◆文庫本:全7巻
◆コミック:全14巻
羽衣伝説を題材にした『妖しのセレス』は御影妖の中に最強の天女セレスが目覚める所
から始まり、物語の導入部は勢いがあり謎が魅惑的でがしっとハートをつかまれる。
キャラクター達も個性的でノリとツッコミは気持ちが良い。
特に玖ちゃん！彼女は本書の中で一番の輝きを放っています。素敵です。
ただ、物語の謎が解けていくにつれ粗が目につき後半はつまらないモノになってしまった。
長編なので物語上セレスが秘密を小出しにするのは理解出来ますが、
二転三転…四転と意見がコロコロ変わり
最終的に最初に発した「ミカギに無理矢理犯された」は大嘘と言う事になります。
また、過去の舞台は1000年以上昔の古代となるがせいぜい100〜200年程昔と言った印象です。
セレスの半身である゛羽衣゛を求めて敵対する世界規模の組織もいくら極東の末端である
日本支部とはいえ幹部が10〜20代ではサークル活動の延長のようで滑稽です。美しいセレスの巨大パネル
写真を背に精悍な顔立ちでC計画を唱える支部のトップである御影各臣も然り…。
科学の分野に着手するも世界観を構築させるためのロジックが無いため、台詞に重さと深みが感じられません。
羽衣とセレスを二分した明確な理由は無くうやむやなので゛天女の完全体゛には驚きました。
あまりにも都合がよすぎるので釈然としない。
そして、十夜の存在がもう…生命の神秘を飛び越え一番のご都合主義です・笑
主人公である妖のパンチラや下着姿、半裸が多くて少女漫画にそんなに必要か？
と疑問に思うし、レイプ（未遂）も物語上必要性を感じない。
妖と十夜が首すじにキスマークをつけあったり、鼻先でコツンと小突きあったり…等々
著者の国語力がないせいか？恋愛の表現に関しては台詞も含めて
サムくて、クサくてドン引きです。
一番の問題点は10代のセックスや妊娠について、さらっと肯定的に描いている事です。
゛命の大切さ゛を説くには表現不足であるし軽率だと思いますね。
高橋留美子氏『人魚の森』に描かれていた゛なりそこない゛と酷似したデザイン&設定の
怪物が本書に描かれているのも気になります。
とはいえ、ぽつぽつと感動的なシーンもあり本書の全てがダメだとは思いませんが、
浮わついた設定とキャラクターの死が一辺倒で多すぎ、それが仇となり主役二人のみが
ハッピーエンドに違和感を覚える。
文庫本：7巻にてレビューアーさんが「壮大な夫婦喧嘩」と評したのが本書の内容を
端的に述べるのに一番ぴたりと当てはまります
恋に恋する時期ならば゛萌え゛をたっぷり堪能出来るかも？
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