佐藤史生先生はだいぶ前に単行本で「夢見る惑星」を読み、こんな本格SFを少女漫画で描いていた人がいるんだとびっくりしました。久々にこの作品を手に入れて、まだ1巻目を読んだばかりですが驚愕してます。すごいですね。
1984年から86年にかけて「プチフラワー」に連載されたものですが、その時代から2000年の手前、1990年代の世紀末はこんなふうでは・・と予想した社会が描かれていて、いろいろと興味深かったです。
お掃除ロボットが登場していますが、電話はまだ固定だけのようです。インターネットはアナログ通信?画面のシンプルさがコンピュータが出始めた80年代そのままです。林立する高層ビルやファッションにバブル期特有の華やかさと退廃があり、得体の知れないアメリカの巨大資本は今日を予言したような。
現在から見れば古いところと、当時にしては飛びぬけた斬新さ、また、仏教やヒンズー教、インド哲学、そして当時の最新科学や技術をミックスしたストーリーがなんとも不思議な雰囲気を醸し出しています。大変魅力的で引き込まれます。
調べてみたら、佐藤先生は竹宮恵子先生のアシスタントをされていたそうですね。当時「プチフラワー」で描いていた漫画家さんたちを見ると竹宮恵子をはじめ萩尾望都、大島弓子、秋里和国、木原敏江、ささやななえなど、なるほど~とうなずいてしまうような方たちばかりで、少女漫画でもこういう作風が増え始めた時代だったのでした。
萩尾望都先生が「少女漫画なのに当時の出版社はおじさんばかり。そういう人たちが女子供がおもしろがるのはこういう作品だと決めつけていて、自分が描きたいものは売れないからと描かせてもらえなかった」とおっしゃっていました。だんだんと傾向が変わりこのような作品群が世に出だしたのは幸いだったと思います。
あとがきで山田正紀作「神狩り」の名前が挙げられていましたが、たまたま読了したばかりだったので、この世の背後というか人類からは見えないところにいる神の存在について考えてしまいました(ちなみに私自身は無宗教で神も天国もないと思っていますが)。また、宗教、哲学を融合させた作品として夢枕獏「上弦の月を喰べる獅子」も思い出しました。
これから先どういう展開になるのか予想もつきませんが、続けて読んでいきます。
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ワン・ゼロ 第1巻 (小学館文庫 さA 4) 文庫 – 1996/10/1
佐藤 史生
(著)
- 本の長さ282ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日1996/10/1
- ISBN-104091911145
- ISBN-13978-4091911148
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商品の説明
出版社からのコメント
1500年の昔、神との戦いに敗れた4体の魔神将が泥舟に乗って日本列島に流れ着いた。彼らの骨灰は風に散り水に溶け、ゆっくりとこの国を覆っていた… 1998年、東京・西シンジュク。時はカリ・ユガ=末世にあり。そして世界は、人類を救済して世界を導くことになるアートマンとなるべき者をひそかに育てていた。その2人、明王寺都祈雄と日印ハーフの妹・摩由璃が出会うことから、この物語は始まる。
登録情報
- 出版社 : 小学館 (1996/10/1)
- 発売日 : 1996/10/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 282ページ
- ISBN-10 : 4091911145
- ISBN-13 : 978-4091911148
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,216,949位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,612位小学館文庫コミック版
- - 5,702位小学館文庫
- - 435,675位コミック
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年3月13日に日本でレビュー済み
2014年6月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
佐藤史生作品の中でも秀逸のひとつ。この人の作品は
本当に時代を先取りしている。
昔の本が古くなったので、買いなおしました。
本当に時代を先取りしている。
昔の本が古くなったので、買いなおしました。
2006年12月29日に日本でレビュー済み
インド神話の神々がコンピュータネットワークに寄生し、
人類と戦いを繰り広げる。
西洋のテクノロジーの代表みたいなコンピュータだが、
ゼロを発見したのはインド人なので、
インドの神々なら二進法を理解出来て、
ワンゼロの存在になれるよな?w
アイデアはいいのだが、ストーリーはイマイチ。
人類と戦いを繰り広げる。
西洋のテクノロジーの代表みたいなコンピュータだが、
ゼロを発見したのはインド人なので、
インドの神々なら二進法を理解出来て、
ワンゼロの存在になれるよな?w
アイデアはいいのだが、ストーリーはイマイチ。
2001年8月6日に日本でレビュー済み
今ほどこの本を読み直すのに良い時期はないかもしれない。世界をつなぐコンピューターネット、停滞しながら安定している世界、日本を蔽う結界...時代の気分が佐藤史生に追いついてきている。
2014年9月26日に日本でレビュー済み
雑誌でリアルタイムに読んでいたときは本当に次号が
まちどおしかったです。仏教とコンピューターのミスマッチな
組み合わせが新鮮でした。
コミックも何回か買いましたが、結婚などで手放してしまい、
ふと気付くともう長い間手元にありませんでした。
今では簡単にネットで中古が買えるので、再び手に入れるのは簡単ですが
今すぐにでも読みたい人も多いはず。
kindle本に佐藤史生も是非加えて欲しいですね.
