現実生活の苦しさのインパクトが大きかった。
とくに絵を仕事にしようと考えたことのある人は身につまされるものがあるだろう。
内容は暗くて夢がなくて現実的(表現は突飛だけど)。
親孝行なんてある日突然できなくなっちゃうものだし、どんなに命がけで働いてもその苦しみは減らないし報われない。
こんな日々がもしかして死ぬまで続くのだろうか?
といった孤独やむなしさには共感を覚えるし、そのため作品をものすごくリアルに感じた。
そしてそれをこんな美しい漫画にできる林さんはやっぱりすごい。
内容についてもうちょっと補足。
これは同棲する男女の物語ではあるが、そこに笑いが絶えない明るい生活とか愛の言葉とかは基本的に出てこない。
家では常に仕事におわれ、やつあたりや喧嘩はしょっちゅうする。
幸子は一郎の苦しみや彼なりの優しさを理解していないし、一郎は幸子が彼に望むことを分かっていても叶えられない。
お互いが「自分なりに」相手を思いやっているからこそ、かえって傷つけあってしまうというジレンマにもはっとさせられる。
あと、個人的に感動するのは、やはりそんなシビアな物語なのに林さんの絵がこの漫画を美しくしているところ。
あまりにもきれいな絵に、最後まで緊張しながら時間をかけて読んだ。
すんだ夜空に流れるお星さまからは、本当にひんやりとした昭和の冬の夜の空気のにおいが伝わってくるし(筆者は平成生まれだけど分かる!)、
ごくシンプルに脱力したフォルムで描かれているのに、幸子さんはちゃんとかわいらしくて、小梅ちゃんの美に通じるものがちゃんとある。
真っ黒い屋根瓦に降りつける吹雪、質素な木造の家々。
小さな電球や下駄をひっかけて表へ飛び出す一郎などからは、昭和の清貧とでもいいたい空気が生々しく伝わってくる。
しかもその生々しさが美しい(実際は不潔だったりダサいはずなんだけど)。
あがた森魚さんのエッセイは個人的にはよくわからなかった。
同タイトルの曲も何回も聴いてみたけれど、自分には原作に抱いたような感動はなかった。
世代が違うからかだろうか?
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赤色エレジー (小学館文庫) 文庫 – 2000/7/15
林 静一
(著)
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▼第1話/赤色エレジー▼第2話/アグマと・息子と・食えない魂▼第3話/吾が母は▼第4話/赤とんぼ▼第5話/山姥子守唄▼第6話/花ちる町▼第7話/桜色の心
●あらすじ/マンガ家を目指しながらも上手くいかない一郎と、そんな一郎を愛し支える幸子。二人は共にしがないアニメーターとして仕事をしながら、どうにか日々を暮らしている。この二人のなんとも刹那的で行き場のない同棲生活とその破綻を、独特の前衛的なタッチで描いた、マンガ史に残る名作(第1話)。
●本巻の特徴/表題作の他、地獄にいる悪魔の親子の話「アグマと・息子と・食えない魂」、カエルの子供を主人公に戦争を描き、日本とアメリカの関係を暗示させる「吾が母は」など、ひたすらシュールな中・短編を全7話収録。
●各作品初出年度/▼「赤色エレジー」1970年▼「アグマと・息子と・食えない魂」1967年▼「吾が母は」1968年▼「赤とんぼ」1968年▼「山姥子守唄」1968年▼「花ちる町」1968年▼「桜色の心」1971年
●その他のデータ/「赤色エレジー」に強い感銘を受け、同名の自作曲が1972年に大ヒットしたあがた森魚氏のエッセイ「僕たちの暴力や殺戮(さつりく)がいつ止むとも知れぬ今しがた……」を巻末に収録。
●あらすじ/マンガ家を目指しながらも上手くいかない一郎と、そんな一郎を愛し支える幸子。二人は共にしがないアニメーターとして仕事をしながら、どうにか日々を暮らしている。この二人のなんとも刹那的で行き場のない同棲生活とその破綻を、独特の前衛的なタッチで描いた、マンガ史に残る名作(第1話)。
●本巻の特徴/表題作の他、地獄にいる悪魔の親子の話「アグマと・息子と・食えない魂」、カエルの子供を主人公に戦争を描き、日本とアメリカの関係を暗示させる「吾が母は」など、ひたすらシュールな中・短編を全7話収録。
●各作品初出年度/▼「赤色エレジー」1970年▼「アグマと・息子と・食えない魂」1967年▼「吾が母は」1968年▼「赤とんぼ」1968年▼「山姥子守唄」1968年▼「花ちる町」1968年▼「桜色の心」1971年
●その他のデータ/「赤色エレジー」に強い感銘を受け、同名の自作曲が1972年に大ヒットしたあがた森魚氏のエッセイ「僕たちの暴力や殺戮(さつりく)がいつ止むとも知れぬ今しがた……」を巻末に収録。
- 本の長さ367ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2000/7/15
- ISBN-104091924719
- ISBN-13978-4091924711
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商品の説明
出版社からのコメント
70年代のマンガ界を代表する作品のひとつである、一郎と幸子の幸薄い同棲生活を描いた表代作「赤色エレジー」をはじめ、シュールな7作品を収録した中・短編集。
登録情報
- 出版社 : 小学館 (2000/7/15)
- 発売日 : 2000/7/15
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 367ページ
- ISBN-10 : 4091924719
- ISBN-13 : 978-4091924711
- Amazon 売れ筋ランキング: - 28,118位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 16位小学館文庫コミック版
- - 127位小学館文庫
- - 42,339位コミック
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トップレビュー
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2013年5月29日に日本でレビュー済み
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2012年4月11日に日本でレビュー済み
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あがた森魚さんの『赤色エレジー』は今も時折耳にします。
この作品は60年代から70年代の日本カルチャーの記念碑の一つにあたるでしょう。
今も漫画は次から次へとジャンルを拡大していますが、この頃の漫画のムーブメントも凄かったですね。
林静一さんの作品は、読者の方が理解できなければ時代に後れているような錯覚に襲われるものでした。
コラージュのような手法で描かれたサブカルチャー臭の漂う作品ですが、それだけに今読んでも新鮮です。
若者。貧乏。孤独。恋。絶望。夢。
60年代高度成長の時代は大きな夢をもってそこに突き進んでゆくのが時代心理であったと思います。
経済の負の側面から始まった70年代で、逆に夢に見放された者、夢に取り付かれ貧しさから抜け出せない絶望感が時代を覆ってきたように思われます。
それにあわせて、絵のタッチ、表現形式が前衛的になってきました。
今から見るとポップアートと呼べる絵で、横尾忠則氏達に通じている感じがします。
この時代の感性は日本のカルチャーにあっていたのではないかと実に不思議な気持ちで眺めています。
この作品は60年代から70年代の日本カルチャーの記念碑の一つにあたるでしょう。
今も漫画は次から次へとジャンルを拡大していますが、この頃の漫画のムーブメントも凄かったですね。
林静一さんの作品は、読者の方が理解できなければ時代に後れているような錯覚に襲われるものでした。
コラージュのような手法で描かれたサブカルチャー臭の漂う作品ですが、それだけに今読んでも新鮮です。
若者。貧乏。孤独。恋。絶望。夢。
60年代高度成長の時代は大きな夢をもってそこに突き進んでゆくのが時代心理であったと思います。
経済の負の側面から始まった70年代で、逆に夢に見放された者、夢に取り付かれ貧しさから抜け出せない絶望感が時代を覆ってきたように思われます。
それにあわせて、絵のタッチ、表現形式が前衛的になってきました。
今から見るとポップアートと呼べる絵で、横尾忠則氏達に通じている感じがします。
この時代の感性は日本のカルチャーにあっていたのではないかと実に不思議な気持ちで眺めています。
2023年5月10日に日本でレビュー済み
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懐かしいですね
あらためて 読み返すと 新鮮です
あらためて 読み返すと 新鮮です
2007年6月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この作品が辛く哀しい恋の話であることは確かだ。しかし、これだけでは伝えきれないものがある。単純化された絵の白と黒の哀しい感じ。その間に現れるリアルな描写の迫力。それらが複雑に組み合わされていて、作品に一貫した静寂と緊張感を与えている。
二人の男女の相手に対するやさしさ、愛情を伝えきれない不器用さ、相手への甘え。
二人はそれぞれに家族との問題を抱えている。相手のことを思うたびに傷つき、傷つけてゆく。その悪循環に男女は流されてゆく...。
読み終わったあと、考える。「もし、僕がこの男女の立場になったとしたら、何ができただろう?」と。答えは...わからない。僕は、まだ若すぎる(高校生)。答えがあるのか、ないのかさえまだ...わからない。
二人の男女の相手に対するやさしさ、愛情を伝えきれない不器用さ、相手への甘え。
二人はそれぞれに家族との問題を抱えている。相手のことを思うたびに傷つき、傷つけてゆく。その悪循環に男女は流されてゆく...。
読み終わったあと、考える。「もし、僕がこの男女の立場になったとしたら、何ができただろう?」と。答えは...わからない。僕は、まだ若すぎる(高校生)。答えがあるのか、ないのかさえまだ...わからない。
2002年5月6日に日本でレビュー済み
文庫で初めて読みました。
若くてお金のない恋人、という話の筋のほうは
かなりしみったれていますが、絵がとにかく斬新で
楽しめました。印象的なシーンもたくさんです。
幸子のユビピストルで撃たれ、ぶっ倒れる一郎のところが
特にぐっと来ました。
若くてお金のない恋人、という話の筋のほうは
かなりしみったれていますが、絵がとにかく斬新で
楽しめました。印象的なシーンもたくさんです。
幸子のユビピストルで撃たれ、ぶっ倒れる一郎のところが
特にぐっと来ました。
2009年10月2日に日本でレビュー済み
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絵に惹かれた購入した。個性的でそれはよいのだが、物語が私の感覚からするとやや淡泊です。
おもしろかったぁ、という感想はでない作品と思います。
おもしろかったぁ、という感想はでない作品と思います。
2018年3月7日に日本でレビュー済み
この本に収録されている「吾が母は」の中に、「きみ一匹で生きて行くにもこの自然は厳しすぎるし現実に私なしでは生きていけない そこでだ! 新しく私ときみは血をわけた家族になるんだ」とあるのに、今ごろ気がつきました。今の日本を象徴してますね。
2010年7月28日に日本でレビュー済み
あがた森魚の名作のモチーフとなった作品。
まず断っておくのは、漫画にテンポのよさを求めている人にはこの作品は合わないだろう。どのくらいそうであるかという、つげ義春よりもずっとずっとテンポはないというレベルだ。それでいて、味がある。これは音楽で言うとポストロックのような作品だ。貧乏で同棲している恋人2人の空気感だけが、ここにはある。その空気感だけを読者は感じ、そこにある人の儚さと美しさを見るのである。
まず断っておくのは、漫画にテンポのよさを求めている人にはこの作品は合わないだろう。どのくらいそうであるかという、つげ義春よりもずっとずっとテンポはないというレベルだ。それでいて、味がある。これは音楽で言うとポストロックのような作品だ。貧乏で同棲している恋人2人の空気感だけが、ここにはある。その空気感だけを読者は感じ、そこにある人の儚さと美しさを見るのである。