なので著者よろしく、とりあえず弾丸のように書き飛ばすこととする。
まず、自分はこの本が大好きだ。大好きではあるけど、単行本の際には、その装幀にはグッと来たものの、内容については読みきるので精一杯だった。それはハイテンションかつ饒舌な文体、情報量、そして９年間のうちに書かれた文章を、現在進行形で解説するといった時間軸の移動などなど、それほどの本読みではない自分にとっては、咀嚼するには苦労する体裁だったのだ。
しかし文庫本となり読み直してみたところ、本そのものの大きさのせいだろうか、以前に何回か読んだことがあったせいかはわからないが、読みにくさはあまり感じなかった。ただその饒舌な文体、内容にうっとりするばかりだった。
菊地成孔の文章のどこにうっとりとするのか。それはその知識を下敷きとした妄想や思い込みを、虚実おりまぜ躁的なテンションで饒舌に語りつくすといったところにある。なんというか、思いついたはしからマシンガンのように口に出すような人ではないとこういった文章は書けないのではないかと思う。
これはまさにジャズメン、しかもサックス奏者の文章である。って書いとくとそれっぽい文章に見えそうだから書いておくけど、まあなんか書き飛ばし具合と整合性の取り方とか、なんかやっぱりテクノやロックではなくジャズの即興性、しかも吹く楽器のようなあでやかさ、みたいなものを感じる。
とにもかくにも、ハマる人にはハマるけど、ほとんどの人はハマらないんじゃないかなあといったエッセイ集です。ちょっと気になるなあって人は、147ページの「肉声」だけでも近所の書店で立ち読んだりしてみてください。おもしろい童話です。あとちなみにサッカーは関係ないです。あしからず。
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