谷恒生『千利休の謀略』(河出文庫)は千利休と豊臣秀吉の暗闘を描いた歴史小説である。利休と秀吉の対立は芸術家と権力者の対立と捉えられることが多い。これに対して『千利休の謀略』では国家戦略を有する人物と卑小な権力者の対立として描く。
『千利休の謀略』は山崎の合戦直後から始まる。ここから関白就任、天下統一に至る過程は豊臣秀吉の絶頂期である。秀吉が最も輝いていた時期である。これに対して『千利休の謀略』の秀吉は利休の考えを理解できず、酒に溺れている。この描き方は新鮮である。天下統一後の秀吉が黒田官兵衛(黒田如水)を遠ざけた理由は、官兵衛の才能を恐れたためと説明されることが多いが、『千利休の謀略』ではユニークな理由としている。
『千利休の謀略』では利休は秀吉よりも織田信長の影響を受けている。本能寺での信長の死によって自分も死んだと位置付けるほどである。織田信長の影響の強さは武田正受庵『妻・宗恩の語る利休の貌』とも共通する。『妻・宗恩の語る利休の貌』では千利休の茶道の大成には織田信長の茶道の影響があったと分析していた。
(林田力)
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千利休の謀略 (小学館文庫 R J- 15-1 時代・歴史傑作シリーズ) 文庫 – 1999/11/1
谷 恒生
(著)
「歴史的使命のあった」信長の建国に夢を託していた傀儡の血脈を引く利休が、信長が死の時に発した奇怪なる言葉「是非に及ばず」の謎を解き、「人間として傑作であるが、国家構想もない権力亡者」の秀吉に仕えながら、秀吉に仕掛けたたくらみは、徳川家康が豊臣を亡ぼすまでの大きな仕掛けの中にあり。権力者・秀吉と茶人・利休の対立の深さは、利休を一介の茶人から苛烈ないくさ人に変え、利休の死後も続いている。解説・笹川吉晴。
- 本の長さ327ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日1999/11/1
- ISBN-104094037713
- ISBN-13978-4094037715
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商品の説明
出版社からのコメント
利休の死の謎に迫り、反「太閣記」が展開される秀吉に仕掛けられた企みとは。
登録情報
- 出版社 : 小学館 (1999/11/1)
- 発売日 : 1999/11/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 327ページ
- ISBN-10 : 4094037713
- ISBN-13 : 978-4094037715
- Amazon 売れ筋ランキング: - 489,125位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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