岸本斉史『NARUTO―ナルト― 9』（集英社、2001年）は中忍選抜試験の第三の試験の予選である。表紙は日向ネジ、うずまきナルト、日向ヒナタ。
春野サクラと山中いのの対決の続きから始まる。サクラにはカマトトぶった表面とは別の「内なるサクラ」の声がある。これはギャグパートで使われるネタであった。この「内なるサクラ」は、いのとの戦いでは意味があった。ここまで考えた設定であるとしたら恐ろしい。
ナルトと犬塚キバの対決は知力を尽くしたものになった。ナルトは根性と豊富な九尾のチャクラで勝つイメージがあったため、頭脳戦は意外である。精神論だけで勝たせないところは健全である。
この巻のサブタイトルは「ネジとヒナタ」である。日向家同士の対決が目玉である。分家がヒールで、本家に感情移入させようとする設定はどうなのか。善玉と悪玉が逆ではないか。ナルト自身も実は貴種であった。『NARUTO』は名家に生まれた側の苦しみに力点を置いているが、そのような立場ではない人々にとってはどうなのか。
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