「極夜行」で著者を知り、2冊目として本作を読んだ。実に面白かった。
著者が何に惹かれているのかを考えることが本書を読むということである。
著者自身も言っている通り、著者は雪男そのものに惹かれて雪男探索隊に入ったわけでも
ないし、本書を書いたのではないと読む方が僕にはしっくりきた。
勿論探索行が失敗に終わってから一人で山に残り雪男を探したという著者は雪男自体にも
興味は強いことは間違いない。但し、より著者が惹かれたのは雪男自体ではなく「雪男に
取り憑かれてしまった一連の人達」である。色々な方々がなぜ雪男というものに強く惹かれ、
人生そのものが変わってしまったのか。それが本書を書いた著者のモチベーションであったに
違いない。
雪男に取り憑かれてしまう人々は、かような志向と性向を持った方である。本書の題名は「雪男は
向こうからやって来た」であるわけだが、まさに雪男にやって来られてしまった人達の悲劇と喜劇が本書で
展開される筋である。本書は短篇集とも言えるが、それはかような人達の一つ一つの物語を編み上げた
タペストリーにも似た本の作りになっているからだ。
では著者のところには雪男は来たのか。色々な見方があると思うが著者自身は雪男は
自身には来なかったと考えていると僕は断定したい。勿論来かかったことは確かだろうが、
著者は本書を書くことで雪男を相対化し、相対化したことで、雪男に取り憑かれなかった
のではないだろうか。
それにしても面白い著者を発見したと思っているところだ。もっと角幡という方の本を読むことにした。
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雪男は向こうからやって来た 単行本 – 2011/8/26
角幡 唯介
(著)
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雪男は本当にいるのか。なぜそれを捜すのか。
ヒマラヤに棲むという謎の雪男。その発見に情熱を燃やす人たちがいる。捜索隊に誘われた私は、雪男を探し続ける人々の奇妙な体験談にも引き込まれていく。延べ60日を費やした捜索の結果は…?
ヒマラヤに棲むという謎の雪男。その発見に情熱を燃やす人たちがいる。捜索隊に誘われた私は、雪男を探し続ける人々の奇妙な体験談にも引き込まれていく。延べ60日を費やした捜索の結果は…?
- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2011/8/26
- 寸法13.8 x 2.9 x 19.4 cm
- ISBN-104087814769
- ISBN-13978-4087814767
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2011/8/26)
- 発売日 : 2011/8/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 336ページ
- ISBN-10 : 4087814769
- ISBN-13 : 978-4087814767
- 寸法 : 13.8 x 2.9 x 19.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 400,963位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 60,458位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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極地旅行家・作家。主な探検行はチベット・ツアンポー峡谷単独探検(02~03年冬、09~10年冬)、カナダ北極圏1600徒歩旅行(11年)、極夜の探検(16~17年冬)、北極徒歩狩猟漂泊(18年)、北極犬橇狩猟漂泊(20年)などなど。現在は国内では日高山脈地図無し登山を、北極ではグリーンランド最北の村シオラパルクに15頭の犬を飼い、毎年犬橇狩猟漂泊を継続中。『空白の五マイル』『アグルーカの行方』『漂流』『極夜行』『そこにある山』など。最新作は『狩りの思考法』。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年5月29日に日本でレビュー済み
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2012年9月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本に関しては厳しいレビューを書いてる人もいる。
まあ、雪男が出てくることを期待して読むと肩透かしを喰らうだろう。
スリル満点の命懸け冒険談を期待してても肩透かしを喰らうだろう。
わしゃどちらも期待してなかったので、満足だった。
しかし、捜索隊が撮影した足跡がなぜ雪男のものだといえるのか、もうちょっと検証してほしかった。
(ヒマラヤに住む他の動物の足跡の写真と比較して、どれとも似てないとか…)
よって、星は1つ少ない4つにした。
興味深いのは、日本人登山家もけっこう雪男を目撃しているということ。
フィリピン・ルバング島の残留日本兵小野田寛郎氏を発見した鈴木紀夫氏に至っては、
6回も雪男探索でヒマラヤ遠征をした挙句、グルジャヒマール南東稜コーナボン谷源流部で雪崩により死亡している。
ところが、その誰もが決定的な写真撮影には成功していない。
ことごとく失敗していて、まるで得体の知れない超常的な力によって、雪男の撮影が妨害されているようだ。
また、著者が現地の人にインタビューすると、
さんざ「雪男なんていない」と否定されてしまうエピソードには、苦笑せずにはいられない。
まるで、日本のどこかの山奥にいまだに最強のニンジャ戦士が隠れ住んでいると信じている外国人みたいだw
著者自身は、雪男探索隊に加わったにもかかわらず、その存在に懐疑的なのもおもしろい。
よって、本書は非常に公正な立場から書かれてある。
著者によると、人間には、雪男を見る人と見ない人の2種類がいるそうだ。
確かにそうだろう。わしも雪男を見ることのできない人間に分類される。
科学の世界では、解けない問題に夢中になり、一生を「棒に振る」ということはよくあることだし、
「見てはいけないもの」を見てしまったがために、それに取り憑かれてしまうということは、誰にでも起こりうることだ。
「常温核融合が起こっているというデータが出てしまった」
「雲を見てると地震が予知できるような気になってしまった」
「ユリ・ゲラーのしょぼい手品を見て、超能力は実在すると確信してしまった」
「夜空に光る謎の飛行物体を見て、宇宙人は地球に来ていると確信してしまった」
「探査機から送られてくる月や火星の写真には、宇宙人の建造物が写っているような気がする」
「9.11アメリカ同時多発テロは米国政府による自作自演の大陰謀であることに気づいてしまった」
「東日本大震災は人工地震兵器による攻撃だったことに気づいてしまった」
「世界はイルミナティに支配されていることに気づいてしまった」
などなど…
度を越すとトンデモになってしまうが、答えのない問いに夢中になることは「人生を棒に振る」ことなのだろうか?
