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生れ出づる悩み (集英社文庫 あ 60-1) 文庫 – 2009/6/26
有島 武郎
(著)
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才能と夢と現実の狭間で苦しむ若者の肖像
作家である私の仕事場を突然訪ねてきた「君」。才能を持ちながらも絵画の道を諦め、故郷に帰らざるを得なかった「君」…。夢と現実生活の狭間で苦しむ若者の姿を描いた永遠の名作。
作家である私の仕事場を突然訪ねてきた「君」。才能を持ちながらも絵画の道を諦め、故郷に帰らざるを得なかった「君」…。夢と現実生活の狭間で苦しむ若者の姿を描いた永遠の名作。
- 本の長さ160ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2009/6/26
- 寸法10.5 x 1 x 15 cm
- ISBN-104087520544
- ISBN-13978-4087520545
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2009/6/26)
- 発売日 : 2009/6/26
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 160ページ
- ISBN-10 : 4087520544
- ISBN-13 : 978-4087520545
- 寸法 : 10.5 x 1 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 62,698位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年8月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み始めは難しい文体だと思ったが、先へ進んでいくうちに選び抜かれた文と分かり、作者の人となりが一瞥できて良かった。
2024年2月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古い本ので出版社にはないそうです、値段が適切だと思います。
2016年4月29日に日本でレビュー済み
大正期に活躍した「白樺派」の代表作家。歴史好きな方にとっても、著者に対する認識はその程度しかないかもしれません。実際僕も本書を手にするまで同じでした。しかし、読了後「なんで今までこれを読んでこなかったのか」悔やみました。薄い小冊子なのに「夢を追う青年が、貧窮と家族のために生ける屍とならなければならなかった」葛藤、恨み、苦悩、やり切れなさが溢れんばかりに噴出しています。
本書は作家である「私」の語りで展開されていく構成となっています。若いころに会った画家志望の青年・木本が10年後に「貧困と家族を支えるために漁師として生きなければならなかった姿」を、受け取った手紙や再会した時の風貌から想像し巧みな筆遣いで事細かに描写されていく流れ。おそらく「私」は著者自身を投影した姿であり、かれを通して有島の思想・価値観が読者側に投げかけられていきます。それでいて、青年の夢に対し「無責任なことばを与えることは決してしてはならなかった」とする「私」のわずかな後悔も垣間見える。それぞれの苦衷がひしひしと伝わってきます。特に後半の青年が漏らす以下の台詞が痛々しく、恨みがましさと陰鬱さがこみ上げてくるものとなっています。
「俺れが芸術家であり得る自信さえできれば、俺れは一刻の躊躇もなく実生活を踏みにじっても親しいものを犠牲にしても、歩みだす方向に歩みだすのだが(以下略)」
読了後、ひとつの不道徳な考えが頭をよぎってしまいました。おカネがないことと、家族の存在は「時に個人が生きる上での桎梏にしかなり得ない」のではあるまいか。特に「後者が個人を縛りつける度合いは凄まじいものがある」と戦慄を覚えてなりません。周囲には誰も理解者がいなく、画家になる夢を諦めきれない青年は「家族さえいなければ・・・・・」と何度思ったことか。できることならば、自分の道を行くために家族を捨てたかったのではないか。この青年のように葛藤に苦しみ、結局は諦めざるを得なかったひとたちが現実にどれほどいたことか。哲学でいう実存を問う、考えさせられる書ではないでしょうか。
本書は作家である「私」の語りで展開されていく構成となっています。若いころに会った画家志望の青年・木本が10年後に「貧困と家族を支えるために漁師として生きなければならなかった姿」を、受け取った手紙や再会した時の風貌から想像し巧みな筆遣いで事細かに描写されていく流れ。おそらく「私」は著者自身を投影した姿であり、かれを通して有島の思想・価値観が読者側に投げかけられていきます。それでいて、青年の夢に対し「無責任なことばを与えることは決してしてはならなかった」とする「私」のわずかな後悔も垣間見える。それぞれの苦衷がひしひしと伝わってきます。特に後半の青年が漏らす以下の台詞が痛々しく、恨みがましさと陰鬱さがこみ上げてくるものとなっています。
