全巻読破済み。ネタバレあり。
隔絶された山村で貧血から始まる奇病に端を発し、吸血鬼『屍鬼』が蔓延していく。
屍鬼たちの侵略と、それに抗う尾崎医師の行動によって、村が掻き乱される。
生ける者、死せる者。狩る者、狩られる者。正気、狂気。善、悪。
物語が複数の人物の視点で描かれ、村の趨勢が目まぐるしく流転し、
「こいつ嫌な奴だな」と思っていた人物の別側面を見る事で愛着が湧く(一部除く)。逆もまた然り。
しかしどれほど村人に愛着が湧こうとも、生者・死者問わず聖人は一人もおらず、
村には死者・生者問わず悪鬼羅刹が蔓延り、破滅以外の道が用意されていない。悲しいなぁ。
紛れもなく『村は無数の死によって包囲されている』のだ。
尾崎医師が『吸血鬼』というものの生態、感染経路を
医学的な見地から暴いていく展開も知的で非常に興味深い。
一般的な吸血鬼像に胡坐をかかず、かつ矛盾も来さないよう設定を掘り下げて行く姿勢には脱帽する。
3巻表紙などは一見単なる写真加工のように見えるのだが、
パッケージをわざわざ存在しない薬名に改変しているなど芸が細かい。
原作、漫画共に秀逸な名作コミカライズである。
絵に癖があり賛否が分かれるという意見が多いが、事実その通りなのでその点に異議はない。
個人の意見として言えば、主人公の顔が真四角だったりするのは青年誌として辛く、
老人の顎が皆尖っていてもしていても不自然であると感じる。
それぞれの登場人物のロールに適した絵柄が選択されているのは悪くないと感じる。
個人的には矢野妙などは異常な事態に困惑する愛嬌のある老婆として
可愛らしく描かれておりお気に入りである。
一つ欠点を述べるならば、新品のコミックス版の美しい装丁がもう探さないと手に入らないという点だ。
気になった表紙は気になったときに買わないと起き上がって文庫版になってしまうのだ。

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屍鬼 1 (ジャンプコミックス) コミック – 2008/7/4
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199X年猛暑の夏、山に囲まれた人口わずか1300人の外場村で、原因不明の3名の死体が発見された。同時期、古い洋館に越して来た桐敷一家と接触した女子高生・清水恵が行方不明に。相次ぐ怪事件…凄烈なる夏が始まる!
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2008/7/4
- ISBN-104088745493
- ISBN-13978-4088745497
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2008/7/4)
- 発売日 : 2008/7/4
- 言語 : 日本語
- コミック : 192ページ
- ISBN-10 : 4088745493
- ISBN-13 : 978-4088745497
- Amazon 売れ筋ランキング: - 428,350位コミック
- カスタマーレビュー:
著者について
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大分県中津生れ。大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に在籍。「東亰異聞」が1993(平成5)年、日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となり、話題を呼ぶ(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 黒祠の島 (ISBN-13: 978-4396331641)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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カスタマーレビュー
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上位レビュー、対象国: 日本
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- 2008年7月6日に日本でレビュー済みAmazonで購入小説を原作にして、マンガ化というとイメージが問題になる。
まったく違うものとして描くのか、原作イメージを大事にして描くのか。
私は原作小説のほうは残念にして未読なのだが、
マンガバージョンにして十分に楽しめるものである。
マンガシリーズが完結した折には、
原作にも手を出してみたくなった。
- 2018年2月13日に日本でレビュー済みAmazonで購入おもしろかったです。続きが気になります。フジリューの絵が大好き。封神演義はKindleであとがき漫画削除されてて悲しかったけど、屍鬼のKindle版はあとがき漫画削除されてなくてよかったです。
- 2011年3月26日に日本でレビュー済みAmazonで購入普段、漫画はあまり読まないので、すごく絵が・・・見づらいというか慣れるのに大変でした。
原作とは微妙に違っています。
ただ、これを読んだあとだと原作は非常に入り込みやすいです。
原作が本当に面白いので、このコミックも内容は面白いです。
個人的にこっちのほうがある人が死んでなかったりしていて好きですがね。内容が。
絵がチョット受け付けられなくても内容が良いので、原作とは違っていてもそれはそれなりに楽しめるのでは。
こっちの方がチョットなんていうか、ファンタジーっぽいんですね。
と言っても3点ですが^^;
- 2013年2月19日に日本でレビュー済みAmazonで購入原作も読みましたが、絵で見られるのは、また違った趣があります。
- 2009年4月1日に日本でレビュー済みAmazonで購入原作者である小野先生の「屍鬼」を初めて読んだ際に感じた恐ろしさと切なさを今でも覚えています。それを、今度は藤崎先生の独特の絵柄で漫画として読むことが出来る。こんなにも喜ばしいことはないでしょう。
おそらく原作を読んだことのある人であれば、一度は絵としてみてみたかった原作シーンがあることと思います。その願いを藤崎先生が叶えてくれるようです。これは、最終巻まで追いかけるしかないですね。
原作を読んだことのない人にももちろんお薦めの漫画です。原作を無視せず、しかしながら独特の個性をたっぷりと織り込んで上手に作品が描かれています。
しばらくは、藤崎先生ワールドを楽しめるので退屈しない日々が続きそうです。
- 2013年2月25日に日本でレビュー済み封神演義でハマり、昔の短篇集等も読んだ藤崎ファンですが、これは面白かった。
藤崎竜の漫画は基本的に世界観が分かりづらいという印象があるが、
原作がきっちりある漫画に関してはそれがあまり感じられない。
ぜひ次も原作有りの漫画を連載してほしい。
あと地味に後書き漫画が面白い。フジリューコミックほど後書き漫画が面白いものは珍しいと思う。
- 2018年2月17日に日本でレビュー済みこの漫画から入って、原作小説も読破済みです。
絵が合わないというレビューを見かけますが、私のようなホラーが苦手な人のでも最後まで読めたのは、この絵だったからだと思う。
また、村に万永する得体の知れない恐怖や多すぎる登場人物を描きわけもよく出来てます。
構成もしっかりしてるので、この独特な世界観が楽しめない人は勿体ないな~