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生物としての静物 (集英社文庫) 文庫 – 1994/2/18
開高 健
(著)
旅する作家を支えた小さな同行者たち。亜熱帯の戦場で、氷雨の原野で、深夜の書斎で、一本の指となり、創造の起爆剤となるライター、パイプ、万年筆、お守り…。小物たちへのこだわりと美学を綴る。
- 本の長さ216ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日1994/2/18
- ISBN-104087481298
- ISBN-13978-4087481297
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (1994/2/18)
- 発売日 : 1994/2/18
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 216ページ
- ISBN-10 : 4087481298
- ISBN-13 : 978-4087481297
- Amazon 売れ筋ランキング: - 437,588位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,453位集英社文庫
- - 7,378位近現代日本のエッセー・随筆
- - 18,439位評論・文学研究 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1930年大阪に生まれる。大阪市立大を卒業後、洋酒会社宣伝部で時代の動向を的確にとらえた数々のコピーをつくる。かたわら創作を始め、「パニック」で注目を浴び、「裸の王様」で芥川賞受賞。ベトナムの戦場や、中国、東欧を精力的にルポ、行動する作家として知られた。1989年逝去。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 饒舌の思想 (ISBN-13: 978-4480426635 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年3月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
数十年前に発売されたときのほうが装丁が凝っていました。時節柄、やむをえませんね。
2015年9月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は
開高健(1930-1989)による
「もの言わぬ小さな同行者」
についてのエッセイ集です。
対象はたとえば
シガレット(ラッキーストライク)
パイプ
オイルライター
ナイフ
ジーンズ
ベルト
万年筆(モンブラン)
懐中時計
モスキートコイル(蚊取り線香)
帽子
ヘルメット
ビーフ・ジャーキー
みつ豆
正露丸
聖書
百人一首
言海(芥川龍之介愛用の辞書)
‥‥などです。
旅・アウトドア・戦場・執筆
などの局面で必要となる道具です。
本書は単行本として
紙質が良く
活字が良く
イラストが落ち着いていて適度にカラフルです。
どこからでも読み始めてもOKです。
いつ読んでもOKです。
日曜の夜などいいかもしれません。
開高の「白鳥の歌」である『珠玉』は
トロワ・コントつまり三部作形式です
(落語の三題噺とも音楽のソナタ形式とも
ある程度似ていますが
また少し違います)。
第一部 『掌のなかの海』の主人公
外科医・船医の高田先生が
「文房清玩」
というコトバを語ります。
昔の文人たちが
硯や、筆や、紙に凝って
書斎で独りで楽しんでいたことを指します。
開高は
「文房」具の概念を拡大して本書を執筆しました。
『珠玉』の第二部は
『玩物喪志』というタイトルです。
文房(や玉)を清玩というより愛玩し過ぎて
たましいを失ってしまうことの比喩です。
開高は何を失ったのでしょうか?
字面の上では、デュ・パープというワインともとれるし
銀座のバーのママともとれるし
戦場やパリの記憶の下に隠れた
『夏の闇』の「女」のことなのかもしれません
(モデルは事故で急死)。
閑話休題。
私はタバコを吸いません。
酒は飲めません(アレルギー体質)。
釣りはしたことがありません。
登山もキャンプもスキーもやったことがありません。
探検に行ったこともありません。
アウトドア関係は皆無です。
旅も行きません。
必要に迫れての出張や移動はありますが
楽しみや好奇心にかられての旅行はしたことがありません。
広告やデザインにも興味ありません。
どの角度から見ても
私の人生は
開高健と何の共通点もありません。
しかし開高の著作はよく読みました。
結構、読んでいます。
ほとんど読んでいると思います。
本書は
私のリアルな生活と全く関係のないものたちの
オンパレードですが
繰り返し本書を読んでいます。
読書の対象としてきわめておもしろいし
読んでいて気持ちがいいからです。
Amazonで2冊目を購入しました。
しかしいくつか
私の個人的な興味と重なるものもあります。
たとえば
1)パイプ
バッハ(Bach)が妻アンナ=マグダレーナに贈った
『アンナ=マグダレーナ・バッハの音楽帳』の中に
『私はしばしばパイプによいタバコをつめて』
So oft ich meine Tabakspfeife
mit gutem Knaster angefullt.