「俺れが芸術家であり得る自信さえできれば、俺れは一刻の躊躇もなく実生活を踏みにじっても親しいものを犠牲にしても、歩みだす方向に歩みだすのだが(以下略)」
読了後、ひとつの不道徳な考えが頭をよぎってしまいました。おカネがないことと、家族の存在は「時に個人が生きる上での桎梏にしかなり得ない」のではあるまいか。特に「後者が個人を縛りつける度合いは凄まじいものがある」と戦慄を覚えてなりません。周囲には誰も理解者がいなく、画家になる夢を諦めきれない青年は「家族さえいなければ・・・・・」と何度思ったことか。できることならば、自分の道を行くために家族を捨てたかったのではないか。この青年のように葛藤に苦しみ、結局は諦めざるを得なかったひとたちが現実にどれほどいたことか。哲学でいう実存を問う、考えさせられる書ではないでしょうか。
2013年11月16日に日本でレビュー済み
なんでか岡田将生が表紙。
表紙が現代風なだけで,不思議と読みやすいような気がしてくる。
だからといって”表紙買い”したわけではなく,先日,北海道岩内に旅行に行き,
何の気ナシに入った「木田金次郎美術館」に売ってたので買ってみたのである。
木田金次郎というのは,岩内の漁師さん兼画家で,「生まれ出づる悩み」の木本のモデル
・・・ということも美術館で初めて知ったのだが,
荒くれた海,もこもこと盛り上がる山々など,北海道の自然を描く太く力強い筆致と
漁師出身で岩内に身を埋めた画家,というプロフィールが気になり,
この機会にと小説に手を伸ばしてみた。
「君」と語りかけながら,「君」=木本 の人生を描くという面白いプロット。
とっても短編なので,感想を書こうとするとストーリーがまるまる伝わってしまいそうであり,
どう書けばよいのか迷うが,
生まれたこと自体まで悩むかどうかは別として,木本の悩み(ジレンマ)は,現代人でも何かしら理解できるものである。
有島は,この小説を書いた何年後かに「生まれ出ずる悩み」に負けてか命を絶ち,
他方,木本のモデルである木田金次郎は,漁師をやめて「悩み」から脱却した人生を送ったようであるが,
何とも皮肉。
そんな予備知識も心の片隅に置きながら読むと,なかなか面白い。
ちなみに,この本は,巻末に作者の詳しいプロフィールや丁寧なブックガイドが載っていて,
いたれり尽くせり。
その中に「木田金次郎美術館」も紹介されていた。
表紙が現代風なだけで,不思議と読みやすいような気がしてくる。
だからといって”表紙買い”したわけではなく,先日,北海道岩内に旅行に行き,
何の気ナシに入った「木田金次郎美術館」に売ってたので買ってみたのである。
木田金次郎というのは,岩内の漁師さん兼画家で,「生まれ出づる悩み」の木本のモデル
・・・ということも美術館で初めて知ったのだが,
荒くれた海,もこもこと盛り上がる山々など,北海道の自然を描く太く力強い筆致と
漁師出身で岩内に身を埋めた画家,というプロフィールが気になり,
この機会にと小説に手を伸ばしてみた。
「君」と語りかけながら,「君」=木本 の人生を描くという面白いプロット。
とっても短編なので,感想を書こうとするとストーリーがまるまる伝わってしまいそうであり,
どう書けばよいのか迷うが,
生まれたこと自体まで悩むかどうかは別として,木本の悩み(ジレンマ)は,現代人でも何かしら理解できるものである。
有島は,この小説を書いた何年後かに「生まれ出ずる悩み」に負けてか命を絶ち,
他方,木本のモデルである木田金次郎は,漁師をやめて「悩み」から脱却した人生を送ったようであるが,
何とも皮肉。
そんな予備知識も心の片隅に置きながら読むと,なかなか面白い。
ちなみに,この本は,巻末に作者の詳しいプロフィールや丁寧なブックガイドが載っていて,
いたれり尽くせり。
その中に「木田金次郎美術館」も紹介されていた。
2016年5月15日に日本でレビュー済み
表紙が残念!!!!普通のがよかったのに … で、星4つとなりました。
2006年9月24日に日本でレビュー済み
実在の北海道の画家、木田金治郎がモデルとなった作品。
文学者である「私」の元へ突然現れた青年。
彼は「私」に『絵を見てほしい』と、乱暴に絵を差し出す。
青年の朴訥さに不満を覚えつつ見た絵の、
未熟な技巧にまさる、
その強さに、「私」は、驚く。
さて、彼は、
何思い、生くる人ぞ。
貧しい生活のため画家ではなく、漁師の道を選んだ青年の苦悩を綴る。
読後感は、悲しさよりも強さが残る。
文学者である「私」の元へ突然現れた青年。
彼は「私」に『絵を見てほしい』と、乱暴に絵を差し出す。
青年の朴訥さに不満を覚えつつ見た絵の、
未熟な技巧にまさる、
その強さに、「私」は、驚く。
さて、彼は、
何思い、生くる人ぞ。
貧しい生活のため画家ではなく、漁師の道を選んだ青年の苦悩を綴る。
読後感は、悲しさよりも強さが残る。