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セーヌの川辺 単行本 – 2008/9/5
フランスに活動の拠点を移した池澤夏樹のエッセイ集〈異国の客〉第2弾。フォンテーヌブローでの日々の生活と新時代への希望を架橋する、しなやかで粘り強い思索に裏打ちされた、時代への提言。
- 本の長さ304ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2008/9/5
- ISBN-10408771246X
- ISBN-13978-4087712469
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商品の説明
著者について
登録情報
- 出版社 : 集英社 (2008/9/5)
- 発売日 : 2008/9/5
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 304ページ
- ISBN-10 : 408771246X
- ISBN-13 : 978-4087712469
- Amazon 売れ筋ランキング: - 861,284位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 24,758位エッセー・随筆 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
1945年、北海道生れ。埼玉大学理工学部中退。
二十代から世界各地を旅し、ギリシャ、沖縄、フランスで暮らす。現在は、札幌在住。公式サイトは[cafe impala]
http://www.impala.jp
1988年「スティル・ライフ」で芥川賞を受賞。詩、小説、随筆、翻訳(英・ギリシャ語)、書評と執筆は多岐にわたる。広く深い文学的教養と理系的知識を土台に、自然と人間の関わりについての示唆に富んだ作品を多く著している。
ワープロ原稿で芥川賞を受賞した初めて作家でもあり、9.11をきっかけに毎日メールマガジンを通じて意見を表明する(『新世紀へようこそ』に収録)など、早くからデジタル・メディアの活用に関心を持つ。2014年からは株式会社ボイジャーと共同で自身の著作の電子アーカイブ化にも取り組んでいる。
主な著書に『母なる自然のおっぱい』(読売文学賞)『マシアス・ギリの失脚』(谷崎潤一郎賞)『ハワイイ紀行』(JTB出版文化賞)『花を運ぶ妹』(毎日出版文化賞)『すばらしい新世界』(芸術選奨文部科学大臣賞)『イラクの小さな橋を渡って』『憲法なんて知らないよ』『言葉の流星群』(宮沢賢治賞)『静かな大地』(親鸞賞)『パレオマニア』等。2003年、著作活動全般について司馬遼太郎賞、「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」の編纂で朝日賞を受賞。
東日本大震災の後は被災地に通い、『春を恨んだりはしない』『双頭の船』『アトミック・ボックス』を執筆。震災をきっかけに日本と日本人について思索したいとの思いから、「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」に取り組み、2014年末から刊行開始。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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繰り返し述べており日本との比較で興味深かったのは、一つはフランスの共和国の理念である。フランス革命に端を発する共和制は、経済よりも政治を優先し知性による統治を目指すとともに被治者の異議申し立てを許容する。著者自身何度も交通ストライキや高校生のデモに出合うが、周りの人の眼差しは迷惑にも拘わらず穏やかだ。いま一つはEUと国家の関係である。多くの国が陸続きで車や列車で気安く行き来し言語のバリアも低いが、各国はそれぞれに国家アイデンテティを求めつつ固有の問題の解決を図っている。この他に、自然景観の尊重に対する日仏の違いや政教分離政策等も面白かったし、時論的なことでは親米政策をとるサルコジ新大統領への評価は手厳しい。
著者は移動しながら思索を深める。フォンテーヌブローをベースにフランス各地のみならず、スイス、イギリス、イタリア等の隣国にも頻繁に出掛ける。更に休暇をとって厳寒のフィンランド体験もあれば、日本への一時帰国もある。移動し異なる人や事物と向かい合うことが相対的な物の見方を育むのだろう。
著者の知的探究心の広さと深さにも驚嘆する。詩や演劇を含む広いジャンルの文学のみならず、美術や博物への造詣も深くピカソ論やアフリカ民族工芸品の由来は面白かった。加えて著者は理系分野にも強く所どころに明晰な科学的記述がみられるし、地元の市場で季節の食材を手に入れ自ら料理することも楽しそうに書いている。
著者の余裕があって冷静な随想は、パリ郊外に住んでいるからこそ生まれるのだろう。今後も思索を深め日本に向け発信してほしいと思った。
セーヌの河辺といえばパリかと思ったが、パリ郊外のフォンテーヌブローという街に移り住んでからの体験やフランスと日本との比較しながら氏ならではの視点で国家のありかたなどを模索しながら語っているエッセイ集でした。
エッセイの内容は多岐にわたっていてどのエッセイも興味ある内容である。
評者がとくに印象に残ったのは「厳寒体験、エネルギー問題、全世界が流滴の地」というエッセイのなかで池澤さんは、ヨーロッパ全体がロシアの天然ガスに過度に依存することは危険だと考えたことを書いていたことです。
評者も元KGBのプーチンが大統領になったころからエネルギーをロシアに依存することなどリスクが大きすぎて危険だと考えていたからです。
池澤さんは「東シベリアと日本をパイプラインで結ぶ計画は危険だ」と指摘している佐藤勝氏の『国家の自縛』という本からも引用していました。
ロシアがウクライナへ侵攻した今まさに池澤さんが危惧したことが現実になっています。
「マラッテイが言ったこと」というエッセイではジダンが頭突きするほど怒らせる言葉は何だったのか?というテーマから日本語の罵倒語と、とくにヨーロッパ諸国の罵倒語を比較していた。
結論から言えば、圧倒的にヨーロッパ諸国に罵倒語が多く強烈なことを池沢さんは漱石の『坊っちゃん』のなかで山嵐が赤シャツを揶揄する言葉が「ハイカラ野郎」だけでは物足りないと「ハイカラ野郎の、ペテン師の、イカサマ師の、猫被りの、香具師の、モモンガーの、岡っ引きの、わんわん鳴けば犬も同然の奴とでも言えばいい」と坊ちゃんが追加するのですが、この程度が日本の罵倒語の限界だと引用していました。
アメリカやイギリスのミステリを読んでいたら、とても日本語に直訳できないような罵倒語が次から次に出てきます。
たとへば「お前の母さんでべそ」と「mother fucker」と比べても歴然としていますね。
「カルメン、モンブラン、南部高速道路」というエッセイでは、評者もシャモニーへ2006年6月と2010年8月に行ったことがあり懐かしく読ませてもらいました。
「フィレンツェ、ドゥオーモ、工学的関心」というエッセイでは、氏がイタリア・フィレンツェを訪れたが、時間の制約があり、迷った末に「ドゥオーモ」だけを見学することにしたそうです。
ドゥオーモについて詳細に解説しているところはなかなか面白く評者は二度読みしてしまいました。
もうずいぶん前になりますが、ケン・フォレットの『大聖堂』を思い出しながら読んでしまいました。
日本が極東の島国だということをあらためて思い知らされる本でした。