日本リース、負債総額約2兆円を抱えて倒産。管財人である奥野弁護士が当時を振り返る。債権者である銀行、ABS受託者、サプライヤー等と債務を一つ一つ整理していく様は正に圧巻。文章が丁寧なせいか、法律に精通していなくても当時の状況がありありとイメージできた。GEキャピタル側アドバイザーだったゴールドマンや、GMAC側アドバイザーだったCDIとの交渉も見物。
私が注目したのはABS受託者との交渉だったが、BUS(バックアップサービサー)を発動せず、サービサーを日本リースで維持したのには正直驚いた。そちらの方が債権の回収率がよいと判断されたのだ。ABSは委託者(兼サービサー)から倒産隔離されている商品だが、実態はそうではないことがよく分かり、今後の参考になった(今の法律ではどうなるか分からないが)。
破産処理に関わる弁護士やABS投資家・証券会社の方に是非オススメする一冊。
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会社再建: 史上最大の巨大倒産管財人の記録 単行本 – 2000/9/1
奥野 善彦
(著)
日本最大となる二兆三〇〇〇億円の負債を抱えて倒産した日本リースは、会社更生法適用の道を選んだ。 奥野善彦弁護士を中心とする管財人団が会社を更正させるべく動き出す。金融機関やメーカーとの和解、裁判所や顧客とのやり取り、海外資本との攻防。複雑に絡み合う利害関係を解きほぐしながら、同時に苦渋の決断を迫られてゆく…。会社の再建と日本経済復活に示唆を与える管財人団の苦闘の全記録。
- 本の長さ335ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2000/9/1
- ISBN-104093873232
- ISBN-13978-4093873239
商品の説明
出版社からのコメント
二兆三〇〇〇億円の負債額を抱えて倒産した日本リースを再建するべく、管財人となった奥野善彦弁護士を中心とした管財人団が動き出した。異例のスピードで会社を再建させていく管財人団の苦闘の全記録。
内容(「MARC」データベースより)
日本最大といわれた日本リースの倒産劇。再建計画を立てた新生「日本アセットマネジメント」は、1年4ヵ月で更生計画案を東京地裁に提出、認可を得る。いかにして再建を果たしたか。苦渋と決断に迫る。
登録情報
- 出版社 : 小学館 (2000/9/1)
- 発売日 : 2000/9/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 335ページ
- ISBN-10 : 4093873232
- ISBN-13 : 978-4093873239
- Amazon 売れ筋ランキング: - 499,854位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2001年5月4日に日本でレビュー済み
本書は、破綻した日本リースの管財人を務めた奥野弁護士によるものですが、企業再建の現場が、真実だけが持つ迫力で描かれています。事業の譲受人として名乗りを上げたGEキャピタルやGMACといった一流外資系企業との丁丁発止の交渉。債権者の利益を最大限に確保しつつ、貫き通した従業員の雇用の絶対確保。日本で初めてのABS(資産担保証券)の倒産対応。法的破綻処理の歴史の中でも画期的な「更生計画によらない事業譲渡」。いわば進駐軍の立場に在りながら、更生会社の従業員の士気を維持しつつ、その能力を最大限に発揮させて遂行した難局の打開。これら全てを指揮した著者が成し遂げたことは、単に優秀な法律家としてだけでなく、ビジネスマンとして、人間としての力を総動員してこそ成し得た偉業だと思います。
2012年11月4日に日本でレビュー済み
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九十年代後半の 日本リース及び日本リースオートの再生をリードした管財人である弁護士の筆者からみた詳細な記録になっています。
厚生計画によらない事業譲渡やスポンサー候補との早期交渉など、後々の会社更生法の柔軟な運用や、民事再生法を作る契機となったのみならず、事業と人材に対する深い理解を持った奥野先生のような弁護士の背中を見て多くの若手弁護士が育ったことが、出てくる関係者が昨今では第一人者として活躍しているのをみると、この事案がある種エポックメイキングな再生事案であったことが伺えます。
厚生計画によらない事業譲渡やスポンサー候補との早期交渉など、後々の会社更生法の柔軟な運用や、民事再生法を作る契機となったのみならず、事業と人材に対する深い理解を持った奥野先生のような弁護士の背中を見て多くの若手弁護士が育ったことが、出てくる関係者が昨今では第一人者として活躍しているのをみると、この事案がある種エポックメイキングな再生事案であったことが伺えます。
2003年9月15日に日本でレビュー済み
実質1年半の記録であるが、期間が短いがゆえにその中身は非常に濃いものになっており、従業員を鼓舞しながらの、取引金融機関や外資、裁判所との交渉経過にはすっかり引き込まれました。
しかし、最も印象に残ったのは、第1章に書かれている『あるクライアントの死』と終章に書かれている『ユイ』の話です。これは、どんなに大きな事件でも、極端に言えば法律がどうなっていても、結局は人間対人間がお互いにどれだけ理解し合えるかが成否のカギであることを示したものであり、本書および筆者の根底にあるものではないかと感じました。
しかし、最も印象に残ったのは、第1章に書かれている『あるクライアントの死』と終章に書かれている『ユイ』の話です。これは、どんなに大きな事件でも、極端に言えば法律がどうなっていても、結局は人間対人間がお互いにどれだけ理解し合えるかが成否のカギであることを示したものであり、本書および筆者の根底にあるものではないかと感じました。