忍者に限らず秘術に関わる者の悲壮な宿命を描く短編集の第三弾です。
今回は前半部分の流れが面白く、一本目は鬼をテーマにした民話の漫画化、二本目は山父（さとりの妖怪）の民話にヒントを得て技を編み出す話、そして三本目が、ざしきわらしのふりをして村に住む抜け忍の話という具合に妖怪がモチーフになっています。
第一巻
のガロや遠当使い、
第二巻
のイシミツの秘密を知る老人などと同じく、ざしきわらしとして庶民のために戦う忍者は、例によって結局は悲劇に終わるものの、どこか温かい印象を残します。
中盤以降は謎の忍者シジマをめぐる短編を経て……これを言ってしまうとネタバレになってしまうのですが、動物ネタの話が多いようです。
動物や虫などのストーリーへの絡め方も面白いですし、（これは動物ネタではありませんが）一応復讐を遂げる「一本やぐら」、一応追手を撃破して抜け忍が成功する「掟」など、そもそも悲劇から始まりますし悲壮な運命も感じさせつつも、ある程度、痛快な要素を含むエピソードも見られます。
前述の「ざしきわらし」などとあわせ、いくらか後味も良い巻なのではないでしょうか。
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