上下巻、一気に読んでしまった。これは面白かったなあ。
上巻、謎めいた事件と人物たちが、“猿”という話の座標軸の中心に向けて近づき、寄り集まっていく辺りの展開。最初は「?」「?」と訳わからなかったのですが、カンディド・アマンティーニ、イレーヌ・ベアール、ナワン・ナムギャル、辺見奈々、四人の主要登場人物が一堂に会するその辺からかな、物語の強力な渦に引っ張り込まれたのは。
霧が晴れるように、話がだんだん見えてくる。でも、謎はまだまだ混沌としていて、先が読みづらい展開。なんていうかな、パズルのピースがいくつもあって、最初はどんな絵になるのか見当がつかないんだけれど、物語の終盤に来て、壮大な絵柄が立ち現われてくる感じ。あるいは、夜空に光る星と星とを線で結んでいくと、そこに様々な“星座”が浮かび上がる感じ。頁をめくるに従って、わくわくする気持ちが高まって行きました。
絵がまたいいんですね。微生物のミクロの世界と、地球、そして宇宙というマクロの世界を結び、“生命の神秘”“命の不思議”というモチーフを織り上げていく物語に絵がぴたりとハマっている、そんな気がしました。
将来、できれば、ナナ(奈々)とその子供(?)が事件に巻き込まれ、活躍する話とか、本作品につながる別の物語を読んでみたいです。少女から成長したイレーヌ・ベアールにも、また会ってみたい。読後、そんな気持ちにもなった、これはパワフルで魅力的な漫画でした。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
SARU (上) (IKKI COMIX) コミック – 2010/2/25
五十嵐 大介
(著)
●主な登場人物/奈々(フランス留学中の日本人学生。自分でも気付かぬうちに黒魔術にかけられていた)、ナワン・ナムギャル(プータン出身の僧侶で、伝統ダンスの名人。奈々が黒魔術にかけられていることを一目で見抜く)、イレーヌ・ベアール(自らを孫悟空と名乗る謎の少女。キリスト教会より“悪魔”の可能性があると認定される)、カンディド・アマンティーニ(バチカンの公式エクソシスト)
●あらすじ/自身にかけられた黒魔術をきっかけに、謎の若人・ナムギャルと知り合った奈々は、彼とともに世界各地に痕跡を残す“猿”の正体を追うことに。その過程で、自らを“孫悟空”だと名乗る少女と出会い…?
●本巻の特徴/いにしえより世界各地にその姿を現し、畏れられてきたモノ“猿”。そして現代、人類はその存亡を懸けて、“猿”と対峙することになる! 古今東西の神話・伝承などを網羅しつつ、誰も見たことのない世界を現出する、五十嵐大介渾身の単行本描きおろし作品!!
●あらすじ/自身にかけられた黒魔術をきっかけに、謎の若人・ナムギャルと知り合った奈々は、彼とともに世界各地に痕跡を残す“猿”の正体を追うことに。その過程で、自らを“孫悟空”だと名乗る少女と出会い…?
●本巻の特徴/いにしえより世界各地にその姿を現し、畏れられてきたモノ“猿”。そして現代、人類はその存亡を懸けて、“猿”と対峙することになる! 古今東西の神話・伝承などを網羅しつつ、誰も見たことのない世界を現出する、五十嵐大介渾身の単行本描きおろし作品!!
