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マラス 暴力に支配される少年たち 単行本 – 2016/11/25

4.0 5つ星のうち4.0 28個の評価

殺人事件発生率世界一の中米ホンジュラスには、凶悪な若者ギャング団「マラス」がはびこる。
マラスの一員になる条件は、誰か人を殺すこと。そして、組織から抜けるときは、死を覚悟しなければならない。
なぜ少年たちは、死と隣り合わせの「悪」の道に進むのか。
元マラスや現役マラス、軍警察、そして若者ギャングの人生を変えようと奮闘する人々を取材し、暴力と貧困のなかに生きる少年たちの驚くべき現実が明らかになる。
殺人命令から逃れるためにメキシコへの決死の逃避行を果たした少年。マラスから抜けてギャング以外の道を若者に訴えるラッパー。そして、刑務所で囚人たちに救いの道を語りかける元ギャング・リーダーの牧師補佐。
今まで語られることのなかったマラスの姿を追った、衝撃のルポルタージュ!

第14回開高健ノンフィクション賞受賞作。

【目次】
○プロローグ
○第一章 マラスの輪郭
マラスというレッテル/国内最大の刑務所
○第二章 カリスマ
ギャング・リーダーの誕生/武装する少年たち/死への恐怖/塀の中のドン/奇跡の変身/神に導かれた男
○第三章 マラスという敵
マラスを追い詰める/マラスを抜けた青年
○第四章 冒険少年
世界一危険な町から来た少年/決死の逃避行/一筋の光/新天地
○第五章 マラスの悲しみ
ギャングと歩むシングルマザー/リベラ・エルナンデスの牧師/穏やかになったギャング/異なる選択肢
○第六章 変革
神のラッパー/刑務所の伝道師/強まる使命感/変革への連携プレー
○エピローグ

【著者プロフィール】
工藤律子(くどう りつこ)
1963年大阪生まれ。ジャーナリスト。東京外国語大学大学院地域研究研究科修士課程在籍中より、メキシコの貧困層の生活改善運動を研究し、フリーのジャーナリストとして取材活動を始める。主なフィールドはスペイン語圏、フィリピン。NGO「ストリートチルドレンを考える会」共同代表。著書に『仲間と誇りと夢と』(JULA出版局)、『ストリートチルドレン』(岩波ジュニア新書)、『ルポ 雇用なしで生きる』(岩波書店)などがある。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 集英社 (2016/11/25)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2016/11/25
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 340ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4087816214
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4087816211
  • カスタマーレビュー:
    4.0 5つ星のうち4.0 28個の評価

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工藤 律子
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上位レビュー、対象国: 日本

2022年5月12日に日本でレビュー済み
丁寧な取材と、分厚い現地ルポ。
 メキシコでの取材、その取材で知った青年の生い立ちから、ホンジュラスに飛
び、危険そのものの土地でインタビューをおこなう。さらにはまた取材でメキシ
コに旅立ち、さらにホンジュラスでの再取材。一年以上のインタビュー取材の成
果がここにある。著者が関わったのはおよそ26年前から。
 薬物依存、売買春、レイプ、性病、HIV感染、警察による暴力、人身売買。お
よそ世界にあるあらゆる悪徳がはびこる世界。高層ビルとスラムが共存するメキ
シコシティの現実。「『今度はいつ来てくれるの?』…うっとうしいと思うなら
まだしも会いに来てほしいとはいったい…子どもたちは気にかけてほしいのだ。」
スラムで暮らす子どもの言葉。社会から疎外された子ども達。マザーテレサ(彼
女については様々な批判があるが)の「愛の反対は無関心である」との言葉も思
いだす。その存在すら無視することは、一番救いのないことなのだろう。
 メキシコで出会った子どもから「マラス」という組織を教えられ、著者はホン
ジュラスに旅立つ。 ホンジュラス。日本の三分の一の広さ、人口800万以上、
殺人発生率世界一(2010年~2014年)。国民の6割が貧困層。マラスとはスペ
イン語で「全てを食いつくすアリの集団」のことらしい。アメリカカリフォルニ
アで生まれた暴力組織がホンジュラスに根を下ろし、全てを暴力によって破壊し
てゆく。刑務所もギャングによって棟を分けるが、殺人は日常。もちろん犯人な
ど分かるはずがない。政府の壊滅策によって暴力組織(マラス)は暴力で応える。
組織を抜けることもできない。ホンジュラスのNGOの係は、「1000人ほどのマラ
スやギャング団の中で、そこから抜け出せたのはわずか60人ほど…しかも大半が
後に殺された」と言う。言葉を失う。チンピラから抜け出し、教会の補佐役にな
った人の人生は、全編暴力に彩られている。果たして本当なのかと思うほど、悪
の根は深く広い。彼は珍しい成功例。ホンジュラスでは、警官もまた暴力装置。
「武装した者同士、戦って命を危険にさらすくらいなら、お互いの利益のために
協定を結」ぶ。よって警官とギャングは協力関係にある。