(BWV.515)
という短い歌があります。
バッハ自身の作曲かどうかは疑問視されていますが
印象的な旋律が耳に残ります。
少なくともバッハは
書斎で夜ひとりパイプにタバコをつめて
思索にふける
開高やアインシュタインのような人の心境を
理解していたと思われます
(時系列では逆ですが)。
2)万年筆
仕事のときは主としてボールペンですが
私は筆圧が強いので
万年筆を使うこともあります。
長年の使用に耐えて手になじんでいるのは
開高と同じく
モンブランです。
マイスターシュティックNo.149を3本
(ペン先がB・M・Fそれぞれ1本ずつ)と
マイスターシュティックNo.146を1本
(ペン先はEF)
愛用しています。No.146は1本なくしたので
後からもう1本買い直しました。
インクはびん入りの
ブルーブラックとロイヤルブルーの
2種類を局面に応じて使い分けています
(モンブランは最近ブルーブラックを
ミッドナイトブルーと呼び方を変えました。
ブルーブラックのほうがいいと私は思います)。
開高と同じくカートリッジ式のインクは使いませんでした。
確たる理由はありませんが
カートリッジ式を使わざるをえない状況なら
むしろボールペンを使います。
開高と言えばモンブランです。
死後に編まれた『ザ・開高健』(読売新聞1990)によると
エッセイスト・ライター・編集者の高恵美子(?-1990)に対し
「いい物書きになってください」
とモンブランの万年筆を渡したそうです。
その写真は上掲書に載っています。
高恵美子は
開高の死の翌年ちょうど開高の命日に自殺しました。
また
開高健は最高傑作『夏の闇』を
愛用のモンブランで書きました。
途中まではブルーブラックのインクで
途中から最後まではブルーのインクで書きました。
ブルーブラックのインクは
空気に触れて酸化すると黒色になります。
水に濡れても消えません。
だから降伏文書や条約など
外交上の公式文書の署名に使われます。
ブルー(ないしロイヤルブルー)は
化学変化は起こさずに
最初から最後まで青色です。
でも水に濡れると消えて(にじんで)しまいます。
開高がなぜ
『夏の闇』の途中でインク(の色)を変えたのか
私はその理由を知りません。
単になくなったとは考えにくいし
速乾性のインクがほしかったのかもしれません。
『夏の闇』を書き上げたときに撮影した写真を見ると
机の上にあるのは
モンブランではなくて
パーカーのQuinkです。
もちろんインクの色によって
『夏の闇』の文学性が変わることはありません。
こんなところにこだわるのを
玩物喪志と言うのだろうと気づきました。
開高健(1930-1989)による
「もの言わぬ小さな同行者」
についてのエッセイ集です。
対象はたとえば
シガレット(ラッキーストライク)
パイプ
オイルライター
ナイフ
ジーンズ
ベルト
万年筆(モンブラン)
懐中時計
モスキートコイル(蚊取り線香)
帽子
ヘルメット
ビーフ・ジャーキー
みつ豆
正露丸
聖書
百人一首
言海(芥川龍之介愛用の辞書)
‥‥などです。
旅・アウトドア・戦場・執筆
などの局面で必要となる道具です。
本書は単行本として
紙質が良く
活字が良く
イラストが落ち着いていて適度にカラフルです。
どこからでも読み始めてもOKです。
いつ読んでもOKです。
日曜の夜などいいかもしれません。
開高の「白鳥の歌」である『珠玉』は
トロワ・コントつまり三部作形式です
(落語の三題噺とも音楽のソナタ形式とも
ある程度似ていますが
また少し違います)。
第一部 『掌のなかの海』の主人公
外科医・船医の高田先生が
「文房清玩」
というコトバを語ります。
昔の文人たちが
硯や、筆や、紙に凝って
書斎で独りで楽しんでいたことを指します。
開高は
「文房」具の概念を拡大して本書を執筆しました。
『珠玉』の第二部は
『玩物喪志』というタイトルです。
文房(や玉)を清玩というより愛玩し過ぎて
たましいを失ってしまうことの比喩です。
開高は何を失ったのでしょうか?
字面の上では、デュ・パープというワインともとれるし
銀座のバーのママともとれるし
戦場やパリの記憶の下に隠れた
『夏の闇』の「女」のことなのかもしれません
(モデルは事故で急死)。
閑話休題。
私はタバコを吸いません。
酒は飲めません(アレルギー体質)。
釣りはしたことがありません。
登山もキャンプもスキーもやったことがありません。
探検に行ったこともありません。
アウトドア関係は皆無です。
旅も行きません。
必要に迫れての出張や移動はありますが
楽しみや好奇心にかられての旅行はしたことがありません。
広告やデザインにも興味ありません。
どの角度から見ても
私の人生は
開高健と何の共通点もありません。
しかし開高の著作はよく読みました。
結構、読んでいます。
ほとんど読んでいると思います。
本書は
私のリアルな生活と全く関係のないものたちの
オンパレードですが
繰り返し本書を読んでいます。
読書の対象としてきわめておもしろいし
読んでいて気持ちがいいからです。
Amazonで2冊目を購入しました。
しかしいくつか
私の個人的な興味と重なるものもあります。
たとえば
1)パイプ
バッハ(Bach)が妻アンナ=マグダレーナに贈った
『アンナ=マグダレーナ・バッハの音楽帳』の中に
『私はしばしばパイプによいタバコをつめて』
So oft ich meine Tabakspfeife
mit gutem Knaster angefullt.
