かつて谷川俊太郎はジャズ・ピアニストのジョン・ルイスについてこう書いていた。
あなたは
待つ
音と音の間で
そんなに長い世紀を
そこから一人の女の顔
がうかぶ
円い胎を衣の襞にかくして
青い水を
見ている(『詩選集1』109頁)
これを読んだとき、ボクは、「女の顔」とはジョン・ルイスが率いるモダン・ジャズ・カルテットのアルバム「フォンテッサ」のジャケットに描かれたドレスの女性だろうと推測したのだが、ピアノの音と音の間にイマジネーションを膨らませるという創作はその後も行われている。『詩選集3』にはこういう作品がある。
ピアノをひくひとは おととおとのあいだで
いきをつめて まっていた
そのあいだに うみのそこでこんぶはゆれ
おかのうえで しかがふりむき
うらぎりものが ころされた(「ピアノをひくひと」172頁)
メロディが展開する音と音の間に世界の別の場所では全く異なる事柄が進んでいることに詩人は思いを寄せるのだが、「こんぶ」と「しか」のあとに「うらぎりものが ころされた」という言葉は唐突に響く。しかし「争い合い殺し合うことを止められない」(256頁)ことを人間の性と看做していた谷川俊太郎にとっては突飛な連想ではなかったのかもしれない。
彼の作品を読むとジョン・ルイスの他にマイルス・デイヴィスも聴いていたことがわかる。マイルス・デイヴィスを聴いていたなら、マイルスと共演したセロニアス・モンクも聴いていたことだろう。音楽であることを止めそうなほど打鍵数の少ないモンクのピアノを聴いて、音と音の間に谷川俊太郎は何を感じただろう。
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谷川俊太郎詩選集 3 (集英社文庫) 文庫 – 2005/8/19
谷川 俊太郎
(著)
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21世紀の名篇まで収録。完結巻。
『メランコリーの川下り』(1988)より『シャガールと木の葉』(2005)までの名詩選に、未刊詩篇を加えた第3巻。激動する時代をきり拓く、みずみずしい言葉の宇宙。(解説・田 原)
『メランコリーの川下り』(1988)より『シャガールと木の葉』(2005)までの名詩選に、未刊詩篇を加えた第3巻。激動する時代をきり拓く、みずみずしい言葉の宇宙。(解説・田 原)
- 本の長さ320ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2005/8/19
- ISBN-104087478548
- ISBN-13978-4087478549
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2005/8/19)
- 発売日 : 2005/8/19
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 320ページ
- ISBN-10 : 4087478548
- ISBN-13 : 978-4087478549
- Amazon 売れ筋ランキング: - 385,051位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 113位現代詩集
- - 803位戯曲・シナリオ (本)
- - 3,071位集英社文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
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1931年、東京生まれ。詩人。詩集『二十億光年の孤独』を刊行以来、詩やエッセー、翻訳、脚本など幅広く活動する(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 かずのえほん いくつかな? (ISBN-13: 978-4774317434 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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2005年10月28日に日本でレビュー済み
谷川俊太郎の比較的最近の作品と、単行本未収録作品、書簡インタビューを収めた、最新アンソロジーの3巻目です。
加齢に伴い「生きること」と同じように「死」が、作品の随所に伺われるように思われます。もちろん、それはそれで読みごたえがあるのですが。
各作品ももちろん良いのですが、この巻では書簡インタビューが面白いですね。メールでやりとりをしているせいなのか、これが谷川俊太郎の「らしさ」なのか、微妙にずれたやりとりをしています。
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2020年8月26日に日本でレビュー済み
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見知らぬ風景があらわれ、それは懐かしさと想像の世界へ誘う
鋭い感性が描く抽象の構築は流れて消えてゆく
行間から見えるのは創造の時空と切り取られた時間
過去なのか、未来に続く道なのか
現実を忘れさせる素晴らしい詩集ですね。
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