｢日露戦争物語｣第十九巻は、陸海の大きな戦闘である平壤の戦、黄海海戦に一先づ勝利した後の日本の状況を今後活躍するであらう人々にｽﾎﾟｯﾄを当ててその横顔を紹介してゐます。山縣有朋、秋山好古、乃木希典、石原莞爾、大山巌、西郷従道、陸奥宗光、兪吉濬、そして、井上馨といった具合に誠に多士済々であります。日本軍の次なる戦場は第一軍、第二軍が兵を進める遼東半島方面ですが、兵站補給や人夫はうまく調達出来ず兵がそれを代行し、更に、
船による輸送のﾒﾄﾞが立って、愈々戦闘への準備が調ひます。陸奥外相は対英外交で強氣の駆け引きを仕掛け、英国の拠点･上海方面に出る事も示唆します。今までの幾らか青息吐息がかった苦悩状態からﾊｯﾀﾘを効かせるやうな余裕さへ出て来たのです。本巻のｴﾋﾟｿｰﾄﾞのｵﾝﾊﾟﾚｰﾄﾞは、次への楽しい仕掛けなのでありませう。
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