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IN 単行本 – 2009/5/26

4.2 5つ星のうち4.2 44個の評価

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魂を凍らせる、恋愛「抹殺」小説
恋愛の「抹殺」を書く小説家の荒涼たる魂の遍路。(抹殺―無視、放置、逐電など、自分の都合で相手との関係を断ち、相手の心を「殺す」こと。)『OUT』より12年目の衝撃作。

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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 集英社 (2009/5/26)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2009/5/26
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 336ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4087712982
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4087712988
  • カスタマーレビュー:
    4.2 5つ星のうち4.2 44個の評価

著者について

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桐野 夏生
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桐野 夏生(きりの・なつお)

1951年生まれ。93年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。98年『OUT』で日本推理作家協会賞(同作品は英訳され、日本人初のエ ドガー賞候補となる)、99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で 婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 メタボラ(上) (ISBN-13: 978-4022645548 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)

カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2024年2月6日に日本でレビュー済み
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やっと手に入り 早速 読み始めました
大変に満足です
2022年9月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容は 好きな作家の作品なので、楽しめました。ただ、字が小さすぎて 年寄りの私には読みにくかった
です。ページを多くすることで 多少 本の厚みが増しても 読みやすい方が良いのでは?
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2009年10月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
桐野夏生ファンである。
追っかけて、追い続けてここまで来た。

「OUT」は外側に拡散していくような
広がりを持つ話だったように思う。
本作「IN」は初期の代表作「OUT」のアンサー作品なのかと、
軽い気持ちで手に取った。

うかつだった。

「IN」は小説そのものの構造もそうだが、
ひたすら、奥へと「分け入っていく」。
丹念に一点を見つめながら足元をひたすら掘っていくような、
一途な怖さがある。
掘れば掘るほど、自らが不安定になる、ような。

「恋愛を抹殺する」とはどういうことか。
小説家は悪魔なのか。
「小説を書く」ということの呪術的な側面と、
感情や生き方を削って「物を書くヒト」を
業深く、現代的に描きながら、
登場する様々な女たちの凄み。
この行間から立ち上ってくる禍々しい女たちの香気にもやられた。
読んでいて身震いがして、
思わずあたりを何度か見渡した。

記念碑的な作品であり、
「OUT」から今日までの彼女のある到達地点を示す作品だと思う。

俺はほんと十分楽しめた。

「○子」は本当は俺たちの中にいる。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2009年10月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 主人公のタマキの小説とは何か、作家とは何かという真摯な自問自答の叫びは、
そのまま著者である桐野夏生のものとして響いてきた。また、島尾敏雄の『死の棘』
から着想を得たであろう私小説『無垢人』や、リアリティある作家と編集者の不倫の
恋の細部など、読者に敢えてタマキの物語は虚実ない交ぜの私小説ではないかと思わ
せるところからは、桐野夏生の覚悟が垣間見えた。
 タマキの名前そのままに、現実を自分というフィルターを通して虚構との間で<循
環>させ、小説をものする作家という生き方に対する覚悟だ。本作は「小説は悪魔で
すか。それとも、作家が悪魔ですか?」との作中の問いかけにイエスと答えてでも、
<たった一人で言葉の世界に取り残され>てでも、小説に命を懸けていくのだという
桐野夏生の決意表明であり、その意味では彼女のターニングポイントになる小説に間
違いない。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2020年9月22日に日本でレビュー済み
桐野夏生の小説に〚OUT〛と言う外国でも評判の高い本がある。「OUT」があるなら「IN」もあるだろうと捜したらこの本があった。だがこれは〚OUT〛と全く関係ない。「IN」とは各章のタイトルである「淫」「隠」「因」「陰」「姻」「IN」の総称である。第三章だけが「〚無垢人〛(作)」となっている。別の漢字の「いん」を当てても良いではないかと思うが判らない。

舞台は2005年の頃。物語は、中堅作家鈴木タマキが1988年に亡くなった著名作家・緑川未来男が1973年に出版した〚無垢人〛の中で書かれている愛人〇子の実相を、フィクションとして追及する過程を追っている。タマキの三人称の語りであるが、すべての視点は彼女のものである。

緑川未來男のモデルは明らかに島尾敏夫であると読める。『無垢人』は島尾の『死の棘』である。〚無垢人〛に〇子とのみ書かれる浮気相手の女は〚死の棘〛でも単に「女」と呼ばれているのみ。〚無垢人〛も未来男の浮気相手が、緑川家に取り付き、破滅させようと計る悪魔の女として書かれている、男性本位の作品だとタマキは読む。

緑川の代表作〚無垢人〛は私小説の最たるもので、登場人物のほとんどが「実名」を与えられている中で、「〇子」のみはモデルも判らず謎に包まれている。タマキはそれを「恋愛における抹殺」と呼び、モデルを掘り起こし彼女の「名誉回復」を計りたい。のんなタマキには、従来の歴史を転倒させずに置かないジェンダー思想を読み取れる。

だがストーリーはそれほど単純ではない。タマキには7年も付き合い、彼女を育て上げた、阿部青司という編集者の恋人がいる。双方とも結婚している。二人の関係は浮世を断った純粋は文学上の交わりだ。作家のタマキは彼と「一線を越える」覚悟はできているが、サラリーマンであり、浮世での出世願望もある青司はそこまでは踏み切れない。次第に「虚構」の世界に飽きてきたことも原因だ。二人はやがて破局を迎え、彼はその後突然死する。タマキが心から愛した青司は彼女の小説に登場することなく「抹殺」されるだろう。ここには緑川と〇子の関係の正反対の現実がある。

こんな背景を保ちつつ、タマキの〇子探しが始まる。各章はその「容疑者」探しで成り立つ。『緑川全集』に作家と共に写っている謎の美少女・石川茂斗子、緑川の文芸誌の「同人」で文才がないと言われた三浦弓美(故人)の師匠だったプロレタリア作家の村上禎子(故人)の娘静子へのインタビュー、新橋で文壇バーを開いていたという浦霞治子の息子からのたれこみ電話。そんな探訪は読者を飽きさせないが、すべては空振りに終わる。不思議なのは桐野の同様なモデル小説、林芙美子が陸軍報道部報道班員として南方を歴訪した様を描いた『ナニカアル』では、登場人物のほとんどが実名のままであるのに対して、この作品では全員が仮名で登場することだ。本名を類推できそうだが、誤りを恐れて止める。

最後に緑川の未亡人千代子を北海道に訪ねる。〇子は存在しない。すべてはフィクションだと明白に拒否する夫人だが、退去間際に、書かないという条件で、タマキだけに、緑川に宛てた三浦由美の「遺書」を見せる。〇子は実在した。千代子の存念が陽気迫る場面である。

〚ナニカアル〛で示唆されていた軍国日本批判とは異なり、ここから何かの明らかな批判を読み取ることは難しい。『死の棘』に興味がない読者には退屈な本でもある。本書の本当の面白さはそこではなく、作家鈴木タマキの、したがって作者桐野夏生、の普段は語らない創作上の秘密が満載されているところにある。私の場合はこれらに感嘆し、納得したと言っても過言ではなかった。以下はその抜粋である。数字は単行本の掲載頁

〇作家の本性―恐ろしいほどの冷たい視線。自分のことを他人ごとのように見る第三の目[を作家は持っている。従って作家は善人でありえない]
〇真の作家は、負の部分を原動力にして、前に進んでゆく51
〇しかし小説とは、そもそも不公平で不公正なものではないだろうか……夫の真実、妻の真実、愛人の真実、子供たちの真実、各々が真実と信じるものの集合が、真実と言う名の、過ぎゆく時間である130
〇作家は恐ろしいほど愚直に自分の感情を信じている190
〇確かに自分の書いたもの小説が密かに現実を切り崩していくと気がある。そんな時は小説家である自分が悪魔に見えたり、虚構が恐ろしいものに思えたりするが、現実を切り崩すほどの虚構は、現実よりも厳密に作らねばならないのだ204
〇小説とは皆の無意識を拾い集めて、物語と言う時間軸とリアリティを与え、さらに無意識を再編することだと気づく240
〇小説として立ち現れる幻……自分が書いてきたのは、現実を凌駕するほどの虚構でなくてならなかった。優れた虚構には現実を買えるほどの力があるはずだと243
〇なぜ自分はこのように現実と幻が混沌と混じり合う仕事をしているのだろう245
〇だから書くという仕事が見せる夢と幻は、タマキ[作家]の周囲を知らぬ間に変えてきたはずだった。淡く薄い交情を書けば、淡く薄い世界に、激しい感情を書けば激しい人間に。濃密な人間関係を書けば……濃密に246
〇真実は真実ではないからです。真実と思えるものを書いた時点で。それはフィクションになります。それを知っている作家は、真実と思えるものを魅力的に、そして面白くします。そのためには真実に間違われるフィクションが必要なのです。ですから作品はすべてフィクションなのです275
〇どこかの誰か[の読者に]に、自分のことが書かれていると勘違いさせて、居ても立ってもいられない境地にさせ、密かに人生の針を狂わせる[のが]小説というもの286
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年12月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小説家のいる二家族の物語が、絶妙にクロスする面白さ、その構成の妙に唯々、感銘する。
推理小説でもないのに、〇子は誰か?の真相に肉薄し迫る面白さ、それが過去の恋愛である
点が、なおさら、この小説を大人の作品に仕上げている。
この本で、心に残った”なるほどの一文”「私たちの滑稽な奔走そのものが恋愛の姿なのです」
確かに、恋愛で起きる様々な出来事をうまく表現していると思う。
やっぱり、桐野夏生は凄い!と心底思った。
桐野小説から随分、遠ざかっていたが、また、読みたくなった。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2009年11月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 桐野夏生の小説には、読むとすぐにそれとわかるモデル事件が存在する。
『OUT』の井の頭公園バラバラ死体遺棄事件、『グロテスク』の東電OL殺人事件、『東京島』のアナタハン事件。
 そして本作は、島尾敏雄夫妻と敏雄の作品『死の棘』、業界では誰もが知っていた作者自身のダブル不倫事件がモデルとなっている。

 現実に題材を取る作家ではあるものの、しかし桐野は現実に取材する作家ではない。
 本作の感想に、作家の取材方法がわかって面白かったと表現しているものを散見するが、桐野自身はこの手のインタビュー取材を行ってはいないのだ。島尾敏雄とミホ夫妻に対する子供側からの冷ややかな視線は、島尾伸三本人が、すでに赤裸々に綴っているところであり、桐野はそれを読んだだけであることは明らかである。
 つまり、物語の後半、劇的に真相が明かされていく過程は、娯楽小説としてのスタイルであり、桐野の創作なのだ。もちろん、彼女の不倫相手も死んではいない。
 娯楽としてのサービスが充分であり、巧いとも言えるが、甘いともいえる。

 良くも悪くも、本作は『OUT』の裏面、対になる作品であり、『OUT』が最終局面で甘く緩い方角に流れたように、また作者のデビュー作の特徴である、「主人公だけに、とっておきの秘密をべらべらと喋る初対面の相手」という女性ミステリ作家にありがちな大きな欠点も抱えており、その欠点の分量込みで、桐野の出世作『OUT』の完全な再現となっている。
(事情を知らない方が本作を『OUT』と無関係と断じているが、桐野は不倫相手と『OUT』を作ったのであり、その創作に至る道筋が本作には書かれている。)

 小説家が小説家を主人公にした小説は非常に多く、その大部分が作者の狭い世界の狭さを見せられているようで興ざめなものだが、本作は、その狭さをすさまじい深さで補い、充分に必然性のある激しい作品を作出している。

 本作は、桐野の最高傑作には絶対にならないが、次へのステップとして大きな意味がある重要な作品であることははっきりしており、読むべき一冊であることは明らかだ。
40人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年9月29日に日本でレビュー済み
恋愛の「抹殺」がテーマのお話。
作中に登場する『無垢人』は、島尾敏雄の『死の棘』をモチーフに
していることがわかる。
『死の棘』、高校時代に昭和最高の文学と現国の先生にいわれ
薦められていたのだが、なかなか手が出ず、最近ようやく読んだ。
読んだといっても、圧倒的な閉塞感に苦しくなり
途中で読むのをやめてしまったのだ。

恋愛における抹殺とは、なんだろう。
作家である主人公のタマキは自身の終わった愛に思いを馳せながら
このテーマを掘り下げていく。

最後に登場する愛人とされた○子からの手紙の下りに
この物語の本質はあると思う。

死んでゆく者こそが無垢であり
また、タマキの愛人も作中で死ぬ。

ただ、私は思う。
死んでゆく「者」ではなく、死んでゆく「恋愛」つまり、
その瞬間の思いこそが無垢なのではなかろうかと。
あとは、経年とともに腐敗していくだけで、
それを示唆した下りが作中に存在する。

「その時はそう思った」とは、恋愛の本質でもある、とタマキは
思った。恋愛は時間の経過に堪えられずに、密かに変質していく。
腐敗と言ってもいい。ガスがたまり、一気に爆発する。
爆発後は、二人とも、てんでばらばらに投げ出され、
周囲を見回すとまったく違う荒野が広がっている。」

しかし、その時はそう思ったという思いは
永遠になくならない。
存在したという事実が、肉体が滅びてもなくならないのと同様に。
その思いこそが、無垢なのだと思う。

変わらない思いなんて嘘だし
だからこそ美しい(醜い)
変わらずにいる努力が大切だというけれど
努力になんの意味があるのだろう?
そもそも恋愛は、恋愛したくてするものではなくて
不可抗力的にしてしまうものなのだ。
不可抗力で始まるものは
不可抗力で終わるだろう

ただ、「その時はそう思った」ものから
醜いものも美しいものも生まれ、それこそ無垢な魂の発露である。

桐野さんも、それを本書で描きたかったのではないだろうか?
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート