3・11直後に購入して積読になっていた本を今更ながらと思いつつも読了。
ただし3・11により引き起こされた急性の課題とは別に、テーマとしては日本の構造的かつ持続的な慢性の課題を扱っているので現在でも読みごたえは充分だ。
内容については他のレビューワーの方から既に多くのコメントがあるので、個人的にこの本から得られる学びという視点から3つを以下に記載。
(1)日本の慢性的な課題が幅広に(網羅性はないが)知識として得られた。
この本では国内外の著名人65名が自身の経験と知識、立場に基づき、日本の未来について語っている。触れられている課題は幅広く、一個人が日本の課題をスピーディに知るには手ごろな本だった。
ただし、日本の政治家や官僚など実質的な意思決定者の寄稿がない、つまりは国益をストレートに追及する(はず)の人々の意見が抜けていて、所詮は当事者意識が薄めの意見の集大成という印象もぬぐえない。
そのためか、日本の未来を語る上でインパクトの大きいと思われる政策の意思決定プロセス(選挙制度、内閣組成プロセス、官僚組織構造)への提言は面白いほどすっぽりと漏れている。
(2)一つのテーマに対して”多くの視座”と”主張の論理性”を担保することの重要性を再実感した。
日本の未来について多くの人がたくさんのことを言っているので、各人共通した意見もあれば、まったく正反対の意見もある。これは立場が違えば見えるものが異なるという当たり前のことを再実感させてくれる。
自分が何かの問題解決を行う当事者になった場合、自身の立場だけにとらわれずいかに複数の立場から物事を見る必要性があるかよく理解させてくれる。
その際に意思決定のために複数の立場の意見を集約・統合するには、本書の寄稿者レベルの著名人の中ですら多くいるが、論理と事実のサポートがない意見はそもそもディスカッションのネタにもならないなぁと思う。
情緒的表現でまぶし、判断と事実が入り混じった発言は、立場の同じ人々の心には響くかもしれないが、立場の異なる人から見ればどのようにも料理しがたい言いっぱなしだなぁと感じる。
自分も改めて気を付けようと感じた。
(3)マッキンゼー流の社会的課題への提言スタイルが参考になった。
本書の最後にマッキンゼー日本支社長の提言が記載されている。誰に対しての提言なのかわかりにくい提言ではあるが、仮に受け手が日本の政策意思決定者だとすると、なんとなく腑に落ちる。
でも大仰に提言しているが、すでに昔から議論されている施策について言っているだけだし、それらがなぜできないのかという実現するための課題に対応する施策を提言するには至っていない。
まぁ、要は適当にある程度きれいに見えるように意見をサマリーした程度だなぁと感じた。
ただし、あえて深読みすれば、日本国内で共有されるあるべき姿がない中で、なんとなく経済成長を目標とおいて、他国との比較分析をもとに、政策意思決定のトップ層に害が及ばないように施策を提言するとこうなるんだろうなぁという印象。
これはこれでトップ層に対する提言スタイルの一類型としてありだと思うので参考にはなる。
扱うテーマの大きさに比較し内容に物足りなさを感じさせつつも、上記3つのような学びがまとめて得られる本は稀有ではあるので読む価値は十分にあると思料し星4つ。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥1,490¥1,490 税込
発送元: Amazon 販売者: アイダ商会
¥1,490¥1,490 税込
発送元: Amazon
販売者: アイダ商会
¥8¥8 税込
配送料 ¥240 6月10日-12日にお届け
発送元: バリューブックス 【防水梱包で、丁寧に発送します】 販売者: バリューブックス 【防水梱包で、丁寧に発送します】
¥8¥8 税込
配送料 ¥240 6月10日-12日にお届け
発送元: バリューブックス 【防水梱包で、丁寧に発送します】
販売者: バリューブックス 【防水梱包で、丁寧に発送します】
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
日本の未来について話そう 単行本 – 2011/7/1
マッキンゼー・アンド・カンパニー
(編集)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥1,490","priceAmount":1490.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,490","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"mUuDC2F7M%2FPiDODSH36vwZOc5PexnUKOoU1f5E4V1VxaWUkQ9DVZ%2BNn%2BM%2FcZ3nAwnNEohEGfzrmYo%2F7%2BPtmzXsybbpxFj5XbgKKfwlnuCX1IMhKUVTqKAiaCAkB2CPcHElR8bXgLByxWpafLOXKpIdK4cv3IfflgbYNlEd9yMGnXIc1yOZiP8M2Uzv2Y1aCQ","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥8","priceAmount":8.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"8","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"mUuDC2F7M%2FPiDODSH36vwZOc5PexnUKOwb%2Fc58Zno%2FmY5D9PkNSxuMo0SDexyELB3wTTJFSF3BcVq0zAcB5s9Xy4ykZLR3kGLy4aLoX74SWvLJNAkb9nsxey10anwYpdQhqRvrf8pLmMhjEE0anITyvIfuJ5eFSmd6ZSOQe%2Bqb8CEmqpdpdhmw%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
世界をリードする65人が執筆
2011年3月11日に日本を襲った東日本大震災、津波被害、そして福島第1原発問題。現在、世界中の目が日本に向けられている。日本は復興に向け動き出したが、震災以前から抱える数々の問題は依然日本の将来に影を落としている。国内政治の混乱や巨額の負債、高齢化、硬直化した教育制度と若者の意欲喪失に加え、技術や革新の分野での国際競争力の低下や外交問題など、憂事は尽きない。本書は、世界的な経営コンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーが、世界のオピニオンリーダーに日本が直面する問題について、それぞれの視点での提言を求め、それをまとめた1冊である。著者の方々はその優れた洞察力のもと、時折ユーモアも交えながら、日本への愛情に満ちた筆によって日本の過去、現在、そして最も重要な未来を描き出している。グローバル企業のCEO、ピューリッツァー賞受賞作家、ゲームクリエイター、サッカー監督、民間人校長、漫画家、建築家など、幅広い顔ぶれの寄稿者がそれぞれの視点で日本を語るというユニークな企画により編まれた本書は、いまの日本を読み解くための手がかりとなるだろう。
【編集担当からのおすすめ情報】
世界のオピニオンリーダーの言葉を、以下に一部紹介します。65人の著者の名言がたくさん詰まった一冊です。
「変化への抵抗」という錯覚
「難局に立たされたときの回復力、能力、規律、集団としての創造力、それらがひとつになって発揮される日本人の力は、一夜にして生まれるものではない。そしてその力は簡単に消えるものでもない」-ジョン・ダワー マサチューセッツ工科大学(MIT) 名誉教授
変革へのギアチェンジ
「日本にはもうあまり期待できないと言う人は、本当の日本が分かっていない。日本をよく分かっている人ほど、実は楽観的だ」-カルロス・ゴーン ルノー 取締役会長兼最高経営責任者(CEO)、日産自動車 社長兼CEO
目利きの文化
「日本の顧客はかつてないほど要求が高く、知識があり、洗練さを増している。こうした高い水準に合わせていけば、我々は日本だけでなく、世界中で成功するものと確信している」-ベルナール・アルノー LVMH 会長兼最高経営責任者(CEO)
ジャパン・アズ・ナンバーワンはどこへ
「日本の将来については正直言って心配です。なぜなら、日本には政治家が長期的視点に立って考えることのできる制度が必要なのに、いまのところそういう制度が存在しないからです」-エズラ・F・ヴォーゲル ハーバード大学 社会学名誉教授、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』著者
2011年3月11日に日本を襲った東日本大震災、津波被害、そして福島第1原発問題。現在、世界中の目が日本に向けられている。日本は復興に向け動き出したが、震災以前から抱える数々の問題は依然日本の将来に影を落としている。国内政治の混乱や巨額の負債、高齢化、硬直化した教育制度と若者の意欲喪失に加え、技術や革新の分野での国際競争力の低下や外交問題など、憂事は尽きない。本書は、世界的な経営コンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーが、世界のオピニオンリーダーに日本が直面する問題について、それぞれの視点での提言を求め、それをまとめた1冊である。著者の方々はその優れた洞察力のもと、時折ユーモアも交えながら、日本への愛情に満ちた筆によって日本の過去、現在、そして最も重要な未来を描き出している。グローバル企業のCEO、ピューリッツァー賞受賞作家、ゲームクリエイター、サッカー監督、民間人校長、漫画家、建築家など、幅広い顔ぶれの寄稿者がそれぞれの視点で日本を語るというユニークな企画により編まれた本書は、いまの日本を読み解くための手がかりとなるだろう。
【編集担当からのおすすめ情報】
世界のオピニオンリーダーの言葉を、以下に一部紹介します。65人の著者の名言がたくさん詰まった一冊です。
「変化への抵抗」という錯覚
「難局に立たされたときの回復力、能力、規律、集団としての創造力、それらがひとつになって発揮される日本人の力は、一夜にして生まれるものではない。そしてその力は簡単に消えるものでもない」-ジョン・ダワー マサチューセッツ工科大学(MIT) 名誉教授
変革へのギアチェンジ
「日本にはもうあまり期待できないと言う人は、本当の日本が分かっていない。日本をよく分かっている人ほど、実は楽観的だ」-カルロス・ゴーン ルノー 取締役会長兼最高経営責任者(CEO)、日産自動車 社長兼CEO
目利きの文化
「日本の顧客はかつてないほど要求が高く、知識があり、洗練さを増している。こうした高い水準に合わせていけば、我々は日本だけでなく、世界中で成功するものと確信している」-ベルナール・アルノー LVMH 会長兼最高経営責任者(CEO)
ジャパン・アズ・ナンバーワンはどこへ
「日本の将来については正直言って心配です。なぜなら、日本には政治家が長期的視点に立って考えることのできる制度が必要なのに、いまのところそういう制度が存在しないからです」-エズラ・F・ヴォーゲル ハーバード大学 社会学名誉教授、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』著者
- 本の長さ418ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2011/7/1
- 寸法13.2 x 2.9 x 18.8 cm
- ISBN-104093881898
- ISBN-13978-4093881890
商品の説明
出版社からのコメント
世界のオピニオンリーダーの言葉を、以下に一部紹介します。65人の著者の名言がたくさん詰まった一冊です。
「変化への抵抗」という錯覚
「難局に立たされたときの回復力、能力、規律、集団としての創造力、それらがひとつになって発揮される日本人の力は、一夜にして生まれるものではない。そしてその力は簡単に消えるものでもない」-ジョン・ダワー マサチューセッツ工科大学(MIT) 名誉教授
変革へのギアチェンジ
「日本にはもうあまり期待できないと言う人は、本当の日本が分かっていない。日本をよく分かっている人ほど、実は楽観的だ」-カルロス・ゴーン ルノー 取締役会長兼最高経営責任者(CEO)、日産自動車 社長兼CEO
目利きの文化
「日本の顧客はかつてないほど要求が高く、知識があり、洗練さを増している。こうした高い水準に合わせていけば、我々は日本だけでなく、世界中で成功するものと確信している」-ベルナール・アルノー LVMH 会長兼最高経営責任者(CEO)
「変化への抵抗」という錯覚
「難局に立たされたときの回復力、能力、規律、集団としての創造力、それらがひとつになって発揮される日本人の力は、一夜にして生まれるものではない。そしてその力は簡単に消えるものでもない」-ジョン・ダワー マサチューセッツ工科大学(MIT) 名誉教授
変革へのギアチェンジ
「日本にはもうあまり期待できないと言う人は、本当の日本が分かっていない。日本をよく分かっている人ほど、実は楽観的だ」-カルロス・ゴーン ルノー 取締役会長兼最高経営責任者(CEO)、日産自動車 社長兼CEO
目利きの文化
「日本の顧客はかつてないほど要求が高く、知識があり、洗練さを増している。こうした高い水準に合わせていけば、我々は日本だけでなく、世界中で成功するものと確信している」-ベルナール・アルノー LVMH 会長兼最高経営責任者(CEO)
登録情報
- 出版社 : 小学館 (2011/7/1)
- 発売日 : 2011/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 418ページ
- ISBN-10 : 4093881898
- ISBN-13 : 978-4093881890
- 寸法 : 13.2 x 2.9 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 703,046位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 110,659位ノンフィクション (本)
- - 185,205位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2012年11月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2021年8月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まずもってこの国の正体を知らなければなりません。この国では貧困層予備軍は資産が五千万円以下の人のことだそうです。国内に貧乏人が増えた理由は、国内の製造業が衰退しているのに知的財産産業や最先端産業に手を出さず、インフラ維持と部品産業や観光・農林水産業が主産業になったため全体的な生活水準が低下したからです。グローバル企業は好調でも、もうけは他国で地産地消なので国内経済に力を貸しません。現在はコロナに守られています。コロナが静まると政府支援が止まり、貧富の差が急加速し、今度は労働者よりもお年寄りから子供へ貧困が蔓延するはずです。非正規労働者どころか将来は年収二百万円程度の家庭を政府が生活モデルにしています。私たちは稼がなければなりません。内需拡大ではありません。すでにこの国は衰退途上国でアメリカは日本を植民地であったフィリピンのように思っています。だからこそ、その考えを逆手にとって能力のある日本人はアメリカで働いて富を国内へ還元、国内はデジタル化や英語の推進とアメリカモデルの知的財産産業と最先端産業に参入しアジア拠点になるしかありません。国内の一般人の仕事がインフラ維持以外に介護・食料・運送・ビルメンテなど限定しています。男女問わず、まず食品スーパーで修行し調理師免許取得です。家庭事情や学問の経歴は関係なく若ければ若いほどです。理由は、専門学校より経費が掛からない、通信講座は教育訓練給付で還付、将来的に専門調理師という手もある、だからです。その過程で登録販売者の前に、自動車運転免許、第一種衛生管理者、簿記三級です。そして、調理師。そのあとに登録販売者です。これで現在の仕事に不満か何かあって再就職でもなんとかなる資格のはずです。当然、その先に向かうのは医療介護施設です。その前に消防設備士の乙6・7や危険物の乙4を取っておけばと思います。そして、介護の初任者資格で介護施設での雇用や病院での仕事にめどがつくと思われます。すでにこの国には国内に余ったお金はありません。マスコミは云々いっても増税の記事を見れば一目瞭然です。すでにアメリカがインターネットや個人情報を使って間接的にこの国を植民地化奴隷化しています。収入が少ないのは大部分がアメリカへ流れているからです。トヨタやソニーがいくら海外で稼いでもその利益は全く国内で流通していません。だから私たちは貧困なのです。アジアにおけるアメリカ、つまり最先端技術事業や高付加価値知的財産事業で海外から稼ぐことがない限り嘘八百の国でルンペン生活を送ることになるだけです。登録販売者でドラッグストアで雇用されても最終的に持病があっても家庭が忙しくても頑張っているのになぜ賃金が安いのか収入が増えないのかという疑問がつきまといます。中古ですが本当に良かった、鮨専門調理師を目指して将来必ず資格取得したいです。お上ではないけれど殿上人が勢ぞろいです。だからこそ、調理師免許を取って将来的に鮨専門調理師免許を取りたいです。この国は、ここ最近技術や商品模型を国内で作って製造をアジア各国に委託してきました。その結果として国内の雇用はガタガタになりました。自動車分野もEVに移行することでそうなることが決定されています。しかし、中高齢になって食品スーパーで三年以上働いて、給料は激安の200万円程度ですがやっとその芽が出てきました。その芽を花咲かせたいです。登録販売者や第一種衛生管理者や消防設備士乙6や簿記や自動車免許の資格は絶対的に必要です。しかし、それ以上のものは必要ありません。ただ、親の介護の関係があるのでキャリカレの在宅介護インストラクターの知識ぐらいは必要と思います。そこから先は実力勝負なので立身出世に失敗して自宅でニートする暇があるのなら第二第三の人生は専門調理師を目指すべきです。そう思います。その答えを含めてレビューしました。この国には未来があります。
2011年7月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
■作品紹介
マグニチュード9.0を記録し、その後の津波で2万人を超える死者を出した2011年3月11日の東日本大震災。さらには福島原発の放射性物質漏れとその後の政府や東電の不誠実な対応は、「安心」と「信頼」の代名詞であったジャパンブランドを失墜させ、日本は今や先の見えない停滞感に悩まされている。本書はそのような歴史的転換期にある日本において今日本で何が問題になっていて、日本はこれからどのような道を歩むべきか、そしてそのためにどのような施策が必要かについて、様々なバックグラウンドを持った多くの識者がそれぞれの観点を論じたものである。
■感想
まずこの本を読んで感じるのが、寄稿者の日本への愛である。これだけ多くの著名人(その半分以上が外国人)が日本と日本人を深く愛し、日本の復興を信じそのための助言を惜しまず、日本が再び栄光と信頼を取り戻すことに期待を寄せてくれている。僕はひとりの日本人としてこの事実に勇気づけられると供に、日本には再生の可能性が少なからず残されていて、その実現を信じるに値すると確信することができた。日本の未来に希望を抱かせてくれたという意味で、本書の存在に感謝したい。
さて、本書は記者や経営者、学者、あるいは建築家や小説家といったその道の第一人者達が「日本の未来について」というテーマに基づいて3〜6ページ程度でそれぞれの意見を簡潔に述べてたものである。そのため国籍や業界といった枠を超えた様々な立場からの様々な意見が冗長になりすぎない簡潔な形にまとめられており、まさに「珠玉」の一冊となっている。特に日本を長らく調査してきた外国人記者やリサーチャーの方々の言葉は非常に参考になるところが多く、マッキンゼーは本当にいい仕事をしたなと感心させられた。
例えばブルッキングス研究所員のポール・ブルースタイン氏は、衝撃的な事例を以て日本の国際影響力の低下を示した。2008年7月、日本の経済産業大臣である甘利氏が国際貿易に関する話し合いをするためにジュネーヴにあるWTO(世界貿易機関)本部を訪れた際、なんと会議の開始時刻を教えてもらえず、さらには何時間も建物の外に締め出しを食らったというのだ。ブルースタイン氏は、日本がこのような文字通り「国際社会からの村八分」にされる事例は他にも存在し、日本の国際的な影響力の低下を顕著に物語っていると指摘している。そしてその原因を歴史を振り返って分析すると共に具体的な対策も提示しており、まさしく日本で普通に暮らしていては耳に入らない貴重な提言だと言える。
しかし内容は良くも悪くもバラバラで、上記の例のようにハッとするようなユニークな視点から日本の問題を切り取ったものもあれば、自著や自社の紹介に終始して何の提言もない残念なものもあった。また、多様な意見を拾い集めたとはいえ、「日本の未来について」という統一テーマについて語る際にはその問題点について触れないわけにはいかず、結果として似たような分析や解決策が提示されることが多々あった。具体的には労働生産性の低さや少子高齢化、政治の不安定といった問題点に対し、ダイバーシティ推進や移民の受け入れ、教育制度の是正といった解決策である。つまりは日本の問題点は相当解明されていてやるべきことも明確になっているということなのだろうが、似通った意見がかなり目立っていて少しうんざりしたというのも正直な感想である。取材しておいて載せないということはできないので仕方ないが、もう少し量を減らすこともできたのではないかと思う。
しかし本書が非常に示唆に富んだ良書であることは間違いなく、日本の未来について真剣に考えさせられる大きなきっかけになった。今回の震災で日本の将来を憂いている方々、どうにかして日本を良くしたいと考えている人たちには是非一読願いたい。
マグニチュード9.0を記録し、その後の津波で2万人を超える死者を出した2011年3月11日の東日本大震災。さらには福島原発の放射性物質漏れとその後の政府や東電の不誠実な対応は、「安心」と「信頼」の代名詞であったジャパンブランドを失墜させ、日本は今や先の見えない停滞感に悩まされている。本書はそのような歴史的転換期にある日本において今日本で何が問題になっていて、日本はこれからどのような道を歩むべきか、そしてそのためにどのような施策が必要かについて、様々なバックグラウンドを持った多くの識者がそれぞれの観点を論じたものである。
■感想
まずこの本を読んで感じるのが、寄稿者の日本への愛である。これだけ多くの著名人(その半分以上が外国人)が日本と日本人を深く愛し、日本の復興を信じそのための助言を惜しまず、日本が再び栄光と信頼を取り戻すことに期待を寄せてくれている。僕はひとりの日本人としてこの事実に勇気づけられると供に、日本には再生の可能性が少なからず残されていて、その実現を信じるに値すると確信することができた。日本の未来に希望を抱かせてくれたという意味で、本書の存在に感謝したい。
さて、本書は記者や経営者、学者、あるいは建築家や小説家といったその道の第一人者達が「日本の未来について」というテーマに基づいて3〜6ページ程度でそれぞれの意見を簡潔に述べてたものである。そのため国籍や業界といった枠を超えた様々な立場からの様々な意見が冗長になりすぎない簡潔な形にまとめられており、まさに「珠玉」の一冊となっている。特に日本を長らく調査してきた外国人記者やリサーチャーの方々の言葉は非常に参考になるところが多く、マッキンゼーは本当にいい仕事をしたなと感心させられた。
例えばブルッキングス研究所員のポール・ブルースタイン氏は、衝撃的な事例を以て日本の国際影響力の低下を示した。2008年7月、日本の経済産業大臣である甘利氏が国際貿易に関する話し合いをするためにジュネーヴにあるWTO(世界貿易機関)本部を訪れた際、なんと会議の開始時刻を教えてもらえず、さらには何時間も建物の外に締め出しを食らったというのだ。ブルースタイン氏は、日本がこのような文字通り「国際社会からの村八分」にされる事例は他にも存在し、日本の国際的な影響力の低下を顕著に物語っていると指摘している。そしてその原因を歴史を振り返って分析すると共に具体的な対策も提示しており、まさしく日本で普通に暮らしていては耳に入らない貴重な提言だと言える。
しかし内容は良くも悪くもバラバラで、上記の例のようにハッとするようなユニークな視点から日本の問題を切り取ったものもあれば、自著や自社の紹介に終始して何の提言もない残念なものもあった。また、多様な意見を拾い集めたとはいえ、「日本の未来について」という統一テーマについて語る際にはその問題点について触れないわけにはいかず、結果として似たような分析や解決策が提示されることが多々あった。具体的には労働生産性の低さや少子高齢化、政治の不安定といった問題点に対し、ダイバーシティ推進や移民の受け入れ、教育制度の是正といった解決策である。つまりは日本の問題点は相当解明されていてやるべきことも明確になっているということなのだろうが、似通った意見がかなり目立っていて少しうんざりしたというのも正直な感想である。取材しておいて載せないということはできないので仕方ないが、もう少し量を減らすこともできたのではないかと思う。
しかし本書が非常に示唆に富んだ良書であることは間違いなく、日本の未来について真剣に考えさせられる大きなきっかけになった。今回の震災で日本の将来を憂いている方々、どうにかして日本を良くしたいと考えている人たちには是非一読願いたい。
2013年6月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今後の日本の未来将来のヒントになりました。もっと勉強しないと意見ませんね。