 国際政治の構造も語られる。まるでウィンズロウの小説(「犬の力」以降の三
部作が有名か)の背景と同じだった。「周辺国はどこも内戦と革命の嵐のただな
か…ホンジュラスは、貧困層の不満を抱えながらも…社会的安定を維持していた。
…中米の共産主義化を怖れる米国が…ホンジュラスを拠点として反革命勢力を支
援して…」そのためにホンジュラスは「緩衝国」として政治的運動は形成されな
かったという。政治的に混乱する代わりに、ホンジュラスでは暴力と貧困がはびこ
る。

 何人もにインタビュー(それも時期をおいて)をしているが、、人を殺しても
良心の呵責を持たない人が、キリスト教に救いを求める事例は普通なのだろうか。
このルポルタージュでも、キリスト教によって人生を変えた人が出てくる。メキ
シコでも大量殺戮をおこなった(としか考えられない)人が、改心しキリスト教
の布教者となる。奇妙な感覚を持つが、不思議なことではないのだろう。自ら進
んでギャングになるのではなく、それしか道のなかった人が、ストリートチルド
レン隣、ギャング見習い、そして正式の構成員となる。この構造は第三世界では
ままあることなのだろう。これはアメリカのマフィアにもよくみられる精神構造。

 しっかりとした取材で、時間をおいて再度訪ねてインタビューし、それによっ
て人物を描き、その人生を語る。安易な解説本ではない。きちんとした取材の成
果が詰まっている。長年このテーマに取り組んでいる著者に敬意を表します。類
似の「ギャング本」や「貧困層のルポ」ではありません。分厚い真摯なルポルタ
ージュです。 是非お読み下さい。  
 
☆は もちろん ☆☆☆☆☆ です
2017年1月29日に日本でレビュー済み
 著者は1963年生まれのジャーナリスト。東京外国語大学大学院在学中からメキシコの貧困層の生活改善運動を研究していた人物で、スペイン語圏とフィリピンをフィールドに取材活動を続けてきました。
 これは中米および北米でラテン系ギャング団を形成している若者たちの実態をホンジュラスに取材したルポルタージュです。『世界』(岩波書店)や『週刊金曜日』(金曜日)に執筆した記事などをもとに加筆修正した書で、2016年に開高健賞を受賞しています。

 私自身の個人的な経験から記すと、私は2002年に2度、そして2005年に1度、ホンジュラスを旅したことがあります。首都テグシガルパと第2の都市サン・ペドロ・スーラも訪れました。当時、現地に住む日本人、あるいはかつてホンジュラスに暮らしたことがある東京の知人は皆、「町なかを一人で歩くなんて危険ではないか」、「バスに乗るなんて危なくないか」と訊いてきたものです。私自身は、日本以外の国はどこも<同じように危険>だという認識しかありませんでした。むしろホンジュラス人は中南米で最も穏やかな性格を持った国民であると聞かされていましたし、事実私が巡り会った現地の人々はとても親切で温和な人が多いというのが偽らざる印象だったのです。ですがやがて、現地では若者たちのギャングが日々抗争を続けていて、死者が出続けているという現地メディアの報道をネットで目にするようになります。この書『マラス』によれば、2010年以来5年連続で人口10万人当たりの殺人事件発生率が世界一という国になってしまっていました。

 この書によってホンジュラスに若者ギャング団の暴力が渦巻くことになった経緯が理解できました。
 90年代の前半にカリフォルニアの州知事が犯罪歴のある中南米出身者を母国へ送還する政策を導入。ホンジュラスにも3000人ほどのギャングたちが戻ってきます。彼らが帰国後に地元の若者たちを組織してギャング団が林立することになります。当初はギャング同士に諍いはなかったのですが、カリフォルニアに残った上部組織の幹部が組織を強化する命令を下した結果、抗争が激化していったというのです。
 さらにホンジュラスのリカルド・マドゥーロ政権(2002~2006年)がギャング犯罪の厳罰化を進めます。この政策に対抗するためにギャング側も暴力を敵対勢力以外の一般市民にも向けはじめたのです。政府が若者たちに「対応」するのではなく「壊滅」を目指したために、青少年の支援問題であるべきものが治安問題へと変質してしまったと著者は指摘します。私が旅したころのホンジュラスはまさにこの転換期にあったというわけで、ギャング団の暴力が私のような一般人にも広がりつつある頃だったのです。

 著者が日本人であることが現地の取材には有利に働いたようです。政府機関やNGOが日本の援助を受けいれているホンジュラスでは日本人は親切に扱われるからです。
 著者は元ギャング団リーダーだった牧師や現地NGO職員などの話を聞きながら、ホンジュラスの若者ギャングたちの現状をつぶさに記していきます。

