「半身」
この作品の素晴らしさを、どう、表現し、伝えたら良いものか悩みます。
内容が濃い、テーマが重い、着眼点が凄い・・ありふれた賛辞の言葉しか出ません。
物語の内容と反れる話になりますが、この作品が発表された1980年代当時、出版社に漫画を応募する際の規定が「16ページ」が主流だったと記憶しています。
当時、漫画家を夢見ていた私は、「16ページで起承転結のある物語を描き切ることは無理。表紙を入れての16ページ。実際の物語は15ページ。自分が描きたい事すべてを実質15ページで表現することは無理」と思っていました。実際、優秀作品で賞を取った作品の多くは、24ページあたりが主流だったと思います。
「16ページでは内容が薄くなり、ありきたりのものしか描けない」と、思っていました。
この「半身」を読むまでは。
内容が薄い？ありきたりのものしか描けない？
それは、ページが足りないのではなく、自分に才能が足りなかった、無かった、だけなのだと、
知らしめられたと思いました。
「16ページが少ない、ならば、「半身」はありきたり？物語がわかりづらい？伝わらない？」
萩尾先生からの、問い と勝手に思いました。
16ページに、これだけの情報量を入れ、かつ人物を描写し、表現する、かつ、読者に問いかけるテーマ。
無限すら感じた16ページ。
「プロの中のプロ」が描いた、長編小説並みの読みごたえの16ページの短編漫画を、どうぞご一読ください。
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