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2010/2/25
- ISBN-104091884970
- ISBN-13978-4091884978
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 小学館 (2010/2/25)
- 発売日 : 2010/2/25
- 言語 : 日本語
- コミック : 208ページ
- ISBN-10 : 4091884970
- ISBN-13 : 978-4091884978
- Amazon 売れ筋ランキング: - 145,215位コミック
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2011年2月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2010年2月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最初の方は「見づらい絵だなア(諸星大二郎似?)」というのが正直な印象でしたが、様々な世界各地で異常現象が一つの事に見事な手際で収斂していく伝奇物語の王道中の王道にあっという間に引き込まれ、気にならなくなりました。ページの少なさ(?)を意識させない程密度が濃く、読後感もあります。伝奇物としては、とりみきの「石神伝説(未完)」以来の傑作だなあと思っています。
早く次の巻を読みたい。完結後の同時刊行の方が良かったのでは?これは勿論褒め言葉です。
早く次の巻を読みたい。完結後の同時刊行の方が良かったのでは?これは勿論褒め言葉です。
2022年11月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
伊坂幸太郎の『SOSの猿』のモヤモヤ感を払拭するため、『SOSの猿』読了直後に本書を読み、それでも完全にモヤモヤが晴れたわけではありませんが、お互いの作品がお互いの作品を補完し、共鳴しあって作品の魅力をあげている、と感じました。
『SARU』に登場する人物らの名前(辺見奈々、イレーヌ、カンディド、ナムギャル)は『SOSの猿』の中にもさりげなく出てきますし、『SARU』のビエラ・カリ的存在として『SOSの猿』では雁子(かりこ)という名前の女性が登場します。
『SARU』は地球規模の壮大なカタストロフ物語ですが、『SOSの猿』は日本の一地域におけるミニマムな物語です。
それでも両作品において共通するのは、「小さな物事が世界を変える兆しかもしれない」という因果関係の物語であり、「善と悪のバランス」の物語でもある、ということではないでしょうか。
というわけで、『SOSの猿』を読んだ人には『SARU』を、『SARU』を読んだ人には『SOSの猿』をお勧めしたいですね。
『SARU』に登場する人物らの名前(辺見奈々、イレーヌ、カンディド、ナムギャル)は『SOSの猿』の中にもさりげなく出てきますし、『SARU』のビエラ・カリ的存在として『SOSの猿』では雁子(かりこ)という名前の女性が登場します。
『SARU』は地球規模の壮大なカタストロフ物語ですが、『SOSの猿』は日本の一地域におけるミニマムな物語です。
それでも両作品において共通するのは、「小さな物事が世界を変える兆しかもしれない」という因果関係の物語であり、「善と悪のバランス」の物語でもある、ということではないでしょうか。
というわけで、『SOSの猿』を読んだ人には『SARU』を、『SARU』を読んだ人には『SOSの猿』をお勧めしたいですね。
2010年4月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
五十嵐大介の新作は書き下ろしである。コミックで書き下ろし作品というのは滅多にないのではないだろうか。それだけの力量とコアな人気があるということだろう。内容はノストラダムスの予言書の「アンゴルモアの大王」をモチーフに壮大な歴史怪奇譚になっている。現在、連載執筆中の「海獣の子供」にも通ずるような、生命の物語でもある。下巻の出版が待ち遠しい作品だ。
2013年1月13日に日本でレビュー済み
五十嵐大介というと神秘的とか幻想的な印象が強くてどうもよくわからんなーと思ってたんだけど、今作は娯楽成分が強めでわかりやすい。何となく平成ガメラを彷彿させるような。あと、自分の中で五十嵐大介と小田ひで次がごっちゃになってるのに気づいた。あれー?
2010年2月25日に日本でレビュー済み
海獣の子供第四巻の予告から楽しみにしてました。
書き下ろし作品でこれだけクオリティが高いと
もういっそ感服するしかないというか…もちろん私見ですが。
共作の伊坂幸太郎「SOSの猿」については
伊坂ファンでさえ賛否両論分かれたようですが、
この「SARU」に関しては
従来の五十嵐大介的世界観を損わずして(たぶん)
もういっそ少年マンガノリ?なファンタジー世界を現出せしめています。
前半までは海獣の子供に近い物語展開で、民俗学の見地から下地を固め、
後半からはその下地を踏まえた上で伏線を回収し、仕掛を分解しながらも
下巻に向けて組み立てていく。
おおまかに言えばそのような感じです。
ただ、共作のモチーフがモチーフなためか、
唐突な展開(いかにもファンタジー)には戸惑いました。
読んだ人はそこに違和感を感じてしまうかも。
その境目に問題を感じなければスラスラ読めるんじゃないでしょうか。
とりあえず、オカルティックなものが駄目な人には
あんまりお勧めせんです。好きな人は好きです。
書き下ろし作品でこれだけクオリティが高いと
もういっそ感服するしかないというか…もちろん私見ですが。
共作の伊坂幸太郎「SOSの猿」については
伊坂ファンでさえ賛否両論分かれたようですが、
この「SARU」に関しては
従来の五十嵐大介的世界観を損わずして(たぶん)
もういっそ少年マンガノリ?なファンタジー世界を現出せしめています。
前半までは海獣の子供に近い物語展開で、民俗学の見地から下地を固め、
後半からはその下地を踏まえた上で伏線を回収し、仕掛を分解しながらも
下巻に向けて組み立てていく。
おおまかに言えばそのような感じです。
ただ、共作のモチーフがモチーフなためか、
唐突な展開(いかにもファンタジー)には戸惑いました。
読んだ人はそこに違和感を感じてしまうかも。
その境目に問題を感じなければスラスラ読めるんじゃないでしょうか。
とりあえず、オカルティックなものが駄目な人には
あんまりお勧めせんです。好きな人は好きです。
2011年3月17日に日本でレビュー済み
海獣の子供が結構好きなんで読んでみましたが、
すごい漫画です!
先の展開がわからないし、内容もかなりスケールの大きい話です。
下巻が楽しみです。
すごい漫画です!
先の展開がわからないし、内容もかなりスケールの大きい話です。
下巻が楽しみです。