19の旅であり、回想であり、短編小説集でもある。
特に主題が定められているわけではなさそうである。
話法は「私」の一人称もあれば、「彼女」「彼」を主人公とする3人称もあり。
どの作品もよく練られている。
主題とは私的な追憶、苦々しく甘美な傷跡かもしれないが、
詩情に富むというには、なにかしらおさまりが悪く、扱いかねるなにものか、
むしろ忘れ去りたいものであろう。
冒頭は短いフレーズで始まる。
「10月の終わりのことだった。」
読者は、作者とともに思念の旅に向かう。
旅人は連歌のように次々と発句をなし、
海であれ森であれ、あるいは見たこともない遠い砂漠であれ、
日本の寒村、テキサスの平原、東京のざわめき、パリの通り、
人の心の片隅のどこか、何時しかそこに存在する光景を歌いだす何者か、
見知らぬ他者となる。
そしてあてもなく彷徨い始める。
と各々の読者が自由な旅に出ることが可能であるなら、それこそ短編小説としては大成功である。
首尾よく砂漠を渡るおんぼろ飛行機に搭乗することができれば、それは僥倖である。
上手く乗れたと思える作品もあれば、何時まで経っても列車がやってこない、
無人の駅で待ちぼうけの作品もあったような気がする。
それはそれで良いのであるが。

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旅人は死なない 単行本 – 2011/11/22
孤独な魂が共鳴する心の旅、19の物語
シャネル社の社長として超多忙な日々を送る傍ら若い頃からの夢「書く」ことにも没頭するコラス氏。作家として生み出した4冊目の著書は長く孤独な歩みを続ける「人生の旅人たち」19人の物語。
シャネル社の社長として超多忙な日々を送る傍ら若い頃からの夢「書く」ことにも没頭するコラス氏。作家として生み出した4冊目の著書は長く孤独な歩みを続ける「人生の旅人たち」19人の物語。
- 本の長さ328ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2011/11/22
- ISBN-104087806200
- ISBN-13978-4087806205
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2011/11/22)
- 発売日 : 2011/11/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 328ページ
- ISBN-10 : 4087806200
- ISBN-13 : 978-4087806205
- Amazon 売れ筋ランキング: - 856,106位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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