 この本を読んで強く印象に残ったのは、若者たちをギャングへと駆り立てるのはどうしようもない貧困だということと、その一方で若者たちをギャングから引き離すのは強権的な法執行機関ではなく、キリスト教の信仰だということです。
 絶望的な生活を送る若者たちにとっては暴力と信仰のどちらもが<セイフティ・ネット>の役割を果たしているということです。所属する場所を彼らに与えて心の安寧をもたらすという意味では、どちらも社会的機能が同じといえるかもしれません。それは行政が機能していない/機能するつもりのない取り組みを、暴力と信仰が肩代わりしている/させられている、と言い換えることもできるでしょう。

 新自由主義的経済政策の中で零れ落ちてしまう若者をいかに掬い上げるか、という観点でいえば、マラスの問題は日本人にとっても、遠い中南米の問題では終わりません。全世界で若者たちを同様の閉塞感が覆っているのですから。著者もその点を強調しています。

 3度も旅したいと私に思わせたホンジュラスの次の世代の若者たちが希望をもって明日を歩む時代を迎えるには何ができるのか。そのことに思いが至りました。

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 以下の書籍と映画を紹介しておきます。

◆Sonia Nazario『
Enrique's Journey: The Story of a Boy's Dangerous Odyssey to Reunite with His Mother 』(2007年)
:LAタイムズの記者が03年に発表してピュリッツァー賞を獲得した連載記事に加筆してまとめた書です。中米ホンジュラスの貧しいシングルマザーのルルデスはアメリカで働くために、幼いエンリケとベルキーを残して国を後にします。数年後、寂しい生活に耐えられなくなったエンリケは母を追って一人密入国の旅に出ます。その道のりをたどったルポルタージュです。貨物列車の屋根に乗ってメキシコ国内を渡るエンリケたちを腐敗警官やギャング団による激しい暴力が待ち受けています。

◆映画『
闇の列車、光の旅 』(2009年)
:中米ホンジュラスの首都テグシガルパに暮らす少女サイラは、父と叔父との3人で米国に渡る決心をします。メキシコに入ってからは列車の屋根によじ登っての危険な無銭移動を続けます。メキシコのギャング団メンバーのカスペルは頭目のリルマゴとともに、サイラたち不法移民から金銭を巻き上げていましたが、犯罪行為に嫌気がさしたカスペルはリルマゴを殺してサイラたちとアメリカへ逃亡する道を選んでしまう…という物語です。サンダンス映画祭監督賞受賞作品です。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年1月2日に日本でレビュー済み
中米、特にホンジュラスで、ギャング組織による犯罪が大きな社会問題となっている。そのギャング組織をマラスと呼んでいる。複数のマラス組織による縄張り争いで、敵対するライバル組織のメンバーを殺害している。殺害される恐れから、メキシコや米国に逃避する若者もいる。著者は、フィードワークを行っているメキシコで、マラスから逃れて中米からやってくる若者に出会う。若者たちの声を聴き、筆者は「マラス」を知るために中米のホンジュラスに飛ぶ。ホンジュラス及びメキシコでのインタビューや現地視察を基に筆者が記事を執筆した。当該記事はウェブサイト「イミダス」、岩波書店の月刊誌「世界」や金曜日の「週刊金曜日」に掲載され、それを加筆修正したものが本書である。
 筆者は、ホンジュラスの首都テグシガルパや第二の都市サンペドロスーラを取材したものの、マラスの現役メンバーの取材はできず、元構成員やマラス研究者のインタビューにとどまる。その意味で、本書書名から、著者によるマラス現役構成員へのインタビューを期待していただけに、梯子を外された感じで残念である。マラスという組織あるいは有機体を理解する作品としては、不十分であり、フラストレーションが残るものである。
 一方、マラスを脱退して、信仰の世界に身を置いた人物の来歴には目を引いた。何人をも殺めた経験のあるギャングのボスであるアンジェロが、収監中の刑務所の中で改心する。改心の基となるのは、キリスト教の力であった。宗教の力、信仰への力を深く感じた。
 本書で最も印象に残ったのは、マラスの暴力、若者がマラスをあこがれる背景、マラスの歴史といったものではなく、凶悪犯罪に手を染めて、人を殺めることを気にしない若者が、宗教の力で改心することである。本書に出てくる宗教家が言う、「人は変わることができる」。実際、マラスのメンバーであった人物が、宗教の力で、マラスを抜けだし、今ではマラス構成員にキリスト教の教えを説いている。宗教の力による改心は一人ではない。宗教により改心した元マラス構成員が複数登場する。日本において、犯罪者が改心するきっかけが信仰あるいは宗教というのはあまり耳にしない。しかし、ホンジュラスでは、宗教または信仰が改心の基となっている。宗教あるいは信仰の力の迫力を感じさせられた一冊である。(2022/12/25)