(BWV.515)
という短い歌があります。
バッハ自身の作曲かどうかは疑問視されていますが
印象的な旋律が耳に残ります。
少なくともバッハは
書斎で夜ひとりパイプにタバコをつめて
思索にふける
開高やアインシュタインのような人の心境を
理解していたと思われます
(時系列では逆ですが)。
2)万年筆
仕事のときは主としてボールペンですが
私は筆圧が強いので
万年筆を使うこともあります。
長年の使用に耐えて手になじんでいるのは
開高と同じく
モンブランです。
マイスターシュティックNo.149を3本
(ペン先がB・M・Fそれぞれ1本ずつ)と
マイスターシュティックNo.146を1本
(ペン先はEF)
愛用しています。No.146は1本なくしたので
後からもう1本買い直しました。
インクはびん入りの
ブルーブラックとロイヤルブルーの
2種類を局面に応じて使い分けています
(モンブランは最近ブルーブラックを
ミッドナイトブルーと呼び方を変えました。
ブルーブラックのほうがいいと私は思います)。
開高と同じくカートリッジ式のインクは使いませんでした。
確たる理由はありませんが
カートリッジ式を使わざるをえない状況なら
むしろボールペンを使います。
開高と言えばモンブランです。
死後に編まれた『ザ・開高健』(読売新聞1990)によると
エッセイスト・ライター・編集者の高恵美子(?-1990)に対し
「いい物書きになってください」
とモンブランの万年筆を渡したそうです。
その写真は上掲書に載っています。
高恵美子は
開高の死の翌年ちょうど開高の命日に自殺しました。
また
開高健は最高傑作『夏の闇』を
愛用のモンブランで書きました。
途中まではブルーブラックのインクで
途中から最後まではブルーのインクで書きました。
ブルーブラックのインクは
空気に触れて酸化すると黒色になります。
水に濡れても消えません。
だから降伏文書や条約など
外交上の公式文書の署名に使われます。
ブルー(ないしロイヤルブルー)は
化学変化は起こさずに
最初から最後まで青色です。
でも水に濡れると消えて(にじんで)しまいます。
開高がなぜ
『夏の闇』の途中でインク(の色)を変えたのか
私はその理由を知りません。
単になくなったとは考えにくいし
速乾性のインクがほしかったのかもしれません。
『夏の闇』を書き上げたときに撮影した写真を見ると
机の上にあるのは
モンブランではなくて
パーカーのQuinkです。
もちろんインクの色によって
『夏の闇』の文学性が変わることはありません。
こんなところにこだわるのを
玩物喪志と言うのだろうと気づきました。
2019年1月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とても楽しいエッセイ集です。帽子を買いたいと考えていたところ、開高健さんの考察を参考にしようと購入しました。電子版と秤にかけ、挿絵がいいと聞いたので、紙のものとしました。モノに目を落としながら、モノを論じる著者を思い描くこととなります。一編一編それぞれ気軽に読める分量ながら、著者の強い意識を感じます。バラエティに富み、そして軽快です。
これを読み、男であれば誰にでも似合うという表現に安心し、アイルランドのハンナハット (https://hannahats.com/) にて帽子を購入しました。しかし、いざかぶってみると女性的であると指摘されることが多く、悩むことになりました。万年筆はモンブランがいいとのことですが、こちらはまだ購入にいたっていません。
これを読み、男であれば誰にでも似合うという表現に安心し、アイルランドのハンナハット (https://hannahats.com/) にて帽子を購入しました。しかし、いざかぶってみると女性的であると指摘されることが多く、悩むことになりました。万年筆はモンブランがいいとのことですが、こちらはまだ購入にいたっていません。
2014年9月2日に日本でレビュー済み
たばこやキセルから文房具、そして釣り道具に至るまで、作者が愛してきた様々な物が、歴史とともに語られる。
著者は、物を語りながら、人生を語っている。
そこにこの本の面白さがある。
著者は、物を語りながら、人生を語っている。
そこにこの本の面白さがある。
2019年3月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私は10年以上前に釣りをやめていましたが、万年筆やタバコの話など現在の趣味や所持品に自分と合致した内容が楽しかったです。
2016年8月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人と物の理想的な関係をシンプルかつ芳醇な言葉で綴った何度でも読み返したくなる本です。