20年近く前に出版された本書だが、内容に古さは感じられない。
それは、本書が物事の本質について、語っているからだと思う。
また、バブルの全盛期から、崩壊の時期にかけての認識について、私たちはどれだけ正確に、そして真摯に受け止められているだろうか。
具体的に見える言葉が、実は抽象的で、わかっているようでわかっていないものが多い。
土地、家、会社、財産、利子、銀行、相続。
この中で、相続については、「相続とは、「生きていく方法を相続すること」だ」と喝破している。
なるほど、目からうろこである。
「相続は、金をもらうことではない。死んでいく親の金や財産とかをただ取りすることではない。相続とは、親が使っていた「生きていく方法」を相続することなんだ。」と続く。
この言葉をきいて、自分の生き方をもう一度見直してはいかがであろうか。
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ぼくらの資本論 (小学館文庫 R は- 2-4 貧乏は正しい) 文庫 – 1998/9/1
橋本 治
(著)
大好評のハシモト流「誰にでもわかる新・資本論」第4弾『ぼくらの資本論』! バブル末期、バブルの本質を実体験するために不動産を購入する暴挙に出た橋本治が、日本人にとっての「家」と「土地」と「カネ」について解き明かす。今日の金融破綻、官僚汚職、経済不況などを恐ろしいほどに予言しまくった、これこそ現代の「資本論」。方向を見失った資本主義国家・日本に生きるすべての人の必読書。これを読めば人生が変わる。
- 本の長さ282ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日1998/9/1
- ISBN-104094022244
- ISBN-13978-4094022247
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商品の説明
出版社からのコメント
カネとは? 土地とは? 家とは? 金融破綻、官僚汚職、経済不況を予言していた、世紀末必読の書。大評判シリーズ第4弾。
登録情報
- 出版社 : 小学館 (1998/9/1)
- 発売日 : 1998/9/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 282ページ
- ISBN-10 : 4094022244
- ISBN-13 : 978-4094022247
- Amazon 売れ筋ランキング: - 945,963位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 4,724位小学館文庫
- - 14,160位近現代日本のエッセー・随筆
- - 39,379位評論・文学研究 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1948年東京生まれ。東京大学在学中に駒場祭のポスターで話題を集めるが、イラストレーターから小説家に転身。小説・評論・戯曲・古典の現代語訳・エッ セイ・芝居の演出など、ジャンルにとらわれず精力的に活動。『双調平家物語』で第62回毎日出版文化賞を受けるなど受賞歴多数。小林秀雄賞選考委員(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 桃尻娘 (ISBN-13: 978-4591117552 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年9月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
論理的思考では書かれていない。
2009年8月6日に日本でレビュー済み
「貧乏は正しい」シリーズ(全5巻)の第四弾である。
このエッセイの中で、橋本治は、資本主義は破綻しかけているという。
なぜなら、余剰金が世界に増えすぎて、どこに投資していいいかわからなくなり、
経済理論にのっとった投資がもう行えなくなっているからだという。
だから、バブルが起きるのだという。
非常に独創的で先見の目に満ちた思想だと思う。
残念ながら、だからどうしたら解決するとは作者はいわない。
貧乏に生きろ、と作者はいう。
金持ちたちはもう自分たちのお金の使い方に困っているのである。
5巻とも、すばらしいエッセイだった。
このエッセイの中で、橋本治は、資本主義は破綻しかけているという。
なぜなら、余剰金が世界に増えすぎて、どこに投資していいいかわからなくなり、
経済理論にのっとった投資がもう行えなくなっているからだという。
だから、バブルが起きるのだという。
非常に独創的で先見の目に満ちた思想だと思う。
残念ながら、だからどうしたら解決するとは作者はいわない。
貧乏に生きろ、と作者はいう。
金持ちたちはもう自分たちのお金の使い方に困っているのである。
5巻とも、すばらしいエッセイだった。
2006年11月16日に日本でレビュー済み
この人の本を読むと、プロの仕事師の業はこういうものかと、いつも感心させられる。文庫本の場合は数百円、単行本で千数百円〜数千円だが、支払った金額以上の中身が必ずあるのが橋本師の本だ。