まちどおしかったです。仏教とコンピューターのミスマッチな
組み合わせが新鮮でした。
コミックも何回か買いましたが、結婚などで手放してしまい、
ふと気付くともう長い間手元にありませんでした。
今では簡単にネットで中古が買えるので、再び手に入れるのは簡単ですが
今すぐにでも読みたい人も多いはず。
kindle本に佐藤史生も是非加えて欲しいですね.
2011年3月9日に日本でレビュー済み
少し変わってはいるがなんてコトないフツウの高校生達、
しかし彼らは千年以上も昔のある運命で結ばれていた…
『ワン・ゼロ』が始まった時、単純に『スゴイ!』と感じた。
コンピューターのコの字もあまり身近でなかった時代に
少女マンガ月刊誌でコレをやるか!…偉い!!!と思った。
あとはもう夢中で読んだ。何回も読み直して、それでも
わからないことが沢山あったけど面白かった。
今思うと、読む側の読者もある程度読み解く技術が必要な
マンガが多い時代だった。佐藤さんはその代表格で、どちらかというと
考えさせられるマンガが好きな私は彼女の作品が大好きだった。
長く創作から遠ざかっているのはなぜだろう、でもいつか
きっとまた描いてくれるハズだ、と思っていたけれど、
それは叶わなかった。とても悔しくて悲しい。
でもこれだけの凄い作品を残してくれた佐藤さんに
感謝。これからも時々じっくりと読み直して行きたい。
難解そうだからとか、画の好みがあまり…とかで避けている方がいたら
『もったいないよ、とにかく手に取ってみて!』
と大プッシュしたいです。
しかし彼らは千年以上も昔のある運命で結ばれていた…
『ワン・ゼロ』が始まった時、単純に『スゴイ!』と感じた。
コンピューターのコの字もあまり身近でなかった時代に
少女マンガ月刊誌でコレをやるか!…偉い!!!と思った。
あとはもう夢中で読んだ。何回も読み直して、それでも
わからないことが沢山あったけど面白かった。
今思うと、読む側の読者もある程度読み解く技術が必要な
マンガが多い時代だった。佐藤さんはその代表格で、どちらかというと
考えさせられるマンガが好きな私は彼女の作品が大好きだった。
長く創作から遠ざかっているのはなぜだろう、でもいつか
きっとまた描いてくれるハズだ、と思っていたけれど、
それは叶わなかった。とても悔しくて悲しい。
でもこれだけの凄い作品を残してくれた佐藤さんに
感謝。これからも時々じっくりと読み直して行きたい。
難解そうだからとか、画の好みがあまり…とかで避けている方がいたら
『もったいないよ、とにかく手に取ってみて!』
と大プッシュしたいです。
2012年6月19日に日本でレビュー済み
世紀末と言われた1999年のシンジュク。古い物と新しい物が共存し、あらゆる文化が入ってきている時代。世界的企業のアイツー社、生体環境管理ユニットのメディック、それを制御するスーパーコンピュータ、そして、はるか昔から続く明王寺家の直系の子孫だけが抱える「怪しいものを見る」力。守護尊に帰依するとおさまるそれは、この世紀末に至って、ついにその目的を露わにすることになる。この1巻では、その物語の導入部が描かれ、それは2巻、3巻で思わぬ方向に展開していく。
この作品が描かれたのは1984年から1986年にかけて。あれから26年。ネット社会が当たり前となり、この作品に描かれているいくつかの新しい技術は現実の物となった。しかし、未だ現実のものとならない技術も多い。
この作品は今も新しい。一コマ一コマ、いつも発見があって飽きることがない。佐藤先生はまだ来ない時代を描くことに長けておられた。もう新作を読むことが出来ないのは残念だが、これからもこの作品は、私の愛読書であり続けるだろう。
この作品が描かれたのは1984年から1986年にかけて。あれから26年。ネット社会が当たり前となり、この作品に描かれているいくつかの新しい技術は現実の物となった。しかし、未だ現実のものとならない技術も多い。
この作品は今も新しい。一コマ一コマ、いつも発見があって飽きることがない。佐藤先生はまだ来ない時代を描くことに長けておられた。もう新作を読むことが出来ないのは残念だが、これからもこの作品は、私の愛読書であり続けるだろう。
2006年9月21日に日本でレビュー済み
ワン・ゼロで印象に残ってる台詞「愛の歌を歌えば、世界中ロハさ」
電話網がアナログだった時代この言葉真実でした。
この作品に登場するマニアックって名前のコンピューターにアクセスするのに、ダイアルアップしてtelnet接続するってことが使われていたようですが、いまとなっては少々アナクロい。
でも!連載当初、マンガが初めてネットワークについて、まじめに語り出したという点において背筋に何かが走ったことを思い出します。
マニアックがどこかで作られている可能性は否定できません。
ひょっとして、すでに出会っていて、気づかないだけかも知れない。
電話網がアナログだった時代この言葉真実でした。
この作品に登場するマニアックって名前のコンピューターにアクセスするのに、ダイアルアップしてtelnet接続するってことが使われていたようですが、いまとなっては少々アナクロい。
でも!連載当初、マンガが初めてネットワークについて、まじめに語り出したという点において背筋に何かが走ったことを思い出します。
マニアックがどこかで作られている可能性は否定できません。
ひょっとして、すでに出会っていて、気づかないだけかも知れない。