加藤周一(評論家)と樋口陽一(憲法学者)の肩ひじを張らない、憲法に体現されている重要な概念をテーマに対談したものである。1997年に「小学館」から発表されたものだが、2014年に「岩波現代文庫」として、再出版された。
「日本国憲法」は日本が侵略戦争及び無謀なアジア・太平洋戦争での膨大な犠牲の上に作られた。占領下でアメリカ主導で作られたとはいえ、欧米で培われた国民主権、個人の自由・平等を組み込んでおり、明治憲法とは対照的な憲法である。
この対談は「日本国憲法」を評価・守る立場で「憲法改定」に抗する姿勢を明確にしている。「解釈改憲」が進められ、2012年の「自民党憲法改正第二次草案」が出されるに至って、「立憲主義」を無視し、国民主権、個人の自由・人権、戦争否定の「憲法」を改悪する勢力が強くなってきている今、肩ひじを張らない対談だが、じっくり読む必要があると思う。
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時代を読む: 民族人権再考 単行本 – 1997/4/1
比較憲法学の第一人者、樋口陽一氏が、「日本国憲法施行」50周年を前に、日本を代表する知識人、加藤周一氏との憲法に関する対談を希望されて実現したのが本企画である。 対談は、ふたりが1945年8月15日、敗戦をどのように迎えたかから始まり、日本人の法意識、人権と民主主義について発祥の地、西欧と日本の比較、そして現在の日本の到達点に及ぶ。 ふたりの「日本国憲法」に対する思いは、 「西欧で誕生した人権と民主主義思想を継受した日本国憲法は、同時にまた、〃力による正義〃という西欧の伝統を乗り越えようとする観念を掲げている。西欧から継承した憲法文化をもう一段高いところへ発展させることこそが、日本のアイデンティティになりうるのではないか」と結ばれる。 巻末に資料編として、アメリカの独立宣言、人権宣言、国際連合憲章(抄)、大日本帝國憲法、日本国憲法、英訳日本国憲法等を収録。
- 本の長さ254ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日1997/4/1
- ISBN-104093860114
- ISBN-13978-4093860116
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商品の説明
出版社からのコメント
1945年8月15日、加藤周一氏26歳、樋口陽一氏11歳。その2年後、国民主権をうたった新憲法が施行。この50年間くりかえされる「解釈改憲」の動きと日本の人権と民主主義の到達点について、二人の硯学が語りつくす。
内容(「MARC」データベースより)
1947年、国民主権をうたった日本国憲法が施行された。その後50年を経た今、日本の民主主義と人権はどのようになっているのか。2人の碩学が、西欧・アジアをも視野に入れて語る。
登録情報
- 出版社 : 小学館 (1997/4/1)
- 発売日 : 1997/4/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 254ページ
- ISBN-10 : 4093860114
- ISBN-13 : 978-4093860116
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,171,291位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 7,897位政治入門
- - 155,810位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1919‐2008年。東京生まれ。東京大学医学部卒。戦後、多彩な執筆活動を展開。中村真一郎・福永武彦と『1946・文学的考察』『マチネ・ポエティク詩集』などを刊行。カナダのブリティッシュ・コロンビア大学をはじめ、ドイツ、イギリス、アメリカ、スイス、イタリアの大学や、上智大学、立命館大学などで教鞭をとる。2004年、平和憲法擁護の「九条の会」の呼び掛け人となる(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 三題噺 (ちくま文庫) (ISBN-13: 978-4480426710 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
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2014年6月25日に日本でレビュー済み