話題は相続税から始まる。相続税・・・悪く言われることが多いが、この税金のそもそもの思想は、親子だからって何の努力もせずにいい目にあうのはだめよ、というところにあるという。相続すべき遺産を残した親は相応の努力をしたはずで、その子供だからって棚ぼたで何の努力もせずに親の努力の成果を手に入れようなんてのはフェアじゃないっていう思想。もちろん、親子関係ではあるのだから、他人が手に入れるよりはお安くしときまっせ!となっている。
そして、財産とは何かと来る(実際の叙述はこういう順番ではないが)。財産とは、それを抵当(カタ)に借金ができるものだ、との定義。たとえば、30年の住宅ローンを組んで我が家をもつ。賃貸で月々十数万円払うのなら、同じくらいの金額を(ローンとして)払って将来自分の財産になる持ち家の方がお得ですよ、と銀行は言う。しかし、本当にお得なのか?自分の財産になるとはどういう意味なのか?と言葉の本来の意味でラジカル(根源的)に考えるを進めるのが橋本流。時は大化改新〜平安時代〜鎌倉、室町〜江戸と古くへ遡り、土地や家を所有することに日本人は殆どこだわって来なかった、不動産の所有という概念は明治以来だったか、戦後以来だったかの数十年〜百年くらいのことという。
たとえば、30年ローンで我が家を所有する。いろいろ担保にとられて成立した30年ローン。それをコツコツ返済していって、返済度合いが大きくなるにつれて家はその分だけ自分のものになっていく(=自分の財産になっていく)。そして財産ができるということはどういうことかというと、その財産を抵当にさらなる借金をできる、ということ。
しかし、橋本師曰く、個人事業主ならば事業拡大のために資本=財産=借金が必要になるが、月々決まったサラリーをもらうサラリーマンにとってさらなる借金が必要なのだろうか?答えは断然否だと僕は思う。
変わり者の橋本先生。地道に自分の頭で考える人のまわりを、浮かれた「時代」は一回り経巡って、変わり者が至極まともに逆転する。そういう地道さの強さをこの本でまた感じてしまった。
話題は相続税から始まる。相続税・・・悪く言われることが多いが、この税金のそもそもの思想は、親子だからって何の努力もせずにいい目にあうのはだめよ、というところにあるという。相続すべき遺産を残した親は相応の努力をしたはずで、その子供だからって棚ぼたで何の努力もせずに親の努力の成果を手に入れようなんてのはフェアじゃないっていう思想。もちろん、親子関係ではあるのだから、他人が手に入れるよりはお安くしときまっせ!となっている。
そして、財産とは何かと来る(実際の叙述はこういう順番ではないが)。財産とは、それを抵当(カタ)に借金ができるものだ、との定義。たとえば、30年の住宅ローンを組んで我が家をもつ。賃貸で月々十数万円払うのなら、同じくらいの金額を(ローンとして)払って将来自分の財産になる持ち家の方がお得ですよ、と銀行は言う。しかし、本当にお得なのか?自分の財産になるとはどういう意味なのか?と言葉の本来の意味でラジカル(根源的)に考えるを進めるのが橋本流。時は大化改新〜平安時代〜鎌倉、室町〜江戸と古くへ遡り、土地や家を所有することに日本人は殆どこだわって来なかった、不動産の所有という概念は明治以来だったか、戦後以来だったかの数十年〜百年くらいのことという。
たとえば、30年ローンで我が家を所有する。いろいろ担保にとられて成立した30年ローン。それをコツコツ返済していって、返済度合いが大きくなるにつれて家はその分だけ自分のものになっていく(=自分の財産になっていく)。そして財産ができるということはどういうことかというと、その財産を抵当にさらなる借金をできる、ということ。
しかし、橋本師曰く、個人事業主ならば事業拡大のために資本=財産=借金が必要になるが、月々決まったサラリーをもらうサラリーマンにとってさらなる借金が必要なのだろうか?答えは断然否だと僕は思う。
変わり者の橋本先生。地道に自分の頭で考える人のまわりを、浮かれた「時代」は一回り経巡って、変わり者が至極まともに逆転する。そういう地道さの強さをこの本でまた感じてしまった。
2004年1月26日に日本でレビュー済み
橋本治さんには何十年も先のことを見通してしまう才能がある。いまさらビンボー生活だとか月一万円で生活する、なんてことが流行ってるわけだけど、橋本さんは20年も前から『若いんなら貧乏から逃げるな!』って教えてくれていた。小説も好きだけど、評論はアタマを鍛えるために読んでます。無冠の帝王の知恵に感服すること間違いなし!!
2005年12月15日に日本でレビュー済み
一応、社会主義のアジテーションなのだが・・・
必要なものはほぼ買い尽くしたから金で金を買う(投機の過熱)、必要なものはほぼ買い尽くしたから物が売れない(つまり不況)、不況もバブルも金の使い道がなくなった結果に過ぎない。橋本は資本主義はもう終わった、社会主義の世の中が来るのかもしれない、と弱気に宣言する。
あくまで弱気な宣言であるところが橋本らしい。
必然的に終わる資本主義の先は、地獄の釜の蓋が大口を開けているかもしれない。それでも我々は、自分だけを頼りに生きていくよりほかない。
必要なものはほぼ買い尽くしたから金で金を買う(投機の過熱)、必要なものはほぼ買い尽くしたから物が売れない(つまり不況)、不況もバブルも金の使い道がなくなった結果に過ぎない。橋本は資本主義はもう終わった、社会主義の世の中が来るのかもしれない、と弱気に宣言する。
あくまで弱気な宣言であるところが橋本らしい。
必然的に終わる資本主義の先は、地獄の釜の蓋が大口を開けているかもしれない。それでも我々は、自分だけを頼りに生きていくよりほかない。