物語の設定自体は、「主人公の判事補佐の青年に異界の生物が取憑き、その能力を利用して人間が実際に見聞きした『真実』を知ってしまう・・・」というSFチックな内容ですが、単に作者個人の司法観を披露するのではなく、現役の弁護士(今井 秀智氏)に監修を依頼して、我々読者に対して今一度、裁判員制度が抱えている根本的な問題点を提起し、「あなたが裁判員に選ばれたら、どうしますか??」と、明に暗に問いかけてきます。
本三巻は、過去に裁判で偽証をした男が、今度は裁判員として法廷に立つという、本当に有り得そうな恐ろしい設定で展開していきます。
事実の認定が本来の目的である(筈の)裁判に於いて、最も恐るべきは「嘘」が入り込む事であり、どんなに裁判の手続きが適正に進められていても、嘘というウィルスが入り込む事によって、瞬く間に免疫の無い裁判員に感染し、判断力を奪ってしまう・・・
「法律や犯罪心理に疎い自分が裁判員になんて選ばれたら、冤罪を生んでしまうだけなのではないか??」
裁判員制度導入前から挙がっていた市民の不安が、漫画という形でシミュレーションされている本書を、是非とも一度お読み下さい。
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