加藤氏
日本は個人主義的社会ではなくて、集団志向型の社会だから、平等とは、皆が同じことをする。p42
樋口氏
世の中は人間が集まってできているわけで、その人間の考えが一致するということは、一致したほうが偶然だというのが西洋流の考えです。
p45
日本国民の大勢順応主義がよくわかる。
それに逆らうような少数意見を持った人に対しては強い圧力を使って潰したりする。
西洋流の考え方だと、最初から意見の違いは当たり前だから、相手の意見を尊重する。
少数意見を尊重する民主主義が日本には未だに根付いていないことが理解できる。
加藤氏
初めから二つの意見が内部にあれば一方の意見から他方の意見に移れるが、初めから一つの意見しかないと、新たに別の意見を作り上げる種がない。外圧がないと変わりにくくて、カタストロフ(破局)まで行かないと、なかなか変わりにくいp50
樋口氏
多数意見と少数意見があって変わる場合には、まず人が変わる。(略)ところが、全員一致でやってきたのが、外圧で変わる時にはどうか。
それまでと同じ人が、変わったことを引き続きやる。p50
加藤氏
どういうときに変わるのかといえば、二つの変わり方があって、一つはカタストロフがあって強い外圧が加わると無理やりに変わる。
その時は皆で一緒に変わる。もう一つは、そうではなく、これが一番難しいところだが、、急激に変わらずに、ずるずる少しずつ徐々に変わって行く。戦後五〇年間のほうは、まさにこれだと思う。(略)憲法の解釈改憲なるものがそうでしょう。第九条の解釈が少しずつ変わってきた。
それはたんになしくずしということだけではなくて、一方向へのなしくずしです。その小さな解釈改憲を積み重ねると、もう初めの時とは雲泥の差で、途方もない違いになっている。p51~52
二つの意見というのは、少数意見と多数意見のことであろう。
一方向とは明らかに戦争に向かっていると考えられる。
戦後のなしくずし過程で、日本の方向性がまた戦争に向っていることを指摘しているのだ。
解釈変更で集団的自衛権の行使まで認めてしまうと、気がついたら銃を持って戦場に立たされているということも起こりえる。
憲法や解釈改憲について、あるいは民主主義や人権といったものに興味がある方は本書をお読みになると良いと思う。
日本は個人主義的社会ではなくて、集団志向型の社会だから、平等とは、皆が同じことをする。p42
樋口氏
世の中は人間が集まってできているわけで、その人間の考えが一致するということは、一致したほうが偶然だというのが西洋流の考えです。
p45
日本国民の大勢順応主義がよくわかる。
それに逆らうような少数意見を持った人に対しては強い圧力を使って潰したりする。
西洋流の考え方だと、最初から意見の違いは当たり前だから、相手の意見を尊重する。
少数意見を尊重する民主主義が日本には未だに根付いていないことが理解できる。
加藤氏
初めから二つの意見が内部にあれば一方の意見から他方の意見に移れるが、初めから一つの意見しかないと、新たに別の意見を作り上げる種がない。外圧がないと変わりにくくて、カタストロフ(破局)まで行かないと、なかなか変わりにくいp50
樋口氏
多数意見と少数意見があって変わる場合には、まず人が変わる。(略)ところが、全員一致でやってきたのが、外圧で変わる時にはどうか。
それまでと同じ人が、変わったことを引き続きやる。p50
加藤氏
どういうときに変わるのかといえば、二つの変わり方があって、一つはカタストロフがあって強い外圧が加わると無理やりに変わる。
その時は皆で一緒に変わる。もう一つは、そうではなく、これが一番難しいところだが、、急激に変わらずに、ずるずる少しずつ徐々に変わって行く。戦後五〇年間のほうは、まさにこれだと思う。(略)憲法の解釈改憲なるものがそうでしょう。第九条の解釈が少しずつ変わってきた。
それはたんになしくずしということだけではなくて、一方向へのなしくずしです。その小さな解釈改憲を積み重ねると、もう初めの時とは雲泥の差で、途方もない違いになっている。p51~52
二つの意見というのは、少数意見と多数意見のことであろう。
一方向とは明らかに戦争に向かっていると考えられる。
戦後のなしくずし過程で、日本の方向性がまた戦争に向っていることを指摘しているのだ。
解釈変更で集団的自衛権の行使まで認めてしまうと、気がついたら銃を持って戦場に立たされているということも起こりえる。
憲法や解釈改憲について、あるいは民主主義や人権といったものに興味がある方は本書をお読みになると良いと思う。