現在、小学生からもう年齢を問わず読まれている少女漫画といえば、この『NANA』だと思われる。すでに社会現象になってもいる。
大崎ナナと、小松奈々のふたりは、今の女の子像をともに極端な形で体現する少女たちだ。大崎ナナは、確かにカリスマのある美人な、『何か』をもった少女だ。ナナになりたい、と思う少女は多いだろうし、事実奈々はもっとも誰に愛されたい、誰に認められたいと思っているかといえば「大崎ナナ」だ。
小松奈々は、常に恋愛をすることをやめられず、どこか地に足のついていない、女からみればあまり友達になりたくないタイプだ。
けれど、「可愛くて仕方のない女の子の中の女の子」だ。
そのくせ、現実を見極めている。
「自分が空っぽである」ということを心のどこかで知っていて、それを埋めようとする。それが恋愛なのだ。
奈々がナナにあこがれるのは、ナナが何かを持っているように見えるから。けれど、ナナの憧れは奈々と、ナナの持つ幸せな暖かさなのだ。
ナナのせつなさ。
それは、いつも話の終わりにある、モノローグだ。
過去形になっている、必ず誰かが不幸になっていることを匂わせる言葉は、この漫画の世界観であり、わたしたち読者を悲しませる部分でもある。
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