり高めですが。
「そしてすべての目に見えないもの」の結末に面白さを感じられた方は、鯨 統一郎『パラドックス学園―開かれた密室』も面白く思ってもらえるんじゃないでしょうか。
2009年8月18日に日本でレビュー済み
『墨攻』、『後宮小説』などの中国の歴史ものを書く酒見賢一の短編集。
中国だけじゃなく、博識ぶりもよく分かる。
題材はまったく違うんだけど、彼らしい小説。特に虐待された猫の復讐をする『虐待者』は、ファンタジックですごく好みな小説。
中国だけじゃなく、博識ぶりもよく分かる。
題材はまったく違うんだけど、彼らしい小説。特に虐待された猫の復讐をする『虐待者』は、ファンタジックですごく好みな小説。
2003年10月11日に日本でレビュー済み
中国本が多い酒見賢一さんの本の中では異色の古代ギリシャを舞台とした作品。文章やストーリー的にも優れた作品だが、何よりピュタゴラス教団とその思想をテーマに取り上げた著者の博識ぶりに驚かされる。
自分は後宮小説で著者のファンになった直後に本書を読み、「この人は何て博学なんだろう。」と驚嘆させられました。
酒見ファンにも、そうでない人にもお薦めの1冊です。
自分は後宮小説で著者のファンになった直後に本書を読み、「この人は何て博学なんだろう。」と驚嘆させられました。
酒見ファンにも、そうでない人にもお薦めの1冊です。
2010年1月30日に日本でレビュー済み
中国の時代小説のイメージの強い著者ですが、著者の自由奔放さが前面にでた、幅広い作風の作品が収められた短編集です。
「そして、すべて目に見えないもの」
アンチミステリ?メタミステリ???
「ピュタゴラスの旅」「エピクテルス」
古代の偉人を描いた伝記的作品。
短いページ数なのに、軽やかにまとめられていた。
「籤引き」「虐待者たち」
観念的なイメージが前面に押し出された作品。
小説ならではの表現であろう。
「そして、すべて目に見えないもの」
アンチミステリ?メタミステリ???
「ピュタゴラスの旅」「エピクテルス」
古代の偉人を描いた伝記的作品。
短いページ数なのに、軽やかにまとめられていた。
「籤引き」「虐待者たち」
観念的なイメージが前面に押し出された作品。
小説ならではの表現であろう。