叶えられない夢はすべてくだらないことなのだろうか?
人の生き方として考えると、果たして、どちらが幸せなのだろう?
雪男がいると信じてヒマラヤまで行ってしまう生き方と、
そんなものはいないと決め込んで、部屋に籠もって惰眠を貪っている人生と?
夢が叶えられなくても、その過程で本人が幸せならそれでいいような気がしてきた。
少なくとも、わしにとっては「ヒマラヤに雪男を探しに行く」というのは許容範囲だ。
わしも、機会があれば、ヒマラヤに行ってみたいと思うもの。
しかし、叶えられなかった夢は夢にしか過ぎないというのも事実である。
夢からはいつか醒めなくちゃいけない。
まあ、雪男が出てくることを期待して読むと肩透かしを喰らうだろう。
スリル満点の命懸け冒険談を期待してても肩透かしを喰らうだろう。
わしゃどちらも期待してなかったので、満足だった。
しかし、捜索隊が撮影した足跡がなぜ雪男のものだといえるのか、もうちょっと検証してほしかった。
(ヒマラヤに住む他の動物の足跡の写真と比較して、どれとも似てないとか…)
よって、星は1つ少ない4つにした。
興味深いのは、日本人登山家もけっこう雪男を目撃しているということ。
フィリピン・ルバング島の残留日本兵小野田寛郎氏を発見した鈴木紀夫氏に至っては、
6回も雪男探索でヒマラヤ遠征をした挙句、グルジャヒマール南東稜コーナボン谷源流部で雪崩により死亡している。
ところが、その誰もが決定的な写真撮影には成功していない。
ことごとく失敗していて、まるで得体の知れない超常的な力によって、雪男の撮影が妨害されているようだ。
また、著者が現地の人にインタビューすると、
さんざ「雪男なんていない」と否定されてしまうエピソードには、苦笑せずにはいられない。
まるで、日本のどこかの山奥にいまだに最強のニンジャ戦士が隠れ住んでいると信じている外国人みたいだw
著者自身は、雪男探索隊に加わったにもかかわらず、その存在に懐疑的なのもおもしろい。
よって、本書は非常に公正な立場から書かれてある。
著者によると、人間には、雪男を見る人と見ない人の2種類がいるそうだ。
確かにそうだろう。わしも雪男を見ることのできない人間に分類される。
科学の世界では、解けない問題に夢中になり、一生を「棒に振る」ということはよくあることだし、
「見てはいけないもの」を見てしまったがために、それに取り憑かれてしまうということは、誰にでも起こりうることだ。
「常温核融合が起こっているというデータが出てしまった」
「雲を見てると地震が予知できるような気になってしまった」
「ユリ・ゲラーのしょぼい手品を見て、超能力は実在すると確信してしまった」
「夜空に光る謎の飛行物体を見て、宇宙人は地球に来ていると確信してしまった」
「探査機から送られてくる月や火星の写真には、宇宙人の建造物が写っているような気がする」
「9.11アメリカ同時多発テロは米国政府による自作自演の大陰謀であることに気づいてしまった」
「東日本大震災は人工地震兵器による攻撃だったことに気づいてしまった」
「世界はイルミナティに支配されていることに気づいてしまった」
などなど…
度を越すとトンデモになってしまうが、答えのない問いに夢中になることは「人生を棒に振る」ことなのだろうか?
叶えられない夢はすべてくだらないことなのだろうか?
人の生き方として考えると、果たして、どちらが幸せなのだろう?
雪男がいると信じてヒマラヤまで行ってしまう生き方と、
そんなものはいないと決め込んで、部屋に籠もって惰眠を貪っている人生と?
夢が叶えられなくても、その過程で本人が幸せならそれでいいような気がしてきた。
少なくとも、わしにとっては「ヒマラヤに雪男を探しに行く」というのは許容範囲だ。
わしも、機会があれば、ヒマラヤに行ってみたいと思うもの。
しかし、叶えられなかった夢は夢にしか過ぎないというのも事実である。
夢からはいつか醒めなくちゃいけない。
2018年10月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
角幡さんの著書の中でも好きな一冊。
関係者へのインタビューもあり、追跡ルポという感じの作品だ。
田部井さんとか山の世界で著名な方も出てくるし、ジャーナリズムの視点から書かれている。
開高健ノンフィクション賞の最終候補作だが、受賞はならなかった。
この年の受賞作は「インパラの朝」。自分としては受賞ならずの「雪男~」の方が好きだ。
翌年、「空白の5マイル」で開高賞を受賞、同作でデビューする。その後「雪男~」が出版された。
「空白の~」が角幡さんのデビュー作であるが、実質こちらがデビュー作と言えるだろう。
関係者へのインタビューもあり、追跡ルポという感じの作品だ。
田部井さんとか山の世界で著名な方も出てくるし、ジャーナリズムの視点から書かれている。
開高健ノンフィクション賞の最終候補作だが、受賞はならなかった。
この年の受賞作は「インパラの朝」。自分としては受賞ならずの「雪男~」の方が好きだ。
翌年、「空白の5マイル」で開高賞を受賞、同作でデビューする。その後「雪男~」が出版された。
「空白の~」が角幡さんのデビュー作であるが、実質こちらがデビュー作と言えるだろう。
2020年8月14日に日本でレビュー済み
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雪男捜索の体験記であると同時に、雪男伝説の概要や歴史、何よりその発見に命を懸けた男たちのことがよく分かる物語である
2020年9月24日に日本でレビュー済み
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雪男が本当に居るかどうかは判らないが、これだけたくさんの日本人クライマーが目撃している事を、本書で初めて知った。
著名なクライマー達が語る物語の一遍は、雪男なんて眉唾ものと考えていた自分にとって驚きであり新鮮であった。
著者のエッセイ以外の作品を初めて読んだが、事実上の処女作にして良い作品だと思う。読み応えもあった。
面白くてついつい引き込まれて、降車駅で慌てた事が何度もあった。著者の他の作品も愉しみになってきた。
著名なクライマー達が語る物語の一遍は、雪男なんて眉唾ものと考えていた自分にとって驚きであり新鮮であった。
著者のエッセイ以外の作品を初めて読んだが、事実上の処女作にして良い作品だと思う。読み応えもあった。
面白くてついつい引き込まれて、降車駅で慌てた事が何度もあった。著者の他の作品も愉しみになってきた。
2016年6月7日に日本でレビュー済み
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著者本人もジャーナリストとして書いたといっている通り、客観的な視点で関係者のインタビューがまとめられており、冒険の部分はいたって少ない。しかし書きようによってはもっと面白くできる話ではないか?著者自身の立ち位置がハッキリしないので、テンションが読んでいる我々も上がらない。先輩の高野秀行の文章を参考にすべき。残念。
2018年12月11日に日本でレビュー済み
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新聞か何かで角幡さんのコラムを読み、何だかメチャクチャ読ませる文章だなと感心し、で初めて手に取って読んだ著書が本書。達意の文章も構成の巧さもまさに期待していた通りで、初めから最後まで一気に読み通してしまった。読者を引っ張ってゆく文章力はすごいね。小説の神様とか異名をとった作家がいましたが、角幡さんのそれもすでに神レベルだと感じました。内容はというとこれがまたヒマラヤの奥地に雪男の捜しに出かけるという、ゆけ~ゆけ~川口浩!とかあやしい探検隊の椎名誠を彷彿とさせるテーマで、一瞬、んっと首を傾げたけれども、中身は大真面目。椎名誠のしの字もない。もっとも角幡さん自身朝日を辞めて学生時代からの念願だったチベット・ツアンポー峡谷の探検へ出発するまでのつなぎとして誘われるままに雪男捜索の探検隊に参加したわけで、雪男の存在そのものについては半信半疑、というか当初はほとんど信じていなかった。その意味ではたぶん本書を手にする大多数の読者とほぼ同じレベルの認識だと思う。ところが芳野満彦、田部井淳子、鈴木紀夫らの目撃談を取材し(おれも芳野満彦が見たというのにはびっくりした)、探検隊の一員として実際に現地入りしてからはもしかして雪男いるんじゃないか、あるいはいてくれモードに変わってくる。実はこの微妙な心情の変化というか揺らぎが著者自身だけでなく読者をも巻き込んでくるわけですね。少なくともわたしは雪男もしかしているんじゃないか、と読みすすむにつれ思うようになってきた。この読者を同調させる力のようなものが角幡さんの文章のもつ力なのでしょう。で結局雪男は向こうからやって来たのか来なかったのか。タイトルはやって来たですが、ここでは探検の結果にはあえて言及しません。探検隊は隊長副隊長が六十代、中核となる隊員も五十代。これまで何度も雪男捜索を試み、今回のヒマラヤを人生最後として意を決してやってきた人たち。それから鈴木紀夫。彼らの生涯がこの探検に絶妙な陰影を与えていて、ただの探検記に留まらない重層的な構成の作品に仕上がっている。わたしもそうですが、本書を読んで鈴木紀夫の『大放浪』を読んでみようかなと思う読者も多いのでは。雪男はいるのかいないのか、その疑問はいつの間にか、おまえに夢はあるのか、ないのかという自分自身に対する問いかけに変わっている、そんな気がした読後感だった。