中国の歴史にも、ロシアの歴史にも外敵として描かれてしまった少数民族のことが丹念に描かれていました。
文明とは人間の能力の衰退なのではないかと、考えさせられました。
黒澤監督の映画に出会わなければ、読むことのできなかった本でしたが、翻訳もすばらしく、とても読みやすく2日ほどで読みきってしまいました。しかし、手放せない本です。何度も、読み、そして、今、韓国の歴史ドラマに登場する契丹や、突厥、渤海といった北方の人々の歴史をもっと知りたくなっています。日本に西方の文化を伝えただけでなく、歴史に影響を与えてきた人々についての本も、もっと和訳していただきたいと願っています。
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デルス・ウザラ (地球人ライブラリー 45) 単行本 – 2001/11/1
V.K. アルセニエフ
(著),
安岡 治子
(翻訳)
V・K・アルセニエフが、1902年、1906年に続いて行った1907年の調査行の物語である。自然科学的な観察に必要な生活のサポーターとして同行した射撃の名手でゴルド人のデルス・ウザラは森の動物たちと話をし、彼らの話を聞き、自然の成り行きを判断する優れた能力を持っている。現代人が失ってしまった予知能力により、さまざまな危機を乗り越えていく。原始共産制のような考えを持っているデルスは、物の分配に対しても平等を基本としている。そのようなデルスの人や物に接する態度からも現代社会に対する強烈なメッセージを受け取ることが出来るだろう。やっと環境問題に取り組みはじめた人々にとっては耳の痛い話も含まれている。百年近く前に出された本書が本国ロシアでも版を重ねているのも頷ける。
- 本の長さ285ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2001/11/1
- ISBN-104092510454
- ISBN-13978-4092510456
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商品の説明
出版社からのコメント
V,K,アルセニエフが、1907年に行った調査行の物語である。自然科学的な観察に必要な生活上のサポーターとして同行したデルス・ウザラは動物たちと話が出来る。その優れた能力によって危機を乗り越え調査行は進む。
内容(「MARC」データベースより)
極東探検家アルセニエフの1907年の調査行の物語。同行のサポーター、デルス・ウザラには、森の動物たちと話をし、彼らから話を聞き、そこから自然の成り行きを判断する優れた能力があった。現代人が失ったものを問う一冊。
登録情報
- 出版社 : 小学館 (2001/11/1)
- 発売日 : 2001/11/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 285ページ
- ISBN-10 : 4092510454
- ISBN-13 : 978-4092510456
- Amazon 売れ筋ランキング: - 620,845位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,233位ロシア・東欧文学研究
- - 4,297位紀行文・旅行記
- - 7,480位海外旅行ガイド (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年6月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2002年4月28日に日本でレビュー済み
自然の中で人間はいかに生きるべきかということを考えた。この本は基本的にはシベリアの探検記だ。でもそこでの案内人であるデルスという人間についての話も随所に出てくる。自然を人間と同じ様に相対化し、トラもクマもリスも人間と同じと考える。日本が情報化、画一化した社会であればあるだけ自然の大きさをデルスに教えられた気がする
2014年4月25日に日本でレビュー済み
19世紀から20世紀初頭に掛けてロシア極東で素晴らしい書籍が生まれています。
「日本幽閉記」のゴロウニン。
「偉大なる王」のバイコフ。
そしてこの「デルス・ウザラ」のアルセーニエフです。
本作は「偉大なる王」の翻訳者長谷川濬の弟、長谷川四郎が翻訳した東洋文庫
から出版された「デルスウ・ウザーラ」が先にあり、今も新刊で購入できます。
本作「デルス・ウザラ」の翻訳者安岡治子氏はドストエフスキーでとても読みやすい
翻訳してくれていたので、再度読んでみました。
どこかで見かけた本作の紹介文には抄訳と記されていたように、長谷川四郎翻訳に
比較して章立ては同じですが、文字数は79%に減少します。
また東洋文庫では詳細な地図があり、踏査行程を目で追うことができましたが
本作のそれはあまりにおおざっぱで、踏査行程を地図上で追うことができません。
最初に読んだのが東洋文庫でしたので感動が大きかったのかもしれませんが
本書でもそれは十分再現され、名詞の訳等はこちらの方が正確なのかもしれません。
但し巻末の解説は本作だけを読んでの羽生進の解説より、長谷川四郎の解説の方が
理解の助けになります。
なお、現在邦訳で読めるアルセニエフの作品としては他に「タイガを通って」と
「シベリアの密林を行く」があり、これも読むとアルセニエフとデルスウ・ウザーラ
の初めての出会いと、スターリン体制下で遺族が辿った悲劇も知ることができます。
「日本幽閉記」のゴロウニン。
「偉大なる王」のバイコフ。
そしてこの「デルス・ウザラ」のアルセーニエフです。
本作は「偉大なる王」の翻訳者長谷川濬の弟、長谷川四郎が翻訳した東洋文庫
から出版された「デルスウ・ウザーラ」が先にあり、今も新刊で購入できます。
本作「デルス・ウザラ」の翻訳者安岡治子氏はドストエフスキーでとても読みやすい
翻訳してくれていたので、再度読んでみました。
どこかで見かけた本作の紹介文には抄訳と記されていたように、長谷川四郎翻訳に
比較して章立ては同じですが、文字数は79%に減少します。
また東洋文庫では詳細な地図があり、踏査行程を目で追うことができましたが
本作のそれはあまりにおおざっぱで、踏査行程を地図上で追うことができません。
最初に読んだのが東洋文庫でしたので感動が大きかったのかもしれませんが
本書でもそれは十分再現され、名詞の訳等はこちらの方が正確なのかもしれません。
但し巻末の解説は本作だけを読んでの羽生進の解説より、長谷川四郎の解説の方が
理解の助けになります。
なお、現在邦訳で読めるアルセニエフの作品としては他に「タイガを通って」と
「シベリアの密林を行く」があり、これも読むとアルセニエフとデルスウ・ウザーラ
の初めての出会いと、スターリン体制下で遺族が辿った悲劇も知ることができます。