世を捨てきれない元エリートの青年・名越が、他人のホムンクルス(異形)
を通して自分自身を探していく物語。
子供の頃のトラウマで他傷に走っていたヤクザの組長。
過干渉で自分勝手な母親に支配され、自分をなくしてしまった女子高生。
名越が彼等の絶望や苦しみに共感することで異形のホムンクルスが、生身
の人間に変わっていく。
絶望的な孤独を救うのは、非情なまでに冷徹な「理解」なのだ。
スプラッタも幽霊もないけれど、ふるえるほど恐い作品だ。
読んでいるうちに、体の奥底からホムンクルスが這いだしてくる。
必死に隠してきた弱い部分が「本当のお前に気付いてやれよ・・・」と囁きだす。
異形の幻影は、逃げても逃げても追ってくる。永遠に続く悪夢のように。
恐いのに、読まずにはいられない。名越のように、私にも捨てきれない何かがある。
名越は、私だ。読者にそう思わせてしまう作者の力量に心から感嘆する。
天才作家の荒野のような孤独と絶望の深さが、先鋭的な名作を生み出していく。
気づかない方が幸せだったのか。しかし、すでに私たちはトレパネーション手術
を受けてしまった。
こうなったら、ホムンクルスと徹底的につき合うしかない。
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ホムンクルス (2) (BIG SPIRITS COMICS) コミック – 2004/4/30
山本 英夫
(著)
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▼第11話/鏡▼第12話/化け物▼第13話/包囲▼第14話/音楽▼第15話/再会▼第16話/出現▼第17話/罪悪感▼第18話/シンクロ▼第19話/決着▼第20話/謝罪●主な登場人物/名越進(新宿西口でカーホームレスをして暮らす34歳。人体実験のため頭蓋骨に穴を開ける手術を受け、第六感が発現!?)、伊藤学(22歳の医大生。名越にトレパネーション手術を施す)●あらすじ/手術を受けた名越は、人体実験初日から奇妙な現象に襲われる。なんと彼の左目だけ、目にした人物が異様なモノに見えてしまうのだ! それは、頭部が局部の形をした男だったり、腰が金庫になっている女だったり…。あまりのことに困惑した名越が、手術を施した伊藤にそのことを伝えると…(第11話)。●本巻の特徴/名越だけに見える異形なるモノ。伊藤が“ホムンクルス”と指摘するその正体とは? 答えをつかみかけた名越は、新宿に舞い戻り、以前ロボットに見えたヤクザの組長と再会を果たす。そして“指詰め組長”と呼ばれる男の意外な過去から、少しずつ核心が明らかになる…!?
- 本の長さ194ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2004/4/30
- ISBN-104091870724
- ISBN-13978-4091870728
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商品の説明
出版社からのコメント
「頭蓋骨に穴を開ければ第六感が芽生える。」 謎の医大生に“トレパネーション”手術を施されたホームレス・名越の前に開かれた不可思議な世界とは……?
登録情報
- 出版社 : 小学館 (2004/4/30)
- 発売日 : 2004/4/30
- 言語 : 日本語
- コミック : 194ページ
- ISBN-10 : 4091870724
- ISBN-13 : 978-4091870728
- Amazon 売れ筋ランキング: - 255,137位コミック
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2004年10月16日に日本でレビュー済み
左目で見ると、人間の姿が異様にみえるようになった主人公。
子どもの姿に見えていたヤクザ
「指きり組長」
といわれている組長に再び会います。
主人公は左目でみえる「子どもの姿の彼」に話しかけます。
それは、過去の事件で罪悪感を負った自分への言葉に重なっていきます。
謝罪することで、さっぱりとした表情になるヤクザの組長の姿にほっとする不思議なお話でした。
子どもの姿に見えていたヤクザ
「指きり組長」
といわれている組長に再び会います。
主人公は左目でみえる「子どもの姿の彼」に話しかけます。
それは、過去の事件で罪悪感を負った自分への言葉に重なっていきます。
謝罪することで、さっぱりとした表情になるヤクザの組長の姿にほっとする不思議なお話でした。
2004年9月20日に日本でレビュー済み
1巻のラストで、トレパネーションの能力が目覚めた主人公。
人が、植物に見えたりや、ペラペラの人に見えたりというのは、色々な漫画で見た事あるので、つまらない展開になるのでは?とか、淡々として、人に興味が無い感じの主人公なのに、ハートウォーミングな話にでもなるのか?と、あまり期待していなかったけれども、良い意味で、裏切られました。
植物や、猛獣や、ロボットに人が見える様になった主人公。
その能力や、「ホムンクルス」とは、何なのか?や、主人公はどぅいう人なのかが、少しずつわかっていく。
色々なエピソードで、人の心の闇についての描写がうまい人だなぁと思った。ストーリーも勢いあるし。3巻も期待しています。
人が、植物に見えたりや、ペラペラの人に見えたりというのは、色々な漫画で見た事あるので、つまらない展開になるのでは?とか、淡々として、人に興味が無い感じの主人公なのに、ハートウォーミングな話にでもなるのか?と、あまり期待していなかったけれども、良い意味で、裏切られました。
植物や、猛獣や、ロボットに人が見える様になった主人公。
その能力や、「ホムンクルス」とは、何なのか?や、主人公はどぅいう人なのかが、少しずつわかっていく。
色々なエピソードで、人の心の闇についての描写がうまい人だなぁと思った。ストーリーも勢いあるし。3巻も期待しています。
2004年7月11日に日本でレビュー済み
でも頭蓋骨に穴を開けるのは、ちょっと自分には無理です。人間には「見た目」と、「本心」があって、その「本心」を見極めるのは、自分には、とっても難しいと思います(「フロイト」流にいうと、それよりも、もっと深い、超自我みたいなものが存在していて、本人に気が付かないものを、赤の他人が一瞬で見極めるなんて、もっと不可能)。昔のトラウマを引きずって今がある人なんて、ほとんどであると思うし、それに気が付いていない人が、どれほどいることか(もちろん自分も含めてです)。「ドラえもん」が欲しがるほどの便利機能の一つではないかと、自分は思います。でも人の心の中なんて覗いたら「がっかり」もしくは、それ以上の「うんざり」な気持ちになることがほとんどで、自分であったら、人間不信になって大きな病院に、入院してしまうかもしれません。そういう意味では、この漫画でバーチャルな体験に留めておくことが最も良いと思います。この能力の少しでもあれば離婚する人なんて少なくなると思います(その前に結婚できなくなるかも)。いっぱい本を読んで少しでも人の心がわかるようになるように、がんばりましょう。