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石の中の蜘蛛 単行本 – 2002/6/1
- 本の長さ282ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2002/6/1
- ISBN-104087753034
- ISBN-13978-4087753035
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
登録情報
- 出版社 : 集英社 (2002/6/1)
- 発売日 : 2002/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 282ページ
- ISBN-10 : 4087753034
- ISBN-13 : 978-4087753035
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,940,156位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 483,220位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
浅暮三文(あさぐれ・みつふみ)小説家。第8回日本ファンタジーノベル大賞最終候補を経て1998年第八回メフィスト賞でデビュウ。2003年第56回日本推理作家協会賞を受賞。著作はイタリア、韓国で翻訳され、中学校教科書に採用された。日本文芸家協会、日本推理作家協会会員。
Mitsufumi Asagure is a novelist. He made his debut at the 8th Mephisto Award in 1998 after being a finalist for the 8th Japan Fantasy Novel Award. Received the 56th Japan Mystery Writers Association Award in 2003. His works have been translated in Italy and South Korea, and have been adopted as junior high school textbooks. He is a member of the Japan Literary Artists Association and the Japan Mystery Writers Association.
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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楽器修理職人立花は、引っ越した日に交通事故に遭い、そのあとから異常に聴覚が鋭くなる。常人では聞き取れない音や、部屋に残された音(「残り香」ならず「残り音」だね)を感じ取れるようになり、あちこちをたたいて残音を確かめると、どうも前に住んでいたのが細身のきれいな女らしいことが分かる。その女は不動産屋の話によると失踪してしまったらしいのだが、立花はその女の行方を探り始める、という話。
まあ、21世紀に古いテーマの「人探しハードボイルド」を書こうと思うとこれくらいの斬新な設定が必要なのかもしれないが、斬新ならよいというものでもない。こんな妄想だけで前の住人の女を一所懸命追跡しようとするのがうさんくさい。また、「残音」を感じ取るやり方は、スプーンであたりをたたいて残響に耳を済ませる、っていう設定なのだが、これも何とかならないものか。せめてスプーンじゃなくて楽器関係の道具にするとかね、もうちょっとイカシタ小道具があったと思うな。
あと、比喩表現が手抜きとしか思えない。
<エアコンは腰を痛めた老婆のように仕事場で空気を吐き出すたびに溜息をついている。>
<なにかが立花の頭の中でささくれだっていた。喉に刺さった小骨のように、気になって仕方のないなにかが脳裏にある。>
<白い下着の胸と腰は硬そうな印象。特に胸はゴムボールみたいにまん丸。>
こんなクリシェを小説で読みたいだろうか。今時分、ノンフィクションでももう少しかっこいいレトリックに出会える。
本書では部屋に残る音の記憶をたどり自分の巻き込まれた事件と女をたどってゆく。
立花は事故により異常な聴覚を得た楽器の修理者である。
精緻な音の表現にくらくらさせられながら物語りは核心に近づいてゆく。
音の表現はとてもすばらしかったのだが,結末に?がついたので星は3つ。
この人の作品はユーモア・ミステリしか読んだことがなかった。本書を読んでびっくり。こんなに真っ当な「実験小説」を書く人だったとは。
本書のテーマは「音」である。ちょっとした事故で聴覚が鋭敏になってしまった主人公。ただ耳がいいというだけではなく、場所やものに蓄積された「過去の音」をも捉えることが出来るようになったという、驚きの設定である。
そして、彼の耳(や目)に響いてくる音の世界の不思議さといったら! 文章、比喩表現、展開に工夫があり、めくるめくような「音」に圧倒される一冊であった。
ひたすらそこを味わいながら読むべき小説。異様な読書体験となること間違いない。
残念ながら、ミステリとしてはまったく評価できない。
だが、この比喩たっぷりの文章を読むだけでも繰返し読みしたくなるから日本推理作家協会賞受賞も文庫化も大変嬉しい。是非「カニスの血を嗣ぐ」も文庫化してほしい。
歴史に残る凄まじい小説には間違い無し!買って絶対損は無いと思う。
とはよく言ったものです。ギターに奏者の癖がつくように、
部屋にも住人の癖がつく。その癖を聴覚によって読み取って
いくという発想がまず素晴らしいです。
さらに、視覚化された音を文章化するという困難に挑戦され
ております。
最初はイメージしにくいものの、徐々に風景が見えてくる
のですから不思議です。現実には有り得ないのにリアルに感じ
られるのは、この挑戦が見事に成功している証でしょう。
物語のテンポも良く、一気読みできる良い作品ですが、逆に
感覚的な描写が鼻につく方もおられるかもしれません。
その描写が見事で、読んでいる側も音と光のイメージの洪水に溺れそうな錯覚を感じます。
そして、そのような特異な感覚を持った登場人物がその能力をフルに活かして、犯罪事件に対峙していきます。
また、部屋や場所が音の記憶を持ち、その記憶は再現可能であり、音の発生源を特定できる、という発想が見事です。
人間の持つ孤独感・欠如感が、その独特なイメージの中で、際立ってきます。
文章に描かれた一つ一つのイメージを膨らませながら読むと、この本の面白さ・恐ろしさが倍増